世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●ツバメが一羽飛んできた ゆえに夏到来と思うことなかれ

2014年07月18日 | 日記
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●ツバメが一羽飛んできた ゆえに夏到来と思うことなかれ

 以下は、地方からの反乱を予想する山田厚史氏のコラムだが、山田氏も滋賀県知事選での自公敗北一つで、糠喜びするべからず、と言いながら、どこか浮き浮きしている(笑)。まあ、あまりにも体たらくな野党の様を見ていれば、僅かな光でも、気持ちが安らぐのは事実だ。負けるよりは、断然いい。しかし、嘉田知事を生みだした地域性も考慮すれば、勝つべくして勝った選挙と云う見方も可能だ。あの自公推薦の官僚候補者は、ハッキリ言って「玉が悪すぎ」と云う一言に尽きるだろう。

 ただ、筆者も、中央集権統治のシステムに組み込まれた、全国紙メディアや学者、評論家の類の言説が、ストレートに国民の気持ちに入り込めない状況が、各所に表れている。この傾向は、グローバル世界と云う、鵺のような世界の混沌を抜け出す手立ての一つとして、地域の主張を成長させないと、すべて霞が関の好きなようにやられてしまい“棄民化”が益々増長するに違いない、と云う機運が生まれていることは、傾向的に見られる。無論、まだ顕著と云うには、ほど遠い。しかし、無から有になった点は、素直に好感を持ちたいと思う。

 田中秀征の“滋賀県知事選は安倍政権の暴走にブレーキ!”というコラムも、民主党が勝利したと思うな、と諌めている。ただ、民主党から追い出す、政治家の選択にトラップが入り込んでいる。『党内の原発推進派や集団的自衛権行使派と明確に手を切れというのが、かつての民主党に期待した人たちの大半の願いなのである。 民主党は、有権者が期待し、民主党が公約した「消費税増税の前の行政の改革」を平気で反古にした。民主党政権のこの不信行為こそ党没落を招いた。これも有権者は忘れることはない。』と民主党の悪徳政治家“渡部恒三、藤井裕久、仙谷由人、菅直人、野田佳彦、岡田克也、前原誠司、安住淳、枝野幸男、玄葉光一郎”らが人選されているわけではない点だ。

 民主党は、政党として第二位であることに固執すべきではない。「国民のための政治」が出来る政党に変わるべきなのだ。勢力の半減を恐れるあまり、結果的に、最大政党にまで成長した「無党派党」の期待に応える政党の誕生に、死に物狂いになるのが、実は政権政党に復活する早道なのである。社民、生活、結い、維新の顔を立て、連立を視野に世論を盛り上げる力量があるかないかだ。16年で未だ野党でも構わんだろう。ただ、存在感のある野党勢力の実態を作るべきだ。その下地が、必ず次の選挙で政権を担う可能性が高まる。勿論、最大政党にまで成長した「無党派党」の動きひとつでは、16年に逆転させることも不可能ではないだろう。そんなことを考えながら、山田氏のコラムを読むのも面白い。


 ≪ 脱安倍へと動き出した民意
 ■ 滋賀知事選の目覚まし効果
 挙戦終盤に潮目が変わる 「知名度が十分でなかったなど敗因はいろいろあろうが、率直に反省しなければいけない」  滋賀県知事選に擁立した元経官僚の小鑓(こやり)隆史氏が惜敗、自民党の石破茂幹事長は敗北の理由に口ごもった。自民支持層が盤石でない地域、予想外に鈍かった公明党の動き、知名度が低い候補者……。理由を挙げればいろいろあるが、小鑓優位が伝えられた選挙情勢に異変が起きたのは選挙戦終盤だった。潮目は集団的自衛権を容認した閣議決定。この事実を自民党はどう分析するのか。 「ツバメが一羽飛んだからといって夏が来たわけではない」という警句がある。

 早合点は禁物ということだ。琵琶湖という水がめを抱え環境問題に敏感な風土が、しなやかな反権力の嘉田由紀子知事を支えてきた滋賀である。小鑓候補は嘉田県政の弱点とされる経済課題を挙げ、ひたすら地元の活性化を訴えた。原発の争点化を避けるおなじみの選挙戦術だったが、終盤に自民党が党を挙げて応援に乗り出したことで争点は一気に国政へと移った。

 福井に密集する原発に万が一のことが起きたら、取り返しのつかない事態が起こるという根強い危機感が地元にはある。再稼働をもくろむ現政権が、力ずくで勝ちを取ろうと押し寄せて来れば地元に反発は起こる。
 選挙結果は滋賀の事情を考慮する必要があるだろう。だからと言って7月1日の閣議決定が局面に及ぼした事実を消すことはできない。

 直後の世論調査で安倍政権の支持率は軒並み下がった。共同通信では支持率が前回4.3%下回りは47.8%、読売新聞は9%下落の48%、いずれも初めて50%を下回った。比較的高い支持率が出るJNN世論調査では52.4%だったが、前回調査に比べ10.9ポイントも下落、不支持率が10ポイ ント上昇した。 ■中曽根元首相も現政権にハラハラ  安倍政権は「高転び」が心配されている。

 政権に就いた時は「自民党が勝ったわけではない。民主党が支持を失った」と冷静な分析を口にしていた首相だが、権力を固めるに従い「驕り」が目立つようになった。
 国会中継を見ても、批判されるとムキになる。感情を露わにし攻撃的な口調が目立つ。自信がないと想定問答を棒読みするだけ。とても分かりやすい性格だ。
 アベノミクスや成長戦略、集団的自衛権などの持ちネタを滔々と語る首相の表情に、ふと既視感を覚えた。大学に闘争の嵐が吹き荒れていたころの「にわか革命家」に似ている。世界情勢や政治変革と無縁だった学生が、活動家になると急に雄弁になる。覚えたての理屈をまくし立て、突っ込まれると声を荒げ、攻撃的になる。
 新聞記者になって同じような経験をした。駆け出しの記者は業界用語を盛んに使う。生半可な理解を補おうと、知ったばかりの言葉を並べる。業界用語を使うとわかったような気になるからだ。
 人の成長にはそんな局面もあってもいい。しかし首相がその程度の発展途上では国民が困る。未熟さを自覚しているなら、まだ救いがあるが、驕りが自信となると最悪だ。

 6月23日の産経新聞一面に中曽根康広元首相の寄稿が載っていた。中身は安倍政権に自重を促す内容である。論旨を紹介すると
①敗戦後の日本は憲法9条の下でどのように実効性のある安全保障体制を作るかが基本課題だった
②同盟国である米国と協議して他国の理解と自国民の支持を得ることが重要だった
③安保政策は自民党と野党が話し合いながら注意深く形成されてきた
④自衛権の整備は安全保障上の一要素、外交戦略が欠かせない
⑤集団的自衛権は中国、韓国、ロシアを刺激する。反応の分析や検討が大事だ
⑥日本の戦後外交の基本は善隣友好だ。対中・対韓での協調を忘れてはならない  
 文章の端々に現政権の内政・外交にハラハラする思いが伝わってくる。
 米国に「失望」と言わせた配慮のなさ、野党を無視し数で押し切る政権運営、国民世論の軽視、抑止力のみに頼る安全保障、近隣との不和を煽る言動……。中曽根氏から見れば未熟と見えることばかりだろう。

■ 提言受け取り拒否事件
 こうした声は自民党内にもあるはずだ。噴き出さないのは自民党の活力が低下しているからではないか。 「首相は耳障りの悪い話は聞きたがらない。直言すると疎まれる。最近そう言われています」  自民党で政策作りを担当していた元国会議員は言う。とくに首相官邸ではその傾向が強く、気の合う「お友達」が取り巻いている。
 そんな彼らが漏らす本音が日米関係や日中日韓の関係を悪化させている。
 聞きたくないことを聞かない一例に「提言受け取り拒否事件」があった。 「平和と安全を考えるエコノミストの会(EPS)」はノーベル賞を受賞した経済学者などが加わる世界団体で、日本では東大の河合正弘・東大特任教 授、元アジア開発銀行研究所長を中心に宮崎勇・元経済企画庁長官、小島明・元日経センター会長、浜田宏一・内閣官房参与、エール大学名誉教授などが参加している。その日本支部が日中関係のあり方について5月、提言をまとめた。

 日中両国がいがみ合うことは両国の利益にならず、東アジアの安全保障にも影響する、として相互依存を強めることを求めた。具体的には尖閣問題を棚上げし、海底資源を共同開発する。東シナ海を緊張の海から繁栄の海にすることなど提言し、両国政府に届けると発表した。中国大使館は受け取ったが、首相官邸は拒否した。事前に渡した提言の内容が好ましくない、というのである。

 EPS日本支部は毎年のように日本の安全保障と絡む提言をまとめ、首相官邸に渡している。拒否は初めてだった。 「安倍首相まで話が届いているかはわかりません。官房長官に渡す段取りになっていたが、周りがおもんぱかって受け取りたくない、と言い出したようです」

 折衝の事情を知る関係者は言う。尖閣棚上げは、当面の解決策として日米、米中でひそかに語られている方策の一つである。安倍首相の外交方針とは違うが、識者の提言を拒否するというのは大人げない。そこまで周りが気を使わざるを得ない状況に官邸がなっているとしたら重症である。 「晋三クンは総理にはまだ早い。もう少し勉強し経験を積んでからのほうがいい」

 首相の叔父で日本興業銀行頭取だった西村正雄氏から生前そう聞いた。言葉通り第一次安倍政権は、みじめな結果となった。政界から消えてもおかしくはなかったが踏みとどまり、まさかの復活を果たした。  民主党の自滅で転がり込んできた権力を、「自分のもの」と勘違いしたのだろうか。幸運に恵まれ「この際やりたいことをやってしまおう」という気になったのか。お友達に煽られたのか。民意からの逸脱が始まった。 「憲法解釈の変更」は象徴的な出来事だった。歴代内閣が「憲法9条がある限り行使できない」としてきた集団的自衛権を、内閣の都合で憲法解釈を変え、9条を空洞化する。賛成派だけ集め、法的な裏付けのない私的懇談会に審議させ、国会で聞かれても「審議会で議論中」とかわし、結論が出ると官邸で大々的に宣伝し、問題点の整理は自民・公明の与党協議にゆだねた。与党から離れられない公明の弱みにつけ込んだ合意だった。

 憲法解釈に携わってきた歴代の内閣法制局長官や法学者、メディアが批判しても聞く耳持たず。国会も無視され、やっと開いたのが休会中審議である。 それも衆参一日ずつだった。国の在り様を定めた憲法を、一内閣の都合でクロをシロに変えてしまう。安倍政権を誕生させた総選挙では、一言も触れていない 「平和憲法の空洞化」が着々と進む。

■「目覚まし」を迫った滋賀県の有権者
 安倍政権が誕生して1年7ヵ月。これまでは選挙のたびに有権者は「民主党にお仕置き」をしてきた。政権交代に期待し裏切られた無党派層は投票に背を向け、自民・公明の与党連合を勝たせてきた。
 滋賀知事選で自民・公明連合の敗北は、遠ざかっていた有権者が選挙に戻ってきた結果である。投票率は予想を超え50%を上回った。投票行動が「民主党お仕置き」から「安倍警戒」へと変わったことをうかがわせる。

 火をつけたのが集団的自衛権を巡る強引な政権運営である。
 日本で最大の政治勢力は自民党だが、支持率は25%程度である。野党は軒並み一桁で最大勢力は「支持政党なし」で60%前後を占めている。この無党派層がどこに動くか、あるいは動かないか、で国政の方向が決まる。政党が信用されていないのである。 民主党政権が陥落した後、焦点は野党再編に移った。寄り合い所帯だった民主党が壊れ非自民勢力がどう再結集するかを無党派層は眺めていた。しかし野党であることに耐えられない政党が政権にすり寄り、安倍政権の補完勢力になってしまった。

 2009年の政権交代を実現させた無党派層は、自民党の旧態依然たる政治に飽きていた。民主党には裏切られたが、政治をまともなものにしたいという思いを抱いている。景気を浮揚させるアベノミクスには期待を寄せるが、秘密保護法や集団的自衛権などイデオロギー色の強い案件には抵抗感があり、強引な手法が反発を買った。

 頻繁にテレビに登場する首相の映像に、有権者は一抹の不安を覚えるようになったのではないか。表情は正直に語っている。高揚すればするほど手前勝手な未熟さが見えてしまう。
 安倍首相に対抗するライバルは自民党内になく、野党は無力化。長期政権化がささやかれ、メディアの腰は引けている。
 そんな状況に「目覚まし」を迫ったのが滋賀県の有権者である。

 ■ 反旗は地方から広がる
 改めて国政に目を向けると、福島原発の処理は進まず原発の再稼働が急がれている。首相は頻繁に外遊しているが、近隣の中国・韓国との関係は最悪だ。同盟国である米国ともしっくり行っていない。北東アジアでの軍事的緊張が強調され、集団的自衛権の必要性が強調されるが、平和憲法をかなぐり捨てて 「普通の国」になることが日本にとって必要なことなのか。
 民主党政権への失望感はもはや賞味期限切れとなった。結果、政局は安倍政治へと目が向かう。10月には福島知事選、11月は沖縄知事選。突っ込みどころ満載だ。メディアも中央の新聞や放送局は政権の鼻息を窺うところも多いが、地方の新聞は政権に批判的だ。集団的自衛権でも地方紙はどこも厳しい論調である。強いもの優位の経済政策でも、地方に違和感が広がっている。安倍政権への反旗は、地方から広がるのではないか。 ≫(DIAMOND ONLINE国際 山田厚史の「世界かわら版」)

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●死者数、200:1 の紛争 イスラエルは地球上で何がしたい

2014年07月17日 | 日記
イスラエルとは何か (平凡社新書)
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●死者数、200:1 の紛争 イスラエルは地球上で何がしたい

 見出しの「死者」の数は、パレスチナ・ガザ地区に住む人々の死者と、イスラエルの国民の死者を対比したものだ。この数字が、すべてを語っていると云うことだ。外交上とか、軍事上とか、如何にも西側諸国にメディアの論調を見聞きしていると、イスラエルに理があり、パレスチナ・ハマス勢力がテロ組織のような地位にある。しかし、このような紛争をみつめる視座を、“人としての”宗教や哲学に立ってみると、到底イスラエルに正義はない。ハマスが、その地域の治安維持に、どれ程悪影響を及ぼしているとしてもだ。イスラム原理主義勢力だからと云って、その組織する人々の生命と、気敬虔なユダヤ信者の生命に、軽重があって良い筈はない。

 ある意味で、汎用的民主主義やアメリカンデモクラシーにおいては、そのイデオロギーに馴染まないイデオロギーを悪のように、悪しざまに語る傾向があるが、相当に身勝手なロジックに過ぎない。人間の命と云う基準で眺めれば、1人の死者しか出していないイスラエルに、正義があるとかないとか、そんな議論はマヤカシである。戦力的には死者の数と反比例、200対1の事実があるのだろう。こういう場合、200の力を有する勢力は、自己抑制するか、部分的制裁を科すべきであり、市民に、ミサイル撃ち込むから、何処かに行けとか、ムチャクチャ言うものではないだろう。かなり乱暴な、トルコのエルドアン大統領に、イスラエルは「テロ国家」だと言われるようでは、救いようがない。

 このような、理は我に有り、と標榜するのが、デモクラシーと云う、一見平等が馴染むような政治体制で起こってしまう、欺瞞なのである。オバマの典型的二枚舌、Wスタンダードも、ウクライナ政府の発表も、その多くがプロパガンダ洗脳報道による、民主主義国家のマインドコントロールの罠なのだ。民主主義の基礎的部分には、欺瞞そのものはないのだが、その民主的手続き風味の過程を通していくうちに、欺瞞がのさばると云う、非常に取扱いの困難な制度なのである。理に適っていて、論理上悪魔のような、時に大参事のような出来事の入り込む余地がないものに思えるが、そこに“デュ・プロセス・オブ・ロー”が陥りやすい錯誤が生じる。「世界一の安全基準」の謳い文句で、正義の味方風に颯爽とデビューしたわが国の原子力規制委員会にも、同様のニアンスが漂う。


≪ 川内原発:田中規制委員長「安全だとは私は言わない」
 原子力規制委員会は16日、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)について、「新規制基準に適合している」とする審査書案を定例会 で了承した。今後、30日間の意見公募などを経て審査書を決定する。川内1、2号機は、東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえ、安全対策を強化した新規制基準をクリアする初の原発となる。地元同意手続きや設備の使用前検査なども必要となるため、再稼働は10月以降になる見通しだ。
 ただ、規制委は「基準に適合しているかどうかを審査するだけで、稼働させるかどうかには関与しない」と の姿勢を崩さず、政府も「稼働させる政治判断はしない」との立場だ。実質的に再稼働の判断は電力会社と立地自治体に委ねられ、国策でもある原発が、国の責任があいまいなまま稼働する可能性もある。
 現在、川内1、2号機を含め、12原発19基が規制委の安全審査を受けている。事実上の「合格」第1号が出たことについて、田中俊一委員長は「基準への適合は審査したが、安全だとは私は言わない。これがゴールではないので、(九電は)努力していく必要がある」と述べた。
 審査書案は約420ページ。九電が示した地震や津波の想定、事故対策などを個別に検討した。九電が想定 する地震の最大の揺れ「基準地震動」を従来の540ガル(ガルは加速度の単位)から620ガルに、想定する最大の津波の高さ「基準津波」を約4メートルか ら約6メートルに引き上げたことを、いずれも妥当とした。
 また、九電が周辺14火山の過去の噴火間隔やマグマだまりの膨張傾向などから「安全性へ影響する可能性は小さい」と判断したことを受け入れた。ただし、規制委は継続的な火山の監視を求めた。
 また、福島第1原発で起きた炉心損傷や全電源喪失などの過酷事故への対応は、幅広い事故の想定▽事故時 の作業要員の確保方法▽機能喪失を防ぐ設備の準備▽対応手順−−などを求め、九電が示した対応策をいずれも了承した。航空機が施設に落下した場合やテロ対策についても対応の手順書や体制、設備の整備方針を認めた。
 九電は昨年7月に川内1、2号機の安全審査を申請した。当初は基準地震動を原発事故前のままとするなど、安全対策に消極的な姿勢も見られたが、いち早く基準地震動の引き上げに応じたため、3月から優先的に審査が進められた。
 審査書案は今後のモデルケースとなるため、他原発の審査が加速するとみられる。川内1、2号機に続き、基準地震動が決まった関西電力高浜原発3、4号機(福井県)の審査が先行している。 ≫(毎日新聞:鳥井真平)

 確たる産業を持たない過疎地域にとって、目先の飯の種は、いつ起きるか判らない原発過酷事故の不安に優先すると云う印象だ。しかし、結果的には、国の責任が、記事が言うように“曖昧”どころか、国策産業だが、責任は取らないと明言しているし、規制委員会の田中委員長も「安全だと、私は言わない」って云うのだから、責任は電力会社と立地自治体の責任だとしている。政府の補助金が欲しけりゃ、リスクを負え。「金目」を求めるなら、不確定なリスクよりも、目先の利に走るべきだ、と言っているのと同義なのだ。民主主義の“デュ・プロセス・オブ・ロー”の悪用の典型的パターンと言えるのだろう。原発が安全かどうかの議論自体が誤ったスタートラインであり、代替エネルギーがあるなら、仮に不経済であっても、他のエネルギーの有効性を高めるのが筋。原子力規制委員会が、そもそも道理に適っていない組織なのである。

