あれほどはるかに見上げていた山頂が、すぐ右手に望まれるのに気が付いた時、小径は白いザレを横切って落葉松の若木の林の中に導いて行った。凸凹頭の小坊主のような滝子山の残雪を付けた黒い山肌が向かいの尾根に軽く落ちていた。
はだかの落葉松林は、茶色のふかふかの絨毯に埋まり、吹き抜けるそよ風は春の香り。木立を抜けると大谷ケ丸のユーモラスな姿が目に飛び込んできた。伐採された山肌は哀れな縞模様。チロチロとささやく小流れは春の声。
今日の縦走の終点だ、と言って三人の若者が降りてしまうと、僕と滝子山の二人っきりになってしまつた。(1971.3.28記)
はだかの落葉松林は、茶色のふかふかの絨毯に埋まり、吹き抜けるそよ風は春の香り。木立を抜けると大谷ケ丸のユーモラスな姿が目に飛び込んできた。伐採された山肌は哀れな縞模様。チロチロとささやく小流れは春の声。
今日の縦走の終点だ、と言って三人の若者が降りてしまうと、僕と滝子山の二人っきりになってしまつた。(1971.3.28記)
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