![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/3c/42b16534db87003baea309e5e164a883.jpg)
こんにちは、今日もお江戸なネーさです♪
「こんにちわゥ~、テディちゃでスゥ~!
きょうのォ、おえどはァ……えッ?
ひゃくものッ、ものがたッ、あわわわゥッ」
はい、そうです。
本日はあの人気作家さん版の百物語ですよ!
では、あらためて御紹介いたしましょう、こちらを、どうぞ~!
―― おそろし ――
著者は宮部みゆきさん、’08年7月に発行されました。
副題に『三島屋変調百物語事始
(みしまやへんちょうひゃくものがたりことはじめ)』とあります。
「ぎょォ~ッ! こわいのォ、ぱすッ!」
おやや、テディちゃ、
この御本を平凡な百物語と考えるのは、いかがなものでしょう?
稀代のストーリーテラー宮部さんの作品ですもの、
フツーの枠に納まる怪談咄ではない筈ですよ。
「そそ、そォなのでスかッ」 (←まだ動揺中です)
疑うのなら、先ずは登場人物さんたちを眺めてみましょうか。
時代はお江戸、
舞台は神田三島町にある袋物屋さんの
『三島屋(みしまや)』さん。
三島屋さんに、
お店の界隈に、
はたまたお店の主の伊兵衛(いへえ)さんに、
怪しいところはありますか?
お内儀(おかみ)さんのお民さん、
女中さんや丁稚さん、出入りの職人さんにも
不審なものは感じられないでしょう?
「……ふァいぃ、そォでスねェ……」(←しぶしぶと)
けれど、ただひとり――
「うッ?」
ただひとり、
美しい顔に悲しい影を宿したお嬢さんがいるようです。
名前は、おちかさん。
主人の伊兵衛さんの姪御さんで、
行儀見習いのために、
三島屋さんへ寄寓しているようではありますが……?
或る日、三島屋さんへお客さまがやってきました。
あいにくと伊兵衛さんお民さん夫妻は急用で留守。
ならば、
おちかお嬢さんがお客さまをもてなして、
不在の叔父夫婦に代わって詫びの言葉を述べねばなりません。
挨拶くらい、簡単に済んでしまう、はずでした。
番頭さんが付き添ってくれているし、
優しそうな御客さまは、ものわかりもいい。
ですが……
「で、ですがッ?」
ふとした切っ掛けから、
お客さまの昔語りが始まります。
まるで、おちかさんの悲しみと同調するかのように。
いえ、おちかさんの悲しみと涙が、
物語を引き寄せたかのように。
お客さまが帰って後、
おちかお嬢さんから話を聞いた伊兵衛さんは
ちょっとした計画を立てます。
これは、おちかのためになるに違いない。
おそろしい、
この世のものとは思えないものがたりであっても、
それが傷を癒すことだってあるだろう。
「えェッ?
こわいィおはなしでもッ??」
おちかさんのもとに、物語は、ひとつ、またひとつと、
集まってきては留まります。
小さな、大きな、忘れかけられた、
或いは忘れようにも忘れない、
そんな物語たちが
少しずつ押し開けてゆく扉の奥にあるものは――
『あかんべえ』や『震える岩』で宮部さんが描いた
ミステリとホラーが融合した
《江戸むかし語り》が、
読み手の心に像を結びます。
おちかお嬢さんは、
どこへ、どんな一歩を踏み出すのでしょうか。
「こッ、こわくゥないとこへェ、いくのがァいいなッ」
未読の御方は、ぜひ!
思い返してはじわじわと来る一冊です!
「……つぎはァ、もゥちょッとォ、こわくないィのをォ……」