波打ち際の考察

思ったこと感じたことのメモです。
コメント欄はほとんど見ていないので御用のある方はメールでご連絡を。
波屋山人

箸尾事件

2013-03-29 23:55:31 | Weblog
以前、箸尾事件とも言われる盗作騒動があった。
販促会議という雑誌の「公開 これがプロの企画書だ!」という特集。
サイバーエージェントの社員が堂々と企画書を示していたが、その内容は某社の社長が作成した資料を無断使用したものだった。
ちょっとアイデアをお借りした、というレベルではなく、アイデアも文面もまとめもごっそりコピーしたという印象。
とてもプロの企画書と言える仕事ではない。
当然大きな問題となり、ぼくの耳にも入ってきた。

<参考> 箸尾拓哉氏の記事の弊社資料無断転載について
http://www.usability4s.info/press/0512.htm

ユニークなアイデアを大々的にパクられた女性社長は、すぐに株式会社宣伝会議やサーバーエージェントに抗議したらしい。
だが、各社は「盗作は犯罪」という認識が薄いのか、厳正な対処をしなかったようだ。

通常、出版社ではこのような無断転載は大きな問題となるが、宣伝会議は事態を深刻に受け止めなかった。
今でも販促会議という雑誌の該当バックナンバーはネットで購入できる。
ちゃんと女性社長に著作権使用料か迷惑料は払っているのだろうか。

宣伝会議は表参道に立派なオフィスがあるけど、内情がどうなのかはよくわからない。
http://careerconnection.jp/review/2174-kutikomiList.html
http://2chreport.net/com_59.htm

そんな7~8年も前のことをふと思い出したのは、先日テレビで謝罪代行業が紹介されていたから。
上司に代わって同行して謝り、頭を下げてやりすごし、具体的賠償などは行わない。
ひたすら謝ってうやむやにしてしまう。
箸尾事件では上司を名乗る人がひたすら頭を下げていたらしいけど、結局何か具体的な賠償などはあったのだろうか。

以前は箸尾氏の名前を検索するとすぐに盗作騒ぎのことが上位に表示されていたけど、最近はツイッターやフェイスブックなどのページが出てきて、なかなか過去の事件は出てこない。
それでも、あの事件を覚えている人はまだ多い。

出版社的には完全にアウトの事例だけど、なぜIT企業はうやむやにしようとしたのだろう。
紙に印刷して流通させると取り返しのつかない出版と、ネット上で文面をすぐに修正できるITでは意識に大きな差があるのかもしれない。


追記 もし、それなりの賠償金などでカタがついた話であれば、すみません。

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混沌からつむぎ出されるもの

2013-03-14 23:31:22 | Weblog
ぼくはしゃべることが苦手だ。
何をしゃべっていいのかわからない。
人前に立つと、言葉を発するための回路が切れてしまう。

みんな、どのようにして発話しているのだろう。
頭のなかには言葉になる以前の方向性のようなものが生じていて、気の向くままに言葉を発すると、それがまとまりのある言葉になるのだろうか。
ぼくはそんなに器用なことはできない。

ぼくの頭の中は混沌に満ちていて、ひとつのことを考えていてもすぐに違うことを考えてしまう。連想ゲームのように意識することはどんどん移り変わる。
筋道立てて話をすることは非常に苦手だ。
書くのも同じだけど。

それでも、社会人として長年過ごしてきて、リハビリのように、ある程度世の中の秩序に合わせる姿勢も身につけた。
極端に苦手だった電話も人並みに使っているし、客人に対して失礼な振る舞いもあまりしていないはずだ。
言語のルールにも従っている。言葉にならない輪郭のあやふやな音を不規則に発することもない。

だけど、過ぎ行く風景の中で、新築の角ばったオフィスビルやマンション、学校の校舎などが目に入ると、心に違和感が生じる。
ぼくは、曲線が好きだ。
方向性に締め付けられていない、混沌が好きだ。

