波打ち際の考察

思ったこと感じたことのメモです。
コメント欄はほとんど見ていないので御用のある方はメールでご連絡を。
波屋山人

俳句で表現したいこと

2008-03-31 21:51:55 | Weblog
満開の桜が雨にぬれている。車窓からみる桜の幹は黒い。しっかりと黒い。その存在感と、軽く華やかな明るい桜の花とのコントラスト。

満開の桜が山裾一帯に勢いよく咲いている。まるで、緑の木々の端で、波が大きくしぶいているかのような白さだ。

春の空気は音の伝導が冬の空気と異なる。幼少の頃からそう感じでいた。あの春の空気のふくらみ。温度、におい、陽光、花粉、草木の呼吸、そういったものを含んだ大気。遠くから聞こえてくる音もなんだかやわらかに聞こえてくる。田んぼの向こうの遠くのセメント工場から響いてくる音。その空気感。


上記のようなイメージを、昨日今日抱いていたけど、どうも句にできない。
句を作るとき、どのような手順が考えられるだろう。
私は、句を作る方法を身につけていない。

・句を作る手順~仮説その1
表現したいイメージを浮かべ、それに合うフレーズをいくつか考える。そして、そのフレーズに添える語をいろいろあてはめる。句としてバランスのいいものを残す。
・句を作る手順~仮説その2
表現したいイメージを浮かべ、ひたすらそのイメージを抱き続ける。論理では組み立てず、イメージにぴったり合うものがひらめくまでひたすらイメージを抱く。
・句を作る手順~仮説その3
おもしろい言葉を見つけ、そこにさらに他の言葉を足しておもしろい組み合わせを見出す。
・句を作る手順~仮説その3
何を表現したいのか具体的に紙に書き出し、それを元に取捨選択して句の形に縮める。

とりあえず、ちょっとは試行錯誤しなくてはなりませんね。ど素人だから。
方法を考えるのはもうちょっと後でもいい。
多少頭と体を使わないと。
瞬間的な詩、情緒ではなく構造、暴力的な表現の意義、そういうことを考える前に、どんどん句作に取り組んでみたい。
そんな気分。


それから、さっきついに第3回世界俳句協会日本総会に申し込んだ。
迷ったけど、やはり興味がある。
末座で先輩方の姿を見てみたい。夏石番矢さんの姿を拝見するのが、楽しみだ。
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サムライじゃない

2008-03-31 20:50:07 | Weblog
藤原正彦氏のエッセーにはウィットがあり、心地よく読み進めることができる。
ちょっと力を入れて見せたりするのもひとつのポーズで、押し付けがましい感じはしない。

ただ、私にはちょっと実感がわかない記述もある。
藤原家は諏訪藩の武士の家系だ、という意識。
武士道は騎士道にも通じる、という意識。

私の父方の祖先は普通の農民。母方の祖先は坊さんだった。
父方の先祖をさかのぼっても一説には公家だったという話があるくらいで、武士の話はまったく無い。
直系の先祖で、戦争で亡くなった人もいない。
だから靖国神社に対して特に感じるものもない。
武士っていうよりも、坊さんとしての遺伝子を感じることのほうが多い。


しかし、家を継いだ祖父の兄にあたる人が飛行機に乗っていて撃墜されて亡くなったという話を聞いたことがある。
家を出て軍での出世を願ったその人は、あまり学歴はなかったけどがんばって昇進し、将官になったけど南洋で撃墜され、遺骨は戻らなかった。

むかし、実家近くの我が家の墓地のスペースの一角に、木の柱が立っていた。
それが祖父の兄の墓標だった。
家を三男(私の祖父)に継がせて家を出て行った人だから、特に先祖として手厚くまつられることはなかったけど、他の自然石のお墓と同じように、榊を添え、菊を添え、砂糖菓子も供えていた。
子どものときから、私はお墓参りのたびに手を合わせていた。

隣町に住むその人の娘や家族も時々参っていたみたいだけど、我が家に立ち寄ることはほとんどなかった。

だけど、もう2000年より前の話だろうか、ある時木の柱が無くなっていた。
墓を守っていた我が家にことわりを入れることもなく、隣町の親族はどこかにお墓を持って行ったらしい。
内心、なんて失礼な人たちなんだ、と家族は感じていたかもしれないけど、特に言及することはなかった。さみしくは感じていたかもしれない。

その後、戦争で無くなった人の奥さんも娘さんも亡くなり、隣町の△□家は消滅したらしい。
そのことも、わが△□本家には伝えられなかった。
戦争で亡くなった人の娘さんの息子は健在なのに。

私の祖父の兄の孫は、奇遇にも私の大学時代の指導教官だった。
ほとんど指導されたことないけど。

こんどの7月に、大学の同窓会があるらしい。
そこで先生に会ったら、聞いてみようかな。
「先生、先生のおじいさんは今どこにまつられているんですか。おじいさんをまつっていた私たちに何の伝言もなく、墓標を持ち去ったのはどなたですか。昭和天皇の戦争責任を追及されるのも結構ですけど、先生のご実家はいろいろ責任を拒否していませんか」と。

もう一度、祖父の兄に手を合わせたいと思う。

ふと、野口健さんがセブ島での遺骨収集にも取り組んでいるということを知って、そんなことを思い出した。

・野口健「遺骨調査団に参加して」
http://www.noguchi-ken.com/message/b_num/2008/0323.html


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安易に使うべきではないのではないか。末期症状だとか。

2008-03-24 09:01:16 | Weblog
「しんでしまえ!」とか「しね!」とか、ジョークとしてお笑いタレントがしゃべることがある。
そういえば私も中高時代、何の違和感もなく「ころしたろか!」などと口にしていたような気がする。

つい無意識に使ってしまう何気ない言葉なのかもしれないけど、ほんとうはかなり真剣な、深刻な言葉ではないかと思う。
安易に人の生死に関わるようなことを口にする人は、どこか命に関して鈍感になっているのではないだろうか。

そんなことを感じることもあるこの頃、ふと気になる言葉がある。
「末期症状」という言葉だ。
政治家や評論家の人がテレビで口にするたび、違和感を覚えている。
何々党は末期症状を呈しているとか、何々社も末期症状だとか、政治家の誰々も末期症状だとか。
字面(じづら)だけ見ると、生命が途絶える直前の症状、ということかもしれない。
だけど症状と表現するからには、問題のない状況ではないのだろう。
症状というのは病気や疾患の状態。異常な状態。末期症状ともなれば、壮絶な苦痛に襲われることもある。

ただ単に、もう完全にだめな最終局面だよ、と言いたいのかもしれない。
だけど、病気で末期症状にある人が政治家や評論家の言葉を耳にするとどう感じるだろうか。
軽々しく「末期症状」と口にしてもらいたくないのではないだろうか。

末期症状の患者の苦痛を、政治家や評論家は想像できているのだろうか。
(私は、壮絶な話を聞いたことがある)


本来差別的なニュアンスはない「かたわ」や「めくら」「つんぼ」という言葉は、メディアでマイナスイメージの語として使われることが多かったから、差別語としてメディアから追放された。
だけど、「末期症状」というマイナスイメージの語はまだメディアで健在だ。
今後、「末期症状」という語が新たな差別語として認識され、追放されていくかもしれない。
生放送で口にする人がいると「不適切な表現がありました」とお詫びのコメントが入るかもしれない。

