久留百合子の生活者視点

仕事、旅行、日常のちょっとしたことから得た情報、生活者として感じたことなどを綴ってみます。

そうなのか、行政の事業ってこうやって決まるのか・・・

2009-03-26 15:04:20 | Weblog
 3月20日春分の日、朝9時から午後6時まで福岡市役所に缶詰状態でした。何があったかというと、福岡市で初の「事業の仕分け」を、公開の場でするという作業をさせてもらいました。
 
 「事業の仕分け」とは、今回福岡市でのやり方は、第1次評価、第2次評価までは、市役所の財政や行革の部署で評価をしているのですが、今年は試みとして、各部署が選出したものの中からさらに11事業を選び出し、それを7名の委員で事業仕分け、すなわち、その事業を継続か改善か民間か廃止かなどを仕分けするというものです。

 委員の構成は、東京から3名、各所で経験がある大学教授、元民間企業退職の後大学教授になった人、そして、足立区の環境部長、あと、北九州市役所財政局の職員、福岡市民男女(午前と午後で交代、計4名)そして私という構成です。

 正直、初めは、事業評価など私に出来るのだろうかと思いましたが、これまで県・市等の委員を多数してきて、部署によっては、市民団体への補助金の審査などをした経験がありますので、税金を納めている市民の感覚であれば出来るのではないかと、引き受けることにしました。

 事前に送られてきた、11事業の資料をしっかり読み込んで、一応、質問することや、ある程度の自分なりの評価を考えておきました。
 どんな事業が上がったいたかというと、
   ・民間企業への派遣事業(市の職員を民間企業に派遣)
   ・国際スポーツ大会小中学生招待事業
   ・ブックスタート事業(4か月検診時に絵本を無料配布)
                              などなど

 ここで、難しいと思ったことは、費用対効果の考え方。どれもいい事業ではあるのですが、財政が苦しい中、どうしても費用対効果をシビアに考えないわけにはいきません。ですが、何もかにも削ったり、民間にというものでもないでしょうから、どうしたものかと・・・後は、各部署のプレゼンを聞いて判断しようと、当日に臨みました。

 当日は、福岡市役所の15階の大講堂を半分に区切って、それでもかなりの広さの所で、7名の委員を取り囲むような形で椅子が配置され、まさに公開討論会のような景色でした。
 早速事業仕分けに入りました。1事業にかけるの時間は40分。行政からの説明は5分。その後、質疑応答をして、最後に各委員仕分けをして、何を選んだか手を上げ、多数決で一応この場の結論を出す、というやり方です。

 初めは戸惑いました。というのも、3名の東京からの先生方は、慣れていらっしゃるので、すぐにどんどん質問されるのです。考えていた質問を先に言われたり、手を上げるタイミングが難しく、また、何しろ公開ですので、バカな質問はできないし・・・・
 しかし、何とか、11事業全部に1度は発言をすることはできました。だんだん慣れてはくるのですが、やはり最後の判定には苦しみました。
 実は、自分の中で、気持ちが変化してくるのが分かってきたのですが、初めの方は、プレゼンを聞いていて、いい事業だな、継続はした方がいいだろうなと思う割合が高かったのです。
 でも、事業数が進むにつれて、また専門家の方々の質問などを聞いていると、何年もやっているのに、その効果やなぜ継続してやっているのかという検証がほとんどなされていないということに気が付きだしました。
 そう考えて説明を聞いていると、「いいことをやっているのだから」「市民に喜ばれているので」という返答が返ってきます。
 確かにそうでしょうが、財源は無限にあるわけではなく、昨今の緊縮財政のなかでは、いい事業であっても、他に工夫はできないか、民間や地域の力をもっと活用できないか、思いきってやめる決断もいるのではないか、など民間企業では当然やっていることを行政では手をつけにくくて、現在のようなふくらんだ財政出動になっているのでしょう。

 5分で事業の説明をし、アピールをしなくてはいけない職員の人も大変だったと思います。だいたい各部署、課長、係長クラスが出てきて説明されたのですが、要領よく上手な人、何ともモタモタした話し方をされる人、いろいろでした。こちらから突っ込んだ質問をされると、上がっているのか、的の外れた回答をする人、わざと話を別の方に持っていく人、開き直る人、これまたいろいろな職員がいました。

 兎に角、無事に11事業の仕分けが終わり、廃止という結論が出たのもありましたが、”要改善”がほとんどでした。
 今回、試行ということで、すでに予算は決まっているので、本当の意味での仕分けではありませんが、質疑応答のプロセスで行政側には、事業に対する考え方のプラスになれば、ということだそうです。
 ですから、来年度からは、予算確定前に行い、また、第1次評価、第2次評価を行政側で行った事業をこの仕分けに出した方がいいのかどうかも検討されるようです。

 長い1日でしたが、思ったより疲労は感じず、なかなか興味深く、来年度これを受けて、これらの事業に対して各部署がどのようにしていくのかに大変関心がわきました。

 当たり前のことですが、行政活動は私たちの税金で行われています。しかし、今はあまりにも人々の仕事が分業化されていて、行政の仕事は役所にお任せというのが現状です。
 私もこれまで、行政の委員をたくさんさせていただいてき、その委員会の内容に関してだけは意見を述べてきましたが、もう少し広い見方というか、市全体の仕事の中でどのような意味があるのかまで考えて発言しなくてはいけないかなと感じているところです。
 まずは、我々市民が行政の事業に関心をもつことからでしょうか


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