波打ち際の考察

思ったこと感じたことのメモです。
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波屋山人

チュチェ(主体的)

2021-11-22 22:51:06 | Weblog
新興宗教とか、革新政党とか、ブラック企業とか、強力な組織化を感じさせる団体が気になる。
不真面目な私には、とてもついていけそうにない。すぐにはみ出してしまいそうだ。

どうしても、所属する組織の維持発展に没入する、という行動に違和感がある。
組織の維持や会社の存続、国家の死守を絶対視しなければいけないとは思えない。

組織や秩序が維持できなくなったときは、因果関係の中でその状況にたどり着いただけ、と受け止めてもいいのではないだろうか。

あえて自分の所属する秩序や組織の維持発展を死守しなければいけない理由は何だろう?
結局、子孫や組織を存続させることが目的になっている。
生命体としては、それでいいのだろうけど、組織や秩序の維持を目的にすることから自由になれば、もっとさまざまなところに意義を見出すことができるのではないだろうか。

サークルや会社や国といった組織や秩序の維持発展にとって不適切な存在は、アウトサイダーやはみ出し者や犯罪者などとして疎外されがちだ。
だけど、世界全体を視野に入れてさまざまなものに価値を見出すアウトサイダーや芸術家、思想家などに私は魅力を感じる。

そんな私は、「構築系」ではなく「溶解系」の思考だと自覚している。
溶解系は、あたりまえのように考えられている秩序の妥当性を疑い、分解して認識しようとする。
構築系は、会社や宗教や役所といった秩序に没入し、組織の強力化を推進する。

私から見ると、サークルも宗教団体も政治結社も行政組織も、強力な秩序があるように感じる。
特に、異論を認めないように見える共産党は、強力な秩序ではないかと推測する。

保守派にもいろいろ団体はあるようだけど、リベラル・革新系の人に比べて組織化が弱い。
信仰における教理のようなものが少なく、秩序化が弱いのかもしれない。

リベラル・革新系の人は、時にはさまざまな市民団体やダミーサークル?を作って、自分たちの考え方・志向性の浸透を試みる。
漫然・雑然とした普通の人たちというか特に志向性のある思想を持たない人は、リベラル・革新系の秩序にとらわれていく。

ただ、社会や人々にとって都合の良い思想であれば、世の中に広まっても問題がないと思うが、秩序の維持発展を重視する考え方は、どこかにごまかしがある。
なぜ秩序や組織を守らなければいけないのか、という議論もなく、守ることを当然視していることが多い。
絶対的に肯定されるべき「正しいこと」を科学的証拠もなく認定し、「悪いこと」を排除すれば、組織や世の中がより良くなると思い込んでいる。
しかし、「間違っているものを修正・排除すればシステムはよりよくなる」というのは、自然界全体の仕組みを把握していない態度だ。
そもそも、自分たちの価値観によって「間違っている」と認識して排除することが、自然の摂理に適合していない。
害虫や雑草を排除すれば、野菜はよく育つかもしれない。だけど、自然界においては害虫とか雑草という存在はない。あくまで人間にとって都合が良いか悪いかといった観点で、否定されているにすぎない。

秩序や組織の維持発展にとらわれている人々は、自然の摂理というか客観的な因果関係を無視しがちだ。
だから、理想に燃えていても、共産党も社会党も新しい村も、理想の社会を作ることができなかったのではないだろうか。

ほんとうに理想の社会を作りたいのであれば、秩序や組織の維持発展にこだわらない人々を集めた方がいい。
私のような「溶解系」の人たちは、あまり他人を非難せず、自分の利益を優先せず、ぐだぐだしている中で最低限の努力だけでしてなんとか日々を永らえる。

ひろゆきみたいな、冷笑系、シニカル系と見られがちな人は、斜に構えているのではない。
根拠のない正当性を保持して組織化を進める人たちに同調せず、世の中の構造を客観的に把握しようと試みているのだ。


アメリカ大統領も、北朝鮮の支配者層も、日本共産党の特権的なトップ層も、創価学会も、秩序の維持発展をあきらめたらどうだろう。
そこから見えてくる世界もあるはずだ。混沌が視野に入ってこそ、世の中の原理がわかる。
世の中の原理を把握しないで理想社会を目指しても、夢がかなうことはない。

「溶解系」の人々は組織化しないから、アピール力も弱い。「構築系」の人々の陰に隠れ、支配されがちだ。
貧しい人が多い国では、「構築系」の人たちが耳当たりのよい言葉を並べて、人々を取り込みがちだ。南米でも南アジアでも東アジアでも共産主義系の組織は大きな力を持っている。
与党の国もあるが、社会がよりよくなっていると言えない。

そんな中で、日本社会においては共産主義・社会主義の支持層が比較的少ない。
秩序の維持発展を重視する組織の欺瞞を感じ取っているのだろうか。

組織を拡大させ、周囲を巻き込んで巨大化してやがて鬱積した社会を作り上げ、やがて崩壊するというのは、悪質腫瘍の拡大に似ていないだろうか。
悪質腫瘍も、おそらくそれ自身は自分のことを自然な存在だと思っているのではないだろうか、

そんなことをぐだぐだと連想した。元共産党職員の人と保守派を自認する人による本はなかなか興味深かった。


■『なぜ彼らは北朝鮮の「チュチェ思想」に従うのか 日本の教員や大学教授もハマり、拉致問題にも影響を与えた‼』育鵬社、2019年
篠原常一郎(元日本共産党国会議員秘書)
岩田温(政治学者)

P26
岩田「自主的に考えましょう」という考え方は、一見、すごく良いことではないかと思われますけど、それは革命精神を自主的に選択しているかのように思わされているだけです。だから、私たちの側でもチュチェ思想についてきちんと総括する作業は大事です。若い世代がこれにのめり込むようなことがあれば人生を間違えてしまいますから、そうなってはいけません。
篠原 チュチェ思想の、思想としても問題点や構造をしっかり明らかにすることが必要です。彼らは、表に出しているものと裏でやっていることが全然違うんです。秘密主義ですから。それを全部、白日の下にさらすという作業が必要になります。