 まあ、安倍政権のやること、正しいことをする筈がない(笑)。すべてが誤謬だらけの選択なのだが、それを間接的だが、選んだのが国民なのだから、今更愚痴を言っても始まらない。当分は、運を天に任せることになる。滑稽な記事を読んだ。海江田民主党代表が、中国共産党序列5位の政治局常務委員と会談した際、安倍と習の首脳会談を呼びかけたが、ケンもホロロに一蹴されたらしい。海江田レベルに真っ当な返事をする筈もない。尖閣を国有化した野田前民主党代表を除名にしてから出直せ、とは言われなかったようだが、面白いことも言っている。「尖閣を棚上げにするなら、考えても良いぞ」と云う流れだ。中国の革新的利益に、幅が出来たことを示しているかどうか、しっかり判断する必要はあるだろう。

 最後になるが、BRICS首脳会議で、「新開発銀行」の設立が決まった。世界第2の経済大国で、世界一の外貨準備高を誇る中国。軍事的にアメリカの覇権を是としないロシア。成長率の鈍化はあるにせよ、インド、ブラジル、南アの参加は、かなりにインパクトを持っている。西側陣営は、素知らぬ顔をしているが、アメリカの覇権の原動力「ドル基軸」の信頼が薄れる貿易基軸通貨の対立通貨の誕生を示唆しているのだから、内心穏やかではないだろう。そりゃそうだ、IMFと世界銀行をアメリカが実質的に握り、アジア開発銀行なんての、地方支店みたいなもの、国際経済に与える影響は、決して軽微ではない。必ず、大陸国家の覇権方向に有効に作用するだろう。世界のあらゆる事象を観察する場合、やはり、我々は、どのような視座で観察し、理解するか、ここが一番重要なのだろう。

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●「情緒外交」今日も行く ボクちゃんが気持ち好くなりたいの

2014年07月16日 | 日記
日本の聖域: この国を蝕むタブー
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●「情緒外交」今日も行く ボクちゃんが気持ち好くなりたいの

 東京新聞が珍しく、夜中に東京新聞TOKYOWEBが共同発の記事を更新した。どのような記事かと云うと、以下の通り。

≪ 米、安倍首相訪朝の自制要求 制裁解除にも不快感
 ケリー米国務長官が7日の岸田文雄外相との電話会談で、日本政府の拉致問題対応に関し「安倍晋三首相が北朝鮮を訪問すれば、日米韓の連携が乱れかねない」と自制を求めていたことが分かった。首相訪朝を検討する場合は米側と事前に協議するよう要請し、拉致再調査の進展に伴い段階的に独自の経済制裁を解除するとの日本の方針に不快感をにじませた。複数の日米関係筋が15日、明らかにした。
 核・ミサイル問題での日米韓連携を重視するオバマ米政権が「日朝接近」を警戒している実態が鮮明となった。拉致問題の早期解決と、日米同盟の強化を並行して実現したい首相は難しい立場に立たされた格好だ。 ≫(東京新聞、共同)

  とまあ、そんなわけである(笑)。しかし、この記事でも判る事だが、安倍晋三の外交防衛の方向性には、潮流と云うものがない。隷米のようで、半年おきに、アメリカを苛立たせる行動に走る。特定秘密保護法、集団的自衛権閣議決定等々、アメポチぶりを世界に晒したかと思えば、アメリカの忠告をせせら笑うように靖国に参拝し、北朝鮮にも融和的態度を示すし、対露関係でも、オバマの短髪を逆なでし、ウッカリすると、今年中に、オバマの宿敵プーチンを国賓として迎えることまで考えているのだから、大変に難解な外交姿勢である。そもそも、安倍晋三の外交方針を解釈しようと云うのは、気まぐれオヤジの「情緒外交」なのだから、解釈と次元の議論そのものが成立しないのかもしれない。

   筆者個人としては、この安倍外交の出鱈目ぶりは、実に好ましいと思っている(笑)。1年中、フェイントをかけ続けるドリブラーのようで、見ていて面白い。アメリカだけに限らず、中国、ロシア、北朝鮮、韓国など近隣諸国も、安倍外交の最初から最後までの「フェイント外交」の解釈に戸惑っているのは間違いない。未開国家の部族長、発展途上国の怪しい大統領と同じレベルで、ナショナルの「三つ又ソケット」をランダムICを加えたような感じで、どの国も、安倍晋三の外交姿勢を把握できていないだろう。筆者個人であれば、おバカ総理の「情緒外交」だからね、で済むわけだが、世界中がきな臭いわけだから、同盟国も隣国も安心できる材料がない。

 オバマにすれば、「日本の首相?安倍なんぞ脅しておけば何とかなる」と高を括っていたのだが、どうも普通の脅しでは通用しないことを、漸く理解したようだ。手練れの催眠術師でも、ニヤニヤ阿呆には催眠術を掛けるのに、非常に苦労するらしいが、まさに、その状況に近いものがある。こんな首相の軍隊に、最後尾の守りを任せでもしたら、おちおち前ばかり見て戦うことは出来ないだろう。オバマさんよ、安倍自衛隊にモノを依頼する時は、背後からの袈裟懸けもあるので、ご注意あれ、と云うところだ。

 弱小国の外交姿勢なら、それもありかなと思うのだが、痩せても枯れても、世界第三位の経済国家だ。どうなっているか、誰もわからない政府の外交方針ってのは、あまりにも怖いのではなかろうか。たしかに、上手く行く場合もあるだろう。しかし、外れたら最後だ。方向性がない夢遊病患者のようなものだから、何をするか判らん。それこそキチガイ刃物の状況を呈するだろう。北朝鮮訪問の土産に、拉致被害者と核爆弾でも貰ってきたら、そりゃ全世界が驚くだろう(笑)。H2ロケットに積み込めば、大陸間弾道ミサイルだ。プーチンに売ってくれと頼んだが断られたので、暴発するかもしれないが、取りあえず購入に至ったなんちゃって、嘘のような出来事さえ、筆者の夢の中には出てくる(笑)。

 まあ今夜は、半分お遊びのコラム紛いだが、妄想だと思い、笑って読んでもらおう。ところで、アベちゃんは滋賀県知事選の自公敗北に、ことのほか傷ついているらしい。昨日の参議院予算委員会で、その怒りは、ヤジる野党や質問者の福山哲郎に向けられたようだ。福山が“自民党のある議員”として日米関係に関する発言を紹介すると、その答弁を座ったまま、ヤジのような口ぶりで「名前出してよ。分からない」と半答弁。それを咎めた福山に“首相が席でヤジを言わないで”と諌められる一幕があった。相当苛立ち、不安の連鎖が、アベちゃんの心の中では起きている、と推察できる。

 福島県知事選は、福島県の県民性から推量するに、自公で勝ち名乗りだろうが、沖縄知事選は、ほぼ勝ち目なし。年末には最悪の気分が待っている。支持率も、凋落の一途を辿る。なんとかしないと、石破に美味しいところを持って行かれかねない。どうする?北朝鮮訪問は絶対に実行するぞ!プーチンにも来てもらおう。アメリカのオバマが、俺をどのように思おうと、知ったことか。日本の国民が、そうすることで「いよっ!アベちゃん!」と喝采すればいいのだ。アメリカに褒められても、怒られても、掠め取られる「金目」はいつも同じだ。この際だ、ぼくちゃんの為だけに政治をすればいい。どっちに転ぼうと、五十歩百歩。それなら、気分次第でケセラセラの方が、ほどいいよね。アベちゃんの、心模様はこんなもんでしょう(笑)ガンバレ!どんどん無茶苦茶に走り回れ、疲れてベッドにへたり込むまで。些か冗談すぎるコラムだったが、たまにはいいだろう。

大東亜戦争と高村光太郎―誰も書かなかった日本近代史
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●“棄民政権”いつまで許容 国民が政治家を逆洗脳しよう!

2014年07月15日 | 日記

 

なぜ日本は変われないのか 日本型民主主義の構造
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●“棄民政権”いつまで許容 国民が政治家を逆洗脳しよう!

 正直、安倍政権のボロが出始めたのは事実だが、どれ程、その政権がボロボロでも、他力で倒閣と云うのは現実的ではないだろう。当然、安倍政権の倒閣は、身内から起きることに期待するしかないだろう。タイミング的には、8月中の内閣改造は、そのようなリスク回避の意味合いで準備されていたのだろう。しかし、安倍晋三の“腐る足”が速まり、腰が引ける閣僚候補もいるのではないだろうか。折角、大臣になれても、数か月の命では、間尺に合わないと思う入閣待ち組も多いことだろう。出来ることなら、1年程度大臣の妙味を味わいたいわけで、とても気分は複雑に違いない。

 連立与党である、公明党の存在があやふやになってきているため、公明党の連立離脱は考えられないし、与党予備政党がみんな、次世代、維新、民主の一部と云うことになると、公明党としても、今まで通りの偉そうな顔は出来ない。かといって、自民党内に党を割るほどのエネルギーは、まったく残っていないと云う状況では、与野党全体を見渡しても、倒閣エネルギーの不存在が理解できる。つまり、国会におけるパワーで安倍倒閣を期待するのは、相当無理な状況だと言える。それでは、このまま安倍晋三の言いたい放題、やりたい放題を座視するしかないのか、と云う現実にぶち当たる。

 議会制民主主義の浄化作用(選挙)に依存するまで、どの程度国家が破壊されるかと云う悲劇的運命に身を委ねる歯がゆさである。国民に、その選択権はいずれ回ってくるだろうが、おそらく、安倍政権は交代し、新たな顔の政治家が総理の椅子に座っている可能性もある。しかし、中央集権体制と、その取り巻きである記者クラブ系マスメディアが盤石である場合、日々刻刻、蝕まれるのを見ているしかないような按配だ。しかし、市民の活動は、それなりの風を世間に送っている。地方紙も善戦している。ネット言論も、細々だが頑張ってはいる。蛇足だが、朝日や毎日など、一部でアリバイ工作のような正論も見られるが、徹底感がない。経営幹部の官邸への配慮など、幹部連中の腰が引けているので信用は出来ないだろう。それでも、やらないよりはマシかもしれない。

 一昨日の滋賀県知事選は、創価学会員のサボタージュ的反乱に救われた面のある、三日月氏の当選だが、嘉田知事の後押しも、滋賀県民には影響力があったのだろうと推測できる。どう考えても、民主党への理解が得られたなどとは言えないわけであるが、連合票は上手にまとめたようである。この地方の逆転現象は、衆参両院が自民党独裁を許してしまったことが元凶なのだと、国民が気づきはじめた芽生えとも見られる。国民は、ある政党に偏った国会を作り上げてしまうことが、権力を、どれ程危険な暴走に掻き立てるものか、目の当たりにしているわけだから、口にはせずとも、独走は悪に繋がると感じたに違いない。敵対勢力のない政党や政治家は、自然発生的に腐れるもので、自分自身は、その腐臭に気づかない。

 ほんの僅か前まで、ネジレ国家が「決められない政治」と云う現象を起こし、日本に失われた20年を齎した。そう叫んでいたのが、ネジレを解消させてやったら、独裁政権が生まれたのだから、国民はマスメディアや論者に、「お前ら、責任とれよ!」と文句を言いたくなるのは当然だ。しかし、安倍政権のような、特例中の特例政権が生まれることは稀だろうが、その例外政権によって、再起不能な国体を創られては、国民は泣くに泣けない。

 集団的自衛権行使容認の結果、どのような影響が国民生活に襲いかかってくるのか、現実は想定外の連続になるだろう。米軍がドンパチしている軍事作戦進行中は、兵站であろうと、銃弾の生産であろうと敵側から見れば、米軍と同質なわけで、自国を攻撃している日本と云うことになる。敵は、弱い部分から攻めようと思えば、一番のターゲットにさえなる。戦禍に巻き込まれ、後々の被害を言い募っても、それは後の祭りである。安倍晋三は、日本の安全を一層強いものにするのが、集団的自衛権だと主張しているが、国際的にみれば、自国の領土と国民を、一層危険にさらす選択と云うのが事実だ。

 その上、経済政策では、GDPに固執し、成長経済路線を盲信して突き進んでいる。明らかに、金持ちをより金持ちにし、貧乏人から搾取する。この経済政策が、最終的にはトリクルダウン現象が起きるので、民も死ぬ間際には利益が分配されるそうだが、グローバル化されてしまった世界経済の中では、カビの生えたようなマクロ経済理論だ。このトリクルダウン現象を待たずに、いずれ利益は分配されるからと云う嘘の結論を背景に、先ずは、負担の方から始めましょう、と云うのが現政権の経済政策だ。

 記憶にあるだけでも、凄い国民への負担増だ。 ・消費増税 ・住民税の大幅増税 ・相続税の基礎控除の大幅カット ・年金支給額の引き下げ ・高齢医療、自己負担増 ・介護保険料の引き上げ ・介護保険適用の厳格化 ・石油石炭税増税 ・軽自動車税の5割アップ等々 ・携帯電波税、休眠口座没収政策…財務省はマンガチックに、取れそうな税の種類創造に余念がない。
 こうした中、大企業の法人税減税が行われるわけだから、国民はやらずボッタくりバーに入店してしまったようなものである。

 外交防衛も、経済政策も、限りなく「棄民政策」に向かっている。議会制民主主義のシステム上、その悪政に対抗する手段は限られる。一時、支持率が好調な時には、この秋にも抜き打ち解散なんて噂もあったが、吹き飛んだわけで、2016年の衆参W選挙まで、首を長くして待つしかないのは、あまりにも悲劇だ。国民が、それなりに物持ち金持ちになった国で、革命は考えられないので、手は限られる。それも、隔靴掻痒な手段ばかりだが、実行して、世論に風を送り続けることが、この偏狭で、人間性を失った行為が平気で出来る、デビルのような政権を二度と誕生させない、国民の矜持に変えていくしかない。

 やはり、空気を変えていく、地道な活動しかない。福島県知事選や沖縄県知事選のように、地域の重要課題を抱えている選挙でも、安倍政権の棄民性を暴露していく地道な運動が、功を奏すように、各自に意識で、死んだり、逮捕されない枠内で、「棄民!安倍自民政権」の名を拡散、逆メディア方式で、国民の側が、国民自体を、マスメディアを、多くの論者を、政府を、「洗脳」してゆくことである。洗脳されたり、マインドコントロールされるだけではツマラナイ!マスメディア、そして国民、そして政治家を洗脳しよう!

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●永遠に、米国に“金の玉”握られる情けなき日本の防衛

2014年07月14日 | 日記

 

「失敗」の経済政策史 (講談社現代新書)
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●永遠に、米国に“金の玉”握られる情けなき日本の防衛

 まずは、安倍政権に小便をかけた程度の話だとしても、滋賀県知事選で、自公推薦候補を敗北させた事実は、同慶の至りだ。あまりにも低い投票率にヤキモキしたが、あまりにも腐ったような官僚を担ぎ上げた与党自公の不甲斐なさが目立つ選挙で、保守層の投票行動を阻害したようだ。まあ、その間の安倍政権の集団的自衛権行使容認の閣議決定もボディーブローになったろうし、その後の言い訳だらけの集団的自衛権一問一答、菅官房長官のNHK国谷のなみだ事件などの醜態が2~30%の保守票を日本海に投げ捨てたのだろう。福島県知事選は正体不明で論じようがないが、沖縄県知事選でノックアウトしてしまえば、もうパンパースは間近だ!

 さて本題。中東は、かなり手のつけられない状況に至っている。第4次まで継続、焼けぼっくいが再び炎をあげ、第5次中東戦争が始まる方向に限りなく近づいている。ただ、今回の中東戦争は、石油利権と云うシンボリックな戦いでなく、民族や曖昧なイデオロギーによる戦いであり、各地域で、其々に異なる勢力が対峙すると云う、非常に厄介な性格を持っている。これに、ウクライナ紛争が入り込んでくるので、現状を把握するだけでも、かなり大変な状況である。尚且つ、プロパガンダ報道合戦の色彩も帯びているので、現状を正確に把握すること自体、容易ではない事態に至っている。

 中東戦争ってのは、滅茶苦茶簡単に言えば、ユダヤ人国家イスラエルと周辺のイスラム、アラブ国家との間での戦争と云う小ことになる。1948年から1973年まで4回の大規模戦争が起こっている。当初、この戦争の象徴的構図は、米国と英仏がイスラエルにつき、ソ連邦がアラブ諸国につくと云う単純な図式になっていた。その後、石油利権や武器売買の利権が絡み、英仏がアラブ側についたりと、複雑さを増していく。その後、ソ連邦の崩壊やグローバル経済の影響を受け、この地域の対立を、当初の図式に当て嵌めることが出来ない、利害得失の単純構造が薄れたため、小康状態を保ってきている。

 しかし、その後中国を頭とするBRICsパワーの抬頭、米国のシェールガス開発、民族独立意識の抬頭、部族の自治独立などと、西側諸国の相対的経済力の低下、米国の一国支配構造の歪みなどが加わり、一本調子で説明のつかない、複雑な対立軸を多数抱える、厄介すぎる地域になってきている。それに油を注ぐような、米国ネオコンのマッチョ思想が、意図的とも思われるが、各地で「火に油を注ぐ」行為が各地に、様々な色彩を帯びた対立構図を顕在化させている。到底、今後のこれら地域+ウクライナで起きている対立構図が、個別的事象であるように見えて、どこか繋がっている事情等を観察する限り、複雑怪奇な第5次中東戦争?或いは、その領域を拡大した第3次世界大戦にまで繋がるかどうか、誰一人、正確にその状況を予想できるものはいないだろう。

 ただ、間違いなく、一つ一つの個別的紛争は起きているわけだから、何らかの線引きによっては、わが国日本をも巻き込む、トンデモナイ戦争突入と云う推測が、戯言ではないと言うことは可能だ。直近のウクライナ、シリア・イラク、パレスチナ、イスラエルで起きていることは、対岸の火事にしか思えないのだが、米国や中露韓、北朝鮮などとの距離感の取り方すら、よく見えていない安倍政権であるだけに、どのように関わるかによっては、思いもよらぬ紛争に巻き込まれないとも限らないようだ。そんな最中、多国間訓練「環太平洋合同演習 (リムパック)」なんてエクササイズをしているが、自衛隊の諸君もリアリティのあるエクササイズを味わいつつあるようだ。以下に、きな臭い、直近の出来事を羅列しておく。夫々の解釈で、この羅列されている事象を、世界地図を見開き、考えてみて欲しいものである。すべての情報は読売新聞から拝借した(笑)。


 ≪ プーチン露大統領がキューバ訪問…中南米を歴訪
 【リオデジャネイロ=吉田健一】ロシアのプーチン大統領は11日、キューバを訪問し、中南米歴訪を開始した。  最初の訪問国キューバの首都ハバナでは、フィデル・カストロ前国家評議会議長や弟のラウル・カストロ国家評議会議長と会談した。キューバのメディアによると、プーチン氏は経済面を中心に同国への支援を続ける方針を確認した。
 プーチン氏は、親米政権を倒したキューバ革命の指導者であるフィデル氏と会談し、米国から経済封鎖を受けるキューバへの支援を表明することで、ウクライナ情勢を巡り対立するオバマ米政権をけん制した形だ。
 プーチン氏は訪問直前に、キューバとの間に抱える旧ソ連時代からの債権352億ドル(約3兆5500億円)のうち90%を放棄することを決定した。大統領にはエネルギー企業のトップらが同行しており、石油採掘や発電所建設など経済協力を柱とする10の文書が署名された。 

