世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

早ければ早い方が傷は浅い 円安誘導で国民生活は破綻、アベノミクスは「日本売り」

2013年01月27日 | 日記
帝国以後 〔アメリカ・システムの崩壊〕
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早ければ早い方が傷は浅い 円安誘導で国民生活は破綻、アベノミクスは「日本売り」

 景気の気は“気分の気”だと云うことで、市場の動向はアベノミクス(こんな立派な名前がつくのがオカシイのだが)に反応、如何にも景気が浮揚する雰囲気に包まれている。投機筋にとって、投資のキッカケが少なくなっている世界的マーケット状況においては、恰好の投機的話題を提供したのは事実だろう。その点では、民主党の阿呆どもが行った為替介入によるドル買いに比べれば、相当マシな為替への介入テクニックである。

 為替と株価と云う二つの経済指標が円安、株高に繋がったのだから、景気が好くなるような気分になるのは当然だ。昨年末の選挙でナショナリズム的言質を叫び大勝し、政権奪還に至った安倍政権がそれを行っているのだから、勢いは増すばかりだ。ブログのランキングなどを眺めていても、ネトウヨ、右派保守陣営を支持するサイトが矢鱈元気で、中道保守やリベラルのサイトは順位を落としている。このような現象は、リベラルや小沢支持の人々がネットでマスメディアの偏向報道に対抗しようとする姿勢よりも、ネトウヨ、右派保守陣営を支持する人々の方が、マスメディアの偏向報道に対抗しようとする姿勢が強いことを表してもいる。保守もリベラルも苛立つマスメディア偏向報道が実存する証なのだろう。

 苦節3年半の野党時代を堪えた自民党が復権したのだから、元気がよくなるのも当然だ。その上、超右派と思える、石原・橋下代表の維新の会までが躍進したのだから、わが世の春である。存分に、その高揚感を味わって貰うしかないだろう。小沢支持の筆者などは、完璧な冬の時代を迎えたわけで、日陰に居残る残雪のようにカチカチに凍って身動きが取れない。誰が考えても、民主党が復権する可能性はゼロに近い。維新とみんなが連携して準野党の地位を得る可能性の方が高そうに見えてしまう。つまり、中道やリベラルにとって、現在の日本の政治状況は絶望に近いものとなっている。

 おそらく、このような復古調の政権が出来るとは、中道保守もリベラルも考えていなかっただろう。しかし、選挙結果は大きく右派保守に傾く結果を導き出してしまった。半分キツネに抓まれた気分だが、現実なのである。しかし、だからと云って、国民の大多数が右派保守政治を望んだのかと云うと、そうではないことは、選挙の分析結果から判ることである。ただ、政治の世界では、表層的結果だけが進行するわけで、中道やリベラルは消えうせたように見えてしまう。このような状況が、数年続くと、本当に中道やリベラルな考え方をする勢力が死に絶える可能性まで出てくる。

 筆者は何度となく書いていることだが、ナショナリズムが台頭する素地はあったが、それが世界の潮流の中でメインストリームを歩いているイデオロギーでないことも指摘している。EUもアメリカも、経済のグローバル化における国家や地域の在り方を模索しているのが現状だ。にも拘らず、我が国周辺では、中国と韓国と云う国におけるナショナリズムに呼応するかたちになってしまった。どのような経緯か定かではないが、一部米国の勢力の中に、日中がいがみ合うことが好ましいと考える人々が存在し、石原慎太郎を神輿に祭り上げたわけだが、決してアメリカ政府の望むものでなかった事は確認しておくことが肝心だ。

  俗称アベノミクスがどのような展開を見せるか興味深いが、国民の生活を豊かにする可能性はゼロなことは、初めから決定している。国家全体が潤う可能性がゼロとまでは言わないが、生活者である国民に、その富の分け前が訪れることはない。潤うのは、世界金融勢力と輸出製造業と土木建設業のゼネコンと株屋と利権政治屋と霞が関官僚達である。単に失われた20年が30年になるだけでなく、更に加速度的に悪化した国家を出現させることになる。筆者としてみれば、アベノミクスなるものが、如何に早く、その欠点を露呈してすることを望んでいる。絶対に失政になる安倍自民の経済政策が生き延びれば生き延びるほど、日本経済はダメージを受けるわけで、早目に病状が悪化することが、その後の修復作業が楽になるのである。

 相場と云うもの、6カ月も同じ方向に振れるものではないので、早すぎた相場の動きが、2月一杯くらいで反転すれば、アベノミクスの問題点が次々と露呈するのは必定だ。現在の相場を支えている海外の資金が、いつまで相場を支えるかだが、国会論戦が始まる時点が転換点になる可能性もある。おそらく、安倍内閣の主眼は、財政出動による景気浮揚の誘い水が主たる目的であり、金融緩和も規制改革による成長戦略も絵に描いた餅なのだろう。日銀の行う大胆な金融緩和は14年からのことであり、実際問題、既に資金はジャブジャブな訳だから、意味をなさない。つまり、日銀に赤字国債を引き受けさせる約束を取り付け、財政出動の根拠を作ったにすぎない。

 飽和した日本の市場がそう簡単に成長する理屈はゼロだ。仮にあるとしても、その種まきと収穫には、5年、10年の時間経過が必要であり、政権維持の特効薬とはならない。ウッカリすると、日銀が糞のような国債を抱えて不良債権だらけの中央銀行と云う、手のつけようがない事態さえ招きかねない。有り余った日本円が行き着く先は、株と土地などのバブルを生むかもしれないが、バブルなのだから、必ず消える。その時、日本は前回のバブル崩壊以上のダメージろ受けることになる。前回は日本経済のファンダメンタルは良好だったにも拘らず、金融機関は破綻の危機に晒された。今度は経済のファンダメンタルが悪い中で起きるのだから、悲惨だ。

 金融保険関連企業は悉く国有化され、ハゲタカに狙われるリスクが目に見えてくる。TPPなどに参加するまでもなく、日本の金融や保険関連企業は海外ものとなる。既に監査法人と云う存在がアメリカ化されているわけで、最終的に彼らが企業の死命を握っている状態なのだ。所謂、日本経済には、常に爆発する危険物を抱えた状況で経営を行っているのだから、彼ら経営者が、社員の為に賃金を増やすなどと云う自殺行為に出るわけはない。ネトウヨや右派勢力のナショナリズム信奉の人々が、本当に愛国心があるのであれば、アベノミクスの危険度について、気づくべきである。あきらかに、安倍晋三の手法は「日本売り」なのである。菅や野田同様の売国的行為に走っているのだ。厄介な点は、アベノミクスと云う複雑なメカニズムが埋め込まれた事で、安倍自身がまったく気づかずに行われている点が極めて怖いのである。


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