P31
岩田(略)
 要するに、「チュチェ(主体)」という概念が出てくるのは、ソ連派にも頼らない、中国派にも頼らないで、「自分たちでやるんだ」という事態に陥ったからに過ぎない。両国に頼れなくなったことがきっかけで、国際情勢の中で「主体」ということをやたら言い始めるようになったんです。

P33
岩田(略)
 この国の嘘がすごいのは、金日成は13歳で『資本論』を読み始めて講義をしたということを真顔で言っていることです。無茶苦茶ですよね。そしてマルクス主義をさらに進化させてチュチェ思想を作ったという話になっています。
 ちなみに金日成は朝鮮半島で生まれ、その後、南満州に移住し、そこの小学校で学び、中学は当時の中華民国の吉林省の中国人中学校に入りました。そこでマルクス・レーニン主義に出合っています。
篠原 13歳で『資本論』を読んでいたとするならば、日本語ができないと駄目ですよ。『資本論』の朝鮮語訳はありませんでしたから。辛うじて日本語訳本の中国語訳があるぐらいで、アジアで『資本論』の正式な翻訳があったのは日本語だけでしたから。それなのに、18歳でもうチュチェ思想を語ったことになっています。まるで「マンガ」みたいです。

P37
岩田 金日成のやり方はとても簡単で、「怒り」「認識し」「立ち上がる」、この3段論法なんです。まずは虐殺の歴史があったと怒り、誰がこれをやっているんだということを認識し、そいつらの打倒のために立ち上がる。北朝鮮の映画はこのパターンがずっと繰り返されるらしいです。

P38
岩田(略)
 要するに、「領袖」があって「党」があって「人民」がある。領袖が最高頭脳で、党というのは、人民と最高頭脳をつなぐための血管であり、神経であると言っている。だから、これに逆らうのはいけない。
 この領袖、党、人民という三つから構成される社会政治的生命体というものは、自分が死んでも、この一つの共同体は死なないから、どんどん死んでいいんだという話になっていくわけです。つまり、カルト化した宗教と同じなんです。
篠原 実は日本共産党でも、一時期、それに近い考えを党員たちに持たせようとしたことがあるんです。

P55
篠原 僕が最近になって思ったのは、岩田さんの方が詳しいと思うんだけど、朝鮮半島は地政学的な問題でどうしても事大主義が強くなってしまうので、チュチェ思想はそれに対するアンチテーゼなのではないかということです。
岩田 その通りです。最初にチュチェ思想が出てくる背景というのは、事大主義にはもう陥りたくないというところなんですよ。

P57
篠原 そこで、あんたたちは日本人の妻を得るために、日本人を連れてきなさいということをやる。これが拉致問題につながるんですね。
岩田 私はここには金日成の封建主義的思想が表れているだけだと思います。このチュチェ思想の根本は共産主義プラス民族主義なんです。インターナショナルじゃないんですよね。

P57
岩田 実際にチュチェ思想を作った黄長燁は、金正日が言っているチュチェ思想というのは、「社会主義」と「階級主義」と「封建主義」の三つを組み合わせた「首領絶対主義」だという言い方をしています。

P59-60
岩田(略)
 さらにここがポイントですけど、チュチェの革命観で核心をなすのは、党と領袖に対する忠実性です。社会主義、共産主義の偉業は領袖によって切り開かれ、党の領袖の指導の下に遂行されます。革命運動は党の領袖の指導に従ってのみ勝利することができます。
 従って、正しい革命観を確立するためには、常に党と領袖に対する忠実性を高めることを基本としなければなりません。つまり、自主的に生きるということは、自主的に金家の教えに忠実に従うように生きていくことだと。
篠原 そのように人民を誘導することを「領袖芸術」と呼びぶんですよね。
岩田 何度も繰り返しますが、だからチュチェ思想というのは、本当にオウム真理教などのカルトの論理と似ています。つまり全人類を幸せにするためには、麻原彰晃の言うことを聞くしかないという教えと同じですよね。
篠原 教えを貫徹する手段もきちんと作られているんです。ともかく北朝鮮の国民はすべからく一人残らず社会組織に所属しなければならない。

P62-63
岩田 チュチェ思想は、日本にも広がっていますが、それを考察するにあたっては、『金日成・金正日主義研究』(金日成・金正日主義研究会、第141号までの誌名は『キムイルソン主義研究』)という雑誌を欠かすことができません。
 私は、この雑誌を読んで不思議だなと思ったんです。例えば、「日朝教育・文化交流をすすめる愛知の会」事務局長の竹内宏一という人がいる。この人は、日朝友好運動と同時に反核平和運動にも取り組んできたらしい。だけどそうすると北朝鮮が核武装したことについては、どうやって理解するのか。常識で考えれば、反核平和運動の立場からすれば、北朝鮮の核武装についても反対すべきでしょう。しかし、北朝鮮の核武装については、防衛的抑止力ですと言って擁護している。これは論理が通っていません。だからこのチュチェ思想というのは、思想と言っているけれども、そうではなく、一つの信仰体系に近いのです。
篠原 チュチェ思想研究会の尾上健一氏の『自主の道』(五月書房)もそうだし、新書になっているものもあるんだけれども、宗教論みたいなことを書いているものもあります。尾上氏は、宗教と親和性が高いことを言っています。共産主義というのは、今までは唯物論の立場で宗教とは一線を画すんだけど、チュチェ思想は違います。宗教者と積極的に対話して手をつないでいくんだと言っているんです。