≪ イラク治安部隊、スンニ派受刑者255人殺害か
【カイロ=久保健一】人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」(本部・米ニューヨーク)は11日、イラクの政府治安部隊が先月、国内の6か所で少なくとも受刑者計255人を殺害した可能性が高いとする報告書を発表した。 いずれもイスラム教シーア派の治安部隊員がスンニ派住民を殺害したもので、報告書は「宗派対立を背景とした凶悪犯罪」と非難した。
 報告書によると、殺害があったのは、北部ニナワ県、中部ディヤラ県、アンバル県など。目撃者の証言によると、シーア派民兵と治安部隊が受刑者を射殺したり、刑務所の房で手投げ弾をさく裂させ、爆殺するなどしたという。死者の少なくとも8人は18歳以下の少年だった。
 受刑者には、スンニ派の過激派組織「イスラム国」の支持者も多かったとみられ、刑務所を脱走して「イスラム国」に合流するのを阻止するのが治安部隊の狙いだったとみられる。 

 ≪ イスラエル軍、ガザに特殊部隊投入し拠点破壊
【エルサレム=上地洋実】イスラエル軍は13日、イスラム主義組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザに海軍特殊部隊を投入し、ロケット弾の発射拠点を破壊した。
 8日の軍事作戦開始後、特殊部隊の展開が確認されたのは初めて。ハマスの武装集団との銃撃戦で隊員4人が負傷した。限定的な特殊作戦だったとみられ、部隊はすでにイスラエル側に引き揚げた。軍は任務を完遂したと説明している。
 軍は13日朝からガザ地区北部の住民に対し、ハマスの拠点に近 づかず、同日正午までに避難するよう呼びかけるビラを散布した。すでに4000人が避難したという。モティ・アルモズ軍報道官は「大規模かつ集中的な攻撃 を行う」と警告。大規模な空爆か地上侵攻が行われる可能性もあり、緊張が高まっている。 

≪ ウクライナから砲弾、ロシア民家直撃で1人死亡  
【モスクワ=田村雄】タス通信などによると、ロシア南部ロストフ州のウクライナ国境付近で13日朝、ウクライナ側からの砲弾が民家を直撃し、ロシア人男性1人が死亡、ほかに2人が負傷した。 越境した砲弾で、ロシアで死者が出たのは初めてとみられる。
 露外務省は「ロシアの領土の主権と国民に対する敵対的な行為。国境地帯の緊張が極めて危険な状態であることを証明しており、取り返しの付かない結果をもたらす可能性がある」と警告した。ロシアのカラシン外務次官は、露国営テレビで「ウクライナ東部での即時停戦と、(和平に向けた)協議再開が必要だ」と述べた。
 ウクライナ安全保障国防会議の幹部は13日の記者会見で「(掃討作戦では)隣国や民家に向けた砲撃は行っていない」と述べ、関与を否定した。 

≪ リビア首都の空港付近で銃撃戦、ロケット弾も  
【カイロ=溝田拓士】AFP通信などによると、リビアの首都トリポリの国際空港付近で13日、地元の武装組織同士で銃撃戦となり、航空便の発着がストップした。
 空港の敷地内にロケット弾が着弾し、激しい爆発も起きているという。暫定政府内で対立する世俗勢力とイスラム主義勢力の武装組織が争っている模様だ。リビアでは2011年にカダフィ独裁体制が崩壊し、有力部族の武装組織が割拠する状態が続いている。 

 ≪ 北、韓国全域狙う「スカッド」発射か…日本抗議
【ソウル=中川孝之】韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮軍は9日午前4時から同20分にかけ、同国南西部・黄海南道から日本海に向けて短距離弾道ミサイル2発を発射した。 北東方向に飛び、飛距離は約500キロ・メートルだった。韓国全域を狙う「スカッド」の可能性が高い。北朝鮮は6月29日にも、東海岸からスカッド2発を日本海に向け発射したほか、前後して多連装ロケットを発射している。韓国国防省内では、相次ぐ発射は、射程を伸ばす改良実験との見方が出ている。      
     ◇  
日本政府は9日午前、北朝鮮南西部から複数の弾道ミサイルが日 本海に向けて発射された模様だと発表するとともに、北京の大使館ルートを通じて北朝鮮に抗議した。北朝鮮による日本人拉致被害者らの再調査を含む日朝協議については、予定通り進める構えだ。オーストラリア訪問中の安倍首相は報告を受け、米韓と連携して情報の分析に努めることなどを指示した。北朝鮮による日本人拉致被害者らの再調査を含む日朝協議について、菅官房長官は記者会見で「調査の進捗(しんちょく)を慎重に見極める立場に変わりはない」と述べた。 ≫(以上6本の記事は読売新聞)


 以上のような出来事が、いま世界中で起きている。これ等の紛争の殆どに、何らかの形で、アメリカの力が加わっている点を、西側のマスメディアはスルーしている。しかし、何事も起きていないわけではなく、すべてにおいて単なる人々、普通の市民ほど犠牲になっている事実を認識する必要がある。このアメリカの「普遍的価値」なるものを錦の御旗にする世界網羅的乱暴が、どのような結果を導き出すのか、想像すること自体がおぞましい。北朝鮮の最近の動きは、反中、反韓。そして反米を懐に隠し持つ綱渡りが続いている。おそらく、北朝鮮の経済的困窮は日本独自の支援で賄いうる規模なのだろう。

 そして、金正恩(キム・ジョンウン)政府は、米国は当面戦争放棄な国になっている。もしかすると、このまま世界の警察の地位を守り切れなくなるのではないか。それであれば、直近の支援を約束する日本とだけ交渉すれば良い。最悪の場合は、ロシアに軍事援助を頼み込もう。そんな風に読んでいるかもしれない。ターゲットは韓国に確実に照準を合わせた。米軍が動くとは思わないが、やるなら今だ。日本の自衛隊が集団的自衛権で米軍と共に動くには、関連法案の成立が欠かせない。ここ1年が、韓国を潰すチャンス。このように思っても、何ら不思議はない。西側も中東ウクライナで手一杯なこの時期は、韓国には脅威の時間である。まあ、何でも韓国が世界一の一点張りなのだから、頑張ってもらおう(笑)。最後に、このような世界情勢の中で、30年以上に亘り、米軍に金玉握られる防衛網構築と云うのは、どこか浦島太郎風でおかしな気分だ。


≪ 最新鋭戦闘機F35、米に握られた未来
 5月上旬、米フロリダ州のエグリン空軍基地。灰色をした滑らかな流線形の機体が、次々と離着陸を繰り返していた。日本が次期戦闘機に指名した最新鋭のステルス戦闘機F35。米軍パイロットは「攻撃も飛行状態の確認も自動化されている。局面を変えることができる戦闘機だ」と語る。
 テキサス州フォートワース。ロッキード・マーチン社の工場では、数十機のF35を生産中だった。  既に101機のF35が米国防総省に納入済み。2016年に220機、18年には428機まで増える。将来は有償軍事援助契約を結ぶ日、韓、イスラエルを含む12カ国に3千機余りが配備される。日本は42機を導入する方針。関連経費は総額1・6兆円になる見通しだ。
 2000年代初めに始まったF35の国際共同開発には米英など9カ国が参加した。防衛省の元幹部によれば、日本にも共同開発の打診があったが、即座に断った。共同開発は日本製の部品を他国に輸出することを伴い、武器輸出三原則に反するためだ。
 開発に加わらなかった日本は今、F35の生産に関与しようと必死だが、十分な成果はあげられていない。
 昨年、政府は、紛争当事国のイスラエルに日本製の部品が流れる懸念に悩みつつ、旧三原則の例外としてF35の部品輸出を認めた。政府関係者は「F35の組み立て工場を、日本以外のアジア太平洋地域に作らせたくなかった」と語る。決定済みの工場設置国は米日伊のみ。地域の同盟国として日本の重要性をアピールしつつ、工場運営を通じて少しでも多くの技術情報を得たいとの思惑がにじむ。
 だが、ロッキード社のマリリン・ヒューソン最高経営責任者(CEO)は「機会をうかがっている国は多く、詳細は米政府が決めることだ」と語る。日本がF35の後部胴体の生産を担う見通しだが、日本が得る情報は限られそうだ。日本の工場は整備や修理も行うが、その範囲は決まっていない。
 さらに、配備されたF35のうち、動かせる機数はロッキード社との契約で決める。国際協力で整備するため、自衛隊独自で責任を負いきれないからだ。日本政府関係者は「極論すれば、F35を主力とするすべての国は、米国とは戦争できないということだ」と語る。
 自衛隊がF35を使う今後30年以上、日本の安全保障の中核を担う戦闘機の主導権を米国が握ることになる。日本政府内には「安全保障で米国の言いなりになりかねない」と指摘する声もある。(エグリン=渡辺丘、機動特派員・牧野愛博)

■同盟国にも秘匿、最強機を独占
 日本はF35の国際共同開発に出遅れた。最大の原因は、「世界最強」と称される米戦闘機F22の購入に最後までこだわったことだ。
 航空自衛隊関係者によれば、レーダーに映った時、自衛隊の主力戦闘機F15の大きさが「畳」とすれば、F35は「小鳥」、F22は「虫」に過ぎない。
 3月末、米軍嘉手納基地。そのF22が沖縄の空を飛んでいた。部隊を指揮するエコルズ空軍中佐は「空の優勢確保のために設計された。『革新的』という言葉がふさわしい」と語る。
 レーダーに映りにくいステルス性に加え、速度や高機動性などでも、F22はF35を上回る。中国最新鋭ステルス戦闘機「殲20」と戦う場合、 F15改良型なら互角、F35なら有利、F22なら「完全に勝利する」とされる。かつて自衛隊幹部は周囲にこう漏らした。「F15なんて、あっという間に オールキル(全滅)だ」
 F22を巡る情報の機密性も段違い。エコルズ中佐は「莫大(ばくだい)なエネルギーと費用で機密を守っている。まねをしても、米軍の水準には達しようがない」と話す。
 実際、F35では問題なく視察できるエンジン噴射口が、F22では「ふた」の形状をしたシートで覆われていた。ステルス機能は①レーダー波を乱反射させる形状②レーダー波を吸収する塗装③小さな熱源――で成否が決まるからだ。
 2007年以来、F22は数カ月単位で嘉手納に一時配備され、空自とも共同訓練を行う。だが、訓練中、F22はわざと自衛隊のレーダーに映っているという。
 日本は2000年代初めからF4戦闘機の後継選びに着手。F22を本命に据えた。実際、米国内にも生産数を増やして単価を下げるねらいから、F22の輸出を検討する動きもあった。
 だが、当時のゲーツ国防長官は、日本との交渉でF22を「冷戦時代の遺物、金食い虫だ」と酷評。F35の導入を勧めた。ワシントンの日本大使館が、米政府や議会関係者の考えを探ると、「情報保全の問題がある」と強く難色を示された。「日本が本気でF22の購入を目指したら、日米同盟を揺るがしかねない」とも警告された。コストと情報保全の必要性を背景に米議会は09年、F22の生産反対を可決。現在は米国が独占的に配備する。
 集団的自衛権の行使を巡っても、米国は日本の負担増を歓迎する一方、核抑止力の詳細など核心の情報は隠し続けている。最高の情報は同盟国にも徹底して秘匿するのが米国の戦略だ。

 ■日本の技術開発、抑え込んだ米
 2007年、「歩く秘密」と呼ばれた人物が防衛省技術研究本部(技本)を訪れた。米ロッキード・マーチン社の秘密軍用機研究部門「スカンクワークス」の幹部。技本に飾られた航空機の模型を見た瞬間、次々と問題点を指摘した。
 模型は技本が00年ごろから開発を始めた、ステルス性能を持つ国産戦闘機生産に備えた「先進技術実証機」。この幹部と面会した自衛隊関係者は「日本の技術の進み具合を探りに来た印象だった」と語る。  日本はF22とF35の導入を巡り、米国から苦汁を飲まされた。だが、この経験は今回が初めてではない。
 1987年、米国防総省の視察団が来日した。当時、自衛隊の新たな戦闘機選びが焦点だった。自衛隊と日本企業は純国産機を熱望。米国は米軍機のライセンス生産を勧めた。当時の自衛隊幹部は「日本の技術の遅れを心配してくれていると思った」と振り返る。
 日本は米側の懸念を吹き飛ばそうと技術力を精力的に説明。だが、訪日後に米国の対応はむしろ硬化した。同年秋、戦闘機F2の日米共同開発が決まった。
 この幹部は数年後、米軍事研究所による自衛隊の次期戦闘機選定の評価論文を見て驚愕(きょうがく)した。そこには「米国は技術ヘゲモニー(覇権)の維持に失敗した」と書かれていた。幹部は「米国は、想像以上の日本の技術力に驚き、抑え込みにかかったと知った」と語る。
 米国は共同開発の過程で、複合素材技術を日本から取得。後にステルス戦闘機を生み出す大きな助けになったとされる。
 そのF2戦闘機の生産も11年に終了し、国内の戦闘機生産は途絶えた。
 技本とともに実証機を開発する三菱重工業の幹部は今年2月、自民党国防部会で、F35に勝る国産戦闘機の開発を訴えた。技術力を維持発展させたい企業、米国に匹敵する技術力を持ってこそ、米国の言いなりにならない安全保障が可能になると考える自衛隊。両者にとって、国産戦闘機の「復活」は悲願とされる。
 だが、F35を通じたステルス技術の習得がうまく行く見通しは立っていない。エンジンの開発でも後れを取っている。エンジン出力はF35が約20トン、F22が双発で各15トン。国産は約5トンにとどまるという。
 米国は既に新たな戦闘機の研究を始めたとされる。自衛隊の元幹部は「米軍は超音速、超高度など、常に異次元の勝負を挑んできた」と語る。日本独自のステルス実証機は年内の初飛行を予定するが、実戦に使える戦闘機の開発は構想の段階だ。 ≫(朝日新聞デジタル:冨名腰隆)

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●メルケルがオバマを泣かせる番が来た プーチンは当然笑う

2014年07月13日 | 日記
アメリカ的、イギリス的 (河出ブックス)
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●メルケルがオバマを泣かせる番が来た プーチンは当然笑う

 今日は、在英で活躍中のジャーナリスト、木村正人氏のコラムを二本紹介する。EU(NATO)と米国のオバマの、ウクライナやイラク、パレスチナにおける距離感は、英国ではかなり冷静に観察されている現状を理解できるものになっている。イーグルトンの「アメリカ的、イギリス的」も皮肉に満ちているが、米国のDNA的朋友の英国においてさえ、友はヤバイ状況に陥っている、と見ているようだ。川北稔の「イギリスの繁栄のあとさき」を経験した大先輩は、どのように、現アメリカと云う国を見ているか、とても参考になるコラムだ。部分的に、筆者とは意を異にする部分もあるが、奔流としての観察眼は確かだ。

 09年のニューズウィークが、メルケルと云うドイツの女性リーダーが、他国のリーダーに冷淡なのかと嘆くようなコラムを書いていた。サルコジには食って掛かり、ブラウン首相などケチョンケチョン。バラクオバマに至っては、この若造何者?といった風情と評していた。そして、『冷淡な態度はドイツの外交政策の延長線上にある。冷戦後、ドイツはアメリカから距離を置き、国益を重視するようになった。イラクやアフガニスタンのような軍事面でも、今回の世界経済危機への対応でもそれがうかがえる。それに歴代首相と違い、メルケルは旧東ドイツの物理学者として政界の外でキャリアを積んだ。そのため外交スタイルはビジネスライクで、べたべたしていない。』と書いている。

 ドイツは戦後一貫して「世界のから騒ぎに」につき合わないポジショニングに留意してきた。しかし、オバマとメルケリは現実主義者と云う共通点があるので、今後は、意見の一致をみるかもしれない、と結論付けていた。ほんの少し前まで、このニューズウィークの予測は当たっていた。しかし、ここに来て、メルケリが怒らずにはいられない、多くのアメリカの陰謀が発覚している。メルケリ個人は、冷徹な現実主義者なので、問題視したくないところだが、政権維持と云う立場からは、その寛容さは命取りになる。今後、ドイツ・メルケリがどのように動くかで、ウクライナ、イラク、パレスチナ騒動の行方が決まりそうなので、目の離せない女性リーダになっている。

