夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

近代短歌を教える

2014-11-28 23:51:15 | 教育
私が教えている高校1年生の現代文の授業で、最近4時間ほど、近代短歌を取り上げた。
読者で高校教員の方はお分かりになると思うが、現代文はどうしても評論と小説の読解授業が中心になり、詩・短歌・俳句にはさほど時間が割けないのが実情である。しかし、厳選・凝縮された表現に成るこれらの文学は、生徒を言葉そのものに密着させ、表現された状況や心情を深く読み取らせ、理解させるのに最適な教材でもあるのだ。

教科書の短歌の単元から、与謝野晶子・石川啄木・若山牧水・斎藤茂吉の4人を選び、その作品と人となりが伝わるよう留意して授業を行ったが、予想外に生徒の食いつきはよかった。特に生徒の関心が高かったのは石川啄木で、3行書き・口語風短歌で生活上の実感を率直に詠むスタイルの歌が、彼らには新鮮に感じられたようだった。
写真で見る顔に似合わず、素行不良で中学校を退学していることや、貧しい生活の中で職を転々とし、結核によって若くして亡くなったことなど、波瀾に満ちた人生を送った点にも、興味をひかれるらしい。

限られた時間で、しかも歌人ひとり当たり2首ずつという制約があったため、それぞれの歌人の伝記的事実や文学史的評価については、極めて不十分な紹介で終わってしまったのだが、やはり、短歌や歌人について授業をし、生徒たちと一緒に考えたり、言葉の美しさや表現の工夫を味わうのは楽しい機会で、わくわくするような時間だった。

来週から行われる定期考査では、知識の定着度や内容の理解度を測る問題も当然出すが、作品・作者についての感想や、自分で作った短歌なども書いてもらおうと思っている。特に、創作短歌は、よいものがあったら校誌に載せるといっているので、生徒たちからどんな作品が出てくるか、今から楽しみにしている。

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