第二次安倍内閣の頃、政府の対外姿勢が明らかに変化したように感じた。
当時の菅官房長官は、日本を攻撃するような外国政府の発言に対して沈黙せず随時「それは違う」と反論することが増えた。
黙ってやり過ごすことが多かったのに、何やら戦略的に行動するようになったのは、そういった部署が強化されたためではないかと推測した。
マスコミの人たちも、記者クラブで政府の情報をもらうだけではなく、状況証拠から見て明らかに情報機関が強化されたと思われる場合は、その深層を自力で取材してみてほしい。
宣伝工作や情報操作に関係が深いマスコミは、無関係ではいられないはずだ。
日本にはまともな情報機関がないと言われていたけど、現在ではCIAやMI6に通じる情報機関が設置・拡充されているのかもしれない。
強化のなかでファイブアイズの助けを得て、ノウハウを導入。支店のような状況になっているからこそ、「ファイブアイズに加盟」という話も出ているのではないかと感じる。
情報の収集や活用を積極的に行い、近隣諸国への牽制にも使用している可能性がある。
今までのん気に日本社会の利益よりも近隣の共産主義・社会主義政府の利益になるような行動をしていた人も、注意が必要かもしれない。
数年前に、通信社のちょっと偉い人にそういったことについて聞いたところ、「君の方が知ってるでしょ」とはぐらかされたことがある。その人は、海外でハニートラップにも対峙してきた人だ。記者に対してもいろいろあったそうだ。
私は全然知らないので少し気になる。
https://news.yahoo.co.jp/articles/bc558299540a501e30ab4a49cd43b0a183536c79
> ■日本もスパイ協定に?河野防衛相が接近するファイブ・アイズとは
> 8/21(金) 9:32配信 FRIDAY
> 日本は、主要国ではおそらく突出してインテリジェンス(情報収集・分析)能力が弱い。なにせ専門の「対外情報機関」もない。
> そんな日本が中国や北朝鮮の脅威に備えなければならない厳しい状況のなか、8月14日付「日本経済新聞」電子版が、河野太郎・防衛相の興味深いインタビュー記事を掲載した。
> 河野防衛相は、米英が主導する機密情報共有の枠組み「ファイブ・アイズ」との連携に意欲を示し、「日本も近づいて『シックス・アイズ』と言われるようになってもいい」と語ったのである。
もしかすると、日本学術会議に関する一件も、インテリジェンスに関係あるのかもしれない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/90693247c885b82629f358bd2892a08fb70615fe?page=5
■日本学術会議が北大の“学問の自由”を侵害 名誉教授は「なぜ中国を批判しない」と指摘
10/21(水) 6:00配信 デイリー新潮
以前から、情報機関には少し興味があった。
野田敬生さんの『CIAスパイ研修―ある公安調査官の体験記』が刊行されたのは2000年。
その後も関係者を怒らせるような活発な活動をしていたが、2008年だか2009年にはブログもHPも閉じて消息を絶ってしまった。
ブログのキャッシュも残っていない。
http://espio.air-nifty.com/
web魚拓には2008年の文が少し残っている。彼はどこに行ってしまったのだろうか。健在であれば現在50歳。
https://megalodon.jp/2008-0117-1618-39/espio.air-nifty.com/
佐々淳行さんの『私を通りすぎたスパイたち』にはインテリジェンスについて知ることができる多くの関連図書が紹介されているが、野田敬生さんの本はまったく紹介されていない。
認めていない、ということだろうか。
テレビで目にすることの多かった佐々淳行さんが亡くなられたのは2018年10月。
最近読んだ『私を通りすぎたスパイたち』には興味深い記述が多かったので、いくつかメモ。
■『
私を通りすぎたスパイたち』文藝春秋、2016年3月
p52
スパイを取り締まる側になった私だが、もう明かしてもいいころだろう。実はスパイを運用していたことがある。
一九六五年(昭和四〇年)から二年半、香港領事を務めていたときのこと。『香港領事佐々淳行』(文春文庫)で少し触れたように、大陸情勢について元国民党政府軍准将の孫履平氏からアドバイスをもらっていた。
p71
一流のスパイ・キャッチャーになるために、秘密裡にアメリカに「留学」。ジョージタウン大学の聴講生という触れ込みだったが、実際は、CIAやFBI仕込みの猛特訓を受ける日々。ピストルの撃ち方、スパイの尾行や追跡のノウハウから、警官ならではの俗語の使い方やら、見るもの聞くものすべてを実地で学ぶ研鑽の日々だった。唯一、ハニー・トラップに関する講義はあったものの、その誘惑に打ち勝つための実地研修がなかったことが心残りだったが……。
p72