≪ オバマ米大統領に泣かされたドイツのメルケル首相【デモクラシーのゆくえ:欧州編】
 なかなか本心を見せないドイツのメルケル首相が、欧州単一通貨ユーロが崖っぷちに追い込まれた債務危機の最中に、オバマ米大統領の前で涙を流した、いや、泣かされていたとは知らなかった。 2011年11月3~4日、フランスの保養地カンヌで開かれたG20首脳会議での出来事である。
  当時、ギリシャ国債だけでなくイタリア国債まで高騰し、ギリシャのパパンドレウ首相(当時)が、財政再建とセットになった救済策を国民投票にかけると言い出した。否決されたら、ユーロが崩壊する恐れがあった。
  欧州連合(EU)加盟国の首脳やブリュッセルのEU官僚によるユーロ危機対策を有権者がどう受け止めたのかが問われる欧州議会選を前に、英紙フィナンシャル・タイムズが総力を結集して取材した内幕ものが掲載された。
 土壇場の追い込まれたカンヌG20サミットから約2年半、ユーロ危機の震源地ギリシャが国債市場に復帰し、アイルランド10年物国債の金利が英国を下回っている。ユーロ崩壊に賭けていた市場が今はとりあえず、崩壊は回避したと判断している。 当時の危機的状況をかいつまんで振り返ってみよう。 ギリシャは国債金利の高騰で資金繰りに窮したというより、債務超過になっていた。ギリシャの債務再編が不可避になっていた。 EU・ユーロ圏首脳会議はその直前、10月26日から27日未明に及ぶ10時間の協議で、ギリシャの債務を削減する包括戦略で合意した。
(1)ギリシャ国債を保有する民間銀行が自発的に元本の50%削減に応じる
(2)防火壁になる欧州金融安定化基金(EFSF)の支援能力を実質的に1兆ユーロ以上に再拡充する (3)域内主要70行に1064億ユーロの資本増強を行う ――などが柱だ。
  メルケル首相とフランスのサルコジ大統領は「メルコジのダブルエンジン」と呼ばれる牽引力を見せた。メルケル首相が「5割削減か、無秩序なデフォルト(債務不履行)か、2つに1つだ」と民間銀行の代表を押し切った。
  しかし、これが裏目に出た。 民間銀行の損失負担は「自発的」とされたものの、事実上の「デフォルト」だ。防火壁の高さも十分ではなく、ギリシャ、ポルトガルなど重債務国の国債は一斉に投げ売られた。 他の重債務国の国債についても「自発的」な元本の削減を求められることに民間銀行が恐怖を抱いたからだ。
 市場はパニックに陥った。
 政府債務が国内総生産(GDP)の120%近く、約1.9兆ユーロ(当時の為替レートで約204兆円)にまで積み上がったイタリアの足元にも火がついた。 それだけではない。ギリシャのパパンドレウ首相が10月31日になって、この包括戦略を国民投票にかける考えを示したのだ。包括戦略が国民投票で否決されると、イタリア、スペインまで炎上し、ユーロは崩壊する恐れがあった。
 そんな状況下でカンヌG20サミットは開かれた。パパンドレウ首相は、メルケル首相とサルコジ大統領にカンヌにまで呼びつけられた。
 FT紙によると、「国民投票を実施するなら包括戦略についてではなく、ユーロに残留するか、離脱するかにしなさい」とパパンドレウ首相をコーナーに追い詰めるためだった。 フランス大統領選に向けて、カンヌでユーロ危機対策の成功をアピールするつもりだったサルコジ大統領は怒り狂っていた。
 ギリシャのパパンドレウ首相とベニゼロス財務相(当時)に対する「メルコジ」らEU首脳陣の査問が始まった。
  「われわれはギリシャを救うためにすべてをやってきた。ギリシャをユーロ圏に残留させるためにすべてをやってきた。財政的にも、政治的にも 危険を犯してきた。世界で史上最大の債務再編(削減)なのに、お前がやったことは裏切りだ」という感情をサルコジ大統領はみなぎらせていた。 国政選挙で選ばれた一国の首相を他国の指導者が頭ごなしにやり込めるのは前代未聞の事態だ。
  反論を試みるパパンドレウ首相を、メルケル首相は「この問題を私たちで解決するか、世界が注目する中で失敗するか、のどちらかよ。ギリシャはユーロに残るか、出ていくかのいずれかなのよ」と一蹴したとFT紙は伝えている。
  パパンドレウ首相は国民投票を断念して辞任、ギリシャ出身のパパデモス欧州中央銀行(ECB)前副総裁が首相に就任した。
  一難去って、また一難。今度はオバマ大統領との対決がメルケル首相を待っていた。 ウィーンを拠点にする日本人の金融コンサルタントからうかがった話だが、ドイツ人にとって借金はSchuld(債務、罪の二つの意味がある)で、Schuldenabbau(借金を減らすことは、罪を償うこと)になる。Schuldを集めて金を稼ぐ金融機関は、罪深い存在だそうだ。 ドイツ人に宿るこうした精神がユーロ危機を悪化させてきたのは間違いない。
 重病人に必要なのは栄養剤(金融緩和と成長戦略)なのに、ダイエット(緊縮財政)を無理強いしてきたからだ。 金融資本主義の米国、英国と、エンジニアリングこそ国家の生命と考えるドイツとは根本的に別の生き物である。米国は米連邦準備制度理事会(FRB)と同じように、欧州中央銀行(ECB)を防火壁に使うべきだと考えていた。
  FT紙は、「メルケル首相はオバマ大統領が教授のように講義することに当惑している」と指摘している。確かにこれまでのメルケル首相は国内世論に目配せしながら、短期的で戦術的な決定を行うタイプだった。 金融政策ではハト(緩和)派のオバマ大統領と違って、メルケル首相はタカ(引き締め)派である。
  ECBがダメなら、国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)をユーロ危機の防火壁に使おうというアイデアで、オバマ大統領とサルコジ大統領らが「メルケル包囲網」を築き始めていた。
 カンヌG20サミットでは、
(1)SDRを積み増す一方で、ユーロ圏はSDRの中から1400億ユーロを防火壁のEFSFにつぎこむ
(2)イタリアがIMFの財政再建計画を受け入れる――かどうかが焦点になっていた。
  イタリアはIMFの「再建計画」ではなく「モニター」を受ける代わりに、ドイツの関与を要求してきた。 FT紙によると、オバマ大統領は「ドイツはユーロ圏のSDRの4分の1を持っている。ドイツが同意していなければ、EUは信用を失う」とメルケル首相に決断を促した。
  メルケル首相が泣き崩れたのはこの時だった。「これはフェアではない。私はドイツ連銀(中央銀行)の代わりに決めることができない。私にはできないわ」 「イタリアから何の確約も取れていないのに、そんな大きなリスクは取れない。私は(政治的な)自殺行為はしないわ」 結論が出ないまま、サミットは終わった。
 イタリアはIMFのモニターを受け入れた。SDRの話は立ち消えになり、ECBのドラギ総裁が 2012年夏にECBを防火壁に使うことを決断し、ユーロ危機はとりあえず沈静化した。
  メルケル首相の涙が、オバマ大統領とサルコジ大統領を押しとどめた。メルケル首相が女の武器といわれる「涙」を意図的に使ったのかどうかはわからない。ただ、ユーロは崩壊の崖っぷちにあった。 国内の政治基盤と、ユーロ防衛を天秤にかけた結果、自然に流れたのが「涙」だったと解したい。
 メルケル首相は二進も三進もいかなくなっていたのだ。SDR案で市場の攻勢が収まったかどうかは誰にも判断できないだろう。 メルケル首相が押し切られても、イタリアのベルルスコーニ首相を延命させるだけの結果に終わったかもしれない。
  筆者も当時、カンヌで取材したが、メルケル首相がオバマ大統領に泣かされていたとは知らなかった。これぞ、政治家と政治家の個性がぶつかり合う究極のパーソナル・ポリティクスだ。FT紙の取材力に脱帽する。 ≫


≪ ドイツ二重スパイ オバマに泣かされ続けのメルケルがブチ切れ 笑うKGBプーチン

 ドイツで発覚した米国の二重スパイ 欧州債務危機の対策をめぐりオバマ米大統領に泣かされたことがあるドイツ・メルケル首相の堪忍袋の緒がついに切れた。

 昨年10月、米情報機関が自分の携帯電話を盗聴していた疑惑が発覚、オバマ大統領は「これからはそのようなことはない」と約束したのに、今度は二重スパイを使って、盗聴疑惑を調査していた独連邦議会の情報をスパイしていたことが発覚。 さらに独国防省にも二重スパイを潜り込ませていたことがわかり、独政府は10日、在ベルリン米国大使館に勤務するスパイの元締め、米中央情報局(CIA)職員の国外退去を命じた。

  核同盟国のペルソナ・ノン・グラータは異常事態 ドイツは米国の戦術核を国内に保有する同盟国。利害が対立するロシアや中国ならわかるが、核兵器で結ばれた同盟国が米国の情報員を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」として国外退去にするのは異例どころか異常事態といえる。

ざっと経過を振り返っておこう。
 2011年11月、フランスの保養地カンヌで開かれたG20首脳会議で、欧州債務危機の対策をめぐり、メルケル首相はオバマ大統領に国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)を防火壁に使うよう迫られ、泣いてしまう。
 2013年10月、米情報機関、国家安全保障局(NSA)がメルケル首相の携帯電話を盗聴していた疑惑がNSA契約社員エドワード・スノーデン容疑者の告発で発覚。
 2014年6月、メルケル首相の携帯電話盗聴疑惑で独連邦捜査局が捜査を開始すると表明。
 7月2日、独連邦捜査局は米国の二重スパイだった独連邦情報局(BND)の男性職員(31)を逮捕。男は、NSAなど米情報 機関のスパイ活動を調査していた独連邦議会委員会の情報を収集、過去2年間に約2万5千ユーロ(約350万円)の報酬を得る見返りに機密文書218点を米 国側に提供していた疑いが持たれている。
  7月9日、独連邦捜査局が別のスパイ容疑で独国防省の安全保障政策コンサルタントの自宅や事務所を捜索。BNDの男性職員とは無関係だが、スパイ活動の内容はより深刻とされる。
 7月10日、ドイツ政府がスパイ2人を運用していた在ベルリン米国大使館のCIA職員の国外退去を命令。

  メルケル首相と李首相の共同記者会見 スパイ事件を読み解くカギは誰が一番得をしたかだ。 訪中していたメルケル首相は7日、北京で開かれた李克強首相との共同記者会見で、BNDの二重スパイについて「もし疑惑が本当なら情報機関と友好国の間の信頼に基づく協力関係に明確に反する」と米国を批判した。

  7月7日は、1937 年に北京郊外の盧溝橋で日中両軍が衝突し、日中戦争の導火線になった中国の「国辱の日」だ。李首相はメルケル首相を横に「私たちは過去に正しく向き合うため、必ず歴史を思い起こさなければならない」と述べた。

  メルケル首相が意図したかどうかは別にして、同盟関係を強化する日米両国をドイツと中国が批判する姿は世界中に配信された。 上海に拠点を置く人民解放軍総参謀部第3部第2局(61398部隊)に所属する将校5人が産業スパイなど31の罪で米司法省に起訴されたばかりの中国にとっては溜飲を下げる結果となった。

  黒幕は表には出てこない。NSAの内部告発者スノーデン容疑者をロシア国内にかくまうロシアのプーチン大統領は旧ソ連国家保安委員会(KGB)のスパイマスターだ。

  シリア内戦、スノーデン容疑者の身柄引き渡し、ウクライナのクリミア編入をめぐってオバマ大統領と対立。スノーデン容疑者がロシアに移動後、海外メディアにリークされる内容は米国民への監視から同盟国へのスパイ活動に焦点が移っている。

  クリミア編入問題の幕をそろそろ引きたいプーチン大統領にとって対ロシア制裁の強硬派オバマ大統領と宥和派メルケル首相が仲違いするほど面白いことはない。欧州はますますロシアに寄ってくる。

  今回のスパイ事件はプーチン大統領の思惑通り動いているとしか思えない。最も考えたくないのは、スノーデン容疑者がNSAのネットワークを通じて世界中に散らばる米国の二重スパイを把握し、それがプーチン大統領に流れているシナリオだ。

  スノーデン・ファイルの発覚で米国と欧州、中南米諸国の間にヒビが入ったうえ、二重スパイまで発覚するとなると事態はさらに深刻だ。オバマ大統領はプーチン大統領に完全に急所を握られた恐れがある。

  背景に米国の道徳的権威の失墜 ブッシュ大統領にオバマ大統領と続き、米国は完全に道徳的権威を失った。米国の衰退の原因は経済と財政だけに限らない。自己中心的な国益ばかりを追及し、国際社会で道義的な責任を果たさなくなったことにある。

  その最たるものは、テロ対策を大義名分にして、パキスタンやアフガニスタンの国境地帯で無人航空機(ドローン)による暗殺攻撃を続け、罪もない子供たちを殺しても恥じないことだ。 自国の安全保障のため、他国の子供を巻き添えで殺害することがどんな法理によって許されるのか。

 弁護士出身のオバマ大統領でも答えられないだろう。 先日、ロンドンにあるシンクタンク、英王立国際問題研究所(チャタムハウス)でスノーデン事件1周年の討論会があった。筆者の隣は2004~09年まで英秘密情報部(MI6)長官を務めたジョン・スカーレット氏だったので、こう質問してみた。

  「私はKGBロンドン支局長だったオレグ・ゴルジエフスキー氏に長時間インタビューしたことがある。隣に座っているジョン・スカーレットが 彼のケース・オフィサー(二重スパイを運用する人)だったが、ゴルジエフスキーは『自由主義は共産主義に勝つと信じていた』と話していた。彼は祖国ソ連を 裏切り、英国に情報を提供し、最後は亡命した。

 それが今やどうだ。スノーデンは自由の国・米国を捨て、ロシアに逃れた。どうしてなのか教えてほしい」 米国のシステムは壊れたも同然 チャタムハウスのロビン・ニブレット所長が「趣旨は十分通じた」というので質問を打ち切った。

 が、元米下院議員でシンクタンク、ウィルソン・センターのジェーン・ハーマン会長が「スノーデンはノルウェーに行っていた可能性がある」と答えたのを聞いて、開いた口が塞がらなかった。

 米国は今や、すべてがこんな調子なのだ。 ロンドンで開かれたジャーナリズムのサマースクールで講演した米紙ワシントン・ポストの調査報道記者ディナ・プリースト女史にいろいろ質問した時も同じような印象を受けた。 プリースト女史には『トップ・シークレット・アメリカ:最高機密に覆われる国家』(草思社)という著作がある。 プリースト女史は、ワシントンの記者たちはジャーナリストの内輪の会合にCIAの職員数人が入っていても何も感じなくなっていると語る。

 記者にとってスパイはもう自分たちの仲間なのだ。 「それぞれの国がセルフ・インタレスト(自分たちの利益)に基づいて行動するのは当たり前だ」とプリースト女史は断言する。

 国家の安全保障と国民の知る権利のバランスをどう考えるのか質問してみると、「米国の安全保障を優先するわ」という答えが返ってきた。 要するに、米政府が「米国の安全保障に関わる」と判断することは書かないということだ。

 米国が第二次大戦後の国際秩序を構築できたのは「四つの自由」を掲げてファシズムと戦い、冷戦で共産主義にも勝利したからだ。「セルフ・インタレスト」を振りかざし、同盟国へのスパイ活動もはばからない米国は急速に求心力を失っている。 米国だけが良ければいいという価値観は同盟国にも通じない。

  チャタムハウスでの講演会で、NSAや英政府通信本部(GCHQ)の活動を長年追いかけてきた英ジャーナリストのダンカン・キャンベル氏が、ジェーン・ハーマン会長にこんな言葉を投げかけた。

  「NSAの情報収集の方法が大統領の独断で決められ、他の誰もチェックできないのなら、米国のシステムは壊れたも同然だ」 (おわり)≫(以上2記事は、在英国際ジャーナリスト木村正人氏を、ヤフーニュースが紹介している)

*木村 正人 在英国際ジャーナリスト ロンドンを拠点に活動する国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。日本国憲法の改正問題(元慶応大学法科大学院非常勤講師=憲 法)や日英両国の政治問題、国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部で大阪府警・司法キャップを務めるなど大阪で16年間、事件記者を 務め、東京で政治部や外信部を経験。2002~2003年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。2012年7月、独立してフリーに。

イギリス 繁栄のあとさき (講談社学術文庫)
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●毒饅頭+ネオコン傀儡男に、思考停止と揶揄されたメディア

2014年07月12日 | 日記
アメリカ的、イギリス的 (河出ブックス)
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● 毒饅頭+ネオコン傀儡男に、思考停止と揶揄されたメディア

 今回の現代ビジネスに載っていた長谷川幸洋のコラムは酷過ぎた。このようになりふり構わぬコラムを長谷川が書く羽目に至ったのには訳があるだろう。それは、歯止めが利かなくなってきた「内閣支持率」の低下である。内閣支持率が低下する元凶は、内閣にあらず。すべてマスコミの報道の仕方が拙いのだ。なにも、あそこまで真実を報道する必要はない。まったくもって、ケシカランという心理状態に陥っている証左だ。

 気に障る記事が出ている度に、朝日を呼びつけ、日経を呼びつけ、NHKに至っては、菅官房長官自ら不快だと恫喝し、NHK幹部を土下座させ、国谷キャスターを涙させるに至っている。NHK土下座を詳細に伝えるフライデーは記者クラブの縛りが利かず、イライラは募るばかりだ。もう完璧なファシズム政権に変貌したのが安倍官邸である。このような死に物狂いの「起死回生」の一環として、毒饅頭ジャーナリスト、正義の味方長谷川が、ここまで酷い提灯記事を書くに至ったと推量する。早晩、安倍政権は崩壊しそうだ。次に徴兵制の石破では、国民は泣くに泣けないことになるが、国民の逆切れ(無血革命デモ)に発展する予感さえする。

 世界各地で、民主的選挙で選ばれた、大統領などが、イスラエルとアメリカと大企業の思惑で、ころころ失脚させられるのだから、安倍政権が、規模で手のつけられない国民の逆切れ(無血革命デモ)でも起きたら、日本の平和ボケ国家が目覚めるきっかけになるかもしれない。あまり大きく期待するのは難しいが、安倍晋三が近々下痢ゾウに戻るのは確実だろうから、少々愉しみな事態になってきた。それにしても、以下の長谷川幸洋のコラムは醜悪だ。官房機密費だけで書けないだろう。それ+αの力が加わっている。おそらく、ウクライナクーデターの火付け役、米国ネオコンの後押しがあるのだろう。

 この長谷川幸洋のコラムを読むと、途中からコラムの論調が慟哭に思えてきた。いま、永田町で話題騒然の内閣官房HPの「解釈改憲一問一答」の出鱈目具合に行きつく。国民を騙し、単に一個人の思いを遂げたような閣議決定だから、説明すればするほど墓穴を掘るわけで、もう頼りは、プロパガンダ報道のみになっている。その結果、このようなプップと笑いたくなるような現象が起きているのだろう。まさに長谷川のコラムなど、東大話法・霞が関文学の典型を通り越し、いいわけ三昧の駄文になっている。もう少し、騙しの上手な書き手を探さないと、ジャーナリスト部門から穴が開くぜ!菅官房長官よ!


 ≪ 現実主義の安倍政権に置いていかれるマスコミの「思考停止」
  安倍晋三政権が集団的自衛権の憲法解釈見直しに伴う自衛隊法など関連法の改正審議を来年の通常国会に先送りした。当初は改正内容が整った法案から随時、今秋の臨時国会に提出して審議を仰ぐ予定だった。ここへ来て、先送りしたのはなぜか。 改正が必要な法案はぜんぶで15本以上ある、といわれている。

 まず、これらの改正案づくりが大変な作業で時間がかかる、という事情はあるだろう。安倍首相は日本経済新聞との会見で「全体を一括して進めたい。少し時間がかかるかもしれない」と説明している。 中身は相互に密接にかかわっているので、法案を1本ずつ審議するより、まとめて審議したほうが効率的で議論の密度も濃くなるのはたしかだ。だが、本音は「ここで一息入れて、じっくり国民の理解が熟成するのを待つ」という政治判断ではないか。

  解釈変更を閣議決定してから、マスコミ各社の世論調査では内閣支持率が急落した。たとえば解釈変更を支持している読売新聞(7月2~3日)でも、支持率は57%から9ポイント下落し、48%と初めて5割を切った。

肝心なのは閣議決定ではない
 安倍政権は解釈変更を急ぐ理由を「12月に米国との防衛協力指針(ガイドライン)の改定作業が控えているので、それに間に合わせる必要がある」と説明していた。だが、専門家によれば「ガイドライン見直しに間に合えば、それに越したことはないが(日本の政策方針変更と法整備の方向について米国が確信で きれば)すべての法案が見直しまでに成立している必要は必ずしもない」そうだ(森本敏『日米同盟強化のための法整備を急げ』「Voice」8月号)。

 森本によれば、現行ガイドラインも策定後に「おおよそ3年ほどかかって一連の有事法制を整備していった。ガイドラインの前に1本の法律も成立してい なかったのである」という。そうだとすれば、ガイドライン見直しの話は、公明党の妥協を促す方便の1つだった、ということになりかねない。 このあたりはプロ同士は分かっていたのだろうが、報じるマスコミ側を含めて、政府の話はあまり鵜呑みにしないほうがいい、という例の1つではある。

 それはともかく、あれほど大騒ぎした解釈見直しを受けて、肝心の法改正は先送りとなると、これをどう受け止めるべきか。

 まず強調しなければならないのは「肝心なのは最初から法改正であって、閣議決定ではない」という点だ。 閣議決定は所詮、政府内の話である。それで物事が決まるわけではない。日本は法治国家であり、実際の政策はあくまで法律に基づくのだから、法改正さ れなければ、何一つ事態は変わらない。極端に言えば、政府がいくら閣議決定しようと、国会で関連法案を否決されてしまえばそれまでだ。 そこを、大々的に反対論を展開したマスコミは勘違いしているのではないか。

 国会は衆参両院とも与党多数なので、国会で関連法案が可決成立する見通しはたしかにある。だが、たとえばその前に衆院解散・総選挙があって与党が敗北したり、あるいは与党の中から採決で造反が起きて可決できなければ、何も起き ない(もっと言えば、法案が可決成立したとしても、その後に政権交代が起きて、見直しに反対する勢力が法律を元に戻してしまえば同じである)。

 安倍政権はだから当たり前の話だが、法改正こそが主戦場とみていた。「閣議決定は政府の仕事だから、本格的な国会審議は法改正のときに」と説明して いたのは、そういう事情である。そう考えると、そんな大事な法改正を先送りしたのは、別に本質的な理由がある。私は「安倍政権が現実主義を身に付けてきた 証拠」とみる。

