波打ち際の考察

思ったこと感じたことのメモです。
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波屋山人

朝鮮紀行

2017-08-17 22:27:45 | Weblog
イザベラ・バードというイギリス人女性は、明治時代に東アジアを何度も旅行し、紀行文を残している。
当時の衛生環境や農工業、文化などは現代とかなり異なっているのでとても興味深い。
むかしざっと読んだ『朝鮮紀行』を読み直そうと思い、図書館で借りてきたが、なんだか違和感があった。
妙に、〔  〕で囲んだ補足説明が多い。
しかも、よく読むと、翻訳者が朝鮮・韓国人としての立場から意見を述べている内容が目につく。。。

例えば序章の一文。

P28-29
>(略)朝鮮半島の原住民に関する伝説は、ここに記述するには余りにも神話的である。しかし、箕子(キツゼ、もしくはキザ)――彼に就いては後程言及する――が紀元前十二世紀に中国文明を朝鮮に導入した時、〔檀君朝鮮後、中国殷の箕子が朝鮮に来て王になった、という『箕子東来説』は今日否定されている。平壌に箕子陵、箕子廟があるのは高麗時代以後の事大思想の所産に過ぎない、という〕すでに居住していたのは確かな事である。当然箕子の征服とひき続く満州からの入植は、朝鮮人に若干の痕跡を残した。しかし朝鮮人は、最も近い隣国人である中国人や日本人の両者とは著しく異なっている。朝鮮人には人相学上注目すべき多様性があり、その単調な服装のために、それはいっそう目立っている。


この記述にはちょっと疑問がある。
韓国の人は、中国系の王朝である箕子朝鮮の存在は認めたくないのかもしれないけど、100%否定することは難しい。
箕子朝鮮の実在を完全否定しているのは韓国・朝鮮の学会だけ。
世界的には、箕子朝鮮よりも檀君朝鮮の方がファンタジーだと認識されている。
歴史学的には、モンゴル(元)に高麗が侵略された13世紀、民族主義の高まりの中で「檀君朝鮮」という伝説が創作された、という意見の方が支持されているのではないだろうか。
少なくとも、12~13世紀以降の歴史書しか持たない韓国の文献では、古代の朝鮮半島について研究することは困難だ。
はるか古くからの記録が残る中国の古典を読み込めば、韓国人の自負心を満足させる世界観を肯定することはむずかしい。
中国の古典に檀君の記述がどこにもないことや、倭人が朝鮮半島南部に住んでいたという記述があることは、韓国の人にとって不都合なのだろうか。
だからといって歴史を直視しないでいると、歴史学の進歩がのぞめない…

<参考>
箕子朝鮮
http://urx.mobi/FkE7
>箕子朝鮮(きしちょうせん、紀元前12世紀? - 紀元前194年)は、中国の殷に出自を持つ箕子が建国した朝鮮の古代国家。古朝鮮の一つ。首都は王険城(現在の平壌)。『三国志』「魏志」東夷伝 辰韓条、『魏略』逸文などに具体的な記述があり、考古学的発見からは、箕の姓を持つ人々が商朝から周朝にかけて中国北部に住んでおり、商朝から周朝への時代変化とともに満州、朝鮮へと移住した可能性が指摘されている。


この本(平凡社版、朴尚徳訳)の翻訳のレベルの低さについては、多くの人が指摘しているようだ。
「韓国研究」ブログに具体的な間違いが詳しい。
平凡社は、回収・絶版を検討しているだろうか。クレームが頻繁に来ていてもおかしくない。

http://qcastle.blog74.fc2.com/blog-entry-1023.html
■「韓国研究」朝鮮紀行-別記 #6:『朝鮮奥地紀行』(朴尚得訳)は読まない方が良い 

次のようなことを書いている人もいる。ただ、表現が攻撃的。もっと穏やかに事実だけ指摘してもいい。

http://www.tamanegiya.com/blog/2016/02/26/tyousenjinusotuki/
■朝鮮人は息をするようにウソを言う 高秉雲と朴尚徳

