キュヴェ タカ/cuvee taka 「酔哲湘南日記」

新鮮な山海の恵みを肴に酒を吞み、読書、映画・音楽鑑賞、散歩と湘南スローライフを愉しんでいる。 

細雪とバーガンディーホワイト

2008年02月20日 | Weblog
市川昆さんがお亡くなりになりましたね。私はあまり映画を見ないので大きな思い入れがないのですが、なんと言っても小学生の時に観た「東京オリンピック」が印象的です。
望遠レンズを駆使して選手の息遣いや緊張感、不安な表情を捕らえた映像は、当時画期的な出来事でした。その後馴染みがあるとすれば、テレヴィで観た「木枯し文次郎」ですね。上条恒彦の主題歌ともども強く印象に残っております。

巨匠といわれる方がお亡くなりになると、代表作品がテレヴィで流されるのが常ですが、一昨日の夜「細雪」を拝見いたしました。1983年の作品ですが、この頃の俳優、女優は馴染みが深いですね。その後テレヴィもあまり観なくなり、今の方たちは誰が誰だか分からないですが、ほとんどのかたの名前を覚えておりました。最近は物覚えが悪いのと、興味が無いので覚えないのですが、昔の事は覚えているもんだなあと感心しました。それで昔の事ばかり懐かしく、結果若い人の感覚からどんどんどんどん離れてゆき、交流不能と成っているようです。

といいましても谷崎さんの原作を読んだのが30年前、京都の花見の場面のみを覚えているだけで、他のことはすっぽり頭から欠落しており、昔の記憶も怪しいものです。その様なわけで、この原作にあるのかどうか調べてみないと分かりませんが、映画では一箇所ワインに言及する場面があり、むむむと膝を乗り出しました。伊丹十三扮する銀行勤めの本家の義兄が、丸の内支店長に栄転する折、義弟に当たる分家の石坂浩二に、それじゃあ一杯やるかと“バーガンディーの白がある”といって男二人で本家の奥の部屋に向かうシーンです。

確かこの小説の時代設定は昭和13年、大阪の没落商家に婿入りしたエリート銀行員はバーガンディーワインを美味いワインとして嗜んでいたようです。この後中国戦線が拡大して太平洋戦争に突入し、海軍幹部は戦争末期までワインを嗜んでいたという話も聞きますが、富裕層の間では徐々にワインが飲めなくなったと思います。戦後はアメリカ人の嗜好でスコッチウイスキーが一部に出回りましたが、高級輸入ワインが復活するまでには随分と長い時間がかかってしまいました。





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