第1次政権の崩壊で学んだ安倍首相
 政権側からみると、いまの状況で与党が可決しようと思えば、できないことはない。公明党だけでなく日本維新の会や次世代の党、みんなの党が賛成しているから、衆参両院で過半数は十分確保できる。 それを避けてあえて先送りしたのは、先に書いたように「国民世論の熟成」を重視したからだ。無理押しして反発を招くよりも、じっくり時間をかける。 それで支持率の回復を待つ。そういう政治判断である。

 私は、ここが2006年第1次政権の失敗から学んだ最大の教訓になっている、と思う。 第1次政権は一言で言えば「正しいこと、やるべきことをやるのが大事。そうすれば国民は必ず理解してくれる」と考えていた政権だった。それで公務員制度改革をはじめ、さまざまな改革に手を付けたが、政権自体に地力が備わっていなかったために、霞が関や党内守旧派の抵抗に遭ってあえなく崩壊した。

 今回の政権は当時の痛い経験を踏まえてスタートしている。つまり「正しいこと、やるべきことであっても、機が熟していなければ手を付けない。政権が十分な地力を備えたときに初めて前に進む」と考えているのだ。 内閣支持率の低下は、あきらかに政権体力の低下を示している。そこでもっと激しい運動をすれば、思わぬ怪我をしかねない。そうみたのではないか。

  それは「政権の現実主義」と言い換えてもいい。「正しいこと、やるべきことの実現にまい進する」理想主義の政権ならば、ここは当初方針通り、臨時国会から法案提出を考えただろう。だが、いまの安倍政権はどうやら、そんな理想主義を卒業したようだ。

  私がそう考える別の例は、内閣人事局である。どういうことか。民主党に政権交代する前、麻生太郎内閣が2009年3月に提出した法案は、人事院の機能を大幅に内閣人事局に移す内容になっていた。ところが、今回の安倍政権が提出し成立させた国家公務員制度改革基本法は人事院を事実上、温存した形になっ ている(参議院の調査室が作成したリポートが参考になる)。

 だから09年当時の考え方からすると、今回は実は改革後退といってもいい。理想主義に立つなら09年法案の成立を目指すのが筋なのだが、そこを安倍政権は一歩引いて「人事院の意見を聞く」形に妥協した。それで、とにかく内閣人事局の発足を優先したのである。 まずは幹部人事の官邸掌握を目指した。それは今回の人事で省庁間交流や女性幹部の登用という形で実現した。これも「正しいことを一挙にできなくても、半歩は前に進む」という現実主義の例である。

マスコミは思考停止に陥っている
  ちなみに、6月13日公開コラムで触れたように、マスコミ各紙は官僚出身である杉田和博内閣官房副長官の初代内閣人事局長就任を確定的に報じていた。だが、結果は衆院議員である加藤勝信官房副長官が就任した。人事局の体制では霞が関の主張に配慮したが、肝心のトップは政治主導を貫いたのだ。 余談だが、この人事について、あるコラムは「杉田に内定していたものを菅官房長官が安倍首相に進言してひっくり返した、とされているが、反対派を抑えこむために最後に『だまし討ち』することを決めていたかもしれない」という推測を書いている。

  本当は安倍と菅は早い段階から加藤の起用を決めていた。単にマスコミ報道がそろって間違っただけだ。それを証明するエピソードを紹介しよう。 ある政権幹部はあまりに間違った報道が続くので、さすがに心配になって最高責任者に「方針を変えたのですか」と聞いてみた。すると、その最高責任者 は「何も変えていないよ。ぼくもあんまり報道が間違うから、あなたが目くらましに喋っているのかと思ったよ(笑)」と答えた。「いや、それは大変失礼しま した(笑)。了解しました(笑)」。以上である。

 安倍政権が政権運営について現実主義を身に付ける一方、一部のマスコミはますますイデオロギーに凝り固まって、歪んだ理想主義に走っている。もはや暴走状態といってもいい。典型的なのは「安倍政権が立憲主義を無視している」という主張である。

  内閣法制局は長く「集団的自衛権は憲法違反」と言ってきた。にもかかわらず、安倍首相は「政府の最高責任者は私」と言って解釈を変えたから「立憲主 義や法の支配を否定している」と批判しているのだ。そういう論者は、内閣法制局が憲法解釈の全権を握っている、とでも思っているのだろうか。 憲法解釈をするのは、憲法第81条で「最高裁が違憲法令審査権を有する終審裁判所」と決まっている。内閣法制局は法律問題について内閣総理大臣に意見を述べる役所にすぎない(内閣法制局設置法第3条)。

 総理を飛び越えて内閣法制局が判断し、それが結論という話になったら、それこそ立憲主義と法の支配の否定ではないか。官僚万能という話になる。最高裁が示した範囲内で憲法解釈を考えていくのは、政府の仕事だ。 実際、政府は集団的自衛権について過去、解釈が揺れ動いてきた。4月18日公開コラムで指摘したように、当初はそもそも「解釈に自信がない」とさえ言っていたのだ。

 このままだと、こうした一部のマスコミは政権の現実主義にけっして追いつけないだろう。政権が何をしようと「戦争をめざす安倍政権」の一言で反対 し、後は思考停止状態で一切の議論を受けつけないのだ。いったん、こういう病に陥れば、あとは現実がどうなろうと関係ない。ひたすら空理空論を唱えるだけ になる。 私は新聞社に勤めて38年になるが、自分が勤める新聞を含めてマスコミがこういう展開になったのは初めての経験だ。現実から遊離したマスコミは「現実を伝える」という報道の基本に立ち返るべきだ。*文中敬称略  ≫(現代ビジネス:ニュースの深層・長谷川幸洋)

天皇制の隠語
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「名誉白人」に歓喜した日本人 白人コンプレックス精神

2014年07月11日 | 日記

 

弱さの思想: たそがれを抱きしめる
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●「名誉白人」に歓喜した日本人 白人コンプレックス精神

 初めに、腰の抜けるような話題をひとつ。あのゲッペルス風な成り上がり政治家で、安倍晋三の片腕・菅義偉官房長官が、「内閣支持率の低下は、集団的自衛権行使容認を閣議決定したこと。都議会や国会で自民党所属議員による「セクハラやじ」が影響していると云う解析をテレビの報道番組で語った。この発言が、それほど違和感なく世論に吸収されて行く事実が、日本の劣化を象徴している。糞も味噌も完全に一緒くただ。日本人の意識も舐められたものである。集団的自衛権容認とセクハラやじが並列で並ぶことを言い放っても、そこに違和感を持たない日本人がいることが問題なのだろう。宮台と大塚の「愚民社会」そのものだ。愚民と呼ぶのは高級すぎる「土人」でも構わんだろう(笑)。今や「土人」は放送禁止用語のようだが…。

 「土人」とは、その土地に土着の人間のこと。ほぼ英語のnative(ネイティブ)に等しい。 転じて、野蛮、未開の生活形態を残す先住民族を指す。更に転じて俗に(主にインターネットスラングとして)品位や教養の無い様、非礼・無礼な有様を指す侮蔑的な意味合いで用いられる事もある。(Wikipedia参照)と云うことで、土着、品位、教養のなさに関しては、まさに日本人を特定した言葉にさえ思えてくる。こんな悪口雑言を好き勝手に書いていると、「アパルトヘイト」と云う南アの人種隔離政策を思い出した。

 Wikipediaによると、アパルトヘイトとは、アフリカーンス語で分離、隔離の意味を持つ言葉。特に南アフリカ共和国における白人と非白人(黒人、インド、パキスタン、マレーシアなどからのアジア系住民や、カラードとよばれる混血民)の諸関係を規定する人種隔離政策のことを指す。(中間略)この政策で、南アフリカにとって大きな貿易相手でもある日本人は「名誉白人(Honorary Whites)」として制度上の差別待遇を免ぜられた(→名誉人種)又、アメリカ出身の黒人(アフリカ系アメリカ人)も、しばしば白人と同等の地位を認められていた。有色人種でも経済力のある者に対しては白人扱いするために、よってアパルトヘイトは貧困層の有色人種への差別とも捉えられる。19世紀ゴールドラッシュでやってきた中国人の子孫は有色人種として扱われた。中華料理店は白人専用とされたが、中華料理店の従業員および主な顧客層である中国人の子孫、中華民国人も排除されかねないため、中国人の子孫も中華料理店に限っては名誉白人として扱われた。

 その当時、敗戦国で、敵国条項のある日本が認められたと、日本人は歓喜したのだ。謂わば、土人が名誉白人になれたのだから、嬉しかったに違いない。「名誉白人」に歓喜した日本人には、異様な形で「白人コンプレックス」が存在する。そして、鬼畜米英に憧れつつ、真珠湾を攻撃したのだ。「こっち見てよ!」その心は、現在の北朝鮮の中に見ることが出来る。やはり、このような土着、品位、教養のなさ(土人)となってしまった元凶は、筆者の個人的歴史観からすると、「脱亜入欧」に行きつく。明治維新が、日本史の中の最大の汚点である。つまり、長州の田舎者がのさばったために起きている日本の悲劇だ。安倍晋三の山口だよ(笑)。

 南アのアパルトヘイト政策においても、Wスタンダードと云う概念があったようだが、アングロサクソンやユダヤの文化には、Wスタンダードと云う出鱈目を出鱈目ではないものにする、権力とか、陰謀とか、暴力装置が必須のアイテムなのだと云う事実が良く理解できる。そこで無理やりウクライナ問題におけるロシアの立場を以下に参考掲載するが、ロシア嫌いも、読むくらいの理解はしても良いだろう。まさに今、アメリカはWスタンダードを日々連発させないと、身も蓋もない国家に成り下がるのだろう。背に腹は代えられぬと云うことなのだろう。


≪ ウクライナをカオスに向かわせる米国の無節操
【ウクライナ当局は、欧米がヤヌコヴィチ大統領に対し行うのを禁じた事をしようとしている。彼らは、ウクライナ革命のシンボルとなった独立広場(マイダン)から人々を追い出そうとしているのだ。南部・東部での内戦に苦しむこの国は、今や完全なカオスの中に沈む可能性がある。】  

 9日、ウクライナのヴィタリイ・ヤレマ検事総長は、同国内務省及び保安庁指導部に対し「マイダンの活動家と自分達を同一視する人々」から首都キエフ中心部を解放する措置を講ずるよう委任した。昨年2014年秋から(?)今年2014年初めまで、キエフ中心部には何万もの人々が集まり、ウクライナにとって屈辱的なEUとの連合協定調印を拒否したヤヌコヴィチ氏の辞任を求めていた。その後2月、彼はキエフから逃げ出し、5月にウクライナはポロシェンコという新しい大統領を選び出した。しかし今もマイダンには、ウクライナ「革命」の参加者達が住むテントが残っている。彼らは単にそこに居ついているわけではなく、新政権を益々イラつかせるような行動を展開している。マイダンの人々は、価格や税率の上昇や失業の増加に不満を表し、あるオリガルヒ(訳注;旧ソ連の資本主義化の過程で形成された政治的影響力を有する寡頭資本家)から別のオリガルヒに、単に権力が移っただけではないかと訴えている。それ以外にマイダンの人々は、国の南部・東部地域でウクライナ軍は「親ロシア分離主義者」らに対し、もっと積極的に行動するよう求めている。  

 そうした広場の求めに応じて、キエフ当局は、人的物的に巨大な損失をもたらし、南部・東部地域(ドンバス)が破壊されつくされるような事を行う可能性がある。 しかしキエフ当局は、破綻へと転がり落ちる経済に歯止めをかけることはできないだろう。そんな中、キエフ政府は、市の中心部から自分達を批判する人々を排除し、問題をもっと簡単に解決する事を決めた。一方マイダンの人々は、マイダン(中央広場)から去って行きたいとは考えていないし、自分達が占拠した政府の建物を明け渡すつもりもない(反ヤヌコヴィチ抗議運動の際、在野勢力は、事実上非武装だった警察に対する暴徒的集団攻撃や「民主主義」を目指す革命的戦いのデモンストレーション同様、そうした占拠を奨励していた)。それゆえ現在、権力者となった在野勢力は、マイダン解散のため武力を行使すると威嚇したのだ。つまり彼らは、欧米がかつて、合法的に選ばれたヤヌコヴィチ大統領には、ハーグの国際司法裁判所に訴えると脅し、やらせなかった、秩序を守るための行動をするつもりなのだ。  

 これは、所謂ダブルスタンダードである。こうした例は、まだまだある。オリガルヒであったヤヌコヴィチ氏には、憲法秩序を確立するため集会を解散させることは許されなかったが、別のオリガルヒであるポロシェンコ氏には、それが許されている。マイダンの人々なら、建物を占拠したり、国の治安機関を攻撃できるが、南部・東部の義勇兵がそれをするとテロ行為とされる。シリアのアサド大統領は、化学兵器を使用するテロリストらに対抗するため武力を用いる事は許されないが、ウクライナのポロシェンコ大統領は、どんなテロ行為もしていない義勇兵達を武力で殲滅してもよいし、重砲や戦車、ロケットランチャー、爆撃機やヘリコプターの助けを借りて、一般住民を殺しても構わない。コソヴォは、NATO軍部隊によってずたずたに引き裂かれたユーゴスラヴィアから分離できるが、権力の座にナチスまがいの輩がついたウクライナから、クリミアあるいはドンバスは離れてはならない。

 今回のような、世界の諸問題を米国とその同盟国の利益のために解決しようとする極めて単純なアプローチは、 事実上ソ連邦と社会主義陣営崩壊の瞬間から用いられている。そうしたアプローチが、肯定的結果をもたらす事などあるだろうか! 米国が、ダブルスタンダー ドの原則を用いて、自らのルールを課したところではすべて、秩序が打ち立てられるどころか、カオスが支配している。そのもっとも最近の例が、イラクだ。  

 そして今度は、ウクライナがそうなろうとしている。現在ウクライナでは、キエフ当局に忠実な軍部隊が、義勇軍相手に苦戦を続けている。町や村を破壊し、平和に暮らしていた一般住民を殺戮し、ロシアに救いを求めて流れ込む何万人もの難民を生み出しながらも、彼らの作戦はうまく行っていない。中でもとりわけ「懲罰作戦」に精を出しているのは、ウクライナ国家親衛隊や半分私設の様々な武装大隊で、彼らは皆マイダンの元活動家達だ。もしポロシェンコ大統領が、米国やEUの道徳的支援のもと再び、キエフの中央広場から自分の戦友達を力で追い払うとするなら、彼らはどういった行動に出るだろうか?  

 彼らはすでに何度か、 キエフ当局に武器を向け、彼らの意見によれば「マイダン革命」を裏切った新当局を「解体する」と脅している。現在彼らは、そうした脅迫を抑えるだろう。そうなると、ウクライナは、完全なカオスへと陥る。おそらくそうなって、世界は初めて、ウクライナが災難に陥った本当の罪は、ロシアにではなく、ああした 「革命」すべてを吹き込み、支援してきた米国にあると理解するに違いない。 ≫(ロシアの声:アンドレイ・イワノフ)


≪ 口を開いた西側マスコミ、ウクライナで犯罪をおかす米国とEU
 【ウクライナの国家転覆および新政権の犯罪行為を支持することで西側は事実上犯罪の共犯者となった。まさにこうした帰結に読者を導こうとしているのが、西側でも「しっかりと目を見開いている」ジャーナリストらだ。そしてこうした記者の数は日をおうごとに増えている。】

 西側マスコミがこぞって流すこんな嘘。全体主義のロシアが自由を愛し、民主主義とEUへと志向するウクライナをなんとか邪魔すべく危機を起こし、これに戦争を仕掛けようとしている。  

 こんな話にはロシア人はそんなに驚かされない。ロシア人はすでに2008年の時点で、西側の語る言論の自由という美しいお話に は耳を傾けなくなってしまったからだ。当時、西側マスコミは8月8日の深夜に南オセチアへグルジア軍が仕掛けた、血塗られた侵攻の事実さえも報道しようとはしなかった。その後、ロシア軍が一般市民に対する殺戮を止めようとオセチア人の救援にかけつけると、「民主主義的小国のグルジア」をいじめる攻撃者だとしてロシアは槍玉に挙げられた。このとき、ロシアはグルジアの攻撃の動かぬ証拠を叩きつけ、これを西側も認めたものの、何の罪もないのに非難を浴びせたことについては、ロシアに謝罪した者はいなかった。 そして今、ロシアは、ウクライナの危機の張本人として非難を浴びている。だが危機があまりに長引くがゆえに、西側のジャーナリストらの間では状況を客観的に把握しようという志向が高まりを見せている。  

 例えば、スペインの新聞Rebelionには先日「嘘の王国としての米国とNATO」 (Estados Unidos y la OTAN: un mercado de mentiras) という見出しで以下の記事が掲載された。「2014年2月22日に起きたウクライナの国家転覆(EUおよび米国の金融、物資、コンサルティング、外交支援 による)は、深刻な危機を呼び、ウクライナを無秩序状態に陥れた。これによってウクライナはいま、正真正銘のカオスと内戦に面している。 記者は、ウクライナ危機の責任をロシアに転嫁しようとするあまり、西側の指導者らとマスコミは虚偽と情報歪曲に躍起になっていると指摘している。クリミアがウクライナから離脱し、南・東部で反体制運動が起きた本当の理由は、ウクライナの新たな現実を受け入れたくないという、同地域の住民の意志の表れである。  

 言葉を変えれば、政府機構内のナチス主義者(これについては、伊の L'Espressoが 「ナチスのシンボル、ウクライナの国家レベルで公式的に」という見出しの記事で明らかにしている)の圧力やナチス的進軍、反体制派への制圧、独立した ジャーナリストたろうとする者らが拷問にかけられていること。こうした事実を認めたくはないのだ。記者を憤慨させているのは、ウクライナが自国民にむけて 軍隊を発動した事実から西側が目をそらしたこと、そして西側のマスコミや政治家らが、ロシアがあたかもウクライナに軍隊を発動しているかのような真っ赤な嘘をつき、キエフ当局が西側の傭兵を懲罰作戦に用いる事実に口をつぐんでいることだ。  

 西側のあまりにも羞恥心にかける行為の裏側に記者は、EU、米国、 NATOが影響力ゾーンを拡大し、ロシアをウクライナから引き離して孤立させる試みがあると指摘している。だが実はウクライナにとっては、ロシアとの関係強化のほうが国益にかなっているのだが。 こうした報道が西側のマスコミでは増え始めている。だが今のところこれは、ウクライナを西側の従者と変え、資源を得るためだけの付属物にしようという、しごく具体的な目的を追求する政治家の姿勢には、大した影響を与えていない。これは実は南・東部での軍隊の作戦に如実に現れている。ノヴォロシア人民義勇軍のイーゴリ・ストレルコフ(ギルキン)司令官の証言によれば、自身が2ヶ月以上にわたってスラヴャンスクを防衛していた間、街で最初に砲弾、空爆の標的になったのはインフラ施設、工業施設だった。それは住民の労働を損なった上で、EUの安価な労働力を用いるようにさせるのが目的だった。 これは事実上ジェノサイド(大量虐殺)である。つまりキエフ当局の指令によって、今軍部が行っている犯罪にほかならない。そしてこれを支援することによって、西側はこの犯罪の共犯者になりつつあるのだ。 ≫(ロシアの声:アンデレイ・イワノフ)

≪ ドイツ首相 米国のためにスパイ活動をしていたドイツ人の2重スパイ容疑は深刻
 【ドイツのメルケル首相は7日中国の北京で、同国の李首相と共同記者会見を行い、米国のためにスパイ活動をしていた疑いのあるドイツ人の2重スパイ容疑は深刻であり、事実が確認された場合には、「パートナー間」の協力の本質に反するとの考えを表した。ロイター通信が伝えた。】