P66
篠原(略)「社会政治的生命体」を構成する者にとって最も重要なことは、「頭脳」と、そこから「手足」への命令をつなぐための「神経・命令系統」からなるシステムを、何があっても擁護すること。特に「何ものにも代えがたい革命的血統」を守るためなら、ためらうことなく肉体的生命は投げ出さなければならないとされています。これについてチュチェ思想は「人間にとって大事なものは政治的生命であって、それは肉体的生命より重い」と表現しています。
 北朝鮮の歴代指導者(金日成、金正日、金正恩)は、「前社会のチュチェ化」「唯一思想体系」の完成を強調しますが、その本質は、冷静な第三者から見れば、現代社会には例のない個人家系(革命的血統)の神格化をベースにした過酷な独裁体制を合理化するカルト思想であることはあまりに明らかです。
 チュチェ思想は「人間こそ自然と社会の主人公」「人間中心主義の復興」などと唱えていますが、「人間が主人公になるには、優れた革命的血統=領袖による領導が必要」として、金一族を「神」のごとく持ち上げています。これは、独裁主義に立った偽りの人間中心主義、徹底した不平等思想です。

P76-77
篠原(略)挺対協は、韓国ではチュチェ思想派だと公然と言われています。同会は、2017年に日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶財団」という団体と組織統合して、「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連)」と改称されました。
 この問題においては、日本帝国主義は朝鮮半島から20万人の「従軍慰安婦」を「強制連行」した。あるいは戦時労働に奴隷のように使うために、「700万人の朝鮮半島の労働者を強制動員した」などと韓国では広く言われています。だけどその根拠はまったくないんですよね。20万人もの慰安婦を必要とするならば、兵隊は一体何人必要なのか。そういうことを考えると、到底あり得ない話です。まして日本軍が朝鮮半島で朝鮮人女性を「強制連行」したという事実は存在しません。それを裏付ける資料をいくら探しても出てきていないのですから。
 また、朝鮮人労働者は700万人もいませんよ。しかも、彼らのほとんどが応募工、つまり企業からの募集に自ら応募した労働者です。にもかかわらず、彼らは未だに嘘を吐き続けています。もはや定式化されていて、絶対に曲げないんですね。この物語に疑いを差し挟むことは許されないんです。「慰安婦強制連行」だとか、「徴用工は奴隷労働させられた」というストーリーがありますが、チュチェ思想は一つの物語、伝説を作るんです。差別と虐待、虐殺をされてきたという被害者としての民族史ですね。
 実は面白いことに、「20万人の慰安婦と700万人の強制動員」という話は、チュチェ思想研究会のテキストに載っています。だから僕は、チュチェ思想グループの共通したストーリーなのではないかと思っています。
(略)
 それから「全国言論労働組合(言論労組)」。これは今、文在寅政権になってから活発に動いています。放送局や新聞の経営陣の交代運動をやって、労働組合出身の社長も生まれていて、韓国の世論が一気に左傾化しています。
「米基地反対運動」というのもあります。「平和オモニ(母)の会」や「済州島の会」、その他いろいろあるんですけど、この人たちが大挙して沖縄の辺野古にも来ております。
 そういう形で90年代以降、チュチェ思想を信奉する人たちのことを、韓国では「チュサッパ(主思派)」と言うようになったんですね。

P101
篠原 やっぱり保守派は思想的基盤が弱い。この問題に行き着く。実は韓国研究者に会って、驚くべきことを教りました。実は、朴正熙は元々、南労党の党員だったということです。
岩田 南労党は共産主義政党ですよね。朴正熙は日本の士官学校、予備学校に行って、満州国軍の将校をやっていたほどの韓国の代表的な保守派だと思っていましたが……。
篠原 彼の兄が南労党の幹部だったんです。しかも驚いたのは、満州国軍を退役した後に南労党に入っていた。彼も共産主義者だったんです。そこでテロ活動をやったんですよ。兄はそのテロ活動をやっていた時に取り締まりで亡くなっています。

P102-103
篠原 翻って、日本による韓国併合の唯一の失敗は、王朝を失わせたことではないでしょうか。保守層というのはだいたい王朝の集積から出てきて、民主主義体制が進んでいく中でも、そこを軸にして発展していく。日本もイギリスもそうですよね。だけど、韓国の場合は、その軸を日本がはずしてしまったんですよね。(略)
岩田 伝統というものをぶっ壊してしまったら、どうなるのか。(略)自由と民主主義だけやっていると、人間は不安になって寄る辺が欲しくなる。それは、普通のまともな国であれば自国の歴史を経て育まれた伝統になるでしょう。例えば、日本だったら、天皇や神社などいろいろなものがあって、それらが心の支えになったりする。
 だけど韓国は、そういった伝統を全部爆破したような国です。だから、カルト思想に乗っ取られてしまうんでしょうね。結局、南の人は何を保守するのか、ここをしっかりと考えてみるべきでしょう。チュチェ思想とは異なる「保守の基軸」というものがなければならない。しかし今ではそれが「反日」になってしまっている……。
篠原 それしかストーリーがないんですよ。
岩田 保守思想の基盤が薄いことはかなり致命的で、リベラルデモクラシーが根付かない。これではどうやっても韓国の右派はチュチェ思想に勝てません。

P122-123
篠原(略)
 それにしても朝日新聞は今でも同じですね。朝鮮総連の国際統一局がニュースレターを出していて、朝日新聞はそれを送り付けられた通りに書いているとしか思えない記事が出る。僕はそのニュースレターをツテを使って毎号手に入れるようにしています。ニュースレターでの情勢の見方というのが来て、すごいんです。ニュースレターが出たら数日後、その通りの記事が朝日新聞に出るよねということで、「チャンネルくらら」の動画で紹介した際、上念司さんは、びっくりしていました。朝日新聞と朝鮮総連には、未だにそういうつながりがあるんですよ。
岩田 どうしてでしょうか。だって北朝鮮がとんでもない国だということは、もう分かっているじゃないですか。
篠原 とんでもないけれども、朝日新聞は自主的な判断をしないんですよ。
岩田 じゃあ、チュチェ性が足りないな(笑)。
篠原 そうそう、日々に追われていて、長いものに巻かれろになっちゃうんです。日本のマスコミの関係者は駄目な人が多い。「あなたはジャーナリストではなくてスパイだ」と言えるような人がいる。

