人間が地球で生きていくうえで、気候が安定していることは都合がいい。
予測のつかない天候の変化に対応しづらいし、災害が起きれば復旧にたいへんな労力がかかる。
人々は、人類が築き上げてきた社会組織が滞りなく機能するように願っている。
気候の大きな変動は避けたいと思っているけど、地球は長い歴史の間に何度も暖かい時期と寒い時期を繰り返してきた。
現在、何十年かのうちに何度か気温が上がったところで、驚くような出来事ではない。
ほんの何千年か前にも暖かい時期があった。東北地方や北海道はもっとあたたかく、東京は世田谷区や目黒区のあたりに海岸線があった。
これから日本の気温が何度か気温が上昇しても、何千年か前の状態に戻ったと言うこともできる。
だけど、人類は比較的気候が安定していたこの数百年のうちに、都市開発、農業、工業、漁業、観光、その他いろんな気候の影響を受けるジャンルで、社会基盤のシステムを築き上げてしまった。
このシステムを今さら変更することは難しい。
アメリカやフランスで小麦が取れなくなり、アラスカやシベリアが小麦の主要産地になったら多くの農家が廃業し、移民しなくてはいけなくなるかもしれない。
海水面が上昇したからといって大きな港湾都市を移転させるのは莫大なお金と労力が必要になる。
だから、この社会システムの大変換といった面倒なことを避けたい人たちは、地球温暖化を阻止する必要があると考えている。
ほんとうは、地球の気温などというものは宇宙の影響、太陽の影響、磁気の影響など抵抗しようのないものが原因で変化するのかもしれないけど、地球温暖化を阻止しようとする人たちは、二酸化酸素(CO2)を主犯として名指しした。
「CO2削減に協力すれば、環境にやさしく、地球の温暖化を阻止することができる、阻止しなければならない」といった印象をあらゆる媒体を使って広く宣伝している。
「人類の社会組織の安定のために、地球の温暖化を避けようとしている」ということが根本にあるのに、なぜ「環境にやさしく」と言うことを前面に出すのだろうか。
潰れそうな会社に勤務している社員が、「会社に優しくしましょう」などと言って経費削減に励むようなことではないだろうか。
何か、視点をそらさせようとしているのだろうか。
まあ、CO2を削減しようとすれば、様々な無駄な消費が抑えられるから私は傍観していた。
地球の資源には限りがあるわけだから、これからも社会組織を安定的に機能させるには、資源の浪費を避けたほうがいい。
資源を節約し、浪費を避け、スケールの大きなアメリカンなもの意外にも価値があるのだということを発見するのは、クリエイティブなことだと感じている。
何万年も質素で貧乏な時代を過ごしてきた人類がちょっと豊かになると、貧乏なときの価値観でやりたかった贅沢に没頭した。
たくさん食べたい。
たくさん買いたい。
たくさん所有したい。
たくさん浪費したい。
それが豊かなことだと思っていた。
だけど、貧乏だった人たちもそういう日々を続けていると、やがて精神的な貧乏から抜け出してくる場合もある。
すばらしいものを食べたい。
すばらしいものを買いたい。
すばらしいものを所有したい。
すばらしいものを消費したい。
そういう価値観もある。
量で満足するのは味にうるさくない人。品質にもうるさくない人。
だけど、複雑なものが感知できるようになってくると、いいもの、すばらしいものに触れたくなる。
高品質なもの、高価値なもの、価値があると見出せるもの。
別に、高価なものとは限らないし、珍品だとも限らない。
オフィス街から見える入道雲や夕焼けが、高級避暑地から見えるチョモランマの山並みやブロードウェイのミュージカルの豪華なフィナーレに負けないほど感動的な場合もある。
資源を浪費する精神的に貧乏な時代から、浪費しなくても満足できる豊かな時代に、人類は移行しているのかもしれない。
そういう価値観の大転換期に立ち会えることは幸せだ。
だけど、どうもCO2削減の掛け声がうさんくさく聞こえることもある。
CO2削減のために電車を使ったほうがいい。
CO2削減のために冷房の温度を上げればいい。
CO2削減のために紙の消費を減らせばいい。
そういうレベルの話に落ち着いてしまうのなら、人類は地球や大自然から共存できませーん、という感じに拒否されてしまうかもしれない。
温暖化するのが嫌なら、なぜ嫌なのかを掘り下げて意識すべきではないだろうか。
基本的に、自分たちの作り上げてきたものがうまく機能しなくなることを嫌がっているだけではないだろうか。
CO2が原因と決まっているわけでもないのにCO2の排出を削減すれば救われる、みたいなことを信じることによって精神の安定を得ている。
私が環境政策に関わる人間なら、まず、CO2削減のために下記の提案をする。
■私たちがCO2削減のことにできる効果的なこと
1.CO2削減のために、摂取カロリーを現在の3分の2以下に減らしましょう。
~人類史上、現代人ほど太った人間はいません。摂取カロリーを減らして痩せましょう。
特に、肉の摂取は半分以下にしましょう。
