りょうけん座の方向、およそ2400万光年の距離にあるM63(NGC 5055)は、美しい渦巻きを持つ大型の渦巻銀河です。均衡のとれた渦巻きが大輪の花を思わせることから「ひまわり銀河」という愛称でも呼ばれています。春の夜空の天頂付近に昇り、夜空の暗い場所では小口径の望遠鏡でも銀河の明るい中心部を眼視で捉えることができます。
すばる望遠鏡で見る詳細な銀河の姿
すばる望遠鏡の主焦点カメラSuprime-Cam(シュプリーム・カム)で撮影された画像では、短い腕がきつく渦巻き状に巻かれているようすや、その腕に散らばる赤い輝きの星雲が鮮明に写し出されています。この銀河円盤に多く分布する赤い星雲は、高温の星に照らされ電離した水素が輝いている場所(水素電離領域)で、星の形成が盛んに行われている場所でもあります。また、渦巻きのようすも銀河円盤の周辺ばかりでなく、明るい中心付近まで細かな構造を見て取ることができます。これもすばる望遠鏡の高い性能とマウナケア山頂の良好な観測条件とがなせるわざと言えるでしょう。
<出典>: 「国立天文台:今週の一枚」
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