ごまめの歯ぎしり・まぐろのおなら

サンナシ小屋&京都から世界の愛する人たちへ

瓢箪崩山の広葉樹林

2009-12-13 | 花と自然

暖かな小春日和が続いていたが、ようやく冬の訪れだ。今日は天気予報では一日晴れだったが、残念なことに一日中曇り空だった。午後は寒さが増して、いよいよ冬が来たと思わせる。今日は、地図を開いて近くで適度に歩ける山を選んで登ってみた。大原へ行く途中にある標高532mの「瓢箪崩山」という低い山があった。低いけれども頂上までの道はそれなりに距離があり、のんびり歩くにはちょうど良いと思って、登ってみることにした。名前も面白そうだ。

 叡山電車で八瀬まで行き、そこから地図に載っているやや広い道で峠を越えて岩倉の登山口に出るつもりで歩き始めた。2週間前は紅葉がきれいだった八瀬の周辺もすでに葉が落ち、冬支度を始めている。地図で見当を付けた甲ヶ淵あたりから入る道は、入り口に金属の格子戸が入って、立入禁止の大きな看板が立っていた。地図に出ているこの道は、どうやら私有地だったのだろうか。ここからは登れそうもない。あわてて大原行きのバスに乗って、戸寺で降り、瓢箪崩山を反対側の北から登ることにした。

 戸寺の地元物産店で、お昼の弁当にキノコの炊き込みご飯とおはぎを買ってザックに入れ、登り口を目指す。高野川を渡る道がわからずウロウロしていたら、近くのテニスコートでテニスをしていた女性が、わざわざ道を教えに来てくれた。京都はたしかに人が親切にいろいろ教えてくれる。観光客が多いから、遠来の人には親切にするようになったのだろうか。東京ではみんな知らん振りをする。

 登山道はいきなり暗い杉の林だった。低山で京都の北山なので、きっと頂上まで人工林が続く味気ない山に違いないと歩き始めてすぐに確信した。湿った山道を杉の葉を踏みながら歩く。途中で2ヶ所ほど少し開けたところがあって、杉や檜ではない広葉樹が見られたが、結局頂上まで杉と檜の人工林の道だった。予想通り味気ない。わずか50分で頂上に到着したが、しかし勾配はかなりきつかった。とくに頂上手前の登りは手強い。

 頂上についたときは、ぱらぱらと小雨が落ちてきていた。いよいよ雨になるかと心配しながら、キノコの炊き込みご飯の弁当を食べた。まだ温かく、美味しかった。おはぎは大きすぎて食べる気にならない。降りてからゆっくり美味しい緑茶を飲みながら食べる楽しみにとっておいた。帰りは岩倉に向けてほぼ真南に尾根上を歩く。登りの人工林の様子から、帰りもまったく期待はしていなかった。ところがどっこい。帰りに尾根沿いの道は京都に来てからもっとも楽しい道になった。檜が少し生えてはいたけれど、ほとんどが広葉樹林だったし、しかも長い尾根をわずかの標高差で降りていくので、勾配はきわめてゆっくりとしている。足元の登山道はふかふかの布団のように落ち葉が溜まっている。周りにはいろんな樹種があり、初冬なので花はなかったが、十分楽しめた。この道なら低山だが、ハイキングに最適だ。奥多摩の冬の尾根道を思い出した。

 

 下りの道はあちこちで落ち葉をかき回してみたり、真っ赤な木の実を眺めたり、木の幹にくっついて成長している大きなキノコを触ってみたり、楽しんで歩いた。まもなく岩倉の街にはいるという直前に、携帯電話が鳴って、北海道でいっしょに仕事をしていた人の訃報を聞いた。あの人は昨年会議で会ったとき、急激に痩せていたっけ。きっと辛い病気なのだろうと想像はしていたが、こんなに早く亡くなるとは予想していなかった。下りの脚が早くなった。合掌