夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

研修レポート「国公立大現代文二次論述対策」

2013-07-23 22:23:15 | 教育
先日(7/14)、河合塾本郷校で受講した梅澤眞由起(まさゆき)先生の講座のレポート。

これはこの翌日に受けた菊川智子先生のセンター現代文の講座でも感じたのだが、河合塾の講師の方は、問題文について徹底的に解説してくださる。
本文を読みながら、あるいは拾い読みしながら、語句の意味、テーマ解説、筆者の主張の背景にあるもの…などを、よどみない口調でどんどんかみくだいて説明してくれるので、難解な評論文でも、書かれている内容がすらすら頭に入ってくる。

これに比べると、S台の先生には、読解の作業手順を原理的に教える方が多かったように思う。もちろん、講師により違いはあるが、はっきりと、「本文の解説をしてしまうと、生徒が今自分の中にある知識でどう問題文に向き合うかというトレーニングにならない。」ということを言われる先生もS台にはおられた。予備校にも学派ではないが、流儀の違いがあるような感じを受ける。

以下、この講座を受けて印象に残ったことを、二、三摘記したい。

傍線部内容説明問題の解き方
入試現代文の評論問題では、「~とはどういうことか」型の問題が、設問の八割を占める。
〈解答の手順〉
解答の手順としては、〈傍線部をブロックに分けて、各々言い換える〉のが鉄則である。その場合、基本的には書かれている順番通りに言い換えて説明していく。
〈書く要素〉
①書く要素として一番多いのは、言い換えだが、
本文のことばを使う
自分のことばで言い換える
の二つのケースがある。
②傍線部の事態が生じる前提(必要な条件)について、論理的にことばを補って説明しなければならないこともある。

梅澤先生が、「本文中のことばをそのまま使わずに言い換えよ、というのは最終目標。特に評論では、本文中のことばに依拠しつつ、比喩や慣用句・ことわざ・特殊な意味で使われている表現などは別のことばに置き換えて、説明していくのが現実的。目安としては、少し賢い人に、しかもその本文を読んでいない人にも分かる解答が文で書かれたもの、を目指して解答を作ればよい。」という内容のことを言われていたのが、非常に参考になった。

小説・随筆問題について
小説・随筆を苦手とする生徒は多い。その理由をランダムに挙げると、
①解答を作る際に、本文のことばをそのまま使えず、自分でことばを考えて説明しなければならない。
②表現のニュアンスが読み取れない。
③傍線(の前後)だけ見てしまい、全体とのつながりが読み取れない。
④時代や話の背景がわからない。色々な小説や随筆を読み慣れておらず、知識も少ないため、想像力が弱い。
⑤生徒の中に、語彙力、ことばのネットワークが育っていない。

梅澤先生が、「登場人物の心情について、なぜその人がこのように感じているのか、因果関係で考えたり、背景となる事実をつかみながら生徒が解答するように指導してやってほしい。」という内容のことを言われていたのが印象に残った。やはり、ベテランの先生だけあって、生徒がどこでつまづき、伸び悩んでいるから、どのように指導するのが効果的かを熟知しているのだと思った。

その他、小説問題では、〈事実→心理→言動〉というように、因果関係が成立するところに傍線が引かれて設問になるケースが多いとか、随筆は連想によって文章がイメージでつながっていき、全体で一つのことしか言っていないことが多いため、設問が複数あっても解答がかぶることはザラで、答えが重なりやすいとか、聞いていてなるほどなあと感じることがたくさんあった。

研修から帰ってきて、今、二年生と三年生の補習授業で、模試の過去問を教材に、現代文を教えている。
授業で論述のしかたを説明したり、生徒に解かせた問題の添削をしたりする中で、以前よりも基準をしっかり持ってできている感触がある。また、以前よりも、本文の内容を生徒に説明することに、罪悪感を感じないようになった。生徒自らの理解や気付きを促すことも大事なのだろうが、難解な評論や、生徒になじみのない世界を描く小説などについては、教師がかみくだいてわかりやすく説明してやることがまず必要なのだと思う。
そのまま真似ることなどとうていできないが、有名予備校のトップ講師の講座を受けるのは、やはり役に立つ。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。