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サンナシ小屋&京都から世界の愛する人たちへ

原発はCO2を出さないというウソとメディアの社会的責任

2009-12-20 | 環境
新聞が真実を書かなくなって戦争が始まった。戦争を起こす勢力が新聞を抑圧して戦争が始まったのではなかった。逆だったのだ。そして軍部は言論を抑圧していく。言論が招いた戦争が軍部の言論抑圧も招いたのだった。

 今の社会がいつのまにかその通りになってきている。上関で原発に反対して漁民たちが命がけの闘いを続けているけど、全国紙大新聞はたったの一行もそのことを伝えない。中国電力の社員たちに反対派の若者が羽交い締めにされ、後ろ手にされて首を絞められ失神して1週間も入院せざるを得なかった暴行傷害事件があっても、大新聞は一言も事実を報道しようとしなかった。祝島のおじいちゃんやおばあちゃんが、体を張って座り込みやピケを張って「命の海を売らない」と埋め立て工事の阻止行動に立ち上がったことも、無視し続けてきた。
 その代わりに新聞紙面を全面使って書かれているのは、原発を作っている電力会社の連合体、電気事業連合会の原発推進のキャンペーンである。「CO2を排出しない原子力発電がエコだ」というウソの宣伝だ。原発は原子炉を冷やすために莫大な量の海水を取り込み、沸騰水にして海に温かい水を返している。上関に建設予定の原発では、毎秒190トンの水量だ。その量は、一級河川の水量に匹敵する(広島のデルタに流れる6本の太田川全体の1.5倍くらいの)量だ。これだけの海水が高温に温められる。

 CO2の水への溶解度は温度が低いほど高くなるのは中学校で習ったはず。すなわち、暖められたら水に溶けていたCO2は空気中に排出される。これだけ莫大な水が暖められたら、空気中に出てくるCO2の量はバカにならない。先日、友人の研究者に聞いたところ、日本にある約50基の原発すべてが出している温排水によって排出されるCO2の量は、日本で自動車から排出しているCO2に匹敵するほどだということだった。

 CO2を出さない原発という電気事業連合会の宣伝は大嘘なのだ。でもどの新聞もばかでかい紙面を割いて、原発はCO2をいっさい出さないとウソを書き続けている。たとえ広告・宣伝であってもウソを書いた広告を大新聞が載せても良いものだろうか。サンケイなどという右翼自民党・財界の番犬のゴロツキ新聞なら知らず、朝日や毎日などという日本を代表するという新聞社の広告がこんなにウソを書き続けていて、新聞社の社会的責任はどうなるのか。恥ずかしいと思わないのか。

 ウソを書いて権力にすり寄ることで戦争を引き起こした歴史は、今また繰り返されている。「今からでも遅くはないから、新聞・メディアはジャーナリズムの原点に帰れ。故郷の自然・親兄弟が泣いているぞ」。