軽々しく「末期症状」を口にする政治家や評論家は語彙が少なく、表現力に乏しいのではないだろうか。
私は言葉を狩る側ではなく、どちらかといえば言葉を狩る者から言葉を守る立場だが、「しね」「ころすぞ」「もう末期症状だね」などという言葉は、安易に使うべきではないのではないかと感じる。
安易に使う人の言葉には、重みがない。


<参考>朝日新聞に掲載された「末期症状」という表現
http://mytown.asahi.com/hyogo/news.php?k_id=29000270707300001
■辻さん100万票、再選
2007年07月30日
 参院選は29日投票、即日開票され、兵庫選挙区(改選数2)では、民主前職の辻泰弘さん(51)と、自民前職の鴻池祥肇さん(66)=公明推薦=が当選を決めた。
(略)
・辻さん 「当選確実」の知らせが伝わると、神戸市中央区の辻さんの事務所は、拍手と歓声に包まれた。
(略)
支援母体の連合兵庫の組織固めを徹底し、初めて県医師連盟からの推薦も取り付け、優位に立った。
 「自民党政治も末期症状。国民も新しい政治の担い手を求めており、その声に応えていきたい」と述べた。


http://book.asahi.com/business/TKY200707180155.html
ビジネス書
■地に墜ちた日本航空 [著]杉浦一機
[掲載]2007年07月15日
[評者]勝見明(ジャーナリスト)
※自主再建への期待と絶望
 2期連続で赤字となった日本航空。運航トラブル続出による顧客離れは経営悪化のきっかけに過ぎず、根深い問題が絡み合っている内実を、長年業界をウオッチしてきた航空アナリストがあぶり出す。

 膨大な人件費に起因する高コスト体質、「クーデター」による社長交代が象徴する派閥抗争、泥沼状態の労使対立、更新の遅れた老朽機、膨れ上がる借金、指示待ち社員の蔓延(まんえん)……末期症状を思わせる記述にJALウオッチャーの絶望感がにじむ。
(略)

http://www2.asahi.com/senkyo2007/localnews/yamagata/TKY200707120191.html
asahi.com> 2007参院選> 地方ニュース> 山形> 記事
■各党かく戦う
2007年07月12日
(略)
田辺省二・社民党県連合代表
 国会終盤は安倍政権の末期症状が示された。法案の強行採決や、年金問題から国民の怒りをかわすための選挙期日の延期。国民不在の政治は見放されている。議席確保、与野党逆転を図るため全力で戦う。


http://www.asahi.com/politics/update/0602/TKY200706020206.html
■民主党、「消えた年金」争点を強調 全国幹事長会議
2007年06月02日18時51分
 民主党は2日、党本部で全国幹事長・選挙責任者会議を開いた。菅直人代表代行は、参院選に向け「格差、年金、緑資源機構など官製談合・天下りの問題」を主要な政治テーマに掲げることを強調。特に「消えた年金記録問題」で攻勢を強め、与野党逆転を目指すことを確認した。
 鳩山由紀夫幹事長は「消えた年金問題で国民が大変な不安を持たれ、安倍内閣の支持率を急降下させた。安倍政権は末期症状を呈している」と分析。
(略)

http://www2.asahi.com/senkyo2005/local_news/kagoshima/SEB200509080014.html
asahi.comトップ > 2005総選挙 > 地方ニュース > 鹿児島
■激戦区ルポ〈5区〉 中選挙区時代重なる混戦 
2005年09月08日
(略)
 保守同士の争いを、小泉政権の「末期症状」ととらえる共産新顔の柴立俊明氏は「自民党政治に終止符を打つ好機」と言い、支持拡大に懸命だ。


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チベット市民蜂起についての認識

2008-03-18 21:45:33 | Weblog
ブログがずいぶん普及しているから、さまざまな責任ある人が自分の意見を示している。
私は、夏石番矢氏や藤原新也氏は右とか左とか、革新とか保守とかの範疇におさまらず、深く広く、ピュアな視点で認識している人だと思っている。
主義主張とか信仰に基づいた判断ではなく、自分の目や手でふれ、考え培ってきたものから判断していると思っている。

尊敬する俳人、夏石番矢氏のブログには、今回のチベットの事件に関して次のような比喩があった。

>現在のチベットを、ヨーロッパになぞらえると、こうなる。
>中国をフランスに、チベットをイタリアに、ダライラマをローマ法王に置き換えてみる。
>ローマ法王庁のあるイタリアに、フランス軍が侵入し、イタリア全土を制圧する。
>イタリア全土のうち、3分の1を、フランスに組み込む。その残りを、フランス帝国内の
>自治区にし、トップに傀儡を据える。その上で、フランス人を大量にイタリアに送り込み、
>商業活動でイタリア人を、社会の底辺へ追いやってゆく。
>また、ローマ法王が、法王庁から追放され、ドイツに亡命政権ができる。
>こういう状況で、イタリア人が黙っているだろうか?
http://banyahaiku.at.webry.info/200803/article_36.html


なるほど。わかりやすい比喩ですね。
状況を他の例にたとえるとその構造がよくわかります。
上記のような状況では、イタリア族はイタリア族自治区に入植して来るフランス人に対して反感を持つわけですね。というか、がんじがらめにされて、精神的にもう耐えがたく、やむにやまれず、蜂起するわけですね。

藤原新也さんも意見を表明されています。
http://www.fujiwarashinya.com/talk/index.php
>2008/03/15(Sat)
>今回のチベット抗議活動について
>20年前のチベットの抗議活動のおり、当時20万のチベット人が虐殺された。
>
>一口に20万というが、一個の市の人口のすべてが殺戮されたと考えればむな怖ろしい。
>広島の原爆投下による死者は10万人前後とされるから、広島の死者の倍という勘定だ。
>20万人という数が途方もない数であることが知れる。
>また中国側の主張する南京の虐殺30万人説と比しても、同等のチベット人が中国軍に
>よって殺されているということになる。
>それはあくまで抗議活動時の死者の数であって、1951年の中国のチベット占領時に
>120万人ものチベット人が虐殺されている。
>ただし、中国はチベット占領時にアメリカのように大量殺戮兵器を使ったわけでもなく、
>ナチスのようにガス室で一気に大量に人を殺したわけでもない。
>人海戦術で120万、そして20万人を殺したわけだ。この途方もない負の人間力は驚愕
>に値する。
(中略)
>今回のチベットの抗議活動(マスコミは「暴動」という言葉を使うべきではない)は胡
>錦涛政権の元でのオリンピックを照準としたものであることはほぼ間違いないだろう。
>というのは中国でオリンピックが開かれるということは、それに参加する世界の国々が
>半ば中国を民主国家として承認するに等しいからである。
>そして胡錦涛氏の過去の負の遺産をも忘却の彼方に押しやってしまいかねないからで
>ある。
>
>その意味においても、マスコミはそれを暴動という言葉で括るべきではない。暴動と
>いう言葉には無分別、無思慮という意味合いがある。
>今回の出来事は歴史的事実の上に立ち、現状を見据えた上に起きた抗議活動に他ならない
>からだ。


ここでの数字はもしかしたらちょっと誇大かもしれませんが、なるほど。
暴動とか反乱とか安易に言えないっていうことですね。
そういえばアメリカがイラクを攻撃したときも、アルカイダはテロリストではない、と言った人もいましたっけ。
当時アメリカの攻撃を批判してイラクやアフガニスタンに向かった平和団体、人権団体、各種NGOなどの人たちは、今回チベットには向かわないのでしょうか。