Amazonのトップカスタマーレビューも「出版社は廃刊せよ -誤訳・誤注まみれのボッタクリ本」と辛らつだ。
http://urx.mobi/FkBi
■朝鮮奥地紀行〈1〉 (東洋文庫) 単行本 – 1993/12/1
イサベラ・L. バード (著), 朴 尚得 (原著, 翻訳), Isabella L. Bird (原著)

翻訳者の朴尚得(パク・サンドゥク、Park Sang-Duk?)さんは1927年朝鮮半島生まれ。1935年の初めに父を追って母と来日。東京大学文学部心理学科卒業とのこと。何を仕事にされていたのだろうか。

それに比べて、時岡敬子さんの翻訳は安心して読むことができる。訳者の見解を盛り込んだ注釈があまりないので読みやすい。

自宅の部屋のどこかに埋もれている『朝鮮紀行』はこの本だと思う。
http://urx.mobi/FkBa
■朝鮮紀行〜英国婦人の見た李朝末期 (講談社学術文庫) 文庫 – 1998/8/10
イザベラ・バード (著), 時岡 敬子 (翻訳)


とりあえず、翻訳や注釈の正確性に問題のある平凡社版はおすすめできない。
ただ、韓国の人の歴史観を知るための資料としては、訳者の翻訳や注釈は役立つかもしれない。

どの国の人のことも生理的に嫌うべきではないけど、その人たちの世界観に合わせる必要はない。
韓国の人にも特別な感情を持つことなく自然に付き合いながら、彼らに都合よくアレンジされた歴史観・世界観に流されなければいい。
客観的な視野を持つためにも、彼らの世界観を知っておくことはわるくないと思う。




コメント (21)
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地方大学の活性化

2017-08-16 21:33:56 | Weblog
地方の大学に通っていたときは、風呂トイレ別のアパートが3万円だった。
東京だったら、同じようなアパートが7万円ぐらいするのではないだろうか。
地方大学は、家賃が安い!ということをアピールしてもいい。

受験生を集めるのに苦労している地方の大学を活性化させるには、いくつかの方法がある。
手っ取り早いのは、「都市圏の大学の入学定員を減らすこと」。
次に、「大規模私立大学の広告費を減らすこと」ではないかと思う。

私立大学には、毎年総額3000億円以上の私学助成金が出されている。
首都圏の早稲田大学・東海大学・慶應義塾大学・日本大学が上位4大で、年間約350億円。
毎年10億円以上もらっている大学も50校以上ある。
それだけの助成金をもらっておきながら、かなりのお金が広告費に使用され、広告会社やメディアを潤している。

それに比べて、国公立大学の広告予算は微々たる額だ。
私学が、税金から得た助成金を広告費に回すのは不適切ではないだろうか。
そもそも、私学助成金は憲法違反ではないかとも言われている。
地方国公立大学と同等以上の広告費を使う私立大学に対しては、私学助成金をカットしてもいいのではないかと考える。

広告予算が多い影響もあり、大規模私立大学は知名度を高めている。
世界大学ランキングの500位にも入らないような関東ローカルの私立総合大学が、人気大学として存在感を示している。
広告を出してもらっているメディアも、研究とか教育の質では評価できないから、人気度とか就職に強いとかよくわからない尺度を持ち出して私大のイメージアップに貢献している。

有名私大の合格者平均偏差値はそこそこ高いのかもしれないけど、上位合格者3分の2は入学辞退が多い。入学者の平均偏差値はかなり落ちる。
都心部にある学校は就職準備校としては評価が高いのかもしれないけど、教授一人あたりの学生数は多く、教育の質が高いとは言いにくい。
学生も首都圏から通う学生が3分の2を超える大学が多く、多様性に乏しい。地方から出てきた学生にとっては住居費の負担が大きい。

メディアも、小中学校では少人数教育が重要などと言いながら、私立大学の教育の質にはあまり関心を寄せない。
首都圏人気私大の虚像を指摘するような特集を組めば、出身者の多い社内から反発があるのだろうか。広告が取れなくなるのだろうか。

ほんとうは、首都圏でも電通大学とか東京農工大学とか千葉大学とか、研究や教育、就職において評価の高い国立大学は少なくない。
首都圏や関西の大学ばかり注目されがちだけど、地方にも教育の質が高い、学生を育てる小さな大学は数多い。
そういった大学が正当に評価されるためにも、大手広告代理店と組んでイメージ戦略に大金をつぎ込んでいる大規模私立大学は、何億円か使っている広告費を何千万円かに制限してもいいのではないだろうか。
(決算書を見ると、国立大学は、東大や京大ですら広報宣伝の予算は1億円以下のようだ)