この世の中では、秩序が生き残り、評価される。
生産性の高いものは競争に勝つ。
少なくとも、そういった一面が目につきやすい時代だ。
だけど、確かではないものを仮の確かなものとして据え、それを積み上げるような論理はいつまで続くのだろうか。

いじめ、労働、お金、人権、民主主義、自由、友人、戦争、平和、非暴力、正義、愛、悪。
そういった言葉を書くと、そういうものが存在しているように感じる。
だけど、そのくらいの人が、それぞれの記号としての言葉が示している構造を認識しているだろう。
なぜ、あやふやな認識のまま、それを土台にして思考を積み重ねあげることができるのだろう。

みんな、五官に感じとれるものは確かなものだと本能的に感じているのだろうか。
だが、生物の種によって、見える色も異なれば、匂えるレベルも異なる。
ある人にとって感知できない美的バランスが、他の人には感知できるということも珍しくない。

確固とした形があるというのは、思い込みかもしれない。
何も見えていないと思っていても、そこには構造的なバランスがひそんでいるかもしれない。


だから、何? と聞かれても戸惑う。
ぼくは何かを主張したいわけでもないし、何かを成し遂げたいわけでもない。
ただ、違和感を閉じ込めず、正直に向き合っていたいと感じているだけだ。


そういった姿勢の人を、ぼくは何人か知っている。
心理学者の岸田秀さんは、何かを主張したいわけでもない。名誉を得たいわけでもない。
ただ単に、自分の心の不安に向き合って、考えをめぐらせてきただけだ。
そこに強烈な指向性はない。

中沢新一さんも、秩序的なものにとらわれていない。
混沌の乱れのなかを縫って行く身ごなしの軽やかさ。
彼を捕まえようとしても、島田裕巳さんには、特定の角度からの残像しかとらえられないのではないだろうか。

岸田秀や中沢新一を、歴史学や物理学などの立場から批判する人もいるけど、それは童話や神話を科学で否定するくらい、面白みのないものだ。
彼らは、スリリングな解釈を発掘し、提供してくれている。
その比喩や解釈の示す構造を感知することは、自分たちの思考回路を柔軟なものに変え、豊かにすることにつながる。

競争力や生産力を重視した、短絡的な秩序に覆い尽くされようとしている世の中に、違和感をもつ人々も多い。
自分なりに価値があると思えることを感じとれれば、それが社会的に高く評価されることである必要はないのではないか、と割り切る人も増えてきた。

あやふやな概念を礎にして積み上げた秩序は、やがて限界をむかえる。
崩壊した後に混沌のなかからまた新たな秩序が生じるのかもしれないけど、それは短絡的ではない、混沌を含んだ、豊穣な秩序かもしれない。

そういった豊潤な秩序の世の中を構成するのは、岸田秀や中沢新一のような、人を咎めず、人の見えないことまで教えてくれるような、軽やかな人たちではないだろうか。

数々の失敗の後、目先の効率を優先することなく、奥行きのある複雑な構造を見極めることができる人たちが主流になる時代にたどり着くのだろうと感じる。

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ビーチ

2013-03-10 22:52:10 | Weblog
ビーチに着くと、砂浜を歩きながら各リゾートの様子を眺める。
感じ良さそうなところに入って行って「ビール飲める?」みたいなことを聞く。
東南アジアでビール1杯が3ドルも5ドルもするのは高いけど、海を見ながらちょっとしたリゾート気分を味わえる。
ありがちな、ぼくの一人旅のスタイルだ。

タイもミャンマーもいいけど、ベトナムにはムイネーとかファンランとかニャチャンとかホイアンとかフエとか、タイプの違うビーチが多くて飽きない。
海はあんまり青くないけど、耳元で潮騒が聞こえるバンガローとか、海の広がりを感じる立地は魅力的。