アメリカの帝国主義的、侵略的な面と中国の帝国主義的、侵略的な面は意味が異なると認識されているのでしょうか。
そうであれば、ぜひわかりやすく説明していただきたいと思います。
ほんとうに、なぜ彼らが行動しないのか理解できないのです。

同じ仕組みのものに対して反応が異なる計測器は適切な分析力を持っているとはみなされません。
共産主義系、社会主義系の「組織化」を得意とする人たちが作った市民団体は、ここでチベットを守ろうとしないと、合理的な人だとは思ってもらえなくなるのではないでしょうか。
物事の構造を見る前に、信仰で判断していたんだな、と思われてしまうかもしれません。

平和団体、反戦団体、人権団体、各種NGOの判断基準は、同じ構造の事例であっても当事者が誰であるかによって異なることがある、というのであれば残念です。科学的、論理的だとは思ってもらえなくなります。
(アムネスティはずいぶん以前からチベットの政治犯たちの支援もしていましたけどね)

ほんとうに共産主義や社会主義について興味のある人であれば、中国の現状が共産主義や社会主義の理想とほど遠いということはよくご存知でしょう。
なぜ、アメリカには文句が言えて中国には何も言えないのでしょう。
なぜ、タブーがあるのでしょう。
(精神分析学者にでも聞いたほうがいいのかな)

私は誰もとがめるつもりはありません。
ただ、私にはわからないのです。
なぜ日本の各種平和団体、反戦団体、人権団体、各種NGOはチベットやウイグルに対する中国の姿勢について発言をしないのか。

下記のようなことを言う人がいないのであれば、残念に思います。
各種団体にまったく関係のない人間であれば、下記のように言えるのかもしれません。
  ↓
かつて日本は中国を侵略した。一方的に中国人に自分たちのやり方を押し付け、大きな顔をしていた。ひとりよがりに満州の発展を誇っていた。
だが他の民族の深い思いにまったく思い到らず、たいへん苦しい思いをさせてしまった。
今でも恨みにおもっている人は多いでしょう。中国の人々に心から謝ります。
侵略は軍部だけの問題ではなく、われわれ日本の一般市民の責任でもあります。
無残に心身を踏みにじる侵略は繰り返してはならないと強く思っています。
だからあえて言わせてほしい。
中国人民は、チベットの人々を抑圧すべきではありません。
それは、われわれが中国人民にしていたことと同じことではないでしょうか。
ここで黙するようであれば、また同じことを繰り返してしまうかもしれません。
...黙している平和団体や人権団体は、侵略を黙認しているのと同じではないでしょうか。


そういえばイラクで人質になった今井紀明さんも高遠菜穂子さんも、チベットについては何も言及されていないようです。


<参考>
・今井紀明のかけら
http://blog.livedoor.jp/noriaki_20045/

・イラク・ホープ・ダイアリー(高遠菜穂子)
http://iraqhope.exblog.jp/

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チベットの人々に対して心を痛める

2008-03-16 11:29:32 | Weblog
私は中国が好きだ。中国出身の友人も何人かいる。中国のよくない面もそれなりに知っているけど、中国のことをフォローすることも多い。
毒餃子が話題のときも友人手作りの餃子をよろこんでいただいた。中国で起きる問題もそれなりの原因があって起こることだから、日本人の常識で判断するのは酷なことだと思っている。

私が中国について文句を言うことはめったにない。
ただ、友人に迎合するばかりが友人ではないと思っている。
「あなたはお友だちが嫌がることをしますか」と言った福田首相はせめぎあいのできない人だと思う。友人としての忠告もできず自分の意見を表明できない人は、中国では信頼に値しない人だと思われるだろう。



3月2日夜にビョークが上海でのコンサートで、”Declare independence!(独立を宣言せよ)”という歌を歌い、歌詞に「チベット」を入れたことが話題となった。
歌ったときの様子はyoutubeにもアップされている。
http://www.youtube.com/watch?v=ZEUFCK1qBMI
「チベット、チベット! 旗を掲げよう、もっと高く、もっと高く!」という下記のような歌詞が聞こえる。
“Tibet, Tibet..., Tibet, Tibet..., Tibet, Tibet...Raise your flag! Raise your flag! (Higher, higher! ) Raise your flag! (Higher, higher! ) Raise your flag! (Higher, higher! ) Raise your flag! (Higher, higher! ) Raise your flag! (Higher, higher! )

すぐに中国政府は法的に訴えることも辞さないという強い不快感を表明したが、ビョークに手出しをすることはなかった。
なんだかんだ言いつつ中国も以前よりはるかに開かれた国になってきている。
むかしは一般大衆が政府のやり方についてメディアで不満を述べるということは考えられなかったけど、今ではけっこう気軽に自分の感じたことを外国メディアに発言をする人も多い。

中国の役人や軍人が非常に腐敗しているというニュースが近年よく出てくるのもオープンになってきた証拠だと思う。10年20年前に日本の政治家の汚職が問題になっていた頃は中国の政治家の汚職なんて問題として表面化していなかった。実際はかなりの汚職があったのに、それが隠蔽されていた。
汚職が表面化してきただけ、浄化が期待できると思う。

今回のチベットの件にしても、かなり中国に遠慮している日本の新聞までもが1面にとりあげた。この問題もオープンになってきたのだと感じられる。

もう7~8も前のことかもしれないけど、朝日新聞の天声人語に「明治時代に中国人に変装してチベットに入った河口慧海は」というような文章があった。
朝日新聞にとってはチベットはむかしから中国の一部であり、「チベット人」という概念はすべて「中国人」に置き換えられることだったのでしょう。

河口慧海がチベットに入った明治後期から大正時代前期(1900年~1915年)は、チベットは中国(清、中華民国)の支配下にはなく、イギリスや日本の軍人を招いてチベット軍を訓練し、時には中国の軍隊と小競り合いを起こすこともあった。
チベットの住民は圧倒的にチベット人が多く、その中で中国人の格好をしてお寺に行っても、高僧に会ったり経典を見せてもらったりすることは難しかった。

中国人に変装して入国するはずがないのに、天声人語では堂々と河口慧海は中国人に変装して中国(チベット)に入国したことになっていた。その程度の認識だった。
このような中国政府寄りの見方では、弱者であるチベットの人たちの気持ちは理解できないだろうと感じた。

今回はビョークの記事が露払いのように報道されたせいか、3月10日から連日チベット各地で行われているデモとそれに対する発泡、3月13日にインドで足止めされたデモ(チベット亡命政府のあるダラムサラからチベットまでのデモ行進が行われていた)のことも大きく報道されている。

こう言ってはなんだけど、今回のデモで殺された人の死は無駄ではないと感じる。きちんと国際的に問題として取り上げられたから。
世界中どこにでもあることだけど、強権的な政府の下では声を上げても誰の耳に届くこともなく処分されてしまうことが多い。

チベットはその仏教精神に基づいた非暴力主義や、アメリカやヨーロッパに移ったチベット人僧侶の活動によってかなり共感者を集めていたから、有力な歌手によってチベットを支援するライブイベントなども行われ「かわいそうだ!」と思ってもらえるようになった。

チベット人と同じように独立や完全な自治を求める新疆ウイグル自治区のウイグル人たちは、この10数年だけでも何度もデモやテロ攻撃(民衆蜂起)を起こしている。最低でも10回の事件に関連して200人は死亡しているだろう。本当はその何倍もの人が捕らえられて人知れず殺されているかもしれない。だけど世界でなかなか注目されることがないから、無駄死にのようになってしまっている。