大規模私立大学の広告が少なくなれば、メディアも各大学に「配慮」「忖度」といったことが減るかもしれない。


https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170816-00000002-mai-soci
■<地方大学>活性化に交付金、政府方針 東京集中解消狙い
8/16(水) 6:30配信 毎日新聞
 政府は、地方の大学の活性化を図る新たな交付金を創設する方針を固めた。自治体が地元の大学や経済界と連携して展開する地域振興の取り組みを支援する形で、2019年度から百数十億円規模の交付金の支給を目指す。地方大学の教育・研究環境の底上げを図るとともに、東京に集中する私立大学などの地方移転も促し、大学生の「東京一極集中」を解消する狙いだ。
 東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県の大学と、地方大学の単位互換制度やサテライトキャンパスの設置を促す総額10億円規模の補助金創設も別途検討する。
 交付金と補助金は、内閣官房の「まち・ひと・しごと創生本部」事務局が支給する。今年度に制度検討を始め、来年度の募集開始を目指す。自治体の首長や地元の大学などで作る協議会で産学官が連携した事業計画の策定などを促し、有識者が評価して交付金支給を決める仕組みにする。
 支給対象の想定は、地域の企業による学生のインターンシップや現場実習の受け入れ▽地元企業から大学への講師派遣▽大学と企業の共同研究など。地方の大学を卒業した学生がその地方で就職しやすい環境づくりを進める。自治体と大学によるまちづくりなども評価対象とする。文部科学省による既存の大学支援策と区別するため、地域を担う人材の地元定着など「人の流れ」を変える取り組みが対象となる見通しだ。
 首都圏の大学定員は増加傾向で、都内の大学の定員総数は、大学に進学する都内の高校卒業者の約2倍に上る。政府は東京23区にある大学の定員数を据え置く方針だ。これに加えて新たな交付金や補助金を創設することで、既存の地方大学の底上げと東京の大学の地方転出を促す。【遠藤修平】


https://resemom.jp/article/2017/08/16/39849.html
◆世界大学学術ランキング(ARWU)2017
<国内の大学トップ10>
24位 東京大学
35位 京都大学
84位 名古屋大学
101-150位 大阪大学
101-150位 東北大学
151-200位 北海道大学
151-200位 東京工業大学
201-300位 九州大学
201-300位 筑波大学
301-400位 千葉大学

https://resemom.jp/article/2017/06/08/38569.html
◆2018年QS世界大学ランキング
<国内トップ10>
※( )内の数字は総合順位を表す
1位 東京大学(28)
2位 京都大学(36)
3位 東京工業大学(56)
4位 大阪大学(63)
5位 東北大学(76)
6位 名古屋大学(116)
7位 北海道大学(122)
8位 九州大学(128)
9位 慶應義塾大学(192)
10位 早稲田大学(203)



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灘中

2017-08-06 22:28:49 | Weblog
有名私立進学校では、教科書はあまり重視されていないのではないかと思っていた。
灘中の教科書がどんな内容でも、生徒は自分たちで受験の準備をするのではないだろうか。

むかし、灘中高出身の教授の講座(歴史)に出席していたことがある。
歴史学の世界ではありがちなマルクス主義的な先生で、なぜかソ連が崩壊した平成の時代になってからソ連の共産党黎明期に関することを博士論文として提出したり、「韓国ではなく南朝鮮と呼ぶべきだ」、などと言ったりしていたことを思い出す。。。

それはともかく、今でも灘中高では、進路相談の時には担任の先生にお金を包む、という慣例は続いているのだろうか。
1960年代には、50万円が相場だったと聞いている。10万円しか払わない保護者もいたそうだが。
もし、20人から50万円を受けとったらそれだけで1000万円。年収を超えてしまう。
灘中高の先生はそういった臨時収入を、きちんと申告していたのだろうか。

