▼将棋界のホープ・藤井君の攻めよろしく、夕張市長鈴木直道が、次期道知事選に王手をかけた。30日の北海道新聞朝刊一面のタイトルに、眠気も一気に吹き飛んでしまった。
▼【鈴木氏、先手打ち表明】だ。首相官邸側が押しているとみられる鈴木氏だが、自民党道連内部からは、経験が浅いとし国土交通省道局長の和泉氏を押す声が噴き出ている。
▼内部争いなどしている状況ではないと判断した鈴木は、すかさず先手必勝に出た。自ら無所属出馬を表明し、そこで自民・公明の支援を仰いだ。これは、鈴木の法政大学の先輩、菅官房長官の采配によるものだろう。
▼鈴木は、農水大臣で自民道連の会長でもある吉川や副代表の長谷川が推薦するが、吉川の指導力は弱い。下からの突き上げで、候補を絞れないで迷走しているのを見かねた官邸は「先手打ち」に出たのだ。
▼吉川貴盛が農水相を射止めたのは、TPP の発足で北海道農水業界がダメージを受ける。そこで業界からの攻撃を受け止める緩衝役として、政治手腕がないが人柄だけがいい吉川を、サンドバック代わりとして大臣に指名しただけだ。
▼その手腕の無さは、官邸が押す鈴木を一本化できないことをみても明らかだ。道知事選は選挙区が広大なので、10年程前でも、選挙資金は2億円以上はかかると、関係者が話していた。
▼財政破綻をした夕張市長の鈴木だ。そんな資金が調達できるはずがない。それも無所属での出馬となれば、官邸サイドがバックにいることが証明される。
▼今ではだんまりを見せているが「アベ・菅ライン」と北海道を結ぶ強力な送電線は、新党大地の「ムネオスズキ」だ。たぶん鈴木直道の選対本部長は、吉川に見えるが、ムネオが影の本部長だろう。ムネオも7月の「衆参同時選挙?」に、最後の出馬をかけてくる。
▼それに忘れてはならない存在がいる。ムネオの長女「タカコ」だ。若干33歳にして、防衛大臣政務官という要職についている。
▼タカコは自民党から民主党に、さらに自民党にと「八艘飛び」を平気でやってのけた。まさに「クローン・スズキ親子」と言われる、戦う政治家の一人だ。
▼この親熊は、自分が成し遂げられなかった政治の理想を子熊に託すに違いない。そこでムネオは、死ぬまで政治に影響力を示すのだ。それが「戦う政治家ムネオ」だからだ。
▼候補すら出せない野党は、鈴木がアベ総理派であれば、対抗する和泉に相乗りするなどという、戦いを放棄した無能発言も出ている。
▼今まで敵対視していたはるみ知事が、和泉を後継者と発言したのに、和泉「相乗り」では、もはや野党の右傾化そのものだ。今回の北海道知事選、立憲民主は解体を証明したのだ。
▼そうであれば、鈴木直道は「新党大地」の党首として、アベ政権を後ろにいただいて、縦横無尽の活躍をすればいい。道民の理解は得れるだろう。
▼ここからは私の妄想だが「新党・大地」という名称を私は嫌いではない。むしろ北海道らしい名称だ。自民党は嫌いだが、野党勢力が自滅したのであれば「新党・大地」の方が聞こえが良い。
▼鈴木直道が知事になり、3期目を目途に国政に躍り出る。
そうなれば、タカコを知事戦に出してくるというのが、ムネオオヤジの筋書きではないだろうか。
▼妄想はこのぐらいにしておき、今回の知事選では野党の右傾化というより、左翼陣営が自滅したという歴史を作ったのだ。その原因はオオサカセイジと、それに歯止めをかけれなかった野党体制の無力さだ。二度の知事選辞退で、北海道の左翼勢力を極端に壊滅させてしまったのだ。
▼右翼団体一水会創設者の鈴木邦男は言う。【愛国心とは、この国に生まれただけで手に入るものだ。それだけで誇れるのは危ない。それに対し左翼は、何一つ有効な手立てを打てなかった。愛国心という厄介なものの前でたじろぎ、それに見透かされて支持を失った】と指摘する。
▼北海道生まれでない鈴木直道が、北海道を守るという。北海道生まれのオオサカは、北海道を捨てる。郷土愛は鈴木が守るのだ。これが、ただしい保守の在り方ではないか。
▼こう考えれば、北海道の未来は保守化し、保守勢力の大地になるだろう。だが、アベ総理は「真の保守」ではないといわれる。対米従属に傾斜し過ぎるからだ。
▼左と右の境が希薄になり、どんどん曖昧化していく。こんな時代が極右の現れる社会状況の様な気がする。
▼2020年東京五輪。愛国心が最高に高揚される世紀のイベントだ。この年をアベ政権で乗り切るのは、ひじょうに危険な気がする。
▼北海道知事選がこんなレベルの低い状態で行われるというのがひじょうに嘆かわしい。民主主義の危機を知事選で実感する、団塊世代のたわいのない独り言だ。
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