諜報活動(インテリジェンス)、いわゆるスパイが目的とする活動は次の二つに大別できる。
ひとつは、国家機密の探知、収集活動である。諜報活動によって得た情報は、ときとして政策決定にきわめて重要な役割を果たす。「日本は南進政策をとる。北進してソ連を攻撃する意図はない」というゾルゲの報告によって、ソ連軍は部隊配置の変更が可能になったのはその典型、かつ大成功した例だ。
そしてもうひとつが、積極工作(アクティブ・メジャーズ)と呼ばれる謀略活動である。これは対象国の政策や世論などを、自国によって都合のよい方向に誘導することだ。
p77
社会党にソ連の資金が流れていたことも暴露された。レフチェンコはコード・ネーム「キング」という社会党大物議員に三〇〇万円を渡したことや、ソ連共産党から社会党への資金提供も明らかにしたのだ。
p133
繰り返し述べてきたように、日本にスパイを取り締まる法律はない。
だから、戦後発生した四五件以上の北朝鮮工作員の諜報活動事件、潜入脱出事件は苦労して捜査し、検挙しながらも「執行猶予付きの懲役一年」という情けない結果に終わってしまい、そのつど、日本の外事警察は口惜しい思いをさせられてきた。
p178
「私は警察庁の元外事課長ですよ。KGB捜査の現場の係長もやったんです。瀬島がシベリア抑留中、最後までKGBに屈しなかった大本営参謀というのは事実ではありません。彼はスリーパーとしてソ連に協力することを約束した『誓約引揚者』です」(略)
すなわち、ラストボロフ事件の残党狩り、落穂拾いをやって、ソ連大使館のKGB容疑者を張り込み、尾行し、神社仏閣や公園などで不審接触した日本人や外国人を突き止める仕事を毎日毎晩やっていたころのことだ。
「作業の過程で、不審接触した日本人を尾行して突き止めたのが、当時は伊藤忠商事のヒラのサラリーマン、瀬島隆三です。外事の連中は当時から知っています」
p189
日本は、長年にわたってこの「インテリジェンス」が実に貧弱だった。
二〇一三年(平成二十五年)十二月、「国家安全保障会議(日本版NSC)」が発足、さらに長年の懸案だった特定秘密保護法が成立した。安倍晋三政権になって、着実に整備が進んでいることは間違いない。
p191
法案の成立までには賛否両論、激しく議論されたが、日本の国益、国民の安全という大局に立つと、社会の風通しが悪くなるような副作用が減るように最善の努力をしながら運用していくしかない。(略)
日本版NBCと秘密保護法、そこまではできた。とはいえ、独立主権国家として要求される「インテリジェンス」の水準にはほど遠い。(略)
唯一にして最大の目的は、国家の責務たる安全保障、国家危機管理である。
p192
今や喫緊の課題となった国際テロの防止には、各国の情報機関と情報を共有することがきわめて重要になる。簡単かつ具体的に言えば「誰を、あるいはどこの機関、組織を押せば、問題解決へのトビラが開くか」を理解していることだ。そしてもちろん、実際に押せなくてはいけない。
これが、情報の世界でいう「ヒューミント」(人的情報)である。
情報収集の方法は、
1ヒューミント(ヒューマン・インテリジェンス)……人間が人間から収集する。情報の世界の人間関係も含まれる。
2コミント(コミュニケーション・インテリジェンス)……通信傍受による収集。
3エリント(エレクトロニック・インテリジェンス)……レーダー波など、非通信用の電波による収集。
と大別されてきたが、近年はコミント、エリントなど信号傍受による情報収集をシギント(シグナル・インテリジェンス)と総称するのが一般的になった。偵察衛星による監視も日常的に行われ、機器・設備、技術の進歩が著しい。「スノーデン事件」として大騒動になった、アメリカ政府による大規模なネットワーク上の情報収集は記憶に新しい。
p195
「スノーデン事件」の後、同盟国の情報もネットワーク上で傍受していたことを追及されたオバマ大統領は「どの国の情報機関も非公開情報の収集は行っている」と、開き直りのような釈明をしていた。実際、イギリスやフランスの情報機関も似たようなことをやっている。(略)
国際テロの横行する現代において、政府による非公開情報の収集は公然の秘密として、国民の安全に寄与している。
当然のことながら、非公開情報の収集をしているのは米・英・仏といった、「日本と同じ価値観を持つ国々」だけではない。軍事大国化して、周辺国を脅かしている中国がどうしているかは容易に推察される。中国に対する防衛力増強の議論では、すぐ「軍事的緊張を高めるな」と紋切り型の批判が出る。
しかし「情報」という武器を持たない日本は、「軍事的衝突を避けるため」「緊張を緩和するため」といった交渉も含め、あらゆる場面で、丸腰で対峙しているのである。
p196
私は以前から剣と盾を併せ持つインテリジェンス機関、「内閣中央情報局」の創設を提案してきた。
インテリジェンス機関なくして、独立主権国家たり得ない。
p206
