世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●米国vsロシア開戦の可能性 ウクライナ騒乱への介在隠さぬオバマ

2014年04月25日 | 日記
ロシア新戦略――ユーラシアの大変動を読み解く
クリエーター情報なし
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 ●米国vsロシア開戦の可能性 ウクライナ騒乱への介在隠さぬオバマ

 ウクライナ情勢だが、ジュネーブでの4者間合意遵守は、その効果を7日間で終わらせたようだ。ウクライナ軍・治安部隊の構成員がどのようなものか別にして、アメリカやNATOが承認するウクライナ暫定政権のトゥルチノフ大統領代行(注:現在のウクライナ政府と云うものが正当性を持つかどうか甚だ疑問。暫定政権の大統領代行、代理の代理みたいな権力者が軍事力を行使する米国NATOの体質には疑義があるが)が「テロ掃討作戦」と名付けた排除攻撃を宣告したが、1回目の攻撃直前にはCIA長官。今回の攻撃にはバイデン米副大統領がキエフを訪問した直後に軍事行動が開始されている。

 これはアメリカの介在が見え見えであることを、オバマは敢えて選択していると思うべきである。3万円也の「すきやばし次郎」の寿司だとか、皇居の晩餐会、TPP妥結しなきゃ“共同声明”なんて出せないとか、そんな流暢な世界に棲んでいる男ではないようだ。アジア歴訪、リバランス外交なんて洒落た言葉を使っているが、何てことはない各国を恫喝する旅に出てきただけである。安倍には「TPP、目を瞑って妥結しろ!」。韓国訪問は義理立て訪問。マレーシア訪問は日本同様に恫喝訪問のようだ。反骨精神の根強いマレーシアの所為でTPPが頓挫しそな面もあるので、オバマが白い歯を剥くのは確実だ。フィリピンは「どうだ、米軍がいないと怖い世界が判ったか?」と云う訪問であり、一番気楽な訪問地のようだ。

 上述のように、赤裸々にウクライナ騒乱に介在しているアメリカの姿勢が、西側諸国のマスメディアが、事実関係を知らないわけがない。しかし、時系列の報道し解説するマスメディアはゼロだ。ブレナンCIA長官、バイデン副大統領が堂々とキエフ暫定政府の幹部らと会議を持ち、最終的決定をトゥルチノフ大統領代行に公表させる手段を講じているのは明確過ぎる。筆者などは、ここまで赤裸々で良いのかと思うくらいだが、悪びれる様子もないのだから、凄いことだ。アメリカ・オバマ政権は、イイことをしているのだから、堂々顔出ししようじゃないか、と云う趣だ。これで、結果が悪ければ、ウクライナ暫定政権とトゥルチノフが無能ってことで済まされるのだろうか。

 ウクライナ国民は良い面の皮だ。ヌーランドやマケインの煽りに乗り、乱暴は軍事訓練した「右派連中に任せれば良い。君らはキエフで大規模なデモをするだけで良い。幾ばくかの犠牲者は出るだろうが、それでヤヌコビッチの野郎は尻を端折って逃げ出すに違いない。そうすれば、NATOやアメリカは君たちの味方になる」てな調子の会話がなされた事だろう。しかし、NATO加盟国でウクライナのEU、NATO参加に前向きなのは、前述のとおりアメリカだけであり、ドイツもフランスもイタリアも知らんぷり状態だ。英国も他人事のような態度に終始している。アメリカに前向きに協力しているのはポーランドとトルコだけのようだ。

 プーチンが本気になる可能性はかなりある。ここで、オバマに加点することは、プーチン政権の終わりの始まりであり、座して死を待つ気はさらさらない。それがプーチンだろう。プーチンは軍事力行使の全権限を既に議会から得ており、「ゴー」の一言で、ウクライナ暫定政権・軍及びアメリカ傀儡の右派セクターは壊滅する。下手をすると、戦禍はウクライナだけにとどまると云う保証はない。ロシア軍はNATO国境すべての軍事基地に対し臨戦態勢を指示している。サンクトペテルブルクからクリミアまでだ。つまり、ウクライナ、ベラルーシ、バルト三国すべてのNATOとの境界線が戦禍の危機に瀕している。

 これだけの介在をもって、軍事介入と言わず、何だと言うのか。まさかこれが「普遍的価値」における外交のツールだとでも言うつもりなのだろうか。「大丈夫だ、俺たちが出るわけには行かないが、資金も暴力団も重火器も、充分に用意する。君らは、ただ戦えば良い。それが、ウクライナが西側諸国の一員になる資格取得のテストなんだ」おそらく、ロシア軍がウクライナに侵攻しても、NATOは動かないだろう。数日でウクライナはロシアに制圧される。そして、中立緩衝地帯になる事を承諾するだろう。アメリカはすたこらさっさ、ウクライナって、どこにあるの?と聞くに違いない。