ウイグルの人たちは彫りの深い顔をしているせいもあるけど、にこやかな表情をしているように見える人は少ない。子どもたちは実にいい顔で笑うんだけど、大人はどこか秘めた思いを心にかかえていると思う。日ごろはとても慎み深い様子だけど、激高すると心の底に隠していたものをあふれさせる。きっと、大人しいウイグル人でも耐えられないことはあって、強い中国人(漢民族)に立てついてしまうのだろう。

世の中は薄情で、どうしようもなく弱者が蹂躙されることもあり、声も上げられず殺される人も多い。不合理なことは世界各地で行われている。それが厳しい現実であり、自然の摂理であるのかもしれない。

アメリカはアメリカの都合の良いように行動する。一部の国を専制的だ非民主的だと言って攻撃しても、アメリカに従うサウジアラビアやクエートのような非民主国家のことは黙認する。
侵略や戦争や政府の抑圧を批判する市民団体や政治政党も、隣の家で行われている暴力や抑圧にはそ知らぬ顔をする。

中国政府も日本や欧米列強が中国を侵略したことは許されないことだと言うけど、チベットやウイグルやモンゴルを支配することは侵略ではないと言う。
封建的で腐敗したチベットを解放してやったのはいいことだったと言うけど、もし北朝鮮の腐敗を理由にアメリカが北朝鮮を「解放」しようとしたら中国は絶対に許さないだろう。

今、中国は壮大な「中国」という形をなんとか維持しようとしている。
中国人の世界観、中国人の常識、そういったものはなかなか変わらないだろうけど、今後、中国が欧米各国ともうまくつきあって行こうと思えば、ある程度欧米各国の価値観に配慮することも必要になっていく。
そうしないと、中国という形を維持しようとして泥沼に陥り、破綻してしまうことも考えられる。

そもそも、現在も中国政府は「中華民族」という意識を持とう、と中国国民に呼びかけているけど、漢民族という意識ももともとはいろんな民族を一つにまとめた概念だった。
中国の北の方の人たちと南の方の人たちは同じ漢民族でもかなりDNAに違いがある。ドイツ人とイタリア人くらいの違いはあるのではないだろうか。

北の方の漢民族は、モンゴル系やツングース系の民族が中国北部を支配したときに、やってきた人たちの子孫も多いから、モンゴルっぽい顔の人が多いのだろう。
彼らはもともとはモンゴル系やツングース系の言葉をしゃべっていたけど、そのうち被支配者と同じ中国語をしゃべるようになった。

南の方の漢民族は、もともと違う民族が住んでいたところに漢民族がやってきて支配層となり、原住民も漢民族化していった。
日本も東北九州などと近畿ではDNAがちょっと違うし、韓国でも中央部と最南部ではちょっと違う。だけどそれぞれ1つの民族としての意識を持っている。

私は別にアイヌや沖縄の人が独立したいということであれば独立していいと思うけど、DNA的にはアイヌや沖縄の人のほうが原日本列島人とでもいうべき古モンゴロイドの特性を持っている。近畿周辺の人は渡来人的な新モンゴロイドの特性があるから、日本列島人としての本質はアイヌや沖縄の人のほうにこそあるのではないかと思う。
アイヌや沖縄や九州や東北の人が日本の中枢をにぎり、渡来系の人が多い大阪あたりが独立国家を作ってもいい。大阪のあたりはちょっと関西の中でも異質な感じがするし。

あるいは、日本が中国に占領されてしまっても仕方がないかと思う。
チベットが占領された時、チベットの民衆が立ち上がった時、チベットの強制収容所で政治犯が拷問を受けた時、チベット民衆が自動小銃で殺され、装甲車で轢かれた時、私たち日本人の99%は何の意思表明もせず、黙殺した。
弱者を救おうと主張する新聞も政党も、チベットを蹂躙する中国政府の顔をうかがって腰が引けていた。
そんな人たちは自分たちを守ることもできないだろう。誰かの助けを求めることも望めないだろう。

チベットでの悲劇に手を合わせる。
そして、いつか私たちが彼らと同じような目に遭うかもしれないということを意識する。
その時私たちはチベットやウイグルの人たちに助けを求めることはできないということを覚悟する。



■追記 ダライ・ラマ14世の呼称について思うこと
なぜ新聞報道では最初に「ダライ・ラマ14世」と書いてそのあとは「ダライ・ラマ」と呼び捨てなのだろう。「ダライ・ラマ14世法王」とは書かないのだろうか。
ダライ・ラマ法王日本代表部事務所のサイトを見ると「ダライ・ラマ法王」と書いてある。ダライ・ラマ法王という表現を避ける理由でもあるのでしょうか。
ローマ法王のことは「ベネディクト16世」「ベネディクト」などと書かない。
ロイター通信などは「ラマ氏」などと書いたりしてるけど、「ラマ」はチベット語で「グル」「師」に値する語だから「師氏」みたいなことになってしまい不適切。

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森山風歩さんのこと(読売新聞3/12水)

2008-03-13 00:20:24 | Weblog
3/12(水)朝、読売新聞の朝刊を読んでいると1人の美少女の写真が目にとまった。目がぱっちりとした、グラビア系の美女だ。
こんな記事だった。

(21)文化 12版 2008年(平成20年)3月12日(水曜日)読売新聞
■筋ジスの27歳 怒りの自伝
 進行性筋ジストロフィー症と14歳で診断され、20代での死を宣告された27歳の女性が、半生をつづった自伝『風歩(かざほ)』(講談社)を10日、出版した。難病を抱える複雑な内面を明かすのは、東京都府中市の森山風歩さん。親との激しい相克、大人たちへの不信感……、車いすに座りながら、パソコンに向かって赤裸々な本音を書き連ねた。
 異変は小学校3年のときからあった。運動の授業で50㍍走で14秒台、右腕が肩から上に上がらない――。しかし、周囲の大人からは「怠けている」としかられた。「精いっぱい、がんばっていたのに……」
 自分を信じてくれない親、教師ら大人たちへの不信感はこの時から。「口先だけで、言動が一貫していない人」は拒絶した。
 それだけに、この本では自分を偽りたくなかった。
 <家族への嫌悪感と憎しみと悲しさだけを募らせていった>
 発症当時の思いや悪感情を包み隠さずつづる。家庭では疎外感を感じ、養護学校でも、おしゃれをしたかったのに、「病人がオシャレをするなどもってのほか」と逆に諭された――自分にとって理不尽だった環境への怒りをぶつける。
 「ステキな自分を演出しても、それでは本当の自分を理解してもらうことにはならない」
 丸7か月かけて執筆した。書き続けるうちに、不思議と親への不信感も、どうでもよくなった。大人たちを理解した訳ではないが、「親たちのことはもうどうでもいい」と無関心に割り切ることができるようになった。
 病気は、片方の手で手首を持たないと、ものを持つこともままならないくらいに進行しているが、治療方法がある訳でもなく、病院の定期検査も受けていない。「開き直りですね」と笑顔を浮かべる。
 故郷の岡山を離れ四国の大学に進んだ後はずっと一人暮らし。3年前に上京し、今はやりたいことを色々考える時が一番楽しいという。「人生相談など、自分の体験を踏まえたビシッときついアドバイスをしてみたい」と話す。
 積極的に外出を繰り返し、会いたい人に会おうと、写真家の荒木経惟さんにも手紙をしたためた。
 26歳の誕生日。荒木さんに写真を撮ってもらう。本の表紙も荒木さんの撮影だ。
 本はこう締めくくられている。
 <自分の答えを見つけたい。
そう思ったら、生きること>
               (鷲見一郎)