現在の灘中高の校長先生である和田孫博さんは、1971年に灘高校を卒業されたそうだ。
進路面談のときに、親は数十万の大金を教員に渡していたのではないだろうか。
和田校長は、1976年に灘中高の英語教師になられたそうだが、保護者から教員にお金を渡すという慣例は続いていたのだろうか。
むかしは、経済的に余裕がないのに、「謂(いわ)れのない圧力の中で」、お金を出さざるを得なかった保護者もいたのではないかと想像する。

<参考>
■『ともに学ぶ人間の歴史 中学社会 歴史的分野』
代表著作者/安井俊夫(子どもと学ぶ歴史教科書の会) 発行/学び舎
執筆者として、下記の人たちの名前がある。
http://manabisha.com/k-miryoku/pdf/prall.pdf
安井俊夫(元愛知大学、学ぶ会代表)
山田麗子(元公立中学校教員。学ぶ会副代表)
菅間正道(自由の森学園中学校・高等学校)
黒田貴子(元効率中学校教員)
関誠(公立中学校教員)

発行しているのは、個人事務所だろうか。出版健保には加盟していない会社のようす。
■株式会社 学び舎
〒190-0022 東京都立川市錦町 三丁目1番3- 605 号室 TEL/042-512-5960 FAX/042-512-5961
http://www.manabisha.com E-mail アドレス manabisha123@cronos.ocn.ne.jp

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170804-00000001-kobenext-l28
■灘中に「教科書なぜ採択」盛山衆院議員ら問い合わせ
8/4(金) 7:31配信 神戸新聞NEXT
灘中に「教科書なぜ採択」盛山衆院議員ら問い合わせ
歴史教科書の採択をめぐり批判のはがきが寄せられた灘中学校=神戸市東灘区魚崎北町8
 私立灘中学校(神戸市東灘区)が採択した歴史教科書を巡り、自民党の盛山正仁衆院議員(63)=比例近畿=や和田有一朗・兵庫県議(52)=神戸市垂水区=が同校に「なぜ採択したのか」などと問い合わせていたことが3日、分かった。インターネット上でも「政治圧力ではないか」と問題視する声が上がっている。
 同校が採択したのは、「学び舎(しゃ)」の歴史教科書「ともに学ぶ人間の歴史」。教科書は現役教員やOBらが執筆し、他社で記述がない慰安婦問題に言及。1993年に河野洋平官房長官(当時)が元慰安婦へのおわびと反省を表明した「河野談話」を載せ、併せて「軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような資料は発見されていない」と現在の政府見解も取り上げている。
 県教育委員会などによると、同校は2016年度から同社の歴史教科書を使用。同教科書を使っているのは県内では同校だけという。同委員会義務教育課は「(教科書の使用は)適正に行われている」としている。
 同校の和田孫博校長が昨年、同人誌に寄稿した「謂(いわ)れのない圧力の中で」と題した文章で「自民党の一県会議員から『なぜあの教科書を採用したのか』と詰問された」「本校出身の自民党衆議院議員から電話がかかり、『政府筋からの問い合わせなのだが』と断った上で同様の質問を投げかけてきた」と明かした。
 また、採択を批判する「文面が全く同一」のはがきが200通以上届いたといい、和田校長は「はがきはすでにやんだが、圧力を感じた」と振り返る。現在も和田校長の文書がネット上で引用され、論争となっている。
 盛山、和田両議員は神戸新聞社の取材に、批判のはがきとの関連を否定。その上で、盛山議員は「灘中の教科書について、OBとして周囲から疑問の声を聞いたので、校長に伝えただけだ」と強調。「『政府筋からの問い合わせ』と言った覚えは全くない」とする。
 和田議員も会合で校長に採択理由を尋ねたことを認め、「私個人は学び舎の歴史教科書に疑問があり、さまざまな会合で口にしている」と主張。「私立学校の特色ある教育は理解しており、圧力などではない」と話している。

http://eo.presidentfamily.com/tokushu/nada/
■和田 孫博(わだ まごひろ)
昭和27年6月
大阪市に生まれる
昭和40年
大阪市立の小学校から灘中学校に入学
中高6年一貫教育を受ける
昭和46年
灘高等学校卒業
昭和51年
京都大学文学部文学科(英語英文学専攻)卒業
同年
母校に英語科教諭として就職



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