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皆さんへのお願い:10月30日から始めたこの連続講座「スウェーデンの脱原発政策の歩み」(私の理解では「エネルギー体系修正のための政策」という表現のほうが適切だと思う)がカバーする範囲は、1960年代から1990年頃までです。その頃を振り返りながら読んでください。その後のスウェーデンのエネルギー政策は「緑の福祉国家22~30:エネルギー体系の転換」を参照してください。
1993年に日本原子力研究所が企画した「原子力の安全性と危険性」と題する学校の教職員用ビデオがあります。そのビデオの中で、スウェーデンを取材した信州大学教育学部教授の飯利雄一さんは“学校での原子力教育はこれだと思った”と次のような趣旨のことを述べておられます。
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電力会社の人私は原子力なしでスウェーデンがやっていけるとは思わないけれど、国民がいらないというものを押し付けるわけにはいかない。でも、いろいろやってみて、なかなかうまくいかないということがわかれば、また、「国民投票」をやることになるでしょう。いずれにしたって、それは国民が決めることです。
学校の先生: 私は原発反対だからこの決定はいいと思うけど、どうしても電力がたりないとなったらまた「国民投票」をやりゃいいんです。どっちにしても国民が決めることですから。
学校が行う原子力教育は生徒に判断の基準を与えるというところにポイントをおくことが重要である。かって、寺田虎彦は「あるものを怖がりすぎたり、怖がらなさすぎたりすることは易しい。難しいのは正当に怖がることだ」と名言を残し、正当に怖がるにはそのものをよく知る以外に方法はないことを指摘した。
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この話は極めて象徴的です。国の経済を支えるエネルギー源に対して立場が違っても、「国民の意志を確かめつつ目標を定め、それに向かって努力をし、それでも目標通りにいかなければ、もう一度原点(国民投票)に戻ればよい」と考え、最後は国民が決めるのだと言っています。まさに民主主義の原点を見るようです。
昨日のブログの結論をもう一度繰り返します。
スウェーデンのエネルギー政策における原発の扱いはそれを技術的な観点から否定したというよりも、むしろ、それを越えた政治的な判断でした。ここで注目すべきことは科学者が原発の抱える問題点を早い時期に指摘し、それを政治家が取り上げ、政治の場で議論し、政府が国民の意見を吸い上げながら、それを国の政策に反映してきたことです。
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