 メルケル首相は、6日から8日まで中国を訪問する。 これより先、ドイツ検察庁は、外国の情報機関のためにスパイ活動を行った疑いのある31歳のドイツ人の男を2日に逮捕したと発表した。 検察庁は、容疑者の身元を公表せず、問題となっている外国の情報機関の名前も発表しなかったが、ドイツのマスコミは4日、ある情報筋の話として、容疑者はドイツ連邦情報局の職員で、米国のためにスパイ活動を行っていた疑いで逮捕されたと報じた。 ドイツ外務省は4日、今回の事件を受け、駐ドイツ米国大使を呼んだ。なお、米大統領府や米国務省は、この情報に関するコメントを拒否している。 ≫(ロイター通信、インターファクスより)

注:ロイターの元記事
 ≪ 独諜報員の二重スパイ疑惑、CIAが関与=米当局者
[ワシントン 7日 ロイター] - ドイツの情報機関に所属する男が米情報当局との二重スパイだったとされる疑惑に関連し、2人の米当局者は7日、この疑惑が浮上したドイツへのスパイ活動に米中央情報局(CIA)が関与していたことを明らかにした。 CIAのブレナン長官はこの件について、議会幹部への説明を行うことになっているが、日時は明らかになっていない。CIAはこの件に関してコメントを拒否している。 独検察当局は先週、外国情報機関のためにスパイ活動に従事していたとして31歳の男を逮捕し、調査を継続していることを声明で発表。これ以上の詳細は明らかにされていない。 ドイツの議員らによると、この男は、米国家安全保障局(NSA)のエドワード・スノーデン元契約職員の内部告発で明らかになった米国の盗聴疑惑を調査していた独議会委員会の活動情報を、米国側に漏らしたことを認めている。 ≫(ロイター)

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イラク、ウクライナ、パレスチナ 制御不能な同時多発戦争危機

2014年07月10日 | 日記

 

日本はなぜ外交で負けるのか 日米中露韓の国境と海境
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●イラク、ウクライナ、パレスチナ 制御不能な同時多発戦争危機

 ロシア人や東欧の人々は、皮肉者で、哲学的思索が好きで、且つ裏切りも外交の手法の一つと捉えている傾向がある。皮肉屋で、哲学思考が好き、ここまでは筆者と同じだ(笑)。ただ、裏切りを潔しとしない縄文人であるところが大いに異なる。日本人の多くが、第二次世界大戦において、全面降伏確実を見た上で、日本との協定を一方的に破棄したソ連に対し、一種の怨みと云うトラウマを持っている。丁度、中国人や韓国人が、日本侵略と云うトラウマから抜け出せず、人格障害のような振る舞いをしている姿と、筆者などは同じレベルの情緒なのだろうと理解している。

 仮にロシア嫌いでも構わないが、アメリカ教への信心は、いくらなんでも、そろそろ見直してみたら、と云う気になるのだが、わが国の潮流に兆しはまったく見えない。まあ、日ごと夜ごと、美名に隠れた呪いを掛けてくるアメリカ教の本部なので、簡単に洗脳教育、時にはマインドコントロールに至るのだが、極端な表現をすると「カルト教」を信じてしまう、少々奇異な目で見られるカルトの信者と我々日本人を一緒にするとは何事だ、と抗議の大合唱が起きそうだが、残念ながらアメリカ教は、どう云う宗教なのかと問われれば、準カルトです、と筆者答える(笑)。

 イラク戦争から帰った米兵の『衝撃の告白』ってのがネット上で話題になっているが、実際に、ベトナムやイラクにおけるアメリカ教の「正義の聖戦」につき合わされた兵士であれば、多少なりとも、普遍的価値の拡大とか、テロとの戦いとか、様々な呪い(まじない)を唱えられている事実が、実は事実でも何でもないことに気づくはずである。ただ、保身上、敢えて声にしないと云うのが一般的生き方で、狡賢いが賢明な生き方でもある。話題の兵士は、イラクにテロ掃討作戦のためと聞かされ兵役に就いた。そうしてデモクラシーの為の聖戦だと信じていた。しかし、彼は次第に、テロをしているのは我々自身なのではないか、と真っ当な人間の眼を取り戻す。しかし、真っ当な目を持つほどに、息苦しくなるのが、信用ならないアメリカン・デモクラシーの特長である。

 “デモクラシーと資本主義”と云う最強のペアが行き詰まりを見せ、世界は混沌の時代を迎えた。デモクラシーは欺瞞がないと存続不可能な政治体制であることは、かなり見えてきた。それに代わるものが見つからないので、多くの人間が苦慮している。“一党独裁政治体制と資本主義”の中国の元気が一番いい。経済成長に陰りが出た、シャドーバンキングが命取りだ。西側諸国は、中国の不幸が最速で、最大限に起きることを希求しているが、どっこいまだまだ土俵の真ん中で踏ん張っている(笑)。ウクライナ問題で、中露の最接近に危機感を募らせるホワイトハウスは、ケリー国務長官御一行が中国を訪問している。

 表向きは、中国が「新型大国関係に関し」と言い、米国が「違いを包含する新型の関係に関し」と、見事な思惑のすれ違いをみせている。大国と認めよと強硬な中国。大国だ等と認めることは敗北だと認識するアメリカ。大変面白い、米中の鍔迫り合いである。中国の習近平にしてみれば、ウクライナにおける米国の介入を確認しているだけに、ロシアの味方をするように見せかけ、米国から何らかの譲歩を勝ち取るとか、双方見事な外交を展開している。羨ましい限りだ(笑)。

 そんなことを考えていたら、産経新聞が佐藤優の八卦見のようなコラムを書いている。しかし、今回のコラムはかなりの確率で当たる方の八卦のように思える。イラクにかまけて、ウクライナへの介入行為を忘れるな!と云うのが政商・ポロシェンコの言い分だろう。米国の力量は、どちらの紛争にも、明確に立ち入ることは殆ど不可能。なにせ、オバマ政権がレームダックの季節に入ったのだから、動ける筈もない。この状況がエスカレートしてしまえば、ウクライナ、イラクを中心に、シリア、パレスチナ、イスラエルで戦火が拡大する危機に面している。まあ、そのすべてに共通する項(共通項)が「アメリカ」なのだから、仲介どころか当事者だろう(笑)。中国もロシアも英仏独も、一部への関与しかないのだから、自衛隊は喉から手が出るほど有力な部隊に変身(格上げ、マイナーからメジャーだ)。


 ≪ ロシアとウクライナ 危険の毒蛇と毒サソリの争い 仕掛けたのは…
 ロシアとウクライナが、毒蛇と毒サソリの喧(けん)嘩(か)を始めている。初めに喧嘩を仕掛けたのは毒サソリのウクライナのポロシェンコ大統領だ。この政商出身の大統領は、危険極まりない。ロシアとの戦争を挑発している。ウクライナ東部では6月20日から停戦が成立していた。

  <停戦を機に、ロシアが軟化。ウクライナ国内への軍派遣を認めた事前承認を取り消し、欧州連合(EU)との間で緊張緩和の動きが始まっていたからだ。フランスやドイツの働きかけで、ポロシェンコ氏とプーチン・ロシア大統領は26日から、オランド仏大統領、メルケル独首相も加わった4者の電話会談を繰り返した。ただ、ロシアが親ロシア派への影響力を行使しようとしないなかで、ポロシェンコ氏は最終局面で停戦終了にかじを切った。
 今後、緊張が高まることは避けられない。ウクライナ議会ではトゥルチノフ議長が「反テロ作戦が再開された」と宣言。議会では東部への戒厳令導入を求める声が高まっている>(7月2日付「朝日新聞」朝刊)

 イラク情勢の緊迫により、国際社会のウクライナに対する関心が低下している。ポロシェンコ氏は、「われわれのことも忘れないでくれ」と戦闘行為を開始し、「テロリスト」というレッテルを貼った自国民とロシア人を殺害しているのだ。

 プーチン氏は、怒り心頭に発している。1日、モスクワでプーチン氏はロシア外務省職員らの前で演説をした。そのときに以下の警告を発した。
 「停戦体制継続を放棄したウクライナのポロシェンコ大統領は、国の南部・東部での紛争激化に対する責任を自ら負った。その際ロシアは、国際法の枠内にあり続けながら、ウクライナ及び世界中にいるロシア語系市民の利益を擁護するだろう。
 世界秩序の一極モデルは、成立しなかった。西側が、この地球を『世界兵舎』に変えようと、他の国々に自分達の原則を押し付けるのを止めるよう望む。ロシアは自らの対外政策において、対決を通してではなく、協力や歩み寄りの模索を通じて、グローバルな及び地域の問題解決の道を模索するべきだとの立 場に断固立脚している」(7月1日のロシア国営ラジオ「ロシアの声」

 プーチン氏は、ポロシェンコ氏が停戦を停止した背景には米国の思惑があると考えている。「他の国々に自分達の原則を押し付けるのを止めるよう望む」というのは、米国に向けたメッセージだ。
  今後、ウクライナの南部、東部で生じる混乱の責任はすべてポロシェンコ氏に帰すると責任の所在を明確にした上で、ロシアの軍事介入を強く示唆している。 プーチン氏は、「ロシアは、国際法の枠内にあり続けながら、ウクライナ及び世界中にいるロシア語系市民の利益を擁護するだろう」と述べているが、ウクライナでロシア語を常用するロシア国籍保持者、ウクライナ国籍保持者、二重国籍者が政府軍によって大量に殺害されるような事態が生じれば、ロシアはそれを国際法で禁止されたジェノサイドと判断し、軍事介入も辞さないということだ。

 プーチン氏は毒蛇の鎌首を上げて、戦闘モードに入りつつある。ウクライナの東部、南部にロシア軍が介入すれば、ウクライナ正規軍は瞬時に壊滅される。その後、米国が軍事的にウクライナを支援する。ウクライナ戦争の勃発だ。  日本を含む国際社会は、ポロシェンコ政権に「停戦を再開し、直ちにすべての関係者と協議すべきだ」と働きかけるべきだ。イラクとウクライナの情勢悪化が同時進行すると、米国、EU、国連も統制不能の事態になりかねない。 ≫(産経新聞:国際――作家、元外務省主任分析官 佐藤優)

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集団的自衛権容認 手枷足枷ハメられ、金と命をみつぐ君

2014年07月09日 | 日記

 

「消費」をやめる 銭湯経済のすすめ (シリーズ22世紀を生きる)
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●集団的自衛権容認 手枷足枷ハメられ、金と命をみつぐ君

 正直、時間が経てば経つほど、安倍晋三と云う阿呆の火遊びが、わが国を、いっそう隷米の国にしてしまった。安倍は、真意は違うと強弁するだろうが、通じない。「憲法の縛りがあるから出来ない」から、「憲法上出来るけどやらない」と云う外交交渉をしなければならない立場に、日本は追い込まれた。日米間の条約、協定、申し合わせ、公式声明等々では、常に言葉の綾で、その解釈に疑義が生じることは多々あった。しかし、今回の集団的自衛権容認の、日米の解釈の齟齬は看過できるレベルではないだろう。

 現実に、今現在の日本の置かれている日米基軸路線を踏襲する限り、多くの日本人が、日米関係の破壊を望むことは、概ねないだろう。つまり、今後も日米基軸は変わらないと云う精神構造で生きるだろうから、アメリカ様を本気で怒らせることは出来ない。軍事費の削減が、覇権国アメリカのテーゼになっている昨今では、安倍の集団的自衛権容認は、飛んで火にいる夏の虫なのである。安倍晋三が、どれほど、そこまで閣議決定はしていないと言っても、米国は聞く耳を持たず、「お前たちが決めたじゃないか。俺たちは、あそこまで要求した覚えはない」と主張するに相違ない。

 ワシントンポストにも、集団的自衛権容認閣議決定に関し、同様の社説があったが、今回はWSJが「オピニオン」として、以下のような解釈を、当然のように書き込んでいる。つまり、完全に、安倍晋三の墓場への手土産が、日本のいう、愚民だらけの国家の軍隊(自衛隊)をバーゲンに出したということだ。米国産のミサイルや攻撃機やイージス艦を大量に買わせると云う次元を超えてしまった。金だけでなく、命も提供してくれる約束を、安倍自民党政権は選択してくれた。ありがたや、あれがたや、なのである。NATO諸国は、英仏独すべてが、独自の判断で軍事行動を行う原則に変わってきている。以下のWSJのオピニオンには嘘が相当混じっている。英国はシリア介入を拒否した。ウクライナ介入でも、独仏は米国に積極的協力をするつもりはない。いまや、米軍の頼りは、日豪だけなのだ。

 筆者などは、綱渡りのような米中露の3強のど真ん中で、ウロチョロ外交するのも悪くない、と考える人間はごく稀だろう。そんなことは百も承知だ。なにも、自暴自棄なわけでもない。経済の繁栄、成長経済、GDPと云う幸福観念から脱却すれば、何でもない綱渡りだ。壊れるのは、経団連であり、自民党であり、霞が関官僚組織であり、マスメディアであり、腐れ切った司法である。大元では、庶民の生活なんて、それほど大きく変わるものではない。個人レベルで、相対的な有利不利、損得は生まれるが、全体を平準化して観察すれば、大きく生活が変わることはない。おそらく、そのくらい厳しい環境を、実は日本人は経験すべきなのだ。その時、はじめて戦後が終わり、国家像も明確に見えてくる。“可愛い子には旅を“ではないが、自らの意志で苦境に落ち込んで、這い上がるのが本来の国の在り方だ。まあ、自衛隊員の気持ちになれば、身の毛もよだつWSJのオピニオンをとくとお賞味あれ。

≪【オピニオン】日米、軍事協力関係強化の機熟す
 安倍晋三首相は今月1日、集団的自衛権に関する憲法解釈の変更を閣議決定した。これにより、自衛隊は多国間の平和維持活動への参加や、米国などの同盟国が攻撃を受けた際の援助、日本が攻撃された際の米国や韓国とのより本格的な連携が可能になる。
 国会が憲法解釈の変更を承認した場合、日本が今までよりも強く安全になるだけにはとどまらない。日米の戦略的関係が強まるほか、両国にとってプラスになる防衛貿易に関する条約締結にもつながる可能性がある。
  1946年に制定された日本国憲法は、「国権の発動たる」戦争を放棄し、自衛隊以外のいかなる軍隊の創設も禁じた。日本の軍国主義者や実業家らによって第2次世界大戦が引き起こされ、何千万もの命が犠牲になったことを考えれば、この条文は理にかなっていた。しかし安倍首相が今春、欧州で開かれた北大西洋条約機構(NATO)の会合で述べたように、この時代には「もはやどの国も一国のみでは自国の平和と安全を守ることはできない」ことも確かだ。
 首相はまた、東シナ海の尖閣諸島をめぐる中国との緊張関係だけでなく、核武装する北朝鮮の脅威を挙げ、「日本を取り巻く世界情勢は厳しさを増している」と語った。首相の発言内容を証明するかのように、北朝鮮は6月29日にまたもや弾道ミサイルの発射実験を行った。
  自衛隊はすでに恐るべき存在だ。フランス海軍より多くの艦船と、英国空軍より多くの戦闘機を保有し、陸軍の規模はドイツ軍より大きい。世界で最も高性能な兵器システムも備えている。だが、北朝鮮がハワイに向けてミサイルを発射したり、米国海軍や韓国の艦船が日本の沖合で攻撃を受けたりしても、日本は何もできない。 
 憲法解釈の変更によって集団的自衛権の行使が容認されれば、同盟国の支援が可能になる。中国など日本の周辺諸国の一部と同様に、日本国内でもこれは物議を醸すとみなす人がいる。だがヘーゲル米国防長官は「日米同盟をより効果 的にする」と同時に、太平洋における米国の戦略的プレゼンスを高めるとして、閣議決定に歓迎の意を示した。
 日本は後押しするのに値する同盟国だ。何と言っても自由な民主主義が70年近く機能し、世界第3位の経済規模を持つ国だ。
 米国が日本との関係を強め、「今までより積極的な新しい日本はアジアの平和と安定を強化するが、帝国主義・軍国主義的な過去に戻ることはない」とアジア諸国を安心させるためにできることは2つある。
  第1のステップは、78年に策定され、97年に改定された「日米防衛協力のための指針」の見直しだ。両国はすでに年末までに見直しを行うことで合意してい る。自衛隊は何らかの紛争や有事が起きた際に、これまでより多くの軍事的負担を引き受けることができる。防空、ミサイル防衛、テロ対策、復興支援計画、サ イバー戦争で日米間の協力を強化する必要もある。
  2つ目のステップは、日米が軍用品・サービスの貿易に関する条約を結ぶことだ。2007年にジョージ・ブッシュ大統領は英国、オーストラリアと防衛貿易協力条約に調印。米上院は10年にこれらを批准した。米国はカナダとは数十年前から、防衛物資に対する一般的な輸出規制を撤廃する内容の一連の合意を結んで いる。そして対弾道ミサイル防衛については04年に日本と合意しており、日本は米国の機密技術を使って弾道ミサイル迎撃機を建造することが可能になった。
  包括的な防衛貿易条約が締結されれば、米国は余計な輸出許可証や面倒な授権証明書を取得せずに多くの防衛物資を日本と取引できるようになる。国防総省、国務省、商務省間の官僚的なしがらみや縄張り争いが、最も重要な海外での武器販売の足かせとなる事態を回避できる。さらに、日本の防衛関連企業が最新兵器システム用の高性能電子部品などの供給で、英国、オーストラリア、NATO加盟国とより緊密に連携するチャンスが生まれるだろう。
 要するに、このような条約は日本との戦略的な協力関係を強化し、脅威が増す中で米国自身の軍事的有効性を高めるのに役立つ。
  英国のチャーチル元首相は、米英間の関係について「特別な関係(special relationship)」という言葉で表現した。これは、民主主義的・文化的価値観の共有だけでなく、密接な軍事協力、戦略的利益の共有、そして何より武力侵略の阻止と世界の安定維持を土台としていた。
 今回の閣議決定は、米国が自国にとってアジアで最も古い民主主義の同盟国である日本と特別な関係を築く機が熟したことを示している。こうした関係構築が戦略的選択ではなく、必要に迫られるような事態が起きる前に、今、動いた方が良い。 *筆者のアーサー・ハーマン氏はハドソン研究所の上席研究員で、「Freedom's Forge: How American Business Produced Victory in World War Two(自由の構築:米国産業界はいかにして第2次世界大戦で勝利を生み出したか)(ランダムハウス2012年刊行)」の著者。 ≫(WSJ)

Noam Chomskyノーム・チョムスキー
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“米国ゼウス”は武装している 賄賂・恫喝・介入・暗殺・空爆・核兵器

2014年07月08日 | 日記
談 no.100 人間、もう一度見つけだす。
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●“米国ゼウス”は武装している 賄賂・恫喝・介入・暗殺・空爆・核兵器

