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函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
目の前の太平洋からのメッセージです。

合併10年

2014年10月08日 11時46分25秒 | えいこう語る

 ▼函館市に編入合併された、戸井・恵山・椴法華・南茅部の旧一村3町は、12月1日で満10年を迎える。北海道新聞道南版では『合併10年・第一部 椴法華は今』で、5回連続の特集が始まった。平成の大合併、北海道初の地区、さらに、北海道で自治体面積が最小地域であった椴法華、この特集の持つ意義は、安倍政権新内閣の目玉とされる「地方創生」を考える上での貴重な材料になりそうだ。

▼ 担当記者は、椴法華に数日住み込み、丁寧な取材を行った。最近、報道の公平性や信憑性などが問われることが多い。文章を書くということは、書き手の性格や資質が大きく左右する。報道とは主観を抑制し客観性を重んじ、伝えたい大切なことを、読み手が主体的に読み取る内容にすることで、報道の公平性が保たれる。そこには書く側の筆力と読者側の理解力も同時に要求される。

▼ 世論誘導という側面を持ち合わせているのも、報道の特性だ。新聞は真実を伝えていないと、その記事に関係する者の声も聞く。報道も企業であるという前提で、読者としてどんなフィルターを持つか、フィルターの質の向上も、読者の責任のような気がする。

※イカ釣り船の漁火まで過疎だ。今年は水温が高いせいで不漁だ。

▼ さて、特集第1号(7日)の記事から。「『平成の大合併の道内第1号となり、脚光を浴びたい』との思いが、当時の首長たちにあったのではないかという疑念を今もぬぐえずにいる」という、ある村議経験者の話。

▼ 首長がそんな思いでいるなら、無責任だと何故追求しなかったのだろうか。旧町村の議員は合併の優遇措置で、全員がその身分を保証され市議会議員となった。さらに「近隣の町が合併に走る中、小さい椴法華が独自で生きる道は最初からなかった」とつづく。私は、この文言から、議会性代表民主主義の実効性について考えさせられた。

▼ 第2号では「スリム化の不安」というタイトルで、保育所や消防署が隣町に統合されることや、4町村の職員が合併前より3分の1に減ったことへの、住民不安を取材している。椴法華支所長は「住民の不安は承知している。市全体を考えた上での措置なので理解してほしい」という。合併後、函館市は新幹線の開業を控え、函館駅から五稜郭地区の市街地活性化政策を推進する。「中心都市宣言」もおこなった。

▼ 中心が充実して地域がスリム化するのは、道南エリアにおける一極集中と過疎化に類似する。半世紀前に、我が国に始めて走った新幹線、それが日本にどんな変化をもたらしたのだろうか。高速化社会における、経済や利便性は増加したが、反面、日本がいびつになったのも事実だ。開業まで後1年半を迎える北海道新幹線、効果ばかりが喧伝されているが、その逆効果だってたくさんあるに違いない。

▼ 編入合併、私自身「自治権放棄」と自分なりの総括をした。放棄した地域は、今後どんな生き方を模索しなければならないだろうか。支所長はさらに言う。「住民と力を合わせこれからの椴法華をつくっていきたい」と。

▼市民の「自主・自立」こそが、民主主義の基本だ。お任せ民主主義からの脱却こそが、地域再生の第一歩だ。合併は「新椴法華」のスタートと思いたいが、すでに10年の歳月を費やしてしまったが、私は新聞社の合併の総括報道は、椴法華再生へのエールと受け止めたい。