季節的にも、夏に入ったアナマンダラフエに行きたい。
休みのない日が何週間も続くとリゾートに避難したくなる。

どこでもすぐに眠れるのがとりえだったのに、ついに先日は睡眠導入剤を処方してもらった。
きのうはカモミールの入浴剤「華密恋」を入れて風呂に入り、リラックスして寝た。
でも今日は眠れるかどうかわからない。

アナマンダラフエのビーチヴィラでくつろぎたい。
やわらかいベッド。広くて静かな海。鳴き砂のビーチ。
朝食はメニュー豊富で、さすが5つ星リゾートといった印象。
日が沈んだらは無料シャトルバスでフエ市内に出かけて行って、床屋さんで耳掻きでもしてもらおう。
ベトナムの昔ながらの床屋さんでは、いろんな器具を使ってとても気持ちのいい耳掻きをしてくれる。

そんな夢想をしているうちは、うつにはならないかも。
もうしばらくがんばらなくては。
リゾートに行きたいー。

コメント (1)
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肩書き

2013-03-06 23:45:32 | Weblog
ふとメールを見ていたらひとつの件名が目についた。どんな講演会なのだろう。

> 差出人:腰痛克服への道
> 送信日時:2013年3月4日 20:04:42
> 件名:川嶋朗 医学博士 特別講演ご案内 + 緩消法技術提供説明会‏

以前、腰痛について調べていたとき、興味深い取り組みをされている人を見つけたのでメルマガを登録している。
私の腰痛はちょっとしたストレッチですぐ治ったので講演会や腰痛学習会に参加したり、教材を購入することはなかった。

久しぶりにメルマガを確認すると、配信者の肩書きが増えている。
肩書きの多い人には、どうも疑いを持ってしまうこの頃。

> 配信元; 社団法人 日本健康機構 理事長    
> 東京「痛みの専門院」院長
> 緩消法開発者  生理学博士
> 痛み研究の第一人者
>  腰痛克服アドバイザー 坂戸孝志

何年か前の肩書きはシンプルに1行だけだった。
> 配信元 腰痛克服トップアドバイザー 坂戸孝志


いつの間に生理学博士の学位を取得されたのだろう。
検索すると下記の情報があった。
http://blogs.dion.ne.jp/kei_asuka/archives/10266850.html
 

> 久しくメールを見てなく、今日、先生からのメールを見て・・
> ビックリ・・坂戸孝志先生が7月19日に東京麻布アメリカンクラブ
> にて博士号を授与されました。(左から5番目が坂戸先生)
> ちなみにUSAデラウエア州の大学から「生理学博士」を授与されたのです。
> ・・人ごとでなく本当によかったです。
> 論文は「腰痛緩消法と骨盤矯正」とのことです。
> ・・先生おめでとうございます。
> テキストを購入の際・・注意せんと!まやかしとちやうんって・・
> いろんな人から言われたりしましたが・・これにて一件落着?
> これでお墨付きが証明された訳で・・ワタクシもテキストと説明会のお陰で
> 悪夢の腰痛から解放されている現実を喜びたいと思うのです。


しかし、ブログに掲載されている写真を見ると、人物の陰になって少し見にくいけど、
背後に HONOLULU UNIVERSITY と書いてあるのがわかる。
これは、ディプロマミルとして有名なホノルル大学なのでは。

たしかに、オレゴン州政府のディプロマミルリストでは、ホノルル大学の現在の所在地は、デラウェア州だ。
http://www.oregonstudentaid.gov/oda-degree-authorization-academic-unauthorized-Invalid.aspx
> Unauthorized Schools and Invalid Degrees
> Name          Location(s)
> Honolulu University   Delaware

坂戸さんの周囲の人は、ホノルル大学の学位は正当なものと見なされないから取得しないほうがいいですよ、とアドバイスしなかったのだろうか。

あるいは、権威付けのため、お墨付きを得るために、非認定大学の学位でもいいから取得するのが戦略上いいと判断されたのだろうか。

だけど、いくら非認定大学の名前を隠しても、疑問を持つ人は出てくる。
せっかく興味深い取り組みをされているのに、信頼を得るどころか逆効果になってしまうおそれがある。

