夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

旅立ちの島唄(1)

2013-07-24 23:32:41 | 映画
内容の紹介

沖縄本島から東へ360㎞。
古来、琉球で「うふあがり島」(はるか東の島)と呼ばれた絶海の孤島、南大東島。
この島には高校がなく、子どもたちのほとんどは、中学校を卒業すると進学のため島を出て、親から離れて暮らすことになる。
この春も、島の民謡を歌う少女たちのグループ「ボロジノ娘」から、リーダーのフーミ姉が卒業することになり、島民たちが集まって「卒業コンサート」が行われる。
フーミ姉から、
「明日からボロジノ娘は優奈(ゆうな=三吉彩花)がリーダーだからね。しっかりね。」
と声をかけられ、涙ぐむ優奈。


新学期、優奈は中学三年生になった。
優奈は父親と二人暮らしをしている。
母親は沖縄本島で暮らしており、姉・兄も島を出ているが、姉の美奈は最近、娘を連れて戻って来た。
優奈は七歳の時から三線(さんしん=琉球三味線)や島唄を習っており、今も毎日「新垣則夫歌謡研究所」で近所の子どもたちと稽古に励んでいる。


優奈が最後に母親(大竹しのぶ)に会ったのは、去年のゴールデンウィーク。
母親は、南大東島の人ではないから、島が合わないのだという。
しかし、父親の利治(小林薫)はサトウキビ畑の仕事があるし、島で育った人(しまんちゅ)なので、妻の明美と疎遠になることがわかっていながら、島を捨てることができない。
一方、姉の美奈も夫の克也とうまくいっていないため、実家に帰って来たらしい。

二年も島に帰って来ない優奈の母親のように、心ならずも島を離れる人もいる。
一方、島を愛し残る人にとっても、基幹産業のサトウキビが、日本がTPPに参加すれば安い外国産に押され、大打撃を受けることが確実視されるように、島を取り巻く現実は厳しい。


その頃、北大東島から相撲・野球・バレーボールなどのメンバー一行が島にやって来て、「南北親善競技大会」が行われる。
優奈はその折、何度か「ボロジノ娘」のコンサートを見たという北大東島の少年・健斗から告白され、文通するようになる。
健斗は優奈と同い年で、中学を卒業したら、沖縄の同じ高校に進学しようと約束する。
しかし秋になって、優奈は人づてに、健斗が中学を卒業しても高校に進学せず、父親の跡を継いで漁師になるということを聞かされる。
優奈は居ても立ってもいられず、知り合いに舟を出してもらい、北大東島に行って健斗に会う。健斗は、
「お父が腰を痛めて、もう一人ではダメだからさ。もともと、高校を出たら、家に帰るつもりだったし。家族を捨てられないから。オレたち、もう会えないかもな…。」
「なんでそういうこというの? 私、離れてても平気だよ。」
「一生でも? オレずっと、この島で暮らすんだぜ。オレ…無理だよ。待てないよ。」
優奈は傷心をかかえて島に帰ってくる。

島の美しい風景と、そこで暮らす人々の厳しい現実との対照が残酷なくらいで、見ていて胸がしめつけられるような気分になった。

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