 以下のロイターのコラムは、アメリカが絶対神ゼウスだと云う、驚くべき立場に立脚した人が書いているようだ。アメリカの「ゼウスもどき」だと云う正体は、世界の一定レベルの知識人であれば、多かれ少なかれ理解している。仮に、絶対正義の、“嘘・賄賂・恫喝・暗殺・空爆・核兵器”の除外された法廷が存在すれば、歓んで証言台に立つ人々で溢れかえるだろう。しかし、そういうことは起きない。夢想するだけ無駄なのである。ゆえに、もうこの件について、考える事を放棄しているのが、20世紀後半から21世紀前半の世界なのだろう。アメリカは、自らを正当化するプロパガンダ機構を完璧にコントロール下に置き、思い通り覇権国の地位を維持している。しかし、アメリカの“嘘・賄賂・恫喝・暗殺・空爆・核兵器”の攻撃に耐えうる勢力(中国・ロシア)が生まれてきているのは、歴史の皮肉でもある。まずは、米国ゼウス説に帰依した、ロイターコラムを読んでいただこう。

≪ 焦点:世界で高まる地政学リスク、米軍には「疲れの色」も
[ワシントン 2日 ロイター] - 世界では現在、安全保障をめぐる新たな危機がほぼ1カ月おきに起きている。南シナ海、アフガニスタン、リビア、マリ、シリアでは不穏な動きが継続。ロシアはクリミアを併合し、ナイジェリアでは過激派ボコ・ハラムによる多数の少女誘拐事件が起きた。
そして今、米国とその同盟国は、イラクでの軍事行動の可能性を再び考えざるを得ない状況に直面している。
昨年は米国の国防予算が大幅に削減される一方で、2001年9月11日の米同時多発攻撃以降、米軍が最も行動を求められた年の1つとなった。
過去10年以上にわたって戦争を行っている米国には、疲れの色がにじみ始めていると懸念する声も出ている。
昨年まで国防総省の政策担当首席次官補だった米戦略国際問題研究所(CSIS)の上級研究員、キャスリーン・ヒックス氏は「北朝鮮やイラクの問題も去った訳ではない」と指摘。「特に米海軍にとっては真の難題だ。部隊の規模を考えれば、これらの場所で同時に抑止に動くのは厳しい」と語った。
アフガニスタンに米軍兵士を1人駐留させておくコストは年間200万ドル(約2億円)以上との推計もあり、アフガン完全撤退で国防予算にいくらかの余裕は生まれるとみられる。ただ、世界各地では武力衝突は増加傾向にあり、米国と中国やロシアの間でも緊張が高まっている。
オーストラリアと米国を拠点とする国際研究機関の経済・平和研究所(IEP)は先に発表した報告書で、過去7年間は世界的に紛争が大幅に増加し、第2次世界大戦終結後60年間の流れが逆行したと指摘した。
つい昨年まで米政府内では、イラク問題には完全に背を向けられるようになるとの楽観論が残っていた。しかし、アルカイダから派生した過激組織「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」がイラク国内で進撃を見せると、米国はいち早く反応。
ペルシャ湾に空母を送り、特殊部隊員を含む数百人の軍事顧問をイラクに派遣したほか、空爆の可能性も検討している。
オバマ大統領は5月に陸軍士官学校で行った外交政策演説で、米軍は武力行使により慎重になる必要があると力説した。 しかし現実に目を向ければ、オバマ政権下の米国は、以前に比べて小規模であることが多いにせよ、世界各地に米軍を送り込むという姿勢は変えていない。
<予算と責任のジレンマ>
CSISは2日発表した報告書で、米国防総省の基本予算は2012─2021年に約2割減る可能性があると指摘。米国社会の高齢化が進むなか、医療や社会保障に振り向ける支出が増えるため、国防費の削減圧力は「弱まらない」との見方を示した。
オバマ大統領が一期目の政権に就いた2009年、国防総省の予算は約7000億ドル(約70兆円)だった。2015年度の国防予算案は、戦費を除く基本ベースで4960億ドルで、これに推計790億ドルのアフガン向け補正予算が追加される。
国防総省の財務責任者であるロバート・ヘイル国防次官は、ロイターに対し、新たなイラク対策のコストが不透明なため、海外活動費に関する予算の議会提出が遅れたと明らかにした。
米国の軍事費は依然として世界で突出しており、一国だけで世界全体の3分の1以上を占める。 しかし、ロシアや中国との差は縮小傾向にある。2008年以降、両国の防衛費はロシアが30%、中国が40%増加した。中東やアジアでも、軍事支出を急激に増やしている国は少なくない。
さらに、多くの国が軍事力の大部分を自国の周辺地域・海域に集中させている一方で、米国の軍事力は世界各地に広く分散している。
米軍制服組トップのデンプシー統合参謀本部議長は今年3月、「予算上の制約により、多くのリスクを受け入れざるを得なくなっている」と語っていた。
<混迷深まる世界情勢>
デンプシー統合参謀本部議長は、米議会が予算で合意できずに自動歳出削減措置が発動された場合など、さらに予算上の制約が強まれば、米国や同盟各国への危険は増えると警鐘を鳴らしている。
現役の政府関係者や元当局者は、国防総省が抱える本当の問題は軍事的義務の多さではなく、福祉手当や年金のコスト、防衛装備品の調達費などが増えていることだとも指摘する。
先週にロイターのインタビューに応じたヘイル国防次官は、既存の兵器を新型に切り替える場合、コストは通常3倍に増えると語り、持続可能とは言えないと語った。
2011年まで米海軍大将を務めていたゲイリー・ラフヘッド氏は「混迷が深まる世界の傾向はすぐには変わらない」とし、「現在は海と空で対処できるレベルだが、時間が経つに従って、米軍に深刻な負担を強いるようになる」と述べた。
 ≫(ロイター通信)


 以上が、米国ゼウス説に帰依した人によって書かれたコラムなのだが、半知識人やそれ以下の知識しか有しない人々は、“なるほど!”と池上の解説を聞いた気分で満足するに違いない。それこそが、アメリカ政府とイスラエルのプロパガンダの効果なので、問題ではない。しかし、このプロパガンダの有効性が、実は、プロパガンダの発信主体勢力のジレンマになりつつある現実を見ることは、皮肉だ(笑)。嘘・プロパガンダ・賄賂・恫喝・暗殺は、核兵器とミサイルを持たない国では、完璧にコントロール下におけるのだが、核兵器とミサイルと一定の軍事力を保持する国に対しては、必ずしも有効ではなくなりつつある。

注1:『世界では現在、安全保障をめぐる新たな危機がほぼ1カ月おきに起きている。』――安全保障の危機が起きるよう仕向けているパワーの存在をネグるな!米国の明確な軍事ではない、汚い軍事が進行しているのだから、当然の帰結。元凶を他人事のように語るものではない。前提自体が、論理のすり替えである。 *(--)以下筆者コメント

注2:『世界各地では武力衝突は増加傾向にあり、米国と中国やロシアの間でも緊張が高まっている』――緊張を高めているのはアメリカであり、アメリカが各紛争地から消えれば、それなりの部族対立に収斂する。それは、民族の運命、黙って見守り、戦火が収まるのを待てばよい。投資資金が消えるとか、権益を失うとか、そういう乞食根性があるから、手出し口出しするだけである。

注3:『イスラム国(ISIL)」がイラクで進撃、米国はいち早く反応。空母を送り、軍事顧問をイラクに派遣し、空爆の準備に…』――誰の、何を守るために、そのような戦略を取るのか、平和のためか、アメリカンデモクラシの為か、折角嘘八百で傀儡国にしたイラクの権益を失いからか?

注4:「オバマは、米軍は武力行使により慎重になる必要があると力説。 現実はオバマの米国は小規模だが、世界各地に米軍を送り込んでいる。』――ウクライナにも、ポーランドにも変装した米軍が、或は民生軍事サービスを派遣している。予算を失い、無人機の無差別爆撃を米本土のシミュレーションルームでゲーム感覚で殺人を犯している。

注5:『米国の軍事費は依然として世界で突出しており、一国だけで世界全体の3分の1以上を占める。しかし、ロシアや中国との差は縮小傾向にある。両国の防衛費はロシアが30%、中国が40%増加した。』――3割、4割増加したと書き込むが、規模の桁が違うのだから、印象操作の3~4割の比率に過ぎない。米国の軍事費と中国の軍事費は数値で示すべきだ。米軍は世界各地に、その戦力を分散しているのに、中露。中東諸国は自国の周辺に集中している、と嘆いてもいるが、その現象は、それらの国が力で世界中を支配しようとしていない証左であり、アメリカの世界支配志向が明確だと云うことだ。

 もう疲れたからやめておこう(笑)。いずれにせよ、このロイターのコラムニストの誤謬は、西側諸国に既得権保持者に共通の誤謬なのだが、ここで強く反駁しても、大した意味はない。筆者の推測の延長戦を見てみると、EU、つまりNATO諸国が、20世紀の異物、時には遺物と言っても差し支えない「アメリカン」の勘違いの是正に立ち向かう国や人々が現れるかどうかなのだと思う。中露を中心とする新興勢力の抬頭は、勢いがつき過ぎても困りものだが、一定の範囲で、米国一国主義と云うトラウマを拭い去る必要が、地球レベルで必須なのだと認識している。中国の覇権主義を怖れている人々もいるようだが、国家でさえなかった中国が曲がりなりにも国家の体裁を整えているほうが、アジアの安定に寄与していると筆者などは皮肉に考える。

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天下分け目沖縄知事選 仲井真の狙い、三選、カジノ、金目?

2014年07月07日 | 日記

 

47都道府県の「戦国」 (だいわ文庫)
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●天下分け目沖縄知事選 仲井真の狙い、三選、カジノ、金目?

 本来であれば、10月福島県知事選、11月沖縄県知事選と自民党を揺さぶる地方首長選が連続する筈なのだが、どうも福島県知事選は候補者に名乗り出るものが不在の状態が未だに続いており、世間の注目はほとんど見られない。復興、補償、放射性残土処理、除染、東電対応等々、火の車状態なのだろうが、それだからこそ、知事の役割は重要なわけで、泡沫地方議員などがなった場合は、今まで以上に霞が関の棄民政策に拍車がかかるに相違ない。沖縄を除く知事の中で最重要な知事の選挙だと云うのに、中央のマスメディアが取り上げる兆しすらない。

 現職の佐藤雄平が民主党主体の知事であっただけに、自民党は今回独自候補擁立に積極的なようだが、目玉の森まさこが現職大臣なので、8月?の内閣改造後に候補者に擁立する動きがあるようだ。あとの自民党議員で知名度勝負できそうな候補者は、福島音痴な筆者の知識では見当たらない。民主党は現職の佐藤が3選を目指すなら、すんなり落ち着くのだろうが、ダメな場合は前職の金子恵美前参議院議員でも引っ張り出すことになるのかもしれない。現職玄葉光一郎が火中の栗を拾うわけもない(笑)。まあ現時点では、沖縄県知事選のほぼ1か月前に行われる地方首長選としては、あまりにも動きが悪く、予想もヘッタくれもないのが現状だ。

 実際は、10月ともなれば、安倍政権の支持率が40%を切るような事態も想定されるのだから、民主や社民はもう少し前向きに対応している姿勢を見せるべきだろう。こういう部分が民主党の弱点で、ファイテイングスピリットがないのだ。その点、自民党は不愉快なくらい嫌いな政党だが、下品に徹するスピリットは学ぶべきである(笑)。さて、それに比べて沖縄県知事選は、ファイトとファイトのぶつかり合いで面白い、と言いたいところだが、どこまで下品に自民党が徹するのかが焦点の知事選と云うあたりが、なんともお寒い。

 筆者の眼から見る限り、仲井真知事の三選出馬など、ご冗談でしょうと云う感じなのだが、どうも沖縄の自民党県連の思惑は違うようで、老いぼれてヨタヨタしているが、金目を中央からかき集めてくる能力は捨て難く、今回も県連中心に、金目集金マシーン仲井真知事の推薦を決めるようだ。石破幹事長が、また仲井真か、と頭を捻っているようだが、辺野古埋め立ての立役者仲井真を袖にすると云うのも、結構難しい決断になる。なにせ、今回の知事選で、辺野古埋め立て絶対反対の候補に敗れでもしたら、今までの「金目」の送金が無駄になる。否、それだけではなく、11月ともなれば、自民党の1強五弱だかなんだかの、国政構図にも異変が生じる可能性が大きいだけに、あの仲井真を抱えての戦いは、難儀なものになるだろう。今から、ワクワクするほど愉しみだ。だいぶ前のBLOGOS週刊文春は以下のように解説している。

≪カジノかプロ球団か解散か沖縄知事選逆転の秘策とは
 6月20日、沖縄県知事選の日程が決まった。10月30日告示、11月16日投開票――。この知事選は、米軍普天間飛行場の辺野古移設の是非をめぐる「最終決戦」と目されている。
  「現職の仲井真弘多(ひろかず)知事が昨年、辺野古埋め立てを承認したことで、移設に大きく前進した。ただ、辺野古地区のある名護市長選では、移設反対派が当選しており、知事選でも反対派が勝てば、移設はほぼ不可能になる」(自民党関係者)
 もともと、第1次政権時代の2006年に同知事を誕生させた「後見人」でもある安倍晋三首相にとっては、“絶対に負けられない戦い”。さらに、官邸が危機感を強めるのは、身内から“最強の敵”が登場しそうなことだ。
 5日、那覇市議会の自民党会派所属の市議11人が、翁長雄志(おなが・たけし)那覇市長に出馬要請を行った。「オールジャパンで沖縄に基地を置いておけという中で、“オール沖縄”で立ち向かう。保革の枠を乗り越え、沖縄の政治が変われば日本の政治は変わる」
 6日の市議会でそう語った翁長氏は、県議時代に自民党県連の幹事長などを歴任し、前回の知事選では仲井真氏の選対本部長まで務めた保守系の政治家。だが、移設反対を掲げ、革新陣営が相乗りする構えだ。  経済界でも県内大手ホテルチェーンの平良朝敬CEOも支持表明するなど、翁長支持の動きが出始めている。
 「平良氏は公明党・創価学会にも近いとされている。名護、石垣、沖縄の市長選では、いずれも学会が支援した方が勝った。学会が翁長支援に動くようなことがあれば、中央の自公連立にも大きな亀裂が入るでしょう」(地元紙記者)
 翁長有利との報道が先行し、自民党の調査でも「翁長リード」の結果が出ているが、「有力候補を両てんびんにかけ、土壇場で勝ち馬に乗るのが沖縄の選挙。激戦になればなるほど、見返りも大きいですから」(同前)
 官邸でも、“逆転の秘策”が練られているという。 「74歳という高齢批判を避けるため、仲井真氏が3選しても、基地移設に目途を付けて、途中で辞任する」 「成長戦略名目で、カジノ特区も、プロ野球の球団増も沖縄に」
 さらには、衆院を解散して知事選と同日選にするとの案まであるという。沖縄県知事選は、政権の命運を左右する一大政治決戦になりそうだ。 ≫(BLOGOS:週刊文春)


 上記掲載の文春の解説は、“下衆の勘繰り”そのものの悪意に満ちた沖縄評価な記事だが、まあ当たらずといえども遠からずと云う部分もある。おそらく、今後は公明党がどのような態度に出てくるかで、五分五分の勝負になるか、創価学会が自主投票を選択することで、翁長雄志那覇市長が保革相乗り+創価学会の半分で圧勝と云う絵図も見えてくる。これに、意外な人気の鳩山由紀夫が支援を打ち出せば、安倍政権の大崩壊の始まりと云うか、終わりまで見通せる大波乱になる事も考えられる。穿った観点から仲井真の出馬決意は、他に勝ち目のある候補者が見つかるまで、看板を下ろさずに立候補を固執することで、個人的に金目をゲットする可能性も捨てきれない(笑)。

 ここで思い出した。池田大作創価学会名誉会長が、「沖縄全戦没者追悼式」が行われた日に、琉球新報と沖縄タイムスの沖縄紙二紙に全面広告を打ったと云う事実だ。事細かにその内容を語っても意味不明な部分があるので省略するが、要は抑止力の為に軍拡を行えば、あちらも軍拡。世界の気候変動云々に絡めて書いてあるが、平和憲法維持の精神は生きている、と言いたかった面は想像の範囲。公明党中央がやむを得ず行った選択への贖罪的行為だとも受け取れる。この全面広告が、沖縄の新聞だけに打たれた事実は、どう考えても、辺野古埋め立てで、公明党も創価学会も裏切った仲井真へのアンチを表明したと読むべきだろう。

 池田会長のメッセージが本人から発せられたものかどうか、予断を許さないが、全面広告費を支払っているのだから、創価学会の幹部がその支出を善しとしたのは事実である。この全面広告を、単なる公明党本部の平和の政党に背く、自己保身決定への贖罪だけと考えるのは、奇妙である。仮に贖罪だとすれば、意に適う全国紙、毎日新聞或は朝日新聞にも意見広告を打つはずなのに、ピンポイントで沖縄であることは、「沖縄全戦没者追悼式」だからと云うのには無理がある。やはり、沖縄県知事選で不用意に、仲井真支持を打ち出すな、と云う気持ちがこもっているに違いない。ますます、沖縄県知事選は注目に値する。

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時代遅れの日米安保 覇権の寿命は歴史の必然忘れてはいけない

2014年07月06日 | 日記

 

グローバリズムが世界を滅ぼす (文春新書)
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●時代遅れの日米安保 覇権の寿命は歴史の必然忘れてはいけない

 世界全体の流れとして言えることは、もうこれからは強固な軍事同盟と云う枠組みが不要になりつつある、と認識できる。日米安保条約(日米同盟)のような一心同体思考の軍事同盟は、影を潜めている。NATOも軍事同盟ではあるが、米軍基地が我が物顔で、同盟国の国土を蹂躙し、治外法権化させている国など、日本以外見当たらない。ドイツであろうが、フランス、英国にも、日本のような性格の軍事基地は見当たらない。敗戦国だから、占領の名残だろうと言っても、ドイツは日本以上の敗戦国であるが、米軍基地は名目上残っているに過ぎない。

 また、北大西洋条約機構(NATO)の軍事同盟として縛りは、年々緩やかなものになっており、個別の案件ごとに、各国が自分の意志で、是々非々を判断して、行動を起こす同盟関係に変貌しつつある。その理由は第一にソ連邦の崩壊により、ソ連を仮想敵国化した軍事同盟の意味合いが薄れたことである。第二に、20世紀後半から21世紀に入り、経済のグローバル化が制御不能な勢いで世界中を駆け巡る状況になり、同盟関係を結んでいても、個別的利益損得の関係上、同一行動を取ることに、合理性がなくなった現実がある。

 いま世界の軍事に関する動きは、極めて緩やかなものに変貌し、同盟国の何処かがやられたら、無条件で参戦する集団的自衛権のような“糞味噌一緒くたに”と云った双務条約は影を薄めている。いま、安倍政権が集団的自衛権容認等と云う一世紀前の観念に囚われているのは、世界の軍事同盟の在り方において、懐古的過ぎるのである。このことからも、安倍晋三の集団的自衛権容認の閣議決定と云うものは、歴史的に見てコミカルでさえある。安倍の爺様である岸信介の念願を適えると云う個人的墓場への手土産みたいなもので、現実に機能することは、実際問題としては、まずあり得ない。

 安倍の心は極めて個人的であるし、その安倍の願望に便乗し、私的利益誘導に興じているのが、所謂日米の安保マフィアと言われる人々なのである。この安保マフィアと呼ばれる勢力が、安倍と云う砂糖に群がる蟻なのである。日米安保は片務条約であり、これを如何に双務条約にするかが、日本の独立を確固たるものにすると云う論を展開しているわけである。この論が政府全体で幅を利かせている結果、米軍基地の維持管理の70%以上を日本が負担する奇妙な図式をつくり、その上前を、この安保マフィア勢力が掠め取っているのが現実なのである。この勘違いのトラウマが、占領時代さながらの、天国米軍基地を存続させ、沖縄の人々を日々苦しめていると云うことだ。

