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今頃気がついた16人の原子力科学者

2011-04-04 | 環境
4月馬鹿という言葉がある。4月1日は何を言っても許される日と思ってか、本当に馬鹿な人たちが16人も集団で、4月馬鹿を実践した。元原子力安全委員長(佐藤一男、松浦祥次郎)や、元原子力学会会長(斉藤伸三、住田健二、田中俊一、成合英樹)、東芝で原発を造っていてその功績で東京大学の特任教授に招かれた諸葛宗男など、これまでに原子力発電を積極的に推進してきた学者・技術者たちが、こともあろうに4月1日に、これまで自分たちが原発を安全だと言って推進してきたこと、そして今回のような事故の対策を考えてこなかったことを謝罪する声明を出したのだ。

 謝れば済む問題ではないと彼ら自身が語っているが、そのとおりだ。それにしても、原発がこのような事故を起こしたときの対応を何も考えていなかったというのには、本当に驚いた。東電、経済産業省、原子力安全・保安院、原子力安全委員会、そして原子力学会のお偉方がこれまで口をそろえて「原発は安全」「地震があっても大丈夫」と言っていたのは、彼らにその予測能力が無かったからだった。けっして彼らはウソを言っていたわけでは無かったのだ。すべて「想定外」だった。つまり、彼らの予測能力はほとんど無能としかいいようのないレベルだったのだ。「ただちに健康には影響が無いレベル」だ(笑)。

 ようやく彼らは自分たちの無能力に気がついて、正直に言うことにしたらしい。原発は安全だから事故が起こったときにどうするかなどは考えもしなかったということを正直に言った。それにしても腹が立つ。今更何を、と被害者たちは言うだろう。さらにもっと腹が立つのは、彼らの声明は謝罪のところはほんのわずかで、大部分は日本のあらゆる専門家の知恵を結集して、事故の収拾にあたるべきだといっていること。つまり、この期に及んでなお、政府に自分たち専門家を使って事態収拾にあたらせろと言っているのだ。まあ、知らんぷりを決め込むよりは許せるかもしれないが、やはり私には彼らのそういう言い方を許せない。俺たちが出て行かないとどうにもならないぞ、と暗に自慢たらしく言っている。俺たち専門家をもっと重用しろと。本当に自分たちが悪かったと認めるならば、だまって引っ込んでいて欲しい。できることは家屋敷財産を売り払って被害者救援に寄付をし、自分は頭を丸めて世間に顔出しをしないことだ。

 日本政府は東京電力を国有化しようとしているらしい。でも今国有化をすることは、償いきれない罪を犯した東京電力を救うことにしかならない。東京電力はこの原発震災で健康被害と財産損害を被ったあらゆる補償をしなければならない。その額は10兆円を超えると言われている。とても東電が払いきれないだろうから政府が国有化して肩代わりするということらしいが、それは許されない。水俣病を引き起こした(株)チッソの例もある。会長、社長を筆頭にあらゆる役員、社員がすべての財産、家屋敷を売り払ってでも賠償をしなければならない。国民から消費税の値上げで原発震災の被害を補償しようなどと思ってはならない。東電の社員は死ぬまで補償するために働かせなければならない。そうしてはじめて電力会社が原発を建設する本当のコストを理解することになるだろう。それでも電力会社の社長さん。原発を造りたいですか。

 このブログでも時々紹介していた上関原発建設のための埋め立て工事は、祝島の人たちの30年間の強い意志による反対行動で、進んでいなかった。しかし、2月21日から中国電力は500人以上の警備員を動員し、海上保安庁に守られながら埋め立て工事を強行しようとした。毎日のように平均年齢70歳という島のおじい、おばあの身体を張った反対をついて埋立が進みつつあったその時のこの原発震災。山口県は工事を慎重に進めるように求めた(中止を求めたわけではなかった)。中国電力は埋め立て工事の一時中断を表明したが、山下中国電力社長は「原発建設は推進する」と述べた。これだけの原発震災事故があっても、原発推進するというのは、やはり国からもらえる多額の補助金でいかに電力会社が潤っているかを証明している。電源立地法などの電気事業三法の根本的な見直しが必要だ。

 ドイツでは、原発推進を掲げていた与党が見直しをいったにもかかわらず、地方選挙で負け続けている。世界各国が原発廃止に向けて動き始めた。日本はどうするのだろう。原発推進をかかげて原発利権構造に乗ろうとした民主党は、選挙を戦えるのか。原発を全面的に廃止せよと主張してきたのは、唯一、社民党だけだった。社民党の票がどれだけ伸びるか、私たちは注目している。