企業城下町の実相

同じ企業城下町でも刈谷と豊田とでは町の様相が違うのはどうしてでしょうか。確かに刈谷も豊田も、市の財源におけるトヨタ自動車ならびにトヨタグループの法人税が町の財源を潤わしていることだけは確かです。
　しかし豊田市がストレートにトヨタ自動車を頂点とした企業の意向を反映しているのに対して、刈谷市の場合は必ずしもそうではありません。というのは、刈谷市と豊田市は立地の位置が違います。豊田市というよりも、豊田自働織機製作所自動車部が刈谷近辺に土地の確保が困難であったことから内陸部の旧挙母町に用地の確保をｓれざるを得なかった事情があります。これはＴＯＹＯＴＡにとって、三河モンロー主義や企業城下町の維持にとっては好都合でした。しかし、それがこの町をいびつな形で発展させていくことにもなりました。
　一方刈谷は東海道線の沿線にあり名古屋まで２０分ほどで行くことが可能です。かつてはこの地域は名鉄の独壇場であり、名鉄沿線がベッドタウン化していきましたが、最近ではＪＲ沿線にマンションや住宅が建設されるのが目につきます。だから意外と武豊線沿線も住宅が建設されています。
　それで刈谷と豊田との違いは、刈谷はトヨタグループの企業城下町でありながらＴＯＹＯＴＡと関係のない住民の比率がそれなりにあるということです。これは高度成長までと高度成長以降と比較しても、企業立地には大きな変化がないものの住民の層がＴＯＹＯＴＡと関わりがある人と関わりがない人との比率は町のあり方に大きな影響を与えているようにも思えます。
　とはいっても、刈谷が企業城下町であるにはかわりはありません。