波打ち際の考察

思ったこと感じたことのメモです。
コメント欄はほとんど見ていないので御用のある方はメールでご連絡を。
波屋山人

箱根とか草津とか

2009-09-27 21:55:10 | Weblog
さっき彼女と新宿で別れて、スーパーでヒラメと甘エビと赤貝の刺身を買ってきた。
日本酒は、草津で買ってきた群馬の銘酒、永井酒造の水芭蕉がある。
急いで冷やすために冷凍庫に入れたから、20分か30分経ったら夕食にしよう。

それにしてもこの1週間は出かけすぎ。
9/22火、23水は箱根。
9/26土、27日は草津。
来月は1人旅をするから無駄使いできないのに、出費が痛い。

箱根は仙石原の草津ハイランドホテル。
素泊まりで1部屋2万6千円程度だったかと思うけど、夕食が2人で2万6千円程度。朝食が4千円以上。
価格は星がつくレストランほどだけど、味やサービスはそこまでではない。
形は整っているんだけど、どうもバランスが物足りないというか。
でもスタッフがフレンドリーで親しみやすい。
あぶり焼き担当のシェフは火の前の作業で大変そうだけど、目が合うとはにかみながら頭を下げていた。
3時チェックイン、12時チェックアウトなので静かな環境の中でゆっくりできた。

チェックアウトの後は、大涌谷までロープウェーで行ったり、箱根湯本を歩いたり。
早めに小田原に行って開店直後の「金時」で刺身や日本酒を楽しんだ。
金時はいつ行っても新鮮な魚がすばらしい。
はじめて聞く地元の魚もおいしかったけど、生ウニのオムレツ680円も絶品。焼き鳥もおいしい。
日本酒や焼酎は1杯500~600円程度。ボトルワインも2000円くらいが中心価格。
安くておいしいのがすばらしい。
二日酔いするほど飲んだり食べたりしても2人で1万円しない。
気楽においしいものをいただけるのは幸せだ。感謝。

夜は熱海で花火。年に何回も開催される熱海の海上花火はコンパクトだけど間近で見上げられて見ごたえがあるのでおすすめ。


昨日は新宿で彼女と待ち合わせてセンタービル前から長距離バスで草津ナウリゾートホテルへ。
バスでの往復に夕食朝食も付いて、2人で2万7千円程度。
なんだこの安さは、という驚き。

午後2時に着いて7階の部屋にチェックイン。古いホテルを改装した感じだけど、そんなにわるくはない。
部屋に荷物を置いて、シャトルバスで湯畑まで行って散策。
初秋に来る草津ははじめて。
ホテルに戻って夕食まではプールで泳いだり、大浴場に行ったり。

6時からの夕食はちゃんとしたレストランだったけど、ワインの種類は少ない。
長野の井筒ワインのハーフボトルが1200円というのは良心的。
箱根では1500円以下のグラスワインはなかった。

料理はボリュームもたっぷり。
創作フレンチというか和洋折衷型というか、田舎とモダンの折衷というか、親しみやすい感覚。
ちゃんと魚と肉と両方あるし、オードブルのボリュームはかなりあるし、この夕食のコースだけで1万円前後の価値はあるのではないだろうかと思う。

夕食後は夜の湯畑周辺を散策。
ホテルに戻って9時からは貸切風呂。
箱根で入った1500円程度の貸切風呂と違い、倍くらいするだけあって和室付きで、小さな庭もあってなかなか。

早めに就寝して、今朝は7時半から8時半までテニス。
朝食はバイキング。池を眺めながらトロロご飯やフレンチトーストやわかめの味噌汁やひじきやヨーグルトなどの健康的な朝食。

11時にチェックアウトしてから帰りのバスが出る4時までは草津を散策。
蕎麦を食べたり、ケーキを食べたり、彼女も上機嫌。
帰りは渋滞に巻き込まれたけど8時20分には新宿に到着。
運転手の方に感謝。安全運転ありがとうございました。


そろそろ日本酒が冷えたので今から夕食。


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トークイベントをはしご(中沢新一、楳図かずお)