以上引用。ほんとに美人なんだ。
彼女のブログでもその姿を見ることができる。
・風歩のブログ
http://ameblo.jp/kazahonyan/


まさか、そんな難病の人がこんなにギャル系というかかわいい系というか、グラビア系、アイドル系だとは思わなかった。
純粋に、この人のことをすてきだと思う。病気とは関係なく。

ぼくは病気なのにがんばってるとか、障害があるのにがんばってる、という視点にはあまり興味がない。中国の聴覚障害者たちがやっている「千手観音」のパフォーマンスは芸術としてすばらしいと思う。別に聴覚障害なのにがんばってえらいね、っていうような視点で見なくてもいい。
スピーディー・ワンダーも音楽がすばらしいのであって、別に視覚障害者なのにがんばってるね、という意識を持ちながら聴く必要はない。

っていうか、ぼくらがイケメンたちから「ブサイクなのに仕事がんばってるね」と上から目線で見られたり欧米人から「チビで短足なのにサッカーけっこうがんばってるね」と同情目線でみられたらどう思う?
失礼でしょ。


風歩さんもいろいろ不満に思うこともあったと思う。
でも、えらいね。アラーキーに写真撮ってもらって、本書いて、多くの人に大注目されて。
(これから1~2か月でもっともっと注目されるはず)
普通の人じゃ、こんなこと成し遂げられない。
ぼくなんか、毎日毎日ありきたりの仕事をして、些細なことに萎縮して、小さな行動範囲で時間を浪費している。

風歩さんから学ぶことは多い。



12年くらい前、まだ学生だったぼくには筋ジスの後輩がいた。
ずっと動力のある車いすに乗っていて、ひどくやせていた。
一度バスに乗せるために持ち上げたことがあったけど、あきらかに体重は40キロもなかった。
あの軽さと、彼の細いけど強いまなざしを思い出す。
風歩さんのグラマー美女写真とあまりにも違う。

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かわいい子国家、日本は無防備でも生きていける。無防備は、未来的。

2008-03-05 23:57:09 | Weblog
無防備なことはよく批判される。「バカじゃないか」「したたかさが足りない」「そんなことで世の中渡っていけるのか」等々。

だけど、そんな無防備な者でも生きていけるのが未来的な社会なのだ。

人間だって、他の動物からは言われているかもしれない。「あんな過保護な動物は弱すぎる」「するどい爪もなければ牙もない」「雑菌にも弱いし、なんといっても体毛もほとんどない」「あれで世の中渡っていけるのか」等々。

世界で一番お間抜けキャラ、おバカキャラ、天然ボケキャラがテレビに出演しているのは、日本だ。中国でもアメリカでも、もっときりっとした顔の、隙のない美女がテレビで活躍している。海外でおっとり素朴天然キャラのタレントを見つけるのは難しいけど、日本にはいくらでもいる。
まあ、世界的には日本も無邪気な天然ボケキャラと見られていることが多いかもしれない。

だけど、それでもいいじゃないですか。
私は、無邪気で天然ボケで素朴でおしゃれな“かわいい”女の子国家として、日本は世界の中でそれなりのポジションを得ることができると予測している。

ほら、抜け目のない人に負けることを嫌う打算的なしっかり者の人が意外にもてなかったりするじゃないですか。
天然ボケっぽいけどピュアな視線で意外にまともなことも言ったりする、誰とも分けへだてなく付き合う人のほうが、かなりもてると思います。

あ、でも非武装中立なんて言ってる硬直した人はかわいいキャラじゃないですから。
辻元さんはもっと無防備にならないと、無防備について語る資格あらへんで。


「アメリカでは常識の ニッポン人取扱説明書 腹が立つけど、これが現実」(祥伝社)を今日読み終えて、ふとそんなことを思いました。

なんだかんだ言いつつ、日本女性は外国人男性を手玉に取ってることが多い。マッチョな男たちも、日本女性の隙があるのに強いという一面を見て、柔道か合気道の神秘を想像しているのではないでしょうか。


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廃ポリタンク漂着、日本海沿岸に過去最多の4万個

2008-03-05 23:14:28 | Weblog
またこういうニュースがあるけど、これも韓国による産業廃棄物の海洋投棄の影響では。
先月のエントリ(汚染された魚は食べにくい)にも書いたけど、韓国による日本海への大量の産業廃棄物投棄について、知っている人は知っている。
これが、エチゼンクラゲの大発生にも影響している。


政府は農民に対してはいろんな手厚い保護をしているけど、漁民に対してはちょっと冷たいのでは。
日本人はまだまだ水と海はタダだと思っているのかも。
ほんとうは水資源大国であり、海洋大国だっていうのに。
価値を見出してこそ、戦略的に活用することができる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080305-00000048-yom-soci
■廃ポリタンク漂着、日本海沿岸に過去最多の4万個
(3月5日22時24分配信 読売新聞)
 日本海沿岸に廃ポリタンクが大量に漂着している問題で、今月3日までに確認されたポリタンクは約4万個に上ったことが5日、環境省のまとめでわかった。

 調査を始めた1999年度以降では最多。このうち塩酸が入っていたものが100個以上あり、同省は安易に触らないよう注意を呼びかけている。

 確認されたのは北海道から沖縄までの日本海沿岸の19道府県で、計3万9941個。大半は文字を判読できない状態だが、1万6000個余に、ハングルで韓国の企業名が記されていることから、多くは韓国から漂着したとみられる。また液体が含まれている容器の中には、過酸化水素や酢酸の化学記号が表記されていても、中身は塩酸というケースが何例かあるという。

最終更新:3月5日22時24分

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適当にみなさんいいかげんに(2/23メモ)

2008-03-01 15:14:19 | Weblog
先週末、ある尊敬する心理学の先生を囲む会に参加した。
そこで、手元の紙にかなり汚い字でちょっとだけメモをした。
ぼくは記憶力があまりよくないから、メモしないと忘れてしまうんだけど、人がしゃべっているのをメモするのは難しい。
ICレコーダーで録音して、先日購入したソフトで自動的にテープ起こしすればいいんだけど、ICレコーダー持って行くの忘れたのでしょうがない。
(っていうか録音してもいいのかな。貴重な話だから録音したいんだけどな)

メモはかなりいい加減。後から読むとどういう意味だったかわからないところが多い。
特に後半のメモ。かなり飲んでましたからね。

2008/2/23土 19:00~22:00 22:00~24:00? オフ会メモ
(先生が参加者の質問に答えた)

Q1.中国の漢民族や共産党についての精神分析をしてもらいたい。
A.漢民族というものは根拠がない。自分の出自を忘れてそこに帰属したときに漢と称した。
周囲の野蛮人と元々何かが違っているというわけではない。

王朝の交代について。中国は堯・舜の時代というのは神話。
堯が舜に帝位を譲ったというのは幻想。

覇権はよくない、王権はいいと言うが、中国では覇権以外で成立したこともない。
毛沢東もそう。共産党員が富を独占というのは一種の王朝。
また反乱がおこって革命が起こって新しい王朝が生まれるのでは。