肉を生産は穀物の生産に比べ、多くのCO2を排出します。
日本を除く先進国の多くは異常なまでに摂取カロリーが多い状態で肥満が問題になっています。
先進国の人たちの摂取カロリーを減らすためにあらゆる手段を試みましょう。
2.CO2吸収のために、森林面積を国土の50%以上に増やしましょう。
~人類史上、現代ほど森林を失った時代はありません。森林面積を増やしてCO2の吸収、地表の気温の低下につなげましょう。
日本を除く先進国の多くは本来森林が茂っていた温帯地域でも30%程度に森林面積が減っています。
世界の森林面積を増やすためにあらゆる手段を試みましょう。
政治家や環境保護団体の人たちで以上のようなことを言っている人はいるのだろうか。
何も知らなくてすみません。。。
人々が浪費しなくては成り立たない社会なんて、一度成り立たなくなればいいのではないか、と私は感じている。
まあ、人類に知恵がなかったとしても、社会組織は行けるところまでは行ける。存続できる。
行き詰れば他の道に流れていくか、滅びる。
それだけの話。
それから、争いを面倒くさがり様子見ばかりの日本の人たちは、結局強い人たちの都合のよい存在となっていないだろうか。
CO2削減の話でも、欧米先進国にとって都合のよいルールを押し付けられる傾向にあるのではないだろうか。
たまには日本から世界に話を振ってもいい。振り回される前に先制する。
北欧を除く欧米人にとっては森林面積の少なさは言われたくない話だろうし、
カロリー摂取量の多さも言われたくないだろう。
だけど、そういう交渉材料を認識しておかないと、議論ができずに追従するだけ。
そうしたい人はそうすればいいと思うけど、私はそうは思わない。
もし遅い夏休みで外国に行ったら、
「肥満者はCO2の排出量増加に加担している」
「森林率が50%も無いような国はCO2を排出しても、吸収しようという意欲は無いのか」
などと言ってみてもいいかも。
東南アジアではちょっとそういうふうに言えないけどね。
一般的に、東南アジアの人たちは日本人よりももっとスリムだから。
江戸時代末期や明治時代の写真を見ると、東南アジアの人たちを想い出すことがある。むかしの日本人は現在よりももっと脂肪が少なくスリムだった。
<参考>
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080903-00000946-san-soci
■食は和にあり 日本「肥満」少なく、けた違いのスリムさ
9月3日15時37分配信 産経新聞
食をめぐる21世紀の世界は異様な光景を描き出している。一方で、途上国の深刻な食糧不足と飢餓。他方では飽食と肥満。その中で日本の料理に国際的な関心が高まっているのは、食材の利用に無駄が少ないことと、健康イメージが強いことが大きな理由だという。
経済協力開発機構(OECD)がまとめた主要30カ国の15歳以上の肥満率によると、BMI(体重を身長の2乗で割った値)が30以上の「肥満」人口のトップは米国の32・2%。日本は韓国と並び最も低い3・2%。米国の約10分の1とけた違いの少なさだ。
BMI25~30未満の「過体重」では、トップのイギリスが39%、2位メキシコ38・1%。日本は21・6%と、これまた最も低い。皮肉にも昨年、その日本で肥満大国・米国のダイエットDVD「ビリーズ・ブート・キャンプ」が流行した。これも実は日本人の健康に対する関心の高さを示す珍現象かもしれない。
(略)
<追記2008.9.8>
ちょうど昨日こんなニュースがありました。インド生まれのお偉いさんが肉の消費量を減らすよう呼び掛けたとか。
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/life/jiji-AFP019214.html
■気候変動防ぐため「肉食べる量減らせ」=国連専門家
2008年9月7日(日)21:30
(時事通信)
【ロンドン7日AFP=時事】7日付の英紙オブザーバーによると、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」のラジェンドラ・パチャウリ議長は、気候変動を防ぐためとして、人々に肉の消費量を減らすよう呼び掛けた。同議長自身は菜食主義者。≪写真はパチャウリ議長。5月撮影≫
同議長はこの中で、食生活を変えることは温室効果ガスの排出抑制、家畜などの飼育に関連した環境問題の抑制に重要であると指摘。まず「肉を食べない日」を週1日設け、その後さらに消費量を減らしていくべきだと述べるとともに、問題の緊急性、短期間で抑制効果をもたらす可能性を考慮すれば、取り組むには今が絶好の機会だと訴えた。
また同議長は「他の小規模なライフスタイルの変化」も気候変動を抑えるのに役立つと述べたが、詳細には触れなかった。
IPCCは2007年、地球温暖化への対応を取らなければ、地球の気候システムに破局的変化が生じ、飢餓、干ばつ、風水害などを招く恐れがあると警告し、ゴア前米副大統領とともに同年のノーベル平和賞を受賞している。〔AFP=時事〕