P127
篠原(略)
 それに対して、北朝鮮側はよど号犯人の亡命を受け入れて、彼らを「招待所」に幽閉しました。一見豪華で、何不自由なく暮らせるんだけれども、人里離れていて、自由がないという場所に。そこで彼らに徹底したチュチェ思想の思想教育を行ったんです。
 先ほども紹介した高沢皓司氏の『宿命――「よど号」亡命者たちの秘密工作』に、ハイジャック犯の人たちが書いた手記が掲載されています。チュチェ思想の教育が日課になっていて、1日の授業が終わると討論の時間があり、教授や指導員たちの気に入る答え以外の答え方をした者には、再び同じ学習が繰り返されたそうです。

P129
篠原 ですから、日本人と朝鮮人の血が交わってはいけない。こういう徹底した血統主義の上に立っている。よど号犯人は、日本人から配偶者を求めることを勧められました。彼らのうち一人は、元々日本に恋人がいたので、その人を呼び寄せることに成功しました。その他の人も、日本人の妻を獲得するということになった。つまり、自分らの「配偶者獲得」という「革命事業の世代継承」に取り組んだわけですね。
 そこで、日本のチュチェ思想研究会に入っている女性労働者のメンバーが、「朝鮮に行ってみないか」と説得されて、北朝鮮へ見に行って、今度はこういう人たちがいるけど結婚しないかと迫られて、やむなく結婚するという形で、配偶者を獲得することになったわけです。だから、よど号犯人の妻たちは、その多くが日本のチュチェ思想研究会の参加者なんです。
岩田 これは、納得ずくとはいえ、一種の日本人拉致ですよね。
篠原 そう思います。チュチェ思想がどれほど有害であるかを端的に示しているのが、日本人拉致問題です。

P134-135
岩田 八尾氏が目覚めたきっかけは、オウム真理教の事件を見たことです。「地下鉄サリン事件」を見て、自分たちがやってきたことは、これとまったく同じではないかと思ったそうです。自分は正しいと思って、人を拉致すれば革命の戦士になるのだから、拉致された人からは後で感謝されるはずだと思っていた。だけど感謝なんかされない。それどころか、その人の人生を破壊しただけだったということに気付いたそうです。
 ヨーロッパで、よど号犯たちが人を拉致してくる時も、なんでこんなに素晴らしい革命に身を捧げることができるのに、不幸がっているのか理解できなかった。
篠原 その人の意思にかかわりなく、「この人にとって幸せなはずだ」と思い込んでしまう。

P136
岩田(略)
 有本恵子さんは、イギリスのロンドンで八尾氏に拉致されましたが、これは有本さんが神戸市外国語大学を卒業した後、語学留学していたところを狙われたんですね。
篠原 有本さんの出身大学の家正治という教授が「金日成・金正日主義研究全国連合会」の共同代表で、拉致される前後に有本さんの家を訪ねているという話を聞いたことがあります。拉致被害者の関係者から聞きました。でも、そういう情報がヒソヒソと聞こえてはくるけど、なぜ公にしないのでしょうか? 家正治氏はまだ大学で教鞭を執っていますよ。今は大阪保健医療大学で「国際社会と日本」という教養科目を教えたりしています。こういう話も含めて、具体的に、チュチェ思想およびチュチェ思想研究会がやっていることを全部明らかにしないといけません。

P137-178
篠原 はい。だけど僕は、藤田さんが特定失踪者にされていること自体が不思議だと思っています。(略)
 被害者の藤田進さんを拉致した工作員の証言が生々しい。藤田進さんは東京都足立区にある西新井病院という朝鮮総連系の病院の一室に、何日も閉じ込められたんです(略)
 ちなみにこの病院は原爆被爆者指定医療機関になっています。なぜかというと、朝鮮人被爆者の問題があったからです。政治的な配慮で取らせたんですよ。
 実は核関連技術もそこ経由で北に漏えいしていることが分かっているんですよね。在日朝鮮人科学者の研究助成を目的に、西新井病院の創立者の金萬有(キムマニュ)が創設した金萬有科学振興会という財団法人があります。この事務局は西新井病院にあります。(略)こういった経緯からか、西新井病院は過去に警視庁の強制捜査を受けています。

P143-144
岩田 篠原さんが、どうしてこの人たちがチュチェ思想にハマるのかとおっしゃった。私は、その理由の一つに、挫折の体験があると思うんです。挫折して、モヤモヤしていて、何か求めるものという人もいる。
篠原 そうですね。左派の人たちは思想的敗北感から、新たなよすがになる思想を求めたということが、このよど号事件の犯人からも伺えます。
 実は、沖縄でも同じような話を聞いています。沖縄ではいろいろな基地反対運動があったんだけれども、挫折感の中でこのチュチェ思想に近づいたという人もいます。僕は、実際に運動をやっていた方から聞いております。そういう思想的敗北感、挫折感に付け込んで、チュチェ思想が普及しているという問題。

P165-166
岩田 そのようにチュチェ思想研究会を批判したのは、日本共産党だけだったんですね。
篠原 はい。(略)チュチェ思想研究会および「自主の会」を公然と批判した勢力は、日本共産党だけだったんです。僕も日本共産党勤務員時代、「外国から日本への運動への干渉であるチュチェ思想研究会の活動」に注意を払うよう指導され、実際に情報収集や行動の監視にも取り組みました。

P167
 日本共産党の組織形態は、暴力革命に照応した組織規律=民主集中制を維持したまま、議会主義を掲げています。何がいいかというと、幹部にとってそれがおいしいんです。チェック機能がないから結構やり放題で、蓄財もできる。不破氏なんて労働組合の書記からすぐ共産党のスタッフになっている。彼は新婚の時はひばりヶ丘の都営住宅に住んでいたんですけど、いつの間にか1500坪の大きな屋敷に住んでいる。コックもいるし看護師もいる。