また、中国人はあまり国家意識がない。
一部の富裕階級(5%ほど)がほとんど資産をもっている。
その5%は儲けると外国の銀行にあずける。中国内の資産が回らない。
日本の財閥は外国の銀行にお金をあずけない。
あまり国を信頼していないのでは?
日本の金持ちは日本国内で金を使う。
中国は国民が政府を信頼していない。国家としてはもろいのではないかと思っている。


Q.一神教の世界は虐殺が多い?
A.ユダヤから一神教がはじまる。キリストもイスラムも分派だと思う。
中国は一神教ではないが、天という思想がある。
日本のような多神教徒ではない。
天は絶対的。多分に一神教的。


Q.中国は欧米と日本のどちらをより恨んでいる?
A.両方じゃないでしょうか。まだ恨みを持っている。
外国に対する敗北感があり、反発もある。葛藤状態になっている。
アヘン戦争以前は中華思想が健在だったけど、ぼろくそに負けた。
日本にも侵略された。(ヨーロッパは無縁の遠い世界)
日本のことは属国だと思っていたから自分より下の連中に侵略されるとショックが大きい。
韓国も同じ。中国が兄で日本が弟だと思っていのに、下の者に植民地にされた。
日帝36年と言うが以前に中国には何百年も支配されて仕えていた。
中国に対しては言わないが、日本のことは未だにしゃくにさわる。

Q.先祖崇拝について
中国は天帝があって、祖先がつながっているのでは。
儒教も先祖崇拝、先祖孝行。
中国人というのは一家の繁栄を子々孫々につなげる。
自分の一族を繁栄させるのが一族。

日本人は会社のため国のため。中国にはそれがない。
中国は自分の文明を信頼していない。他の文明からいくらお金をとってもよいと思っている。欧米人もいいと思っている。

日本の天孫降臨神話はむしろ外来思想。韓国の檀君神話も似たところがある。

ヨーロッパ中国は純粋に血のつながりを重視している。
日本は養子をもってきてもいい。


Q.2 養子について
血のつながりではなく家を重んずる。大名家も家をつけばいい?

(Mさん)日本みんなが遠縁?という幻想?
生物学的な地は重んじない。
唯一重視が天皇家。血のつながりを重視。朝鮮系だからそう?


Q.なぜ日本は中だけ姓があり、上と下はない?
日本民族も幻想。雑多な連中があつまった。漢民族と同じ。 
どこから来たか忘れた人が日本人となった。

日本の国家意識は6~7世紀?

となりに中華文明という大きなもの。飲みこまれまいとした。
常に中国と対抗意識をもっている。
聖徳太子も。日出ずる国の~。
中国と同じといいたかった。聖徳太子は日本人に人気がある。日本人好き。

中国には対抗意識と劣等感。
中国はアヘン戦争でぼろまけ→優越感?をもつようになった。

大東亜共栄圏は中華思想の借用。中国の真似。


Q.(Kさん)ボーイズラブについてどう思うか?
A.女性は自分を安全地帯に置いて第三者的に興奮。自分は巻き込まれなくて、清らかな乙女でいられて、そこで男性が性的なことをしている。


Q.(A?さん アメリカ在住6年)家族間の惨殺が多いのでは?
A.家族同士は一番愛し合う、また一番憎しみ合う。
子が一番憎むのは親。
家族が愛し合っているというのは幻想。家族間殺人はむかしからあった。
みんな親を殺したいということがあるのかも。
だから親殺しをタブーにした?
ふしぎなのは、なぜアメリカでは銃を学校で乱射するのだろうかということ。


Q.価値を実現するという理想?が幻想だと知ると憂鬱になってしまう。
自分の価値がなくなってしまう。自分の行動とか労働とかが幻想となるのでは。
A.みんな価値を信じて生きている。無価値だと思うと生きて行けない。
価値を絶対化していると失われると亡くなるしかない。
あらゆる価値を否定するわけではない。


Q.一神教はなぜ発生したか。
A.一神教は逃亡奴隷の宗教。あるひとつの神をもうけて信じる。きびしく規定。

ブッダは余裕がある。
ブッダとキリストの亡くなったときの様子でもわかる?(静かなものと奇跡?)

一神教はしっかり?
のんべんふらりが負けたのが近代。

明治時代それでは負けるということで働き続けてまだ続いている?
のんべんだらりと働いて滅びるか、ヨーロッパみたいにひっちゃかに働くか。
がんばったのが日本。インドネシアは?

奴隷の宗教が諸悪の根源。強い。
ヨーロッパは武力的に強い。
強い文明が世界を制覇した。
それを正しくないとして反抗すると、のんびりして負ける。
のんびりして負ける世は破滅にむかっている。
必死なやつが勝つ。
働くやつが主導権をにぎらないとその民族は滅びる。


Q.レア物になぜひかれるのか?
A.欲望はおのずとわきあがってきて心の中に根拠があると思うのはまちがい。
人が欲しいものが欲しい。
人が欲していると欲しくなる。
限定商品は一部のものにしか買えない。
買うと一般大衆より上位に立てる。
もてる男はますますもてる。
もてるからますます人が寄ってくる。
人気のある人を得るとますますもてる。
主体性が幻想なのか。

95年から?ブスカワイイ?funny face女の子がもてた。
数年間にもあった。
美人がバラエティに富んできた。むかしは正月カレンダーといえば原節子。



日本人は近代文明の葛藤から抜け出そうと努力している。
近代文明は行き詰まり。
欧米人も葛藤している。
日本は先取り?
(アニメの髪もいろいろ)

投資すれば何割かもうかる―うそ。
あいかわらず被害者が出る。
あれは信じやすいんですね。
自我からはずれたものを。

詐欺師は半分自分で信じている。
日常生活からの脱却を夢見ている。
被害者はあとをたたない。

先祖の霊が怒っているから30万円の壺を~
ひっかかる人は宗教を否定すると詐欺の被害者が増える。

いまオカルトがはやっている、
占いとかインチキですけどね。

受け入れる余地がある。
不合理な存在であることと拒否して合理的に生きようとするとそういうのにひっかかる。
宗教は幻想。
人間には不合理なことが必要と認めつつ、被害が少ない方策を考える。

ひとつの嘘を信じると、他の嘘を見抜けない。
商売において嘘を見抜く力がおとろえる。

沖縄は小学校生が強姦されて問題になったけど、大人が強姦されたのは事実になっていない。ドイツはされていない。
差別されている。ドイツに比べて差別されている。

マッチョがもてるのは欧米的。
金持ちのケチは役にたたない。
男らしさの幻想の次?わからない。

親に評価低かった人は自分の評価が低い。
親に低い評価されて親に愛されない人
どこから自分の低評価が来たか?
次の段階で親を否定。
親を否定しないとこえられない。
親を信用しない。
いいかげんなことばかりやってると思う。


キリスト パウロ
親鸞   蓮如

宗教みたいに信じるのと違う。
岸田理論―自転車?