残念ながら内閣情報調査室は、情報機関としてとても国際水準とは言えない。目も耳も、手足も持たないからである。
実際、国際的なインテリジェンス・コミュニティにおいて内閣情報調査室の存在意義はほとんどない。諸外国の情報機関に相手にしてもらえないのである。海外情報は完全にアメリカ依存なのだが、CIAの要らない情報をもらっているのが現状なのだ。
国際インテリジェンス・コミュニティのメンバーとして、認めてもらえるのは警察庁警備局公安課や外事課といった部署である。
p212
あるときを境に主張や態度が激変してハニー・トラップに引っかかったと噂されるケースは少なくない。
代表例は、拉致議連(現・北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟)の設立メンバーの一人でもあったタカ派の某政治家だ。
当初は、「拉致問題が解決するまで北朝鮮に対して食糧支援を行わない」と発言するなど、強硬な姿勢をアピールしていたが、一九九七年(平成九年)、拉致議連のメンバーとして北朝鮮・平壌を訪問、帰国すると態度が一変した。
「拉致は実態のないもの」などと言いだして、主張が一八〇度変わってしまったのである。
北朝鮮の女性接待員とベッドにいるところを、マジックミラー越しに撮影され、脅迫されたためではないかと噂されたが、本人はかたくなに口を閉ざしていた。
こうしたことは北朝鮮に限らない。ロシアでも中国でも、一般的な常識としてホテルの部屋にある鏡はまずマジックミラーだと考えた方がよい。最近は超小型のカメラがいくらでもあるから、鏡以外でも仕掛けることは容易だし、盗聴器の可能性もある。
p216
われわれが費用を持って接待したわけではないが、“弱み”を進んで握らせてくれた人々もいた。
私が香港領事だったとき、実に多くの国会議員がやってきて、与野党問わず、彼らはごくわずかの例外を除いて、女性を所望した。自分が宿泊しているミラマーホテルなどに連れ込むのは、香港警察の取り締まりが厳しくて難しい。
だから、売春専用のホテルに案内して、女性と値段の交渉もするというのが領事の夜の仕事だった。二年半の任期を終えて帰国したとき、私の手元には数百枚の名刺があり、そこには社会党の議員たちも数多く含まれていたのである。
彼らのところに「帰ってきました」と挨拶に行くと、そろってイヤな顔をしていたものである。さらに後年のこと、私が防衛庁審議官になり政府委員として答弁に立つようになった。困った質問をする議員には、「先生、香港は楽しかったですね。この質問、やめてくださいよ」と言うと、大概やめてくれる。もう明かしてもいいころだろう。この手で何回かつぶしたことがある。
私は、相手の記憶を呼び起こして、質問をやめさせる程度の”意地悪”しかしていないけれども、各国の情報機関はテープや写真も動員して追い詰める。女性問題の弱みを握られるのは、非常に危険なことなのだ。
p221
(略)人々を恐怖に陥れることで自分たちの意志を強要しようとするテロリズムは、卑怯者の戦略だ。むざむざ許すことなど、断じてあってはならない。
国際テロ事件の防止から外交戦略の立案まで、インテリジェンスあってこそ準備なり実施なりできる。幸いなことに、安倍晋三政権はインテリジェンスを重視している。本章の冒頭でも述べたように「日本版NSC」が発足、秘密保護法もできた。
日本が独立主権国家として、孫の代、さらにその先もずっと、誇りを持ち繁栄していくにはしっかりした情報機関、縦と鉾を持つ中央情報局の創設が必要だ。
これを後押しするのは、やはり国民の声である。本書での問題提起が、タブーの扉を開く一助になることを心から願っている。
p224
前文でも触れてきたように、国家のインテリジェンス(諜報)で重要な領域といえば、①「情報の収集・分析」②「防諜」③「宣伝(プロパガンダ)」④「秘密工作」である。
p268
アメリカはすでに世界の警察官の役割を放棄している。北朝鮮は核実験やミサイル発射をくり返し、拉致問題は一向に進展しない。また、二〇一六年(平成二十八年)二月に、朝鮮大学校の元副学長が偽名のクレジットカードを使ったとして詐欺容疑で逮捕されるという事件が発覚した。警視庁公安部は、十数年にわたって、日本を拠点として韓国への政治工作を続けていたとの見方を強めているとの報道があった。朝鮮大学校の教員を務めるかたわら繰り返し北朝鮮へ渡航し、欧州での有本恵子さんの拉致などに関与したとされる工作機関「225局」の勧誘を受けて、韓国で地下組織を作るなどのスパイ活動をしていたという。
p269
国際紛争を解決する手段としての「軍事力」を放棄した日本としては、「インテリジェンス」が頼りのはずだ。本書の各章で力説したように、独立主権国家にはインテリジェンス機関、国家中央情報局の創設が必須なのだ。にもかかわらずまだそれは建設途上だ。
「これでいいのか、日本よ!」
老兵の回想にいま一度、耳を傾けてほしいと願わずにはいられない。