P169-170
篠原 チュチェ思想研究会は拡大傾向だと思って間違いありません。「辺野古新基地建設反対」運動とかああいうのが騒ぎになるほど、勢いづいていますよ。それを支援する形で、「自主の会」という団体があります。チュチェ思想研究会の別動隊であるこの自主の会が、韓国の親北団体の沖縄での受け入れ窓口になっていて、韓国のチュサッパと連携しています。
 チュチェ思想国際研究所事務局長の尾上健一氏の著書『自主の道』には、自主の会は、「日本の民衆が自ら主人公となって運命を切り拓く自主の道に踏み出すための統一戦線組織」とかいてあるんです。だけど興味深いことに、自主の会は、「日本民族の自主化」というスローガンを掲げつつも、その活動方針には一切「チュチェ思想」のチュの字も出ないんです。「日朝友好運動」「脱原発運動」「アイヌ民族解放」「辺野古新基地反対」などの運動に積極的に参加し、団体自身の活動方針をもって臨んでいるんですが、それは従北派としての実態を隠し、他の運動参加者から敬遠されないように装う一面ゆえでしょう。
 自主の会に入っているのは、沖縄の人だけではありません。今までなかった場所にでき始めています。千葉県にもできたし、群馬や福島、静岡にもある。拡大しています。中心になっているのは日教組のOB、OGたちで、現役教員の人も結構多い。
岩田 日教組とチュチェ思想は、親和性が高いんですね。(略)
 日教組と北朝鮮の関係は根深いですね。“ミスター日教組”と呼ばれた槙枝元文氏は金日成を礼賛し、敬愛する発言をしばしば行っていました。

P172-173
篠原 槙枝氏で思い出したんですが、物議を醸したあいちトリエンナーレで芸術監督を務めた津田大介さんの父親は、衆議院議員をやった高沢寅男という人の秘書をしていました。高沢氏は愛称が“社会党の寅さん”でして、社会党の元副委員長だった人です。ちなみに元日本共産党員でもあります。
 高沢氏が最後の選挙に出た時、僕は直接話を聞いたことがありました。僕は当時、日本共産党の候補者の秘書でした。むかしは立会演説会といって、他党派も含めてみんなで演説する場があって、その控室で雑談していたんですね。
 高沢氏は元共産党員だから日本共産党の候補者といろいろな話をして、「いや、これで落っこちたとしても、僕は北朝鮮の商社の役員になれたから。槙枝君と僕はなってるんだよ」という話をペラペラしていたわけ。「シベリアから材木を回すだけの仕事で、食えるんだよ」なんて話をしていました。これは1990年ちょうど、年があらたまった総選挙の時でした。ああ、なるほどなと思って。
 チュチェ思想の拠点の一つが東京の池袋ですが、今も東池袋にはチュチェ思想関係の本を出版している白峰社があって、チュチェ思想国際研究所の住所も南池袋なんです。池袋周辺にある豊島区の公共施設は、定期的にチュチェ思想研究会が使っていました。
 それを僕は監視していたんです。どんな連中が来ているかなと思って見ていたら、日高教(日本高等学校教職員組合)という高校の先生の組合の人たちでした。教組が主体だということがよく分かりました。
岩田 彼らは、学校で何を教えたいんでしょうか。日本の高校生たちにチュチェ思想を教えたいということなら、恐るべきことです。

P173
篠原 そして、チュチェ思想研究会は大学教授を重点的に組織しています。特に沖縄は信じられない数なんですよ。沖縄には、そんなに大学がないじゃないですか。沖縄大学や琉球大学には、チュチェ思想研究会の関係者が何人もいます。以前、沖縄で勉強会をした際に、沖縄の県民の前でこのことを公表したら、「沖縄県の大学に子供を行かせるの、止めるわ」とみんな言っていました。

P174-177
篠原(略)
 チュチェ思想研究会は、本でも大学教授を取り込むことをすごく重視していますね。それはよく分かります。北海道大学にもいますし、他の私学にもいますから、
岩田 おっしゃる通り、全国の大学がそういう状況にあるんです。(略)
篠原 大学教授らは、市民運動の反差別の勉強会などでよく講師を務めています。2019年9月21日に、東京都小金井市の小金井市市民会館にて『~公正な社会を考えよう~「国連勧告と琉球・沖縄の人々の権利とは」』という勉強会がありました。
 小金井の市議会議員が講師を呼んでいて、一人は武者小路公秀のお弟子さんにあたる大学の先生、この人も国連にしょっちゅう行っています。もう一人は沖縄大学の講師でしたよ。研究課題を見たら、なぜか科研費が出ている人物でした。チュチェ思想派の教授にも、科研費が出ているんですよ。(略)
篠原 元外交官で作家の佐藤優さんっているでしょう。佐藤優氏は、高校時代にチュチェ思想と出合っているんですね。彼は高校時代に「日本社会主義青年同盟(社学同)」に入っていた。そこでチュチェ思想研究会の理論家の鎌倉孝夫氏に出会った。鎌倉氏はマルクス経済学者の宇野弘蔵の弟子で、長らく埼玉大学経済学部教授を務め、その後、東日本国際大学学長にも就きました。
 佐藤優氏と鎌倉孝夫氏の二人は非常に親しいんです。『資本論』に関わる対談本を『週刊金曜日』の版元(株式会社金曜日)から出しています。
岩田 鎌倉孝夫氏によると、チュチェ思想を知って、それを読み解くと、マルクス・レーニン主義をより理解できるようになったそうです。本当なのか不思議に思いました。
篠原 同じくマルクス経済学者の井上周八という立教大学の教授は、チュチェ思想国際研究所名誉理事長だった人ですが、彼は一番まとまった体系的な本『人間中心のチュチェ思想』(チュチェ思想国際研究所)を書いています。
岩田 金日成やチュチェ思想の研究をやっている人たちは、本当にちゃんと読んだ上で、これは革命思想であって、人民を隷属させる思想であるってことを認識した上でチュチェ思想を褒めているのか。それともチュチェ思想というものを知らずに、表向きの自主的に生きることができるという言葉面だけ捉えて言っているのか。どう思われますか?
 私としては、本当に「裏の顔」まで知った上でチュチェ思想にのめり込んでいる人と人間中心だという「表の顔」に騙されている両者がいるように思えてなりません。
篠原 例えば、チュチェ思想研究会のイベントや機関誌『金日成・金正日主義研究』市場によく出てくる池辺幸惠という静岡の音楽家がいます。賞も取っているピアニストですが、あの人は後者に属する。明らかに分かっていないでしょう。平壌に行って、「北朝鮮の芸術は素晴らしい」なんて言っています。それでハマっていっただけだと思います。

