波打ち際の考察

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波屋山人

なります

2019-10-26 12:00:00 | Weblog
「なります」という言葉は、「成ります」あるいは「為ります」と書くことができる。
「AはBになります」という表現は、状況や物事が変化する様子を表現するときに使用される。

アイスクリームを買うと子どもの機嫌がよくなります。
800円の買い物に千円札を出すとお釣りは200円になります。
梅雨が明けると暑くなります。等々。

基本的に、状況が変化するときに「なります」を使う。

しかし、時代の変化によるのか、地域性によるのか、違う使い方をする人が多々見られる。
先日もテレビ番組を見ていたら、東芝の広報?の男性が、むかし販売していた機械式計算機について説明していた。

何回も「なります」を多用している。
しかし、聞いてみると全部「です」と言い切ればいいだけの表現だ。
「こちらが、機械式計算機になります」
となぜ言うのだろう。
「こちらが、機械式計算機です」
と言えばいいではないか、と感じる。

東芝の広報の男性としては、丁寧な表現のつもりなのだろう。
しかし、それがオブラートに包んだような、ワンクッションはさんだような、あいまいな表現になっている。

推測すると、「あなたの目の前に、今までなかったものが初めて出現しますよ」というようなニュアンスで「なります」を使っているのだろうか。
あるいは、「あなたのために、準備しておいたものをお目にかけますよ」「造花がハトになって帽子から飛び出しますよ」というようなニュアンスで「なります」を使っているのだろうか。

例えば、「こちらは、倉庫になります」「こちらは、古い写真になります」「こちらは、去年の決算書になります」という表現は、本来の「なります」の使い方から見ると違和感がある。
すでに倉庫はあるのに、倉庫に変化する? 写真が古い時代のものに変化する? 決算書が過去に変化する?
このような用法は、「~みたいな」「~のかたちで」などと同じく、ぼかした感覚的な表現になってしまわないだろうか。

「なります」をあいまいにぼやかす表現は、誤解を招く恐れがある。
論理的に物事を説明する手段として言葉を使うのであれば、「なります」の使い方について自覚的でありたい。


<参考>
https://talking-english.net/get-become-turn-into/
「~になる」の become / turn into / getの違い

https://judiciary.asahi.com/corporatelaw/2014080700001.html
60年前に既に使われた「~になります」は正しい日本語なのか
森下 国彦(もりした・くにひこ)

https://allabout.co.jp/gm/gc/473096/
「~になります」はおかしい?正しい意味と言い換え例


コメント
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