2009-09-20 04:36:05 | Weblog
そういえば先週の土日にトークイベントをはしごしていたことをメモしていなかった。
9/12土は「中沢新一の東京アートダイバー第2回ゲスト佐野史郎」。
9/13日は「大・楳図カーニバル09★スペシャルトークショー」

中沢新一の本は、20年くらい前から読んでいる。
15年くらい前に読んだ「悪党的思考」はぼくにとって重要な本だ。
その本を読んだからこそ、芸能民とか被差別民とか、社会組織とその外側の関係などに興味を持ってしまったのかもしれない。

はじめて間近にみる中沢新一さんは、思っていたよりちょっとあごのラインに肉がついて、お腹も肉がついていた。もうちょっと絞ればもっとかっこいいと思う。
目や声は、思っていた通り。
おしゃれ度、男性度、純朴度、かっこつけ度、親しみやすさ度、全部いい感じだ。
やはりこのスタイルには共感する。圧力やわずらわしさを感じない。軽やかだ。

1980年くらいからゴールデン街で知り合っていたという佐野史郎さんとの話は、演技の話から、佐野さんが育った出雲の話、ゴジラの話、チェコの映画の話など、多岐に渡った。

こんな話もあった。
「人間の外の世界の声を生身の体を通して現すのが能のテーマ。死者が出てきて思いを語っていく。死者は世界の外の存在」
「現代は、人間が人間を作り、人間が何よりも大事で、命は何より大事。外界がなくなっている。かつては外界の声を内に響かせていた」
「世界になりやすいのはひとつになるとき。外のものが敵になるから」
「かつて殲滅戦争や大戦争はなかった。外界にあるものを内側に取り込むものとしてとらえていた」
「近代は自家中毒を起こしている。空間を初心に返らせたい」
ちょっと断片的過ぎるメモでよくわからない。。。

どちらにしても、とても興味深い話で、一般人にもよくわかる話だったから、一切難しい本を読まない彼女も興味深く聞き入っていた。
次回の中沢新一と細野晴臣のトークイベントも、先行予約を受け付けていたから申し込んでおいた。

翌日は楳図かずお先生の誕生日イベント。
こっちは彼女の趣味だ。ぼくは数冊しか読んだことはないけど、それでもこの先生が天才的な芸術家であるということは知っている。
73歳になられたけど、歌って踊ってとても爽快な笑顔。
とても細身なので、あごのラインはそのまま骨の形に見えた。

恐怖感覚を呼び起こすマンガを描かれた楳図かずお先生もきっと、社会組織の内部と外部、見えるものと見えないもの、形になっているものとなっていないもの、などについて意識しているのではないだろうか。

言葉にできることとできないことの間でもどかしい思いをしているぼくは、うっすら感じていることをすでに言語化、視覚化している人を見ると尊敬する。すごいヒントをくれる、ありがたい存在だ。

世の中には、上昇志向の人もいれば、そういった価値観に疑問をいだいて佇んでしまう人もいる。
経済とか政治とか金融とか、社会の内部で組織化を強め、富や力を蓄積することを重視するのもいいけど、それだけだといつかその価値観に疑問を抱いてしまうかもしれない。
お金をためても、使い方が下手な人は多いし。

なんのために稼いでいるのだろう、なんのために権力を得ているのだろう、などと疑いを持ってしまうと、立ち直れない人だっているだろう。

そうかと思えば、社会的に評価されることを早々に視野の外に置き、閉じてしまっているひきこもりの人もいる。

だけど、世の中には極端ではない、絶妙に軽やかで魅力的な立ち位置もあるはずだ。

組織の内部と外部を自由に行き来し、社会的善悪をうまくすりぬけて、社会的価値観にとらわれない芸術的価値を堪能し、豊かな生活を送る人もいる。

上昇志向の人も芸術に親しめば、さまざまなものに価値を見出すことができ、組織の外部のパワーを吸収することによって、組織の強化につなげることもできるかもしれない。
芸術は、ひきこもりの人にもビジネスマンにも農家の人にもヒントとなる、興味深い教養だと思う。