P178
篠原(略)
 民主党政権の時に僕はスタッフとして働いていましたけど、その中にもチュチェ派に近いと思われる人たちがいました。法務大臣をされた平岡秀夫氏とか、江田五月氏はあまりに親北的で危ないと思いました。北朝鮮や朝鮮総連と親密な人が何人もいました。ただし、それによって政策が左右されることはなかった。
 だけど、韓国の文在寅は違いますよ。日本の民主党政権をさらにひどくした政権ができているようなものです。(略)
 それと、日本の左派は日本について「日本はこんなおかしな国でいいのか」と言っていますよね。これはチュチェ思想研究会の主張と同じです。いや、おかしいところがあるのは僕も認めるけど、最近は、山本太郎さんの支持者がそういうことをよく言っているのね。だから僕は、「俺、世界中を旅してるけどさ、日本はそんなにおかしくないよ」と言います。いや、「安倍さんのここがおかしい」とか、「ここが間違っている」と言うのはいいんです。僕は山本太郎さんという人の真面目な仕事ぶりは分かるので、「あんたたち、そうやって歪めてプロパガンダやっては駄目だよ」としつこく言うもんだから、彼の支援者たちからは結構ひんしゅくを買っています。でもね、チュチェ思想研究会のそういう刷り込みは成功しています。日本の左派の内部に流布しているんです。

P179-180
岩田 私がどうして今までチュチェ思想に興味がなかったかといったら、北朝鮮という異形な国家の特殊なイデオロギーで、それは北朝鮮の人だけが信じていることだから、日本人は関係ないと思っていたんですね。だけどそうではなかった。拉致問題の原因となった思想だったわけですし、そして日本国内にチュチェ思想研究会というチュチェ思想を勉強し、広め、日本国と日本国民を領導しようという組織があり、活動を活発化させていた。
篠原 本当に拉致事件の周辺に見え隠れしていたにもかかわらず、チュチェ思想に対する理解が欠けていたから、なかなか捜査も進まなかった。
岩田 要は「思想犯」なんですね。国を挙げての宗教、とりわけ危険なカルト宗教と考えるのが一番分かりやすい。

P182-183
篠原(略)
 有馬芳生さんのお父さんは日本共産党の大幹部でした。大阪あたりの幹部だったけど引退しています。有田氏は新日本出版社という共産党系の出版社で働いていたのですが、宮本顕治に怒られてクビになっちゃったんです。腹いせに各界の人たちによる共産党への批判的な注文を集めた『日本共産党への手紙』(教育史料出版会)という本を作っちゃったりしたから、完璧に除籍されました。でもその後、オウム真理教事件のジャーナリストとして売れて有名になったんですね。

P189-190
篠原 ええ。また、日本においてはアイヌ運動や辺野古の米軍基地反対運動、もっと言うと部落解放運動など、日本の左派的な運動団体は、一見バラバラに活動しているように見えますが、チュチェ思想というフィルターをかけて眺めてみると一つの基調が見えるんです。(略)
 武者小路公秀氏は北朝鮮シンパとして知られ、チュチェ思想国際研究所の顧問をしていますが、同時に反差別国際運動(IMADR)の共同代表理事も務めています。この反差別国際運動という団体は、国際人権NGOを名乗り1988年に設立。1993年には国連との協議資格(ロスター)を取得し、2008年委は特別協議資格に昇格するなど、国連での発言権を強めており、ここの紹介で次々にアイヌの人たちや「琉球は先住民族である」といった発言をする人たちを国連に紹介しています。国連に働きかけて、国連の先住民決議を推進する上で大きな役割を果たしました。ここの顧問には元国連女子差別撤廃委員会委員もいます。
 ちなみにこの委員が委員長として在任時に、国連差女子差別撤廃委員会は2015年の日韓慰安婦合意について「被害者中心ではない」と批判する見解を公表しました。(略)
 それもそのはず、この元委員は元朝日新聞記者でフェミニストだった松井やよりの弟子と言われている人物なのです。(略)
 また、ここの理事には北海道アイヌ協会理事長、日教組委員長、部落解放同盟中央執行委員長らが名前を連ね、まさに「サヨクのオールスターチーム」です。彼らは戦略をちゃんと練っている。それこそ領導芸術なんです。

P198-199
篠原(略)
 日本の内閣府に「アイヌ政策推進会議」というのがあるのですが、菅義偉官房長官が座長を務め、他に十四人の委員で構成されています。その中の一人に、阿部一司氏、ご自身は阿部ユポと名乗っている人がいます。彼は北海道アイヌ協会副理事長で札幌アイヌ協会の会長ですが、チュチェ思想にどっぷりの人です。この人は、チュチェ思想関連のNPO法人である「21世紀自主フォーラム」の世話人副代表。いわば、単なる名誉職ではない、幹部です。さらに、金正恩著作研究会の創設メンバーの1人でもあり、チュチェ思想研究会の機関紙である『金日成・金正日主義研究』の常連寄稿者なんです。(略)
岩田 尾上氏は、自著『自首の道』で、「自主の会」の活動と関連させて、「アイヌの解放」「アイヌの民族的自主権の確立」も取り上げ、アイヌ運動に大きな影響を与えていますね。
篠原 はい。つまり阿部一司氏をはじめとする従北朝鮮的な人物および団体が直接、国の政策決定の過程に関与するまでに浸透しているということです。

P202
篠原(略)
 チュチェ思想研究会がなぜ、たかが2700人の団体であるアイヌ協会にしがみつくかというと、アイヌ政策に国から毎年億単位のお金が出るからです。
 国のアイヌ政策には主にアイヌの生活向上とアイヌ文化振興の二つがありますが、近年は2020年4月に開業予定の「民族共生象徴空間」(白老町)関連の予算が大きく、2018年度の国のアイヌ政策関連予算は40億5900万円になりました。
岩田 利権と考えてよろしいですか?

