カリフォルニア州ロスアンゼルス,白人中流階級が多くを占めるサンタモニカ山脈の北部に位置するEncino地区に住むDevon Connorは私立探偵のElvis Coleに息子Tysonの素行調査を依頼する。最近、彼が購入することができるはずのない高級な時計や衣服を身に着け始めたことに気づき、Tysonの部屋をチェックした彼女は多額の現金が隠されているのを発見し、彼がドラッグなどの何らかの犯罪に関わっていることを懸念する。そして彼女はTysonが犯罪に関与していても警察には通報しないことをColeに頼む。Coleは殺人などの重大な犯罪でない限り依頼人の秘密は守ることを約束する。
ColeはTysonが所有していた高級時計の登録ナンバーを知り合いの時計商に照会し所有者を調べてほしいと依頼する。彼は時計商の情報から時計が盗品であること、さらにTysonは多数の大金持ちから被害届が出されている窃盗犯罪に関与していることを知る。また盗難品を照会したことから盗難を捜査している刑事Cassettが彼に会いに来るが、彼は協力を拒否する。
Coleは息子が犯罪者であることに落胆しているDevonに、彼が留守宅を狙って犯行を重ねていることや初犯であること、まだ警察が彼らを実行犯と特定していないことから自首すればTysonは刑務所に行かないで済むと助言し、彼女も彼を自首させることを誓う。しかし、事件はこれで終わったと思った翌日、Devonから息子が失踪したと電話があり、Coleは彼女からTysonの行方を突き止めてほしいと依頼される。
ColeはDevonから情報を得て、Tysonの友人Carlに会いに行き、彼からTysonと窃盗仲間のAmber、Alecが映っている写真を得る、そして彼らがフリーマーケットで盗品を売りさばいていることを教えられ、手掛かりをもとめてその場に赴く。彼はフリーマーケットの管理人から二人組の刑事が彼らについて聴きこみに来たことやフリーマーケット常連のLouise Augustが若者達と話していたという証言を得る。彼はLouiseに会って手掛かりを得ようとするが、彼女は先週、何者かによって殺害されていた。そして、彼は彼女が殺される前に二人の刑事らしき男たちが彼女を訪ねてきたことを突き止める。
再度管理事務所を訪れた彼は、Louiseを訪ねてきた二人組がフリーマーケットの管理事務所に聴きこみに来た二人組であることを確認する。また彼は、フリーマーケット管理会社の若い受付女性から有力な情報を得る。彼女は自称俳優というAlecから彼の自宅のパーティーに誘われたことがあると言い、彼にAlecの住所を教える。早速その住所を訪ねたColeはAlecが昨夜、路上で殺されたことを知る。そして、Louiseの家にやってきた刑事と名乗る二人組が彼の住いにやってきて自宅を捜索していることを発見する。彼らはAlecのルームメイトにAmberとTysonについて尋問していた。ColeはCassettに電話して、彼女がまだ3人組の名前を突き止めていないことを発見、彼は自分が重大な事実誤認をしていることに気が付く。彼は自分や警察以外に、刑事と偽り殺人を繰り返しながら、盗品の回収を目的としてTysonらの行方を追っている二人組の殺し屋の存在に気づき、彼らの無事を心配し始める。そして、二人組がAlecから押収したものによって、Tysonの家をつきとめてDevonを襲撃することを懸念したColeは相棒のJoe Pikeに電話する。
Tysonと彼のガールフレンドAmberの2人をColeと二人組の殺し屋どちらが先に見つけるのか?一方は盗難品が売られたフリーマーケットから、もう一方はTysonの友人の情報から彼等に迫っていく。警察が彼らと盗難事件との結びつきを特定しないうちに3人組を見つけ出さなければいけないという、誘拐事件と同じように時間との競争で面白かった。単なる窃盗事件ではないことが徐々に明らかになっていくストーリー展開、当然そうなるとこちらも期待しているけど、それでも事件が大きくなっていく過程はワクワクさせてくれる。
キャラも個性的で面白かった、殺し屋の二人組、冷静に現状を分析して慌てない、粗暴な殺し屋というよりはインテリジェンスを持っているColeの好敵手という感じで、何時お互いが相手に気づくのか対決が楽しみになる。Amberというガールフレンドのキャラクターも良かった、事件の重大性など理解しないで、警察や殺し屋から隠れようとしない大胆さで奔放にふるまう、何時か世間の注目を集めるヒロインになることを夢見ている。そんな彼女に翻弄されてTysonも身動きがとれない。狂言回しとして面白かった。
そしてColeの優しさ、調査の結果が依頼人にとって良くない結果だと どうやってその結果を依頼人にとって良い方向にしていくのかを考えてあげる。また、依頼人との約束を守り、こちらがハラハラするほど頑固に刑事が訪ねてきても彼らの身元や知っていることを明かさない。
E-book(Kindle版)★★★★ 400ページ 2017年12月出版 1210円(2017年12月購入)