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南の歌が聴きたい(一人旅はどこに行こう)

2009-09-20 03:01:26 | Weblog
最近、気がつくと南からの音楽を聴いている。

奄美大島出身の城南海(きずき・みなみ)。
宮古島出身の下地勇(しもじ・いさむ)。
タイ出身のMayがボーカルのSweet Vacation。
インドネシア出身のバンドMocca(モカ)。

どれもyoutubeで見ることができる。

城南海は、元ちとせや中孝介と同じく、奄美の島唄の発声法が印象的。
長い黒髪の、痛々しくないCoccoというか純情っぽい感じ。
フレンチポップスを歌えばおもしろそうな声質。売り出し中の新人歌手。

下地勇は、宮古弁で歌う。国籍不明の響きがかっこいい。
ブログも時々拝見している。青い海と白い砂の写真と、安定した文章がある。
地元を大事にしているかっこいいお兄さん、といった印象。DVDも持っている。

Sweet VacationのMayはキュート。
すれてない感じのハッピーな笑顔をずっと保ってほしい。
山形出身の佐藤唯や種子島出身の上原美優といったアイドルタレントと通じる純朴さも感じる。ぼくはそういうのがとても好きなのだ。

Moccaは以前から一部で注目されている。韓国でもブレイクしたようだ。
日本の広告会社や音楽事務所は何をしているんだろう。
涼しげな熱帯ポップスはスウェーデンのカーディガンズにも通じるものがある。

■城南海 「アイツムギ」
http://www.youtube.com/watch?v=Y9S5oJQHj2c&feature=related
■下地勇 「3%」
http://www.youtube.com/watch?v=NQAaw0EvE3U
■Sweet Vacation 「遊びに行こうよ (more vivid ver.)」
http://www.youtube.com/watch?v=U6DFgIXYmrg&feature=PlayList&p=6CB96A47F285A3C0&index=5
■Mocca 「The Best Thing In The World」
http://www.youtube.com/watch?v=w6Ej2sIL9Js&feature=related
渋谷のHMVの視聴コーナーで見つけた曲が多い。


今年になってからずっと忙しい日々が続いていた。
なんだか腰痛も慢性化してきたし、視力も低下してきた。
そろそろ気持ちをリセットするために旅に出たい。心のストレッチが必要。

いちばん気になっているのがミャンマーだ。
2年前に行こうとしたとき、ちょうどミャンマーのデモを取材していた日本人が射殺され、ビザを取得することができなかった。

6年前に、タイから少しだけミャンマーに入ったことがある。
バンコクからプーケット行きの夜行バスに乗り、ラノーンという町で途中下車した。
アンダマン海の小島(コー・パヤム)に向かう前に、ラノーンの対岸のミャンマー領の町に立ち寄った。
お寺に行ってから、町のレストランでミャンマービールを飲んだだけだったけど、居心地がよかった。
お寺の金色の仏塔(パゴダ)の周辺は白い大理石。
青空に、金色の塔、白い大理石。花売りの女の子の笑顔。
ひんやりした大理石の感触をまだ覚えている。

ミャンマーは、あまり旅行先として認知されていないようだけど、観光資源は豊富だ。
他のASEAN加盟国より治安もいい。
物価は数年前からどんどん上がっているようだけど、それでもタイや中国よりも高いということはないだろう。

もうすぐ、ミャンマーは雨季が終わる。
10月中旬に雨季が明けると、乾季になり、観光シーズンに突入する。

少しでも観光客の少ない10月中旬~下旬に旅するか、完全に雨季の明けていそうな10月下旬~11月上旬に旅をするか、迷うところだ。
できれば2週間くらい、休みをとりたい。
ヤンゴンやマンダレー、インレー湖、バガンといった有名観光地をめぐってからグエサウンかどこかのビーチにも行ってみたい。