P205
岩田 そもそもチュチェ思想は自主性を重んじる思想のはずです。それを信奉する親北勢力の人たちが国のお金を当てにすることはおかしいですよね。チュチェ思想に則って自主性を重んずるとするならば、国家のお金に頼るような行動を慎むべきでしょう。

P-206
岩田 科研費というのは、文科省の外郭団体である独立行政法人日本学術振興会の科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金/科学研究費補助金)です。人文学、社会科学から自然科学まですべての分野にわたって、基礎から応用までのあらゆる「学術研究」(研究者の自由な発想に基づく研究)を格段に発展させることを目的とする「競争的研究資金」です。ピアレビューによる審査を経て、独創的・先駆的な研究に対して助成が行われます。
篠原 その科研費が、アイヌの研究をやっているという名目で朝鮮学校の校長も女性の対象になっているんです。これは北朝鮮に対する制裁決議違反になります。というのも、朝鮮学校は北朝鮮の組織であり、朝鮮学校の校長は朝鮮総連の役員と同じだからです。そこに公金が入るなんておかしいんです。
 あと、朝鮮系アイヌ人というポジションをうまく利用して、朝鮮大学は今、アイヌの入学枠があるんです。これも公表はしていないので、聞きこみによって分かったことです。たまたま朝鮮大学の卒業写真に、「この人は朝鮮人っぽくないな」と思った学生が写っていたので聞いてみたところ、「この学生はアイヌ枠で入った人」と教えてもらいました。

P209
篠原(略)
 成田得平という人は秋辺得平と名乗っていて、元北海道ウタリ協会(元北海道アイヌ協会)副理事長だった人物です。彼もチュチェ思想研究会のメンバーで、朝鮮学校との関係も深い。成田氏はこんな高邁なことを言ってるけど、アイヌ協会釧路支部の支部長を務めていた時、横領事件を起こして辞任しています。この事件は新聞沙汰になりました。

P220
篠原(略)
 関西生コンは韓国の建設労組ともつながっているんだけれども、同時に関西生コンには、在日朝鮮人関係者が多かったんです。関西生コンの結城久氏という地区統括責任者が、「金日成・金正日主義研究会」の副会長、常任委員を務めていて、チュチェ思想研究会の影響も受けています。
 関西生コンは「日朝友好なにわの翼」という朝鮮と交流する会の一員でもあり、平壌への訪問運動もやっています。(略)
 さらに、関西生コンは関係団体と共に、沖縄の辺野古新基地建設反対運動の支援にも熱心に取り組み、組合員を現地派遣しています。辺野古の運動にお金と組合員をドンドン送っています。僕はその証拠写真をSNSに上げていったりしています。海上デモに使うカヌーには、みんな「関西生コン支部」って書いてありますよ。

P221
篠原(略)
「平和オモニの会」は、チュサッパの代表的なグループです。彼女らは沖縄でやるパフォーマンスにもかかわらず、「朝鮮半島統一旗」を掲げて、「北朝鮮への国際的制裁を解除せよ」と書かれたゼッケンを身につけていました。実にチュサッパらしいですね。
 彼女たちは、名護市辺野古地区の「普天間基地代替施設」の埋立工事が進められているキャンプ・シュワブのゲート前で行われている、米軍車両の出入りや工事車両進入を妨害する座り込みにも参加しています。

P222-223
篠原「平和オモニの会」や「ミンジュン党」といった韓国の親北団体の沖縄での受け入れ窓口が、沖縄の「自主の会」なんです。そして、沖縄には「チュチェ思想研究全国連絡会」もあります。この会は、チュチェ思想を信奉する人々の総本山ですね。沖縄大学名誉教授の佐久川政一氏が会長を務めています。
岩田 佐久川氏は、沖縄問題の解決にはチュチェ思想が重要だと説いていますね。

P231
篠原(略)
 それと、とある沖縄の人が「沖縄は県全体が挫折感の塊みたいなところ」と言っていた。僕が初めて沖縄でチュチェ思想の話をした時、それを聞いていた沖縄の保守の人が、「これは沖縄で流行るの分かるわ」とおっしゃって、さらには「沖縄の人の心を捉えるよ」「東京の感覚では分かんないですよ」と言っていました。ちなみに音楽家の喜納昌吉氏もチュチェ思想研究会に出ています。会合で何回か発言もしているらしいです。

P232
篠原(略)「オール沖縄」の方には佐久川政一氏などのチュチェ思想研究会関係者がいるんですよ。
 沖縄の共産党の人たちは、チュチェ思想というのは沖縄のためでも日本のためでもないという意識が強いんです。彼らはずっと、北朝鮮からの干渉が、いわゆる占領最後の時期からあることを認識している。彼らはあくまで北朝鮮の利害のためにやっている。

P239
篠原 岩田さんが先ほど話したように、やっぱりチュチェ思想を信じている人を見ていくと、何らかの挫折感、敗北感を深刻に味わっている人がかなり多いですよね。事実上のトップの尾上健一氏はあまり多くを語らないけれども、彼自身は元々中核派でした。中核派の活動家をやりながら、在日朝鮮人のハンセン病患者の支援運動をやる中で目覚めたらしいんです。

P241-242
岩田 そうですね。全然、主体的じゃないんですよ、これ。
篠原 違いますね。最初に岩田さんが言われたように、自主的に生きるために自主的に金一族の教えに忠実に従わなければならないという話になる。結局、チュチェ思想というのは北朝鮮の利益のために持ち込まれたものなんです。そこが本質なんです。



コメント (15)
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小山先生

2021-11-05 20:23:10 | Weblog
ベトナム中部のフエという町で長年めぐまれない子どもたちの支援をしていた小山道夫さん。
日常を記したブログを長年楽しみにしていた。