≪ 強制排除、親ロ派5人死亡=ウクライナ東部で庁舎解放、衝突-プーチン大統領が警告  
 【ドネツク(ウクライナ東部)時事】ウクライナ軍・治安部隊は24日、親ロシア派が支配する東部ドネツク州北部スラビャンスクの近郊で「対テロ作戦」を 遂行し、親ロシア派武装集団の5人が死亡、軍・治安部隊の1人が負傷した。内務省が発表した。AFP通信によると、市街地には装甲車が入った。親ロシア派 が投降に応じない中、暫定政権が強制排除に着手した。
 一方、ウクライナ暫定政権のアワコフ内相は24日、親ロシア派に占拠されていた州南部マリウポリの市庁舎を治安部隊が解放したと発表した。州北部アルチョモフスクでも親ロシア派と軍が衝突した。
 ロシアのプーチン大統領は「自国民に対する極めて深刻な犯罪だ」と強く非難するとともに、暫定政権に「結果を伴う」と対抗措置を警告した。
 親ロシア派の後ろ盾となるロシアは17日のジュネーブ合意を踏まえ、ウクライナ軍・治安部隊に撤退を呼び掛けていた。暫定政権側が実力行使に出たことで、親ロシア派が態度を硬化させるのは必至とみられる。5月25日の大統領選のボイコット論も高まりそうだ。
 内務省によると、マリウポリの市庁舎に24日未明、角材を持った反ロシア派の活動家約30人が侵入し、親ロシア派に退去を要求。衝突に発展し、5人が負傷した。その後、治安部隊が出動して混乱を収拾したという。 ≫(時事通信)


 ≪ ウクライナで展開される「ショー」を操っているのは米国だ。

 ラヴロフ外相は確信をもってこう語っている。外相は、ウクライナ暫定政権がジュネーブ会合の合 意をひとつも守っておらず、バイデン米副大統領のキエフ訪問の際に、国の南部東部での対テロ作戦の再開を命じたことを指摘している。これを背景にロシア政府は、ウクライナ南部東部の住民に対し、抵抗をやめるよう呼びかける道義上の権利を感じていない。

 ウクライナに連邦制を求める抵抗運動は続けられている。南東部のドネツク市では5月25日に実施予定の大統領選挙への不参加が表明された。これにかわって5月11日までの間に反体制派らは地方の主権を問う住民投票の実施を望んでいる。こうした行動がとられたのは、現在のウクライナ暫定政権に原因がある。

 ウクライナ暫定政権のトゥルチノフ大統領代行は、ジュネーブでのロシア、米国、EU,ウクライナ代表者の会合で、紛争エスカレートを防ぐ措置に合意したにもかかわらず、武力行使再開を宣言し、南部東部での作戦に軍および装甲軍機を用いる命令を下した。スラヴャンスク市では24日、ウクライナ軍の襲撃が開始 れた。町の住民らは暴力クーデターの結果、政権の座についた政治家らを認めることを拒否した。すでに最初の犠牲者が出ていると報じられている。

 ロシアは、ウクライナ政権が一般市民に対して武器を取ることを命じたことは犯罪だと確信を示している。ラヴロフ外相は、しかもこの場合、この命令が米国代表者がキエフに滞在している中で行なわれたことを強調し、次のように述べている。
「バイデン副大統領のキエフ訪問時に対テロ作戦の再開が宣言された。キエフ政権がバイデン氏の訪問時にこれを宣言したことは特徴的だ。キエフではブレンナンCIA長官の訪問の後に作戦開始の決定がだされた。このことから、このショーを牛耳っているのが米国だということは疑いようもない。」

  これを確認しているのは、キエフが良心の呵責もなく4月17日のジュネーブ会合の合意を無視したという事実もそうだ。急進主義者らの軍備も解かれず、武装クーデターの際に強奪された建物も解放されていない。南部東部での平和的な抗議運動参加者に恩赦を施すかわりに、新政権に同意しない市民は逮捕され続けている。政治犯は未だに一人も解放されていない。

 「右派セクター」のネオナチの武装が解かれた例も一例もない。こうしたことに西側は自分に腹心へは一切のクレームを出していない。 一方でロシアはウクライナのロシア語系住民に対し、強い影響力をもっていないとして、制裁発動の脅威にさらされている。

 ラヴロフ外相は「ロシアはウクライナ南部東部で、地元の軍隊が一般市民に対し武器を取るよう命ぜられたことを考慮すると、これらの地域が一方的に何かを行なうよう、これに圧力をかける道義上の権利を有していない」と語っている。 しかも、南部東部への軍の配置換えの理由について、キエフ側がロシアからの防衛の必要性を挙げた事実はまったく受け入れ不可能だ。

  ラヴロフ外相は、ロシア軍は自国のテリトリーにたっており、なんらかの国際的な義務で禁止されたことは何も行なっていないとして、次のように語っている。
「ロシア軍はロシア領内にとどまっている。2011年の信頼・安全保障の強化策についてのウィーン文書およびオープンスカイ協定に即し、軍の検査実施についての要求は満たされている。検査官は軍事演習に参加している軍の駐屯地を訪問しており、航空機も演習の実施テリトリー上空を飛行している。米国、ウクライナ、ヨーロッパの検査官のうち、ロシアが危険な軍事活動を行なっているかのような事実を指摘した人は1人もいなかった。」

  ところがウクライナとそれを支援する西側のスポンサーらは状況を加熱させることを望んでいる。23日、ポーランドには軍事演習参加のため、米軍のパラ シュート部隊が現地入りした。150人の米軍人、地元のシロビキのほかにポーランド軍指導部はウクライナ語を操る若手ボランティア170人を動員した。今週末にはさらに450人の米国軍人がリトアニア、ラトビア、エストニアに入り、同じく合同軍事演習を行なう。さらに、米国政権は、ロシアにサインを送る目的で、わざとこれを隠そうとしていない。ロシアは状況を注視し、国際法に完全にのっとって行動する権利を手元に残すと警告を発している。 ≫(ロシアの声:原文は露語)

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