とりあえず、ヤフー!トラベルやena(http://www.ena.travel/)やetour(http://www.etour.co.jp/discount/)のサイトで、航空チケットをチェック。
しかし、成田からヤンゴンまでのチケットはあまり多くないので、まず成田からバンコクまでのチケットをチェック。
バンコクまでの直行便で安いものを探す。4万円前後かな。

次に、skyscanner(http://www.skyscanner.jp/)でバンコクからヤンゴンまでのチケットを検索。2万円前後だろうか。

航空チケットは、同じ便でも検索するサイトによって値段が違うし、航空会社のサイトで買うと意外に安い場合もあるので比較が必要。

チケットを買うのはどこでもいい。
「聞いたこともない小さな旅行会社はいつつぶれるかわからないから、JTBとかHISなどの大手でしか買わない」と言う人もいるけど、あまり心配はいらない。

入金した後、発券される前に旅行会社が倒産するリスクはかなり低い。
旅行中に航空券を紛失するリスクのほうがはるかに高いだろう。

航空チケットはなんとか買えそうだけど、悩ましいのはビザの取得だ。

2年前は、ミャンマー大使館の申請窓口で「出版社の人はジャーナリストビザを申請しないとだめだ」と言われ、面倒なことになった記憶がある。
全然ジャーナリストでも何でもないのに。

今回はどうしよう。
まさか職業は農業ですと自称するわけにもいかないし。詩人は職業じゃないし。



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IT系の次はNG系か(儲かる農業)

2009-09-13 23:53:05 | Weblog
数か月前にテレビを見ていたら、今や注目はIT系じゃなくてNG系、という特集を行っていた。
IT系(情報技術系)ではなくて、NG系(農業系)が注目されているのだとか。

たしかに、カロリーベースでの食料自給率は約40%。
日本の畜産業は飼料の多くを輸入のトウモロコシなどに頼っているから、輸入飼料で育てられた鶏や豚や牛は、カロリーベースでは自給率にカウントされない。

また、農業を主収入にしている人たちの60%程度は、65歳以上だという。
このままでは日本の農業は立ち行かなくなる。

地球温暖化や世界的経済不況の中、一大転換期にある日本の農業は、注目の的となっている。
去年から今年にかけて、一般雑誌やニュースで農業が取り上げられることが増えた。

斬新な発想のアダルトビデオで一世を風靡した高橋がなりさんは、アダルトビデオを引退して農業に取り組んだけど、3年間で10億の赤字だという。
ギャル社長として一世を風靡した藤田志穂さんも農業に取り組んで、困難に直面している。

ぼくは実家が兼業農家だから、農業には関心がある。
農業で稼ぐことの厳しさや、農家の人の視野の狭さ、農薬に頼ることの怖さ、農機具の高さ、後継者の少なさなど、様々な問題を身近に感じている。

いつか農業に関わるかもしれないと感じているから、農業関係の本は時々読んでいる。
昨日は「奇跡のりんご」で有名な木村秋則さんの「すべては宇宙の采配」(東邦出版)、今日は嶋崎秀樹さんの「儲かる農業」という本を読んだ。

木村秋則さんの本は、いつ読んでも共感する。
いつかお会いして、りんごの木を眺めながらお茶をいっしょに飲みたいなと思う。

トップリバーという農業生産法人を率いて年商10億を超えている嶋崎秀樹さんの話には、目を見開き、姿勢を正したくなる。
嶋崎社長は、一つの産業としての農業に取り組んでいる。
おっしゃることはごもっとも。兼業農家の息子として身がひきしまる思いだ。

この本は、田舎の農家の人たちにもぜひ読んでもらいたいと思う。
国や農協に頼ってなんとかやり過ごそうとしても、限界はすぐそこにきている。
自分たちで、なんとか乗り越えなくてはならない。

乗り越えられなければ、自分たちが倒れた上を、ワタミやサイゼリヤの農場担当者が耕していくのかもしれない。
それもいいけど、農家や農協がぎりぎりの時期に、反転を見せるのか、転げ落ちて行くのか、ターニングポイントを見届けたいと思う。