その活動に対して少しばかり寄付したこともあるし、東京での活動報告会に参加したこともある。
もちろん、フエの「子どもの家」の日本料理店にも行った。

だが、小山さんの体力の衰えもあり、2015年ぐらいに活動を停止された。
その後、子どもたちがどうなったのか気になる。

ブログは、2015年からずっと更新がない。
・ボランティア・ストリートチルドレン・ベトナム 小山道夫火炎樹日記
http://koyamamichio.com/archives/2009/01/post_1795.html

ご健在なのか、どうしておられるのか気になってたまに検索する。

すると、ツイッターを見つけた。しかし、これも2015~2016年以降更新されていないようだ。
それにしても、温厚で知的、誠実そうな小山さんが口汚く罵る文面に驚く。

事実上、「難病悪化しろ」「知能が低い」「詐欺師」「精神異常者」「ミサイルでも直撃して死ね」などという意味の攻撃的な表現を行うことは、ヘイトスピーチと言えるのではないだろうか。
自分が正しいと思う構造に近づけるためには、暴力や憎しみも肯定される、という考え方なのだろうか。
学生運動世代の人たちは、そのような認識の人も少なくないのかもしれない。

しかし、いくら強い不満を感じても、憎しみを見せつけると、精神的に餓鬼道に落ちてしまうのではないだろうか。
ヘイトスピーチのお粗末さに気がつかない人々と同レベルになってしまう。

あるいは、ネット上では隠れた人格が出てきてしまうのだろうか。惜しく感じる。

たしか、息子さんは福島大学食農学類の小山良太教授ではなかっただろうか。親に助言はしていないのだろうか。
https://search.adb.fukushima-u.ac.jp/Profiles/3/0000204/profile.html


これはひとつの推測だが、共産党がネット世論を動かすために、党員にSNSの活用を指示したことはないだろうか。
SNSに慣れない高齢者が政権批判のコメントを書き込んでみたものの、なかなか感情の距離感を把握できず、心の底の邪悪なものを表出させてしまった、ということであれば残念。


<参考>小山道夫さんらしきツイッター
https://twitter.com/abeno_k2002_7
小山道夫@abeno_k2002_7
·2015年6月10日
早く、ポンポン痛くなーれ!!!、キジルシ安倍晋三!!!

小山道夫@abeno_k2002_7
·2015年4月21日
ベトナム日本語留学生が電動自転車を取られた!!!
キジルシ安倍晋三とキジルシ橋下は何とかしろよ!!!外語人に笑われるよ!!!

小山道夫@abeno_k2002_7
·2014年12月7日
壇上に安倍晋三!!!想像するだけで、胃が傷む!!!早く、下血しろ!!!

小山道夫@abeno_k2002_7
·2014年9月23日
5才児の頭!!!

小山道夫@abeno_k2002_7
·2014年9月16日
××××安倍晋三!!!を低め、ぺてん師ばかり!!!
××××安倍晋三!!!辞めろ!!!
××××安倍政権!!!打倒!!!

小山道夫@abeno_k2002_7
·2014年7月21日
消えて、無くなれ!!!
キジルシ安倍政権打倒!!!

小山道夫@abeno_k2002_7
·2014年7月20日
安倍にミサイルでも、落ちて来ないかなア!!!
キジルシ安倍打倒!!!


<参考>小山さんの経歴
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E5%B1%B1%E9%81%93%E5%A4%AB
小山道夫(こやま みちお、1947年11月23日 - )は、ベトナム・フエ市のストリートチルドレンの保育・教育施設「ヴェトナムの子どもの家」の創設者で、教師。「ベトナムの『子どもの家』を支える会」ベトナム事務所所長でもある。東京都出身。東京学芸大学教育学部幼稚園教諭養成課程卒業。
人物
2012年 国際社会で顕著な活動を行い世界で『日本』の発信に貢献した業績をもとに、外国人プレス関係者により構成される、世界で活躍し『日本』を発信する日本人プロジェクトより、内閣府から世界で活躍し『日本』を発信する日本人の一人に選ばれた。英語名:Profiles of "Passion without borders" Japanese.
日教組分裂 1991.3.6 以前の都教組委員長を務め、1993年9月より、ベトナム・フエ師範大学で日本語教師に就く。同時にフエ市社会工作隊の建物を利用し、ストリートチルドレンの保護、教育を行い、その後、「ベトナムの子供の家」を設立した。小山自身は日本共産党員であるが、旧社会党系(現 民主党及び社民党)の活動家・政治家と親しく、1994.6.30~1997.11.7 の自社連立政権下においてはフエ省知事顧問として、「ベトナムの子供の家」などフエ市内の複数の施設に日本ODA事業を導入することに成功し、地元の信頼を勝ち得た。
日本では、JASS, The Japanese Association of Supporting Streetchildren's home in Vietnam, 「ベトナムの『子どもの家』を支える会」が設立され、全日本教職員組合(全教)・日本民主青年同盟(民青)・ピースボートなどを通じて、児童・生徒・学生による交流活動などが活発に行われている。


追記 2022/07
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-05-09/2013050917_01_0.html
2013年5月9日(木) しんぶん赤旗
第7回中央委員会総会 志位委員長の幹部会報告
(略)
 日本共産党には、この問題で他党にない有利な条件があります。一つは、わが党は、日刊新聞を発行している政党であり、日々生起する問題について、国民の立場に立って情報や見解を明らかにしており、それを党のホームページで毎日発信しているということです。いま一つは、党支部、地方議員、後援会、「しんぶん赤旗」読者網など、草の根の組織を全国にもっているということです。
 全党がネットによる選挙運動を活動の柱の一つとして位置づけ、思い切った開拓と挑戦をはかることをよびかけます。条件のあるすべての同志が、ツイッターやフェイスブックなどSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、ホームページやブログに挑戦しましょう。選挙期間中もSNS、ホームページやブログの更新が可能となります。政党と候補者は、メールによる選挙運動も自由になります。この条件をくみ尽くした選挙活動を開拓しましょう。都道府県委員会に、SNSに精通している機関や支部の同志、地方議員などによる「ネット活動推進チーム」を置き、集団的に促進する体制をとることを訴えるものです。



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