昨日の岡田ジャパンのオランダ戦、大健闘しましたね。
ワールド・カップに隠れて注目度はいまいちですが、全米オープンゴルフで、遼くんも頑張っています。
前々回、前回の記事のとおり、僕は英語の効用について是認論者です。
(ところが、僕と同世代のオヤジ世代の人には否定論者、そもそも英語アレルギーの人が80%ぐらいいるのですよ。是認論者は少数派です。さすがに20代の若い人はそんなことはないと思いますが。)
ところで、『週刊 東洋経済』『週刊 ダイアモンド』はおやじさらりーまんの『日刊 ゲンダイ』『夕刊フジ』のようなもので、時々記者が取材に来ます。
『週刊 東洋経済』の6月19日の楽天の三木谷君(実業界では僕の方がかなり先輩なので、”君”です。)の発言(正確にはインタビュー記事)などは、英語の必要性については、『日頃から僕が思っていることをよくぞ言ってくれた。』という部分もあり、留飲が下がる思いです。が、企業社会全体ではまだまだ否定論者が多いので、結構波紋を呼んでいます。三木谷君はオーナー社長なので、言いたいことが言えるという面もあります。
今日は、英検1級のエッセイ問題の所感を書く予定でしたが、ちょっと変更して、英語とグローバル化について、この、『週刊 東洋経済』の記事について思うことを書いていきます。(難しいことをいう、うるさいオヤジ、といわれないように、こういう話は、ごく時たまにだけ、にしますが。)
僕は、英語の必要性については、積極的な肯定論者ですが、国際化を超えてグローバル化(地球規模化)ということまでになると、三木谷君の発言は(?)という思いで、やや注意することが必要と思います。
英語が出来る、ということは、グローバル化の必要条件のうちの一つ、きっかけの一つではありますが、十分条件、絶対条件ではありません。
僕の考えるグローバルである、という”定義”は、『地球規模で普遍的に価値をもつ。』ことで、英語が出来さえすれば、グローバルというのであれば、英語ネイティブの英米加豪人は、すべてグローバル人となります。
しかし、僕の個人的体験では、これらの地域には、極めて偏狭で排他的ナショナリスト、レイシスト、コーランも通読しないうちから、異教というだけで頭ごなしの反イスラム主義者、軍事制圧行動大賛成の軍産複合体推進主義者、など、現在あるいは近未来のグローバル・スタンダードからほど遠い人たちがうじゃうじゃいます。
(もちろん、グローバルでフェアな人も大勢います。)
前にも書きましたが、マリナーズのイチローは英語があまり流暢ではありませんが、彼の野球技術は『地球規模で稀有な価値』があるので、僕はグローバルだと思います。
また『クロサワ監督』の作品のほとんどが日本語で製作されていますが、『地球規模で人々を感動させることが出来た。』ので、グローバルだと思います。
三木谷君は、親の仕事の関係で、米国で2年間初等教育を受けた”短期帰国子女”で、帰国後に社会人になってからもHBS(ハーバード・ビジネススクール)に通っていたからか、英語(米語)=グローバル という偏向が強いように思います。
『週刊 東洋経済』にある、執行役員は2年以内にTOEIC 750点なければクビ、という記事も、なぜ彼が敬愛して価値を認めているHBSのマスター・ディグリーではなく、TOEICなのか、またなぜ950点ではなく、650点でもなく、750点なのか、よく解りませんし、オリジナルな企業を創業した彼にしては、オリジナリティがなく、一般的な”偏向”に追従している感じがします。案外楽天は海外が極めて弱い(というか基盤も確立していない)ので、海外で急いで利益を上げるために、とりあえず英語が使える人間が欲しい、という底の浅いことだけのことかもしれません。
また、社内の英語の公用語化についても、最も早く実現しようと思えば、HQ(ヘッドクオーター)を英語ネイティブの英米加豪か、もしコストが高いというのであれば、マレーシア、ベトナムあるいはルーマニアなどビジネスでの英語化が進んでいる地域に移転すれば済む話です。(もっともそれだけでは多国籍企業になるだけで、まだグローバル化したとは言えませんが。。)彼はオーナー社長なので、その程度のことは自分で簡単に決定できるはずです。
さらに、中学の英語の教師をみんな英語ペラぺラな人に変えてしまえ、という発言も、英語ペラペラな状態がどういう能力、状況か解りません。”短期帰国子女”の彼が帰国後通った中学では、彼のイメージの”英語ペラペラ”な英語の先生ではなかったかもしれないが、現在では、三木谷君に言われるまでもなく、生徒の英語の運用能力向上のため、日々奮闘している英語の先生もたくさんいらっしゃいます。
また、過去のことでも、僕の個人的体験では、手前味噌ですが、意外なことに、海外で外国人に『あなたの英語は文法が正確で素晴らしい。』と褒められることも多く、中学、高校では、あまり“英語ペラペラ”の面白い授業ではありませんでしたが、しっかり英文法や語法を教えて頂いておいてよかった、と思っています。
三木谷君が個人的にどのように思おうと、個人の自由ですが、楽天もすでにジャスダックにも上場し、さまざまなステーク・ホルダーを抱えた、すでに公器としての上場企業ですから、企業人の僕から言わせれば、中学の英語の先生も含めた、一般消費者も大切なお客様である企業の、経営最高責任者の立場で、そのような発言をするのは、極めて乱暴、軽率です。いい年をしてまだ学生時代のクラブ活動の部長のようなイケイケ感覚が抜けていないのかもしれません。
念のため、エスタブリッシュな家庭に育ちながら、あえてリスクを取って企業を創業し、創業後数年間『ドブ板を踏む』様な苦労を重ねて会社を大きくしてきた彼のバイタリティと情熱は高く評価しています。が、ことグローバル化においては、今後2年間で彼のやり方で楽天がどのようにグローバル化していくのか、じっくり見させて頂きたいと思います。
ご参考までに、同じ『週刊 東洋経済』6月19日号の72ページと73ページには、川原、脇若、西水の3氏が、グローバル化について、それぞれ含蓄のあることを書いておられます。僕の考え方は、この3氏に近いです。興味のある方はご覧になって下さい。