アルマ望遠鏡とNASAのチャンドラX線宇宙望遠鏡、欧州南天天文台のVISTA望遠鏡が捉えた、112億光年かなたにある銀河団CL J1001+0220です。この銀河団は、X線が検出された銀河団としては観測史上最遠の天体です。今回の観測から、銀河団がこれまで考えられていたよりも7億年ほど昔から存在していたことが明らかになりました。これまで見ることのできなかった誕生直後の銀河団として、今後も注目を浴びそうです。
異なる波長の電磁波で見る銀河団
数多くの銀河の集合体を、銀河団と呼びます。銀河団には高温のプラズマガスが満ちていて、強いX線を放ちます。一方で銀河団を構成する銀河の中には、星とその材料になる冷たい分子ガスが大量に含まれています。この画像では、チャンドラが捉えたX線が紫色で示されており、銀河団を包むプラズマガスの分布がわかります。銀河団の中には、銀河が点々と写し出されています。アルマ望遠鏡は、銀河の低温ガスに含まれる一酸化炭素分子が放つ電波を観測しました。銀河団の中で白っぽく見える4つの点が、アルマ望遠鏡で検出した銀河です。プラズマガスでおおわれた銀河団の外にも銀河がいくつも写っていますが、大きく見える銀河は銀河団よりもずっと手前に位置しています。銀河に含まれる星からの光や分子ガスが出す電波を詳しく調べると、個々の銀河までの距離を測ることができ、この画像に奥行きがあることがわかります。
<出典>: 「国立天文台:今週の一枚」
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