儲かる農業-「ど素人集団」の農業革命
嶋崎秀樹著
竹書房
2009年7月31日発行
1300円(税込)

p.15
トップリバーは、基本的には卸売市場を通す取引をほとんど行っていない。トップリバーが行っているのは、野菜加工者やスーパー、レストランなどに直接卸す契約栽培である。
取引企業と契約した出荷量を生産し、確実に卸す。取引価格は事前に交渉を行うので、市場の相場に左右されることなく、安定した収益を見込むことができる。後述するが、この契約栽培を実現するためには、様々な努力や覚悟が必要なのだが、それはビジネスを行う者としては当然引き受けなければならないものだ。

p.34
今までのやり方を変えることに強い抵抗感を示す。新しい道を切り拓いていこうと考えない。それが、昔も今も変わらない農家の姿勢なのだ。

p.43
私が幸運であったのは、そうした既存の農家の固定概念や常識、慣習と無縁であったということだ。農業への新規参入者であったこと、そして農業経験のないど素人であったことが、かえって私に自由を与えてくれた。
どうしたら、売れる商品ができるか。どんな産業分野であれ、ビジネスの基本はそこにある。一般のビジネス分野では、その答えは明らかになっている。「顧客が望むものを提供すること」である。これは、どんなビジネスマンにも浸透していることだ。

p.53
日本の農家は表向きには「儲かる」ということに罪悪感を感じる人が多いようである。「儲け」や「儲かる」という言葉に人前では拒絶反応を示す。特に、農家の仲間うちでは儲け話は御法度だ。まるで収穫量はお天気まかせ、実入りは相場で一か八かの期待をすることが潔い態度であると思っているかのようである。
それは裏を返せば、ビジネス感覚が欠落しているということである。ビジネス感覚を持たない農家は、脱落していくしかないのである。そんな農家ばかりでは、日本の農業の未来は確実にない。それでは困るから、私はこのような本を書いている。
農家も農業生産法人も農業に携わる人は、「農」ではなく「農業」を行うんだという意識を持つ必要があると私は思う。農業をビジネスとしてとらえ、儲けようとしなければいけないのである。

p.60
農業を他の産業分野と同様、ビジネスとして成立させようとするなら、生産にしか関わらないという態度ではダメだ。営業・販売セクションも持ち、どうやったら多く、より高く、より的確に買ってもらえるかを検討し、売り込まなければならない。ビジネスとして農業を考えるなら、それは当然のことだ。

p.109
儲かる組織となるためには、強力なリーダーシップが不可欠だ。リーダーがいるからこそ、組織は強くなれる。
しかし、農家の組織ではそうした強力なリーダーは生まれにくい。農家の間に悪しき横並び意識や間違った平等感覚があるからだ。また、みんなに配慮する形になるので、結論がありきたりの箸にも棒にもかからないところに落ち着きやすい。要するに、大きな変化が期待できないのである。

p.111
いくら生産者が「これは良いものです」と主張しても、買う側-消費者や外食産業など-が「こういうものが欲しかった」と認めてくれなければ、それは本当の意味で「良いもの」とは言えない。

p.122
初めから「儲からなくてもいい」というのでは、努力もしないし、知恵も絞らない。結果的にお客さんにメリットを提供することができないから、人も集まらない。ダメなビジネスの典型である。
他業種の企業が入り込んできているのに、生産の主体である肝心の農家がこのようなていたらくであることに、私は強い危機感を持っている。ぼやーっとしている農家を尻目に、ビジネス経験豊富な異業種がおいしいところ-二百点の部分を根こそぎ持っていかれてしまうのではないか。その心配が現実のものとなりつつある。

p.130
私が目指しているのが、二〇一二年(平成二四年)までにトップリバーの人材育成システムやノウハウをマニュアル化するということである。農業はただ農作物を栽培すればいいのではなく、販売の問題やJAとのつきあいもある。そのあたりもすべて紹介する。野菜だけではなく米や果物づくりなど、たくさんの農家が活用できるマニュアルにして、これを農林水産省経由で全国に配布してもらうのである。

