夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

自助の精神

2016-02-24 23:22:37 | 日記
この一週間、試験の採点と再試、また勤務校の入試業務もあって、なかなか記事を更新する時間が取れなかった。
今日、再試とその採点、関係する先生方への連絡や相談も終わり、ようやく一段落ついた。


さて、このタイトルとこの導入部で、読者のみなさんは、私が何を言おうとしているか、すでにお察しのことと思う。

『自助論』の著者、S・スマイルズが説いた「自助」の精神は、自然界の法則のごとき不変の真理である。

外部からの援助は人間を弱くする。自分で自分を助けようとする精神こそ、その人間をいつまでも励まし元気づける。人のために良かれと思って援助の手を差し伸べても、相手はかえって自立の気持ちを失い、その必要性をも忘れるだろう。保護や抑制も度が過ぎると、役に立たない無力な人間を生み出すのがオチである。
いかにすぐれた制度をこしらえても、それで人間を救えるわけではない。いちばんよいのは何もしないで放っておくことかもしれない。そうすれば、人は自らの力で自己を発展させ、自分の置かれた状況を改善していくだろう。
(中略)
自らの怠惰を反省し、節約の意味を知り、酒におぼれた生活を否定して初めて人間は変わっていく。われわれ一人一人がよりすぐれた生活態度を身につけない限り、どんなに正しい法律を制定したところで人間の変革などできはしないだろう。
(『自助論』竹内均訳、三笠書房)

豊かで便利な現代社会にあっては、若者は努力や克己、節倹や奉仕といった、昔から尊ばれてきた価値観を軽視しがちである。
しかし、日頃実際に多くの学生たちと学校や寮で接していると、勤勉・正直・感謝の自助の精神に従って生活している者と、そうでない者との間で、能力や人間性はおろか、運命まで大きく変わってしまうことを思い知らされる。

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