私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

常円の語る高松城の水攻めの風景

2010-07-12 10:17:18 | Weblog
 村瀬安兵衛に語り聞かせた常円の話です。

 「私は殿のお側に常にお仕えしていました。たとえば、馬廻りの馬場で馬馴らしの為ご乗馬なされる時にでも、お側にお仕えしておりましたので、殿の事はよく知っています。
 ここ備中に来て、先ず、攻められたのが高取の城攻めでした。この時は、ゆるゆると城を取り囲み、兵糧攻めにして城は落とされました。次が冠の城攻めです。この時には、前の高取のじろ攻めと異なり、一機に攻撃なされて攻め落とされましたが、我が軍の手負死人も大変多く出ました。しかし、この勢いを聞いて、河屋の城にいた毛利方の兵は城を捨てて退却してしまいます。

 さて、いよいよ高松城攻めです。まず、殿は備中備前の野山の上にご人数を備え付けられます。其山の上の陣を廻り、高松の城を一両日観察なさいます。そして、
 「高松の城は水攻めが然る可と見えけるにや。我只今馬を乗行べし。ついてまいれ」
 と、仰せられます。
 付き従う兵は7,8人にて門前よりカエルがはなまでお乗りになられます。
 この時、高松のお城より鉄砲打かけ、御羽織に玉二ヅで当ったのですが、少しも騒がず御乗通りになられました。