p.154
とくに農家とのつきあいでは「遠慮は敵」である。独立農家になってからも、農業は一人ではできない。隣の畑では今何をやっているのか、情報交換するのも大事な仕事である。

p.164
ビジネスであれ、投資であれ、もっとも大きな収益を享受できるのは、まだ世間が注目する前に目を付けて、いち早く足を踏み入れた者である。そういう意味から言えば、農業はこれからの分野であり、まさに先行者利益をとれる魅力的な仕事だと言えるのではないだろうか。

p.185
トップリバーにも過った幻想を抱いた人間がやって来る。彼らは都会の生活に疲れ、地方の農業ならもっと時間にゆとりを持って仕事ができるにちがいないと思っている。自分の自由にできる時間がたくさんつくれると思っている。数字に追われることのない、心やすらかな生活が送れると思っている。
だが、そんな思い込みは最初の一週間で覆されてしまう。
夏場のレタスの収穫時になると、仕事は朝の四時から始まる。炎天下の太陽の下で長時間、大量のレタスを収穫しなければならない。収穫できる期間は決まっているので、二週間休みなしに働くということも珍しくない。


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分別がある人

2009-09-12 13:05:59 | Weblog
子どもたちを叱り付けるとき、会社や世の中に不平不満を感じるとき、
政府の方針に納得いかないとき、考え方の違う人の主張を目にしたとき、
自分の価値観に基づいて反射的な反応を見せてしまうことは、めずらしくない。

何々はとんでもない、何々はひどい、何々は空虚だ、何々はお粗末だ、信じられない。
つい、そういった言葉を用いて対象を拒絶する。

だが、どういった構造に対してどのような判断を行っているのか、的確な分析を行うことは少ない。

それでは、同じ価値観の人と同じ空気を共有することしかできず、価値観の違う人を説得することはむずかしい。

先日、ライブドアニュースを見ていたら、mukashisanpeiと名乗る人のコメントが目に付いた。
その人は、八戸市議の藤川ゆりさんについてこういう言葉を使っている。

 外見だけで市議をやっている輩が
 ピンボケなことを叫びまわっても
 常識ある大人は相手にはしない
 くだらぬことに現をぬかしている暇があれば、
 議員としての仕事を確りしなさい
 http://news.livedoor.com/comment/user/mukashisanpei/

ここでは、「ピンボケ」「くだらない」と言う内容について、具体的な説明はない。
何がピンボケなのか、何がくだらないのか、どういった構造に対して、どういった見地から、否定的に判断するのか。
冷静に説明できない人は、欲求不満のはけ口として暴力的な言葉を周囲に振りまいているように見えてしまうかもしれない。

かつて八戸市議会の映像をみたことがあるが、藤川さんは堂々と壇上で持論を述べていた。
私などでは到底かなわない我慢強さやひたむきさを持っている人だと感じている。
だから、彼女をあげつらう暴力的な言葉を、残念に思う。

藤川さんも政治家として、行動や発言の内容に対して批判を受けるのであれば、沿道の匿名者から品のない野次が飛んできても甘んじて受け止めるだろう。

だが、言いがかりのように暴力的な言葉をぶつけてくる人には、事故に遭ったような気分になるかもしれない。
行動や発言の内容に言及する誠実さがなく、何が「ピンボケ」で何が「くだらない」のか、きちんと説明できない人はその人こそ「ピンボケ」で「くだらない」と言われてしまう恐れがある。

mukashisanpei氏は、自分の価値観、思い込み、刷り込み、感覚、好み、などに合わないものを排除したいのだろう。

自分の心の安定を保つために、受け入れられないものを排除してもいいが、なぜ排除するのか、なぜ拒否するのか、判断基準の説明を試みなければ、自分の価値観を意識することはできないだろう。

自分の価値観について意識的になれば、なぜ不満を感じて暴力的な態度をとってしまうのか理解し、解消することにつなげることができる。

mukashisanpei氏はひとつの表現行為と考えているのか、ストレス解消を試みているのか、下記のようなコメントをニュースのコメント欄に付けている。
これだけ上から目線でコメントできる人は、どれだけ自分に自信があるのだろう。