 安保マフィアにとって都合が良かった点は、中国の抬頭である。さながら、ソ連崩壊後の代替国となり仮想敵国が生まれた点が、彼らにはラッキーであり、刷り込みで洗脳された国民にはアンラッキーな出来事になっている。中国の前には、アルカイダと云うテロ組織の撲滅なんちゃった騒動も起き、イラク戦争勃発時には、安保マフィアの代表格アーミテージに「ショウ ザ フラグ」等と煽られ、時限立法としての「テロ対策特別措置法案」を可決させた。自衛隊をイラクに送り出したのである。そのイラク戦争は、なんだったのか。世界各国が、イラク戦争の総括を行い、自省の念に囚われていると云うのに、日本では、その総括を語る政治家も、安保法制懇のメンバーたちも皆無なのだから、反省なき決定しか行わない国なのである。

 こんな国と双務条約で縛られることを怖れているのは、リベラルな日本人、直接被害受ける可能性の高い若者。否、それ以上に、日米安保の危険性を感じているのは、同盟国アメリカかもしれない。多くの政治家も、主権者である国民も、実際問題、中国と日本が戦争する筈がない、と大した根拠なしに思い込んでいる。充分あり得る事だと思っている、思うことで利益を得る、安倍晋三の取り巻き、安保法制懇のメンバー、日米安保マフィア、吹き上がり右翼の面々など、名指しが可能な人々は、“日中戦争勃発の危機”を磁石に集まってくるハイエナ達なのである。

 アメリカにしてみれば、多くの軍事基地費用を負担してくれるお陰で、僅かな費用でアジアに軍事プレゼンスが行えることは、願ったり適ったりだが、公式には、安倍内閣閣議決定の集団的自衛権行使容認の効力が実効性を持つ法整備が整うことは、心理的には、トンデモナイ片務な軍事行動を余儀なくされるリスクに晒されていると、危機感を募らせている。まったく、中国と争うなど思いもよらないのに、日本の右巻き好戦グループの暴発に巻き込まれる恐怖を感じはじめているようだ。米国にしてみれば、片務な関係のまま、時々、「ショウ ザ フラグ」と脅して、自衛隊に後方支援や兵站、医療などを提供させるのが理想なのだ。

 米国にとって、中国の抬頭、ロシアの復権は、自国の絶対的覇権の効力の減少と比例する形で起こっているので、その勢力の成長を如何に遅らせるかが課題なのだろう。その成長を阻害するために、“将を射んと欲すれば先ず馬を射よ”の発想で、世界中のあらぬところで火種をまき散らしているわけだ。しかし、一歩、地球外から、この米国の覇権力の低下を抑える戦略の多くは、悪名高い延命処置医療のように見える。もっと、意地悪に眺めてみると、米国が錦の御旗にしている「テロ掃討作戦」の名を借りて、地球上で最も過激に「テロ行為」に勤しんでいるのは、誰あろう、アメリカ様そのものだと云う思いにも至るのである。

 幸か不幸か、新興5カ国(BRICS)の首脳たちは、この老いたるモンスター米国の往生際の悪さを横目に、着々と底力をつける方向に向かっている。あくまで筆者の個人的見方だが、韓国は、このBRICSグループに参加する問題を真剣に討議しているかもしれない。ロシア、中国の首脳の観察眼は鋭く、基軸通貨であるドルの優位性を削ぐことが、一番の戦略だと見抜いている。その為には、先ずは、中露間の取引を“ドル”外しで行うこと。次に、アジア開発銀行に変わる「BRICS開発銀行」の構築。さらには、IMFと云うドル中心主義システムの崩壊に向け、着々と手を伸ばしていると観察しておくのが妥当だろう。

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日朝会話不快、北朝鮮に手こずり20年米国、物言う資格なし

2014年07月05日 | 日記

 

21世紀の歴史――未来の人類から見た世界
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●日朝会話不快、北朝鮮に手こずり20年米国、物言う資格なし

 NHKなどは、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が13年度、「10兆2207億円も儲けたぞ~」、と云うプロパガンダ報道に興じているが、直近の2014年1-3月期には、マイナス1兆15億円になっていることは、ほとんどメインニュースとして報道されていない。国内株式でマイナス7.05%の大損をこいている事実を知ってい人は僅かだろう。GPIFに対し、国内株式等への運用比率を大幅に引き上げようと安倍官邸は考えているようだが、まさにヤクザと警察のマッチポンプのようなもの、年金が手違いで消えるのなら、取り返しようもあるが、本当に消えた場合、だれも損失を補填はしない。政府や日本のマスメディアの報道とは、こんなものである実例としてひと言書いておく。

 まあ、安倍の株価つり上げ政策など、国民を戦場に送りことが平気な奴らにとっては、蚊に刺された程度だろう。昔、与謝野とかいうジジイが、リーマンショックは、わが国にとってハチに刺された程度と言い放った言葉を思い出した。馬鹿野郎!世界で5番目くらいのダメージを受けたではないか(笑)。プーチン大統領が、米独立記念日を祝してオバマ大統領に「祝電」を送ったそうだ。西側マスコミは、プーチンがオバマに仲良くしようとメッセージを送ったような言い草になっているが、そんなことはひと言も言っていない。

 “露米関係はプラグマティックで平等である必要がある” 「困難や意見の相違があるものの、豊かな歴史を持つ露米関係が、相互利益を考慮したプラグマティックと平等を基盤に順調に発展することに期待する」言いたかったことは、同等の立場で、双方の意見を交換すべき、と外交辞令を言ったに過ぎない。ところで、EUの“貢くん”で名高いドイツ経済の調子が大変悪くなっている。4日発表の製造業受注指数が前月比1.7%低下した。実際は3.7%近い落ち込みのようなので、ドイツとしては異様な受注低下を示した。無論、これは一過性と云う見方も出来るが、多くは地政学的リスクの高まりの影響が大きいのだろと、ブルームバーグなどは見ている。

 つまり、アメリカ一国主義による、ウクライナへの介入がEU全体のけん引役ドイツの産業にまでダメージを与える状況になっている。ドイツ経済に暗雲が立ち込めれば、EUの経済は崩壊する。そんなアメリカが、今度は日本政府の対北朝鮮政策にもイチャモンをつけてきた。朝日新聞は以下のように伝えている。


≪ 米高官、日本の制裁解除に苦言 北朝鮮めぐる結束に懸念
 米ホワイトハウスのローズ大統領副補佐官は3日、日本政府が北朝鮮への制裁を一部解除したことについて、「(北朝鮮の)非核化をめぐる多国間の制裁を犠牲にすべきではない」と語った。日本が拉致問題を重視して制裁の一部解除に踏み切ったことが、北朝鮮の核開発を阻止しようとする日米韓などの結束に悪影響を及ぼしかねないことへの警戒感を示した。
 米政府高官が日本の制裁解除について公の場で苦言を呈するのは珍しい。外国の一部報道機関向けの記者会見で明らかにした。
 ローズ氏はまず、オバマ大統領は拉致問題の解決を長年にわたって重視してきた日本の立場を理解している、と説明。そのうえで制裁解除の範囲について、北朝鮮の核実験などを受け、国連安全保障理事会の決議に基づいて各国が科した北朝鮮制裁とは切り離すべきだ、と強調した。日本が制裁解除をこれ以上広げることへの警戒感を示したものといえそうだ。「我々は結束して(北朝鮮への)圧力を続ける必要がある」とも語った。
 さらにローズ氏は日本に対し、「(制裁の一部解除が)核問題の責任を免れるものではないというメッセージを送ることが重要だ」と指摘。拉致問題が今後進展したとしても、「日本や世界にとって安全保障上の脅威である核やミサイル開発の問題を除外することはできない」と述べた。米政府には核問題の解決には北朝鮮への制裁をさらに強めるべきだとの考えがあり、日本だけが先行して制裁を大幅に緩和することへの警戒感があるとみられる。
 一方、安倍政権が集団的自衛権の行使を認める閣議決定をしたことについて、ローズ氏は、日米がさらに緊密に協力できる、と改めて歓迎。ただ、「この新しい政策が何を意味し、何を意味しないのか、韓国や中国などに透明性をもって説明することが重要だ。それによって、誤解を防ぐことができる」と語り、近隣諸国に対するより詳しい説明を求めた。 ≫(朝日新聞デジタル:ワシントン=奥寺 淳)


 安倍官邸の動きに塩を送る気はさらさらないが、米国政府の口先介入を聞き及んだ以上、ひと言いわざるを得ない(笑)。国内株式の吊り上げ工作も思った以上に上手く行かず、ファンダメンタル自体が駄目だと云う不都合な事実を認識するに至ったのだろう。14年第一四半期のGPIFの投資実績を見たら、少々怖くなるのは当然で、これ以上の株価つり上げ工作が命取りと云う側面もあるだけに、無謀な投資比率の引き上げも躊躇する実績になっている。そうなると、経済の安倍の賞味期限は切れた。次なる旬な食材を世論に提供する必要がある。

 集団的自衛権閣議決定が、これほどアンチな風になるとは予想もしていなかったようだ。手をこまねいていたら、唯一の頼み綱である内閣支持率の凋落傾向に歯止めをかけ、もう一度上向かせないと、党内基盤が脆弱な安倍晋三には命取りの不安がある。その助け舟になるかもしれない北朝鮮拉致問題は是が非でも、超ド派手なパフォーマンスで、大向こうを唸らせたいところである。ぶら下げる人参の種別など、事細かにアメリカ様からご指導を仰いだのでは、金正恩の心を揺さぶることは出来ないし、自分の支持率アップにも繋がらない。多分、安倍の心は「聞いてられるか!俺の政治生命が掛かっているンだ」そういう気分だろう。

 安倍の気持ちに与するつもりはないが、アメリカの口先介入には、感情の劣化と言われても構わんが不愉快である(笑)。北朝鮮核問題で、アメリカはどれだけドジを踏んだことか、思い出せよ。この問題に手を付けたのはいつのことだった?1993年の北朝鮮NPT脱退を表明から始まっている。1994年6月、ジミー・カーター元米大統領が訪朝し、金日成国家主席と会談し、アメリカと北朝鮮の間に「米朝枠組み合意」がなされてからのことだ。その間に6か国協議などアメリカは責任の分散を狙った。いかにも、中国が一番の責任ある国家のような雰囲気をつくり、責任転嫁を図っていたが、北朝鮮は一貫して、交渉の第一当事者はアメリカだと明言しているのだから、北朝鮮の核問題解決の責任はアメリカにある。20年にもわたり、その解決をお茶を濁して放置してきたアメリカに、日本の独自の外交努力に口先介入など出来る資格はない。

 米独立記念日を前に、ピュー・リサーチ・センターが「米国は世界の他のすべての国より優れているか?」等に関する調査を行ったようだ。以下はそれを伝えるWSJの記事。アメリカネオコンらが考えるほど、米国人がおバカではない点も見いだせ、価値あるリサーチ結果であるし、米国政府とアメリカ人と云う二つの対象の意味合いを、筆者などは峻別して語る必要があるかも?と幾分自戒の念を持つ(笑)。


 ≪ 米国は今でも「世界で最も優れた国」?―ちょっと薄れる自信
 米国民は今でも自分の国が優れていると思っているが、最も優れていると言う人は減っている――。米独立記念日を前に世論調査機関ピュー・リサーチ・センター(PRC)が発表した調査報告書で、こんな結果が明らかになった。
 この調査は1万人以上の米国民を対象に行われた。それによると、「米国は世界の他のすべての国より優れている」と考えている人の割合は28%で、2011年と比べ10ポイント下がった。この割合は2010年以降、低下が続いている。
 米国は「他の数カ国と並んで世界で最も優れた国の1つ」と答えた人は全体の58%と、11年の約53%から上昇。「他の国々の方が米国より優れている」と答えたのはわずか12%だったものの、11年の8%から上昇した。
 米国が優れていると考える傾向は、民主党員や無党派層よりも共和党員の方が今も強い。だが、過去3年間でこうした認識の後退が最も目立ったのも共和党員だった。
 米国は世界で最も優れていると答えた共和党員は、11年は全体の53%に達したが、今回は37%にとどまった。30歳未満の若い世代ではさらに低く、11年の27%から15%に低下した。 ≫(WSJ)

余震(アフターショック) そして中間層がいなくなる
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●米国史上最悪の大統領オバマ、日本史上では安倍と野田が競り合う?

2014年07月04日 | 日記

 

良心をもたない人たち (草思社文庫)
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●米国史上最悪の大統領オバマ、日本史上では安倍と野田が競り合う?

 世界の地政学的雲行きが目まぐるしい展開を見せている。正直、わが国に隣接する、中国、韓国、北朝鮮の関係にも大きな変化がみられる。中国と韓国が同盟関係でも結ばんばかりの勢いで接近している。そんな最中、今度は北朝鮮と日本が、拉致問題等を出汁にして接近を試みている。正直、これは正体不明なエネルギーが流れをつくり出し、北東アジアの4か国がその渦に巻きこまれて行くような、嫌な感じになっている。この渦が一過性のものか、恒常的なものなのか、現時点で判断は難しい。

 中国、韓国、北朝鮮、日本、この4か国とも、これらの関係性と米国との距離感をどのように保つか、外交防衛経済上難しいカジ取りを4か国ともに行わなければならないようだ。米国の関与度にも注目する必要があるのだろうが、通り一遍の反応しか聞こえてこない。そんな筆者の疑問に応えたわけではないだろうが、読売新聞も同様の疑問の中で記事を書いている。

≪ 日韓関係悪化で影薄い日米韓…中韓接近を米懸念  
【ワシントン=白川義和】米オバマ政権は中国と韓国の急接近によって、日米、米韓同盟を軸とする北東アジアの安保秩序や対北朝鮮政策での日米韓連携が揺らぐことを懸念している。 米国務省のサキ報道官は2日の記者会見で「我々は地域の国どうしの対話を促している」と述べ、中韓首脳会談を基本的に支持する考えを示した。
しかし、オバマ大統領が促す日韓首脳会談が実現しない中、中韓対話だけが進むのは望ましい状況と言えず、外交筋は「米政府は韓国側に中国との急接近に対する懸念を伝えている」と語る。
 北朝鮮政策でも、米国は核問題の解決に向けた日米韓3か国の連携を強調しているが、日朝、中韓関係の展開の早さと比べ、日韓関係悪化を引きずる3か国の枠組みは影が薄い。 ≫(読売新聞)

 たまには、筆者と同じタイミングで読売が反応しても良いだろう(笑)。この問題の根底には、おそらく中国、韓国、北朝鮮、日本の外交筋が対米の距離感を、20世紀同様の延長線上に据え置くことが正解なのかどうか、試薬を垂らしている状況なのだろう。高揚感一杯の安倍内閣総理大臣とは、まったく異なる思惑で、各国の官僚たちが、米国の影におびえながらも、阿吽の呼吸を鳩首密談している感じにも見えてくる。魑魅魍魎なアメリカンデモクラシーも、流石に隣国同士が仲良くしているからといって、公に難癖をつける手立てはないだろう。しかし、潔く覇権を手放し気のないアメリカは、あらゆる抵抗を試みるに違いない。

 韓国・朴大統領とすれば、欧米を中心とするマネーに縛られた韓国経済の繁栄が、張り子の虎で、韓国民の生活向上に大きく寄与しているとは思っていない。為替の流れもウォン高にあり、輸出に大きく依存する自国経済が脆弱なことは知っている。しかし、米韓FTAを結んでいる韓国の経済は、企業ぐるみ欧米の資本に支配されている。無論、安全保障分野では、韓国独自の防衛能力がないわけではないが、米国抜きでは、到底北朝鮮に対抗出来ない事実もある。朴槿恵大統領が二股外交を選択している理由は、概ねそういうことだ。本来であれば、日本と組むほうが、あらゆる面で、各方面への好影響が及ぶのことは自明だが、反日、日本を追い抜くが国是の感がある国だけに、日本との融和と云うものは両国の首脳が変わっても容易ではない。

 ある意味で、経済的損得よりも、自らのアイデンティティ重視に重きを置く韓国の“欲しがりません、勝つまでは”の精神は微笑ましくもある。筆者は多くを知らないが、北朝鮮も韓国も、いがみ合い、一触触発の状況を日常化させており、どこかで気脈が通じている印象を捨てきれない。両国は、明らかに半島人として、同じ言語を使う同一民族なのだから、意図的に気脈を通じさせる努力はいらないのだろう。ただ、今まで同様、米国一辺倒の外交防衛経済の枠組みにいる事は、内臓を欧米資本に吸い尽くされ、もぬけの殻となる韓国になるのを、座して見つめるだけは嫌なのだろう。

 まぁ、最近の米国の乱暴狼藉傲慢な姿を見れば、身の危険を感じ、二股でも三股でもしたくなるだろう。まだ、習近平の。「アジアの安全はアジアの人々が守る」に同調の姿勢は見せていないが、話を熱心に聞いただけでも、外交上の意味はある。経済中心の金融秩序に中国は韓国を引き寄せることには成功した。次は「アジアインフラ投資銀行」に、韓国が日本のマネーが主導する「アジア開発銀行」の枠から抜け出すかどうか興味に変わる。現実は、かなり無理算段している韓国経済ゆえに、その道は開かれてはいるが、容易な道のりでもない。

 上述のように、北東アジアのパワーバランスに異変が起きている元を質せば、覇権国アメリカの凋落と、死に際の往生の悪さである。覇権国として滅びても、普通の国にはなれるのだと云う発想が、人工移民国家にはないのだろう。このモンスター国家の死にざまは、地球上の阿鼻叫喚を見るまで続くかもしれない。いまや、アメリと云う国は、多くの国家、民族から恨みを買い、不評を囲っている。この怨嗟のDNAは子々孫々にまで引き延ばされ、怨嗟のループになるのではないかとさえ思える。特に、911以降のアメリカは腐臭が漂い始めている。当然、北部アフリカやイラク、イラン、シリア、ウクライナ、アフガン、パキスタンにおけるアメリカの諜報、陰謀、暗殺、クーデターの試みは、絶望的な失敗の連鎖に陥っている。誰が見ても、明らかに覇権国アメリカの凋落である。

 最近、アメリカの大学で、米国史上最悪の大統領は誰かと云うアンケートの結果、現大統領バラク・オバマが栄えあるナンバー1に選出された。現役に近いほど、厳しい採点が出るのは致し方ないが、オバマはダントツのようである。次点には、あの911時の大統領で過大なテロ騒動を演出したブッシュが選ばれたが、なんだか新しい順のようにも見えてくる(笑)。ただ、好評価のNO1にレーガンが選ばれた点を考慮すると、単に新しい、記憶にある大統領と云うことでもないようだ。さしずめ、日本の大学で同様の調査をしたら、NO1は安倍晋三、次点が野田佳彦、菅直人と続くのではなかろうか(笑)。好評価NO1は誰だろう。

 伊藤博文?こりゃ駄目だ、筆者の日本史の愚行薩長連合だ。原敬、高橋是清、吉田茂、石橋湛山、岸信介、池田勇人、田中角栄、大平正芳、中曽根康弘、小泉純一郎などの顔が浮かぶが、筆者は池田勇人、田中角栄、大平正芳と云う似ても似つかぬ3人の内閣総理大臣の印象が強い。どの首相にも一長一短があるのだが、なぜか好印象をもって記憶に残っている。世代によっても、歴代総理の評価順位は異なるのかもしれない。皆様も、勝手にランキングをつけてみるのも一興である。

修羅場の極意 (中公新書ラクレ)
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