環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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私の環境論16 環境問題への対応、輸入概念でよいのか!

2007-01-26 17:05:23 | 市民連続講座:環境問題

  
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これまでに述べてきた、「21世紀も人間は動物である」、「環境問題の根本的な原因は経済活動にある」、「経済成長はエネルギー・資源の消費を抑えて達成されなければならない」、「日本経済が制約される地理的・社会的条件がある」など、これらの点は、私が考える「環境問題について、私たちが共通に持つべき認識」です。けれども、残念ながら、この認識は日本ではまだ十分には共有されていません。

次の図は「環境問題の原因・現象・結果」を示したもので、私の環境問題に対する基本認識を十分裏づけてくれるものです。この図は「平成13年版環境白書」に掲載されているもので、図の原題は「問題群としての地球環境問題」となっています。しかし、日本の政府はこのような真っ当な認識を示しつつも、実際に政府が行っている「環境問題に対する対応策」や「法体系」はそのような認識には裏付けられてはいません。  



前にもふれたように、日本の環境問題に対する取り組みは、「環境問題の原因」(経済成長を求める経済活動の拡大)への直接の取り組みではなく「表面化した現象面」(地球温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨、森林伐採、砂漠化、海洋汚染、廃棄物など)への個別の取り組みとなっています。これらの環境問題は並行して発生し、しかも同時進行しているにもかかわらず、です。

さらに、90年代初頭から環境問題に対して新たに、次のような対応や概念が導入されています。

これらはいずれも国際社会でつくられた「輸入概念」で、日本は概念づくりにまったくといってよいほど参加していません。「持続可能な開発」という概念に至っては、日本はその概念の「きっかけ」をつくるときに大きな役割を果たしたのに、肝心の概念形成にはほとんどかかわっていません。しかも、これらの輸入概念は日本に導入されるとき、これまでの日本の法体系との整合性を持たせるために、もとの概念の変質(通常は劣化)を余儀なくされます。 

上の図の赤で示した概念
(持続可能な開発/社会、経済的手段、環境税、EPR、REACH、RoHS指令など)はスウェーデン発、あるいはスウェーデンが他国に先駆けて実施した概念です。 

私たちが理解しなければならないことは、これらの輸入概念は、20世紀の「持続不可能な社会」を21世紀の「持続可能な社会」に転換させるための重要なツール(道具)だということです。
 
世界第2位の経済規模を誇る日本が、環境問題に対する独自の対応策を国際社会に発信することができなくて、どうして日本が「環境立国」として世界に貢献できるといえるのでしょうか?


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