そういえば週刊東洋経済(2009.8.29)のアマゾン特集で、出版プロデューサーの土井英司さんは、「レビュアーは自分も評価されていることを自覚せよ」と述べていた。
ウェブニュースのコメントも、ニュースを評価している面と、一般人から評価されている面があるのかもしれない。

http://news.livedoor.com/comment/user/mukashisanpei/
「人間として再生される事を希望します…。まぁ、無理だろうな~!」
「“恥”と言う言葉を知りなさい!」
「全く情け無い輩だ!!」
「政治家以前に人間としても超低レベルな輩とお見受けしました」
「幼稚で間抜けなコメント」
「批判だけで建設的意見なし!」
「この様なトンチンカンな主張が、公然と罷り通る世の中になったことに正直恐怖を感じます!」
「この程度のことすら洞察できないようでは、この先、確実に淘汰されるよ」
「貴方の認識、理解力を鑑み、残念ですが回答するに当たらない程度と認識します」

上記のような言葉は、musashisanpei氏本人が言われると不快に感じることなのではないだろうか。
自分が言われると衝撃を受ける言葉が、他の人にとっても破壊力を持つと思っているのではないだろうか。

だが、論理的な言葉を使わず暴力的な言葉で相手をけん制するという手法は、言葉を尊重する人のやることではないように思う。

それに、分析を行わずに好き嫌いで判断してしまうと、思考力のない人だと思われてしまう。
もし、政治家に対して、学歴が高くなかったり、イメージDVDを出したり、美人でちやほやされていることを批判するのであれば、そのような政治家全員にそう言えばいい。

自民党の藤川さんのことは見下して、民主党の田中美絵子さんのことはフォローするというのは、物事の構造を見ず、看板の好き嫌いで判断しているだけのように見える。

どちらも美人で感じ良く、地方から出てきて東京の私立大・私立短大を出て、過去にテレビに出たり映画に出たり。
政治家秘書経験があって、しゃべりが堂々としているのも似ている。

共通する構造があるのに一方を否定して一方を守るというのは、自民党と民主党という所属政党の違いを重視しているからだろう。

差別の解消を主張する人がエロ雑誌出版社を見下してたり、戦争に反対する人が家庭内暴力をやめられなかったり、侵略や植民地運営に反対する人がチベットやウイグルについては黙り込んだりしていては、信頼されない。
物事の構造を見るのではなく、好き嫌いで行動しているのだと思われてしまう。

もし、mukashisanpei氏にお子さんや奥さんや部下がいたら、日常的に怒鳴りつけられたり不快感を見せ付けられたりして、萎縮する思いをしているのではないだろうかと心配になる。
そのような環境に育った子どもは、また親と同じようなことをしてしまうかもしれない。

因果関係や理屈を説かず、一方的に拒絶し決め付ける人は、捕虜や家畜の管理はできるかもしれないが、教育者や経営者には向いていない。

イライラしている時に何かを破壊することは、気持ちがいいことかもしれない。
だが、イライラを無くさなければ、根本的な解決にはつながらない。

イライラを無くすためには、物事の因果関係を見ていく視点を持てばいい。
どういった構造に対してなぜそのように感じるのか、原因が見えてくるはずだ。

世の中に不満をぶつける前に、まずは自分の価値観を把握しておきたい。
そうしないと、傍若無人で見下したような物言いをする人に対して不快さを感じる人が、イライラして、攻撃してくるかもしれない。
同じムジナの争いだろうけど、musashisanpeiはそれに立ち向かうだけの論理もなければ腕っぷしもないかもしれない。

もし、どこかの飲み屋にmukashisanpei氏がいたら、似たような背格好の人が近くの席でmukashisanpei氏を見て
「全く情け無い輩だ」「人間としても超低レベル」
「幼稚で間抜け」「トンチンカン」「淘汰されるよ」
と指差しているかもしれない。
ふと気がつけば、それは鏡に映ったmukashisanpei氏の姿かもしれない。