精神分析は主観を扱っている。
脳科学は客観を扱っている。
―つながらない。


フリーター
いい兆候かもしれないなぁ。
フリーターなんとかニート、あれも必要性があって、ニートが出てくる社会というのは社会的にムリがある。
適当にみなさんいいかげんに生きましょう。




以上。
帰りの電車の中でも、少し先生と話をすることができた。
以前盛り上がっていたニューアカデミズム、現代思想のシーンで注目されていた中沢新一氏、浅田彰氏、吉本隆明氏などと現在交流はほとんどないとのこと。
あんまり旅行に行ったりはしていないとのこと。

先生から「ネットで私のことをいろいろ書いたりする人もいるんですけどね」と言われたときは「ほんとうになんなんでしょうね!」と先生に共感した。
先生はべつにとがめる感じでは言っていない。わからないんですがねぇといった感覚。

「ものぐさ精神分析」で一世を風靡した先生の周囲には、どうも先生に対して愛憎半ばする思い入れを持ってしまった人もいるらしい。
先生が優しいからそういうことになるのかもしれない。
ぼくは別に先生を守ろうとかそういう思いはないけど、先生に共感する者として、先生に対して理不尽なことを行う人に対しては何か対処方法を考えたい。


こういう、サイトをがんばって作っている人がいる。
http://d.hatena.ne.jp/kishida_shu/
「岸田秀 学歴詐称」で検索すると、この人のサイトやコメント欄書き込みや掲示板書き込みが上位にヒットする。
もしかしたら、自分の心の中の何かを守るために、先生を攻撃しているのかもしれない。
書いている人に違和感を感じる。
このサイトに疑問を持つ人は多いんじゃないかな。

先生の考え方とか、世界観を理解し、共感している人なら、こんなストーカー的な、神経症的な、まわりが見えていない行為をさらすことはしないのではないだろうか。なんのためにやっているのだろうか。

まるで憧れの人に近づけなかった人が、憧れの人のすごさと自分の至らなさの差に葛藤を覚え、憧れの人を攻撃することによって距離を縮めようとしているみたい。

だけど、先生に共感してたら、自分のつまんない思い込みを守ろうとはしないだろう。
先生に迷惑をかけ、さらに周囲の人たちにもよくない思いをさせている。
http://d.hatena.ne.jp/kishida_shu/

ページのトップに置いている下記の記述だけでも、訴えられたら名誉毀損で有罪になるかも。
>「究極のハレンチ教授」 岸田秀
>1.学歴詐称(詐欺横領) 2.セクハラ 3.剽窃(盗作)と三拍子そろった 「究極のハレンチ教授」 岸田秀
>(3.剽窃(盗作)については近日中に補足します。)

有罪になったこともないのに、「究極のハレンチ教授」とはなんという書き方か。失礼。
ついでにハレンチって言葉を使うってことは若くない人か、おしゃれじゃない人ですかね。

「3.剽窃(盗作)については近日中に補足します」と書きながら3年以上も放置して何も書き足さないというのは不誠実。誹謗したいだけではないですか。

「1.学歴詐称(詐欺横領)」と罪状を書くのも不誠実。裁判で詐欺横領と認められていないものに対して罪名を書くことは名誉毀損になるのでは。

「2.セクハラ」とも書いてるけど、セクハラとして学内で処分を受けたこともないでしょう。
勝手に「セクハラ」と言ってると罪に問われるのは言っている方ですよ。

先生は、いろんな価値観を分析し客観的に見ている。価値観とはなんなのだろ、と考えているとひとつの常識にどっぷりつかることができず、不安定なところに身を置くことになる。その中で誠実に思考している先生に、私は原初的な仏教にあるような高度な考え方を感じ、共感している。

先生は、エロ話もするだろうけど、何かに固執しているような、何かを獲得しようとしているような、そんなエロではない。
性的に自由なところがあったとしたら、それは芸術家や哲学者としての行動であって、先生に対して的を射ないことを書いている小市民の妄想できる程度のエロではない。

女性をくどいたことがないことを自慢する超まじめなぼくは、先生の表情に卑屈あるいは卑猥という感じのエロは感じない。
後ろめたさのない、さわやかでおもしろい、固執していない感じの「エロ」ならあるかもしれないけど。
そういう先生だからこそ、いろんな人も気軽にエロ話ができるんじゃないかな。

っていうかもてる人にとっての粋な行為は、もてない人にとってはエロ妄想の広がることなのかもしれませんね。
先生の周りの人はみんなやさしいから、先生に攻撃的な人のこともやさしく見守っている。

だけど、あんまり目立つことしてたら、ぼくが突っ込みを入れるかもしれない。
(先生の周囲の人は、だいたい誰が書いているか推測できてるんじゃないかと思うのですが)

いいかげんにしてね 
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今度は中傷書き込み無罪(グロービートジャパンと平和神軍)

2008-03-01 12:53:22 | Weblog
読売新聞に「地裁判決 中傷書き込み無罪 ネット上必要な調査している」という記事を見つけた。
よくあるネット中傷の話か、と思ったけど、「インターネットのホームページ(HP)で外食店の運営会社『カルト集団』などと中傷」という文字を見て、ああ、ラーメン花月(グロービートジャパン)関係の話か、とわかった。

グロービートジャパン(ラーメン花月)は右翼カルト的な宗教団体と関係がないと言ってるんだけど、それは親子であっても別会社の人間だったら別々の関係だ、と言うようなものでしょうか。

もう被告のサイト「逝き逝きて神軍」は見られなくなっているけど、以前見たときはなかなか説得力を感じた。
別に恨みとか誹謗とかではなく、節操のないカルト的な人たちがのさばるとまずいのでは、という意識からはじめたサイトではなかったかと思う。

ラーメン花月の社長の北條氏(本名黒須氏)の親は中杉氏(本名黒須氏)で、中杉氏はカルト宗教と認識されてもしかたのないような宗教活動をしていた。
中杉氏は行動力があり、自信もあり、突拍子もないこともやり、宗教家らしく口数は多いけどあまり中身のあることは話していないように感じる。
まあ、法○経が何よりすごい、自分の解釈は何よりもすごい、と信じてる人にはもう何も言いようがない。わるい人ではないのかもしれないけど、想像力たくましいというか妄想も感じてしまう。教祖タイプにこういう人多いかも。
でも意外にブレーンには優秀な人が来るんですよね。ネットに詳しい人や英語に強い人が側近として活躍されていますね。

中杉氏の周囲には、ラーメン花月、ニセ博士号発行のイオンド大学、新興宗教、等々興味深い団体が多い。
その団体が関わっていたインターネットを使った敵対者攻撃、裁判をおこして相手の口をふさぐやり方、相手の周囲や勤務先にクレームをつけて相手に圧力をかけるやり方は、なかなか興味深い戦略でした。
Google八分という言葉も有名になりましたね。

だけどいつまでもそういう手法は通じないよ、と裁判官は釘を刺したのかもしれない。

それにしても、名誉毀損で訴えられて無罪になるというのは珍しいですね。三浦和義さんは勝率8割というし。
それにしても「ネット上必要な調査している」から無罪になるというのだったら、逆に「きっこの日記」のきっこさんは有罪になるのでしょうか。きっこさんに嫌われているらしい皇族や石原慎太郎氏はなぜきっこさんを訴えないのか不思議。

それからラーメン花月は季節商品を出しますが、3月5日から5月いっぱいまで「新野菜主義!ラーメン菜菜さん」というラーメンを販売します。
一部の店ではもう食べられるみたい。
・ラーメン菜菜さん
http://info.kagetsu.co.jp/newitem/080206nanasan_pre.html
「どうやったら野菜だけでこんなに美味しい味が出せるのか不思議です。」
「野菜の旨みは抜群。一度食べてみたい、と楽しみにしていました」
などの”お客様からのコメント”が掲載されているけど、これは誇大広告ではないですか。
私が去年食べたときは、絶対に大量の化学調味料が入っているんだろう、という舌のしびれを感じました。野菜だけであんな旨みや刺激は出せない。
化学調味料をもっと抑え気味にしてくれたら食べに行きたい。野菜だけのラーメンというアイデアは斬新。