先月、元官僚だという人は下記の文を書いていた。林雄介さん、大学名はおそらくホノルル大学ですよ。
http://ameblo.jp/yukehaya22/entry-11466358880.html?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter
> ネット上でも、数万円で腰痛治療のバイブルを販売しておりネズミ講状態に
> なっています。極めて詐欺性が高いと言えます。
> ただ、本人が大学名を書いていないので、ディプロマミルと書けないんですよ。
> 大学名がわかれば、ディプロマミルと断言できますが、ディプロマミルは大学名を
> 書かなくなってきています。

http://ameblo.jp/yukehaya22/entry-11466920616.html
> で、出版社、あとコンビニや書店の販売責任を今後は追求できるように
> しないと、健康本詐欺、バイブル本と言いますが、これは被害が出ますよ。
> 生理学博士の腰痛解消本は、3万で電子商材を販売しています。
> 実際には、腰痛が治っていないという評価が多いのです。
> 本人は、高卒の土方か何かなので柔道整復師ですらありません。
> 博士号は大学名がないものはディプロマミルです。そもそも博士号は
> 授与基準が大学、学部で違うので大学名を書かなければ博士号として
> 無意味です。ディプロマミルで買った博士号を載せるのは詐欺ですよ。


ネズミ講とか詐欺とか、少し言いすぎではないかな。。。
アフィエイトはネズミ講ではないし、法律に違反しないものは詐欺ではない。
今週末、坂戸さんといっしょに講演会をされるという川嶋朗医師は、どのようにお考えなのだろうか。

> 川嶋朗 医学博士
> http://www.twmu.ac.jp/AWNML/N/annai/staff.html
> 東京女子医科大学附属青山女性・自然医療研究所 自然医療部門 助教授
> (東京女子医科大学附属青山自然医療研究所クリニック 所長)
>
> 日本統合医療学会 理事
> 日本ホメオパシー医学会 理事
> 日本波動医学協会 会長
> .H.M.国際波動友の会 インストラクター

うーん、いろいろ代替医療にも関わっていらっしゃる先生のようだ。
代替医療業界は、ディプロマミルの学位によって権威付けをねらう人が少なくないので用心が必要。
っていうか、波動ってニセ科学だといわれているのでは。。。
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/nisekagaku/nisekagaku_nyumon.html

追記
世の中には、魑魅魍魎というか混沌、順法と違法の境目、評価の難しいあやしい世界がある。そういった混沌がなければ活力を得られず社会秩序は壊死してしまうかもしれない。だけど、社会組織の中の良き社会人たちは、あやしげな世界に興味をあまり示さない。変なところに顔をつっこんでも得るものは少なく、下手をすれば社会組織の中での居場所を失うかもしれない。詐欺師や暴力的人間や倒錯者や変態や自己顕示欲にとりつかれた人や社会不適応者のことを無視し、遠ざける。しかし、きちんと制止すべきことは制止しておかないと、混沌の世界の人たちは社会秩序を犯しはじめるかもしれない。また、善悪を問わず見えるものを認識しておかないと、芸術作品の鑑賞眼は鈍ってしまう。だから、私はあえてこういった世界に言及する。



<参考>2015.1
東京女子医大の川嶋朗博士についてこのような記事もあった。

http://1000nichi.blog73.fc2.com/blog-entry-5799.html
2014.10.04
川嶋朗先生 ホメオパシー,波動 ,水からの伝言,氣の調整と何でもござれ

http://okimari.blog26.fc2.com/blog-entry-3250.html
2010.09.09
ホメオパシー×川嶋朗

http://dailycult.blogspot.jp/2010/09/blog-post_11.html
2010.09.11
ホメオパシー業界が反撃の署名活動・砂糖玉めぐり内ゲバも

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