波打ち際の考察

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波屋山人

日本禁煙学会は学術団体というより政治団体だと思う

2013-08-21 22:14:09 | Weblog
日本禁煙学会がジブリ映画の「風立ちぬ」に喫煙シーンが多いとクレームをつけて、各方面から大きな反発を受けている。

・「風立ちぬの喫煙シーンは条約違反だ!」 日本禁煙学会の苦言に批判殺到
http://www.j-cast.com/2013/08/14181507.html

・『風立ちぬ』喫煙シーンへの禁煙学会の苦言に批判殺到!「日本刀使う時代劇もNG?」
http://www.j-cast.com/2013/08/14181507.html?p=all

意見の異なる人を受け止めることなく自分の見解だけを押し通そうとする人は、なぜ大きな反発を受けるのか理解しにくいのかもしれない。
「正しいことをやっているのに迫害されている」とでも感じているのだろうか。
毎度の光景なのであまり関心もないけど、少しコメント。


まず、禁煙学会は、学術的な団体というより、政治的な団体と言っていいだろう。
(NPOは政治活動が禁止されていない。自分の思想信条を推進するためにNPOを利用するのは自由だ)

一般的に、学術研究団体としての「学会」は、日本学術会議の管理下にあるというか、関わりがある。
<参考>
・日本学術会議協力学術研究団体
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%AD%A6%E8%A1%93%E4%BC%9A%E8%AD%B0%E5%8D%94%E5%8A%9B%E5%AD%A6%E8%A1%93%E7%A0%94%E7%A9%B6%E5%9B%A3%E4%BD%93

ところが、日本禁煙学会は、日本学術会議から「日本学術会議協力学術研究団体」として指定を受けていない。下記の条件をクリアしていないのだろう。
1.学術研究の向上発達を図ることを主たる目的とし、かつその目的とする分野における「学術研究団体」として活動しているものであること
2.研究者の自主的な集まりで、研究者自身の運営によるものであること
3.構成員(個人会員)の数が100人以上であること


禁煙の害について研究する「学術的な団体」であると言い張るのなら、日本学術会議協力学術研究団体に指定されてから言ってほしい。

日本学術会議が認めている学会のリストを見ると、1700団体以上はあるようだ。
下記のような学会が並んでいる中に、日本禁煙学会の名前はない。
> 日本菌学会
> 日本近世文学会
> 日本金属学会
> 日本近代文学会
> 日本金融学会

だから、日本禁煙学会に学術団体としての理性的な姿勢を求めなくてもいいと思う。


日本禁煙学会も、学術団体と誤認するような紛らわしい名称を避けて、「日本禁煙推進研究会」とか「日本嫌煙党」とか「日本反煙教」などと変えてもいいのではないだろうか。

政治団体や宗教団体が自分たちの主義主張を声高に唱えても、立ち位置が明確であればそれほど一般の人たちから批判的に見られることもないだろう。

日本反戦研究会(仮)や日本伝統研究会(仮)が政治主張をしてもたいして関心を集めないだろうけど、
学術団体を装った日本平和学会(仮)や日本伝統社会学会(仮)が共産党や在特会みたいな主張をしていたら何を言っているのかと各方面から反発を受けそうだ。



話は変わるが、日本禁煙学会の主要メンバーとして活動していた小児科医の息子さんは、水戸の茨城大学に進んだのではなかっただろうか。
日本禁煙学会は、タバコに含まれる微量の放射性物質は問題視しているけど、茨城県北部についてはどう判断しているのだろう。
日本禁反放射性物質学会(仮)は、岩手県南部から関東北部にかけての広い領域に、注意を喚起しているかもしれない。

それでも茨城北部に住み続け、大竹海岸や袋田の滝といった茨城ライフを満喫するのだ、というのであれば、喫煙の害を知った上で喫煙を楽しむ人の気持ちが少しはわかるかもしれない。



また、禁煙学会は大きな反発を受けて8/16には下記のような追加コメントを出している。

> 今回の日本禁煙学会の要請を、表現の自由の侵害だと批判する向きがありますが、
> それはまとはずれです。「表現の自由の侵害」とは、強制権力を持った政府が市民の
> 言論を抑圧することを指すものであり、強制権力のないNPO法人である日本禁煙学
> 会が行う批判活動は、正当な市民的権利の行使に過ぎず、まったく表現の自由の侵
> 害に当りません。


この理屈だと、禁煙学会の「芸術も法律も理解せず表現活動に圧力をかけて押さえ込もうという姿勢」に反発する人が、報道機関や芸術団体や法律団体などに被害を訴え、禁煙学会の行動を押さえ込もうという行為も、表現の自由を侵害するものではないと言うのだろうか。

禁煙学会はかつて、表現者に直接要望を出すのではなく、出版社や政府などにクレームをつけることによって表現者の活動を押さえ込んだ。それは、表現の自由を、社会的・政治的な圧力をもって侵害したと言える。
政治権力者でなくても、表現の自由を侵害することはできるのだ。

そのような行為を認めていたら、禁煙学会の行為も、同じように力と感情で押さえ込まれてしまうかもしれない。
禁煙学会に関わっているメンバーの勤務先や所属先、管轄者に、こんな活動を問題視しないのか!と圧力をかけられたら不満に思わないのだろうか。
表現の自由を侵害されている、と感じることがあれば、自分たちの行為も省みたほうがいいと思う。


追記 もしかしたら、日本禁煙学会の映画に関するコメントは、映画が好きな学会員の個人的な趣味に基づくものなのかもしれない。学会の人も内心、不満はあるのかも。


コメント (5)
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