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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

春の使者とは。

2017-03-19 22:04:06 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 うむッ! そろそろォ~…」
「がるる!ぐるるるがる!」(←訳:虎です!予報発表です!)

 こんにちは、ネーさです、
 サクラの開花予想日が発表されましたね。
 関東では3月末~4月初旬が見頃になるらしいんですけど、
 そこで本日の読書タイムは!
 サクラをテーマにしたこちらの御本を、さあ、どうぞ~♪
 
  



       ―― 日本画にみる さくら ――



 監修は島田康寛(しまだ・やすひろ)さん、2014年4月に発行されました。
 『Picture in Japanese style of cherry blossoms』と英語題名が、
 『――横山体験から中島千波まで――』と日本語副題が付されています。

「ふむふむむッ、えがかれたァ~さくらッ♪」
「ぐるがるぐるる!」(←訳:絵の中でお花見!)

 桜を描く。

 簡単そうにみえて、
 でも実際は、これほど難しいことは滅多にないぞ、と
 困り果ててしまうのが、
 まさにこの、

 《万人から美しいと認識されているもの》

 を描く行為ではないでしょうか。

 桜の他にも、
 例えば……富士山。

 シルエットはシンプルですし、
 白い雪冠を戴いた御姿を描いておけば、
 あ~富士山だよね~と
 観る人は思ってくれる、けれど。

 北斎さんの作品を除けば、
 心から感動させられる富士山の絵って、
 そうそうは無くて。

「ほんもののォほうがァ~」
「がるぐるる!」(←訳:断然すてき!)

 巨匠・大観さんが描いた富士山図も、
 冬の早朝、
 自分自身の眼で仰ぎ見る霊峰の麗しさ、
 有り難さには敵わないわ!

 そして、満開のサクラの花も……。

「むずかしィ~のでス!」
「ぐるるるがるるぅぐる!」(←訳:キレイなだけじゃダメ!)

 ただのピンク色のモヤっとした塊りか。
 それとも、
 塗り重ねた絵の具という以上の何か、
 まことの《花》に成り遂げているか。

「とッぱァしたいィでスよゥ!」
「がるぐるる!」(←訳:危険水域を!)

 この御本には、
 菱田春草さん、村上華岳さん、上村松園さん、
 川合玉堂さん、鏑木清方さん、伊東深水さん……といった
 近代日本画壇の名だたる大家さんの作品が収録されています。

 のどかなサクラあり、
 賑やかな花見の宴画あり、
 山野に咲く遠景の桜樹あり、と
 画家さんによって百花百様である中に。

 鬼気を宿す描きぶりなのは、
 一に夜桜、二にも夜桜!

「せすじがァ~…!」
「ぐるぐる!」(←訳:ゾクゾク!)

 宵闇の桜と満月。
 いつかどこかで見かけたような、
 しかし唯一無二のサクラを描いているのは
 東山魁夷さん。

 そして、
 どこにも存在しない、
 しかしどこかに在ってほしい闇の夜の桜を
 みごと現出せしめたのは
 加山又造さん。

「ほんものォよりもォ、ほんものッ?」
「がるぐるぐる!」(←訳:再びゾクゾク!)
 
 本物じゃないのだけれど、
 ときに本物を超える《花》を求めて。

 2014年の春、
 美術館『えき』KYOTOと
 水の美術館で開催された
 『日本画にみるさくら展 ――横山大観から中島千波まで――』の
 図録であるこの御本は、
 現在、一般書店さんでは販売されていないようですが
 (ネット書店さんなどでは取り扱われています)、
 所蔵している図書館もありますから、
 皆さま、ぜひ、探してみてくださいね。
 サクラの図版とともに、解説も必読です!