ごまめの歯ぎしり・まぐろのおなら

サンナシ小屋&京都から世界の愛する人たちへ

列車内レイプと民営化

2007-05-22 | ちょっと一言
JR北陸線の特急サンダーバードの中でレイプ事件があったという。昨年8月のこと。そして犯人が逮捕されたのはそれから8ヶ月たってからだった。同じ車両には40人以上の乗客が乗っており、一部始終を見ていた人もかなりいたはずだと言うが、20代の女性客がしつこく性的いたずらをされ、あげくのはてトイレに連れ込まれてレイプされたというのに、乗客の誰一人として車掌にも警察にも届けるものがいなかったという、本当に信じられないことがあったらしい。

 自分に関係のないことには関わらないという現代の人間の非人間的な面については多くのメディアで取り上げられた。なぜ女性が「助けてくれ」と大声を上げなかったのだろうという疑問もないことはないが、どちらにしても彼らの非人間性、正義感のなさには、おおいに問題があるだろう。しかし、ここではその問題は論じない。

 乗客の非人間性は大きい問題だが、論じられていない大きい問題がある。それはJRの車掌が列車に一人しか乗っていないことだ。国鉄時代はそんなことはなかった。常に何人かの車掌が乗車し、鉄道公安官も乗車していた。彼らは車両を巡回し乗客の要求に応え、また不正乗車を見つけるべく努力していた。あの時代ならこのような事件はおこらなかっただろう。

 国鉄の分割民営化によって車掌の人員は減らされ、ホームは無人になり、鉄道公安官は鉄道警察に身売りした。人員は減らされ、乗客の安全は二の次になった。JR西日本の大事故は民営化のたどり着いた結果だった。金儲け至上主義が大手を振って乗客の安全を切り捨てた「非公共」交通の行き着いた先だった。

 レイプ事件はほかにも余罪があったという。1件だけではなかった。彼らは無法な行為を車掌でさえもとがめない(とがめられない)という確信を持って、次から次へとかよわき羊を求めていた。民営化によって生け贄にされた女性を悲しむだけの我々を哀しむ。

 今年の夏からは郵政が民営化される。アメリカ資本が喜ぶだけの郵政民営化。郵政公社はすでに郵便事業から徐々に手を引きつつある。見えないところから、弱いところから、声を上げないところから。そして民営化した後、都会に住まない人々への大規模な郵政レイプが始まるだろう。
 

勇気と創造力

2007-05-22 | 日記風
久しぶりに古いビデオでチャップリンの「ライムライト」を見た。ずいぶん昔に見たので筋書きはほとんど忘れていた。そのおかげで新鮮だった。しかしチャップリンの映画はいつ見てもすばらしいと思う。技術的にはもちろん今の映画にかなうものではないが、彼のまっすぐな姿勢が本当にすばらしい。時代も考え方も古いかもしれないが、人間の考えることや感情にそれほどの変化があるわけでもない。

 この映画を見ていて、チャップリンの「人生でもっとも大事なことは、ほんの少しの勇気と創造力だ」という言葉に出会ってはっとした。この言葉は私が好きで最近まで公開していた本名のホームページの巻頭に掲げていた言葉だった。すっかり忘れていたが、ライムライトでチャップリンが語った言葉だった。古いビデオテープを引っ張り出して見た甲斐があった。

 もう一度この言葉をかみしめている。ほんの少しの勇気と創造力が我々には必要だ。この閉塞した時代にあって、チャップリンの言葉は輝き続けている。