<参考>平和神軍観察会事件についてOhmyNewsの記事(2007/12/27)
http://www.ohmynews.co.jp/news/20071220/18765

<参考>平和神軍観察会事件についてWikipediaでの説明
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%92%8C%E7%A5%9E%E8%BB%8D%E8%A6%B3%E5%AF%9F%E4%BC%9A%E4%BA%8B%E4%BB%B6

<参考>「平和神軍観察会」裁判についての説明(次瀬氏の本名は橋爪氏)
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Poplar/5851/new49.htm

<参考>被告?が書き込んだ掲示板
http://society6.2ch.net/test/read.cgi/court/1156514707/l50x
410 :傍聴席@名無しさんでいっぱい:2008/02/29(金) 14:43:13 ID:cYn63aa40
無罪判決でした。
http://yama-ben.cocolog-nifty.com/ooinikataru/2008/02/post_1756.html

411 :傍聴席@名無しさんでいっぱい:2008/02/29(金) 23:19:36 ID:4lPiv1eq0
これかな。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080301k0000m040062000c.html

412 :国賊認定団体『珍軍(日本平和神軍)』討伐隊隊士:2008/03/01(土) 02:38:55 ID:JAMuOlkl0
ただいま帰宅いたしました。
判決で無罪が言い渡された瞬間、法廷で一瞬どよめきが起き、報道席の記者たちが弾き飛ばされたように席を立ち飛び出していき、
グロービートジャパンインターネット及び2ch担当役員大橋正純は顔をしかめて、閉廷後そそくさと立ち去った。

紀藤弁護士一同弁護団も予想だにしない無罪判決。
弁護団は執行猶予付き罰金刑かと予測していたが、まさかのだいどんでん返し。

その後、祝勝会でいつも寡黙な荻上弁護士が実は体育会系宴会奉行である事が発覚し、しかものべつ幕なしな
おしゃべり男である事も発覚するという意外な展開が待っていた。
弁護団は刑事事件で初の無罪獲得にしたたかに酔った。
リンク事務所でキープしてた焼酎のボトルを空にして更にもう一本追加した。

判決文も異例ずくめで弁護団によると『教科書にもない初の司法判断』とものすごい興奮振りでした。

<参考>中杉弘氏のブログ
http://blog.livedoor.jp/nakasugi_h/
中杉弘こと黒須 英治(くろすひではる)について
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E6%9D%89%E5%BC%98

<参考>新聞社の報道
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080229-00000126-jij-soci
■中傷書き込みに無罪=ネット名誉棄損で新基準=「確実な根拠」求めず・東京地裁
2月29日18時31分配信 時事通信
 インターネット上でラーメン店チェーン運営会社を中傷する書き込みをしたとして、名誉棄損罪に問われた会社員橋爪研吾被告(36)の判決が29日、東京地裁であった。波床昌則裁判長は、内容に確実な根拠はなかったとしたが、「公益目的で、個人として求められる水準を満たす調査をしていた」として、無罪(求刑罰金30万円)を言い渡した。
 ネット上の個人表現について新たな判断基準を示したもので、弁護側は「画期的な判決」と評価している。
 橋爪被告は、2002年10月から11月にかけ、ホームページで運営会社について、「右翼系カルト団体が母体。ラーメン店で食事するとカルトの収入になる」などと記載したとして起訴された。
 判決で波床裁判長は、書き込みは公益目的と認めたが、同社と団体の一体性や緊密な関係を否定。メディア報道なら有罪となるケースと指摘した。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080229-OYT1T00682.htm
■ネットでラーメン店を中傷、名誉棄損問えず…東京地裁
 インターネットのホームページ(HP)で、外食店の経営会社を「カルト集団」などと中傷したとして、名誉棄損罪に問われた東京都大田区の会社員、橋爪研吾被告(36)の判決が29日、東京地裁であった。波床昌則裁判長は「ネット上の個人の表現行為については、従来の名誉棄損の基準を適用すべきではない」との判断を示した上で、「内容は事実ではないが、ネットの個人利用者として要求される程度の調査は行っている」と述べ、無罪(求刑・罰金30万円)を言い渡した。ネット上の名誉棄損について寛容な姿勢を示す新判断で、議論を呼びそうだ。
 判例では、事実に反し名誉を棄損しても、内容に公共性・公益性があり、加害者が真実と信じるだけの「確実な根拠」があれば罪にはならないとされてきた。

 判決はまず、HPの記載内容について「確実な根拠はなく、従来の基準では有罪になるとも考えられる」とした。一方で、「ネットでは被害者が容易に反論できるほか、個人が掲載した情報の信頼性は低いと受け止められている」と、ネットの特殊性を指摘。従来ほど厳格な基準を当てはめるべきではないとし、〈1〉わざとウソの情報を発信した〈2〉個人でも出来る調査も行わずにウソの情報を発信した――場合に名誉棄損罪を適用すべきだ、と述べた。

 橋爪被告については、経営会社の登記や雑誌の資料を集めるなど「ネットの個人利用者に求められる程度の調査を行った」とし、無罪とした。弁護人の紀藤正樹弁護士は「ネット上の個人の書き込みについて新基準を示した画期的判決」と評価した。橋爪被告に対しては名誉棄損訴訟も起こされ、橋爪被告に77万円の支払いを命じる判決が確定している。

 渡辺恵一・東京地検次席検事の話「判決内容を詳細に検討し、適切に対応したい」
(2008年2月29日21時39分 読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080229-00000933-san-soci
■「カルト団体の母体だ」HP書き込みで批判 男性に無罪 東京地裁
2月29日15時42分配信 産経新聞
 ラーメンチェーンを経営する企業がカルト団体と関係があるかのような書き込みをインターネットのホームページで掲載し、企業の名誉を傷つけたとして、名誉毀損罪に問われた会社員の男性被告(36)の判決公判が29日、東京地裁で開かれた。波床昌則裁判長は、「名誉毀損には当たらない」として、罰金30万円の求刑に対し、無罪を言い渡した。

 波床裁判長は、まずインターネット上の書き込みに関して、名誉毀損罪が成立するか否かを検討。「ネットでは利用者が互いに反論できる上、情報の信頼性が低いため、従来の基準は当てはまらない」と指摘。

 「真実でないと知りながら発信した場合か、インターネット個人利用者に要求される水準の事実確認を行わずに発信した場合に、名誉毀損罪が成立する」との新たな基準を示した。

 その上、波床裁判長は、男性が企業の登記簿や雑誌の記事などの情報収集を行っていたことを指摘し、「インターネットの個人利用者として要求される水準の事実確認は行っていた」と判断。「名誉毀損には当たらない」と結論付けた。

 男性は平成14年10~11月にかけて、自身がインターネット上に開設したホームページで、ラーメンチェーンを経営する企業について「カルト団体の母体だ」などの文章を掲載し、この企業の名誉を毀損したとして起訴された。

 この事件をめぐっては、民事訴訟では男性の書き込みが名誉毀損に当たると判断し、賠償を命じている。

*東京地検の渡辺恵一次席検事の話
 「判決内容を子細に検討し、適切に対応したい」
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