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心と体に、おいしいお店。

2009-09-07 23:47:14 | Weblog
週末から週明けにかけて、外食ばかり。

9/4(金)は三軒茶屋と下北沢の間にある洋食の「タンブラン」。

9/5(土)は下北沢の西友の裏にある鮮魚の「さんじゅうまる」。

9/6(日)は三茶から下北に向かう茶沢通りにある鶏肉の「とりビアー」。

9/7(月)は神楽坂毘沙門天の向かい、「伊勢藤」(いせとう)。2軒目は、よりみち横丁の「松屋」。

どれも、おすすめのいい店だ。

店の人の笑顔がアットホームな、洋食の「タンブラン」。
ここは、下北沢と三軒茶屋をつなぐ茶沢通りの半ばに、何年か前に出来たお店。
短髪のシェフが作る前菜の盛り合わせや鮮魚のカルパッチョは絶品。
ビールはアサヒの熟撰がすばらしい。

ワインは日本国産に限っているのがこの店のこだわり。
今までは、ここでおいしい日本ワインに出会ったことがなかった。
水っぽかったり湿っぽかったり薄かったり。
明らかにアルコールが添加してあるようなバランスだったり。
だけど、今回の白ワインはおいしかった。名前忘れたけど。

ボリュームがなくても、控えめで、誠実で、真摯なタイプな人にはそれなりの魅力がある。それと似た感じ。

日本のワインにこだわるのも差別化にはいいんだろうけど、なかなかおいしい日本のワインがないのは残念な限り。
でも、その物足りなさを補って余りある、店員さんの笑顔と、おいしい料理。

さんじゅうまる」は魚が食べたいときに時々行っている。
西友の裏。世田谷線の三軒茶屋駅も近い。
銚子直送の魚を扱っている。

おすすめは、刺身の盛り合わせと、炊き込みご飯。
日本酒や焼酎のセンスもかなりいい。
客層も感じがいい。たまにうるさい客が長居してたりもするけど。

店長の黒田さんによると、銚子の漁師さんの収入はあまりよくないのだとか。
彼らのためにも、販路を開拓しているというような口ぶりだった。
すばらしい。
生産者と消費者をうまくつなぐことは、重要だ。

とりビアー」は、宮崎の若鶏(ブロイラー?)と、ビール(サッポロ?)のお店。
通常、東京ではありえないボリューム。
大ビール(男前)は、サッポロドラフトワンかもしれないけど、これで580円は安い。
得大モモ焼きも680円とは思えないボリューム。青山だったら1000円以上する。
生親子丼は、半生の鶏肉と生卵だけど、半生鶏肉のボリュームが半端ではなく、これで380円はありえない。
半生の鳥レバーも臭みがなくすばらしい。
おいしい料理を気軽にたくさん食べたい人にお勧め。

茶沢通りに面した店外の席で外を眺めながら食べていると、とりビアに興味を持つ視線の人が多数目につく。
通りがかる人はなぜかカップルが多く、女性は美人率が高い。さすが庶民的でありおしゃれでもある三茶。

しばらくお酒は飲まないつもりだったけど、月曜日の今日は神楽坂の毘沙門天の前の「伊勢藤」(いせとう)でおつまみを食べながら灘の白鷹(はくたか)の熱燗をちびちび。
飯田橋を通りがかった彼女が、ちょっと伊勢藤ででも、と声をかけてきたのだ。しょうがない。
伊勢藤は、世界居酒屋遺産にもノミネートされるくらい(嘘)、趣きある人気店なのだ(本当)。

その後、坂を下って「松屋」まで。
80過ぎのおじいちゃんは健在。
居心地のいい昭和の感覚。
2階からパイプ電話で注文を通す。
安くておいしい、好きな店だ。

週末から週明けに4日もはしごしてしまった。お金もないのに。
しばらく節約して過ごそう。
だけど、近々、また行きたい。

どの店も、お酒を飲む女性と2人で行って、7千円もしない、お得なお店。


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