シネマトリックス

面白かった映画、つまらなかった映画、見なかった映画は空想で・・今はたまののんびり更新です。

奥ゆかしい時代のダブル不倫のお話・・「逢いびき」

2006-06-15 19:50:29 | Weblog
45年名匠デヴィッド・リーン監督作「逢いびき」

脚本にロナルド・ニームの名前があるのね。彼は「ポセイドン・アドベンチャー」(現在公開中の「ポセイドン」ではなくオリジナル版)の監督さんだ。

主演のセリア・ジョンソンとトレヴァー・ハワード、共にすでに故人。

これはNHKの映画劇場で小学生か中学生のころ、見たな。

セリアは週に1度、町にやってきて買い物をしたり映画を見たりすることが楽しみのごく普通の主婦。

いささか堅物だが優しい旦那さんと暖かい家庭がある。

彼女はある日、目に入ったゴミをひとりの男性にとってもらう、それがトレヴァー・ハワードで確かお医者さんだったように記憶している。

そんなささやかな出会いだったが、その後も偶然が重なり、ふたりは週1度セリアが町にやってくるときにデートするようになる。

彼も妻子もちなので、ダブル不倫ってことさね。

彼女は夫への罪悪感に苦しむ。ふたりは一線を越えようとする手前で、別れを決意。互いへの想いを一生胸に秘めて生きていくことを選択する。

この映画の素晴らしさは、主人公ふたりというより、セリアの夫。
少し「つまらない」男に思えていたけど、ラスト、セリアとの会話で「君は遠くに行っていたように思える。帰ってきてくれてうれしい、おかえり」と穏やかに語るのだ。

何という包容力ざましょ~~

このラストでもって、「逢いびき」は恋愛映画の古典的名作になっているんだと思いますよ。