世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●“強大悪漢ロシアvsか弱きNATO” ウクライナ軍とネオナチ勘定せず

2014年04月26日 | 日記

 

街場の憂国会議 日本はこれからどうなるのか (犀の教室)
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●“強大悪漢ロシアvsか弱きNATO” ウクライナ軍とネオナチ勘定せず

 以下の日経新聞の編集委員・高坂哲郎氏の解説記事には呆れた。言うも事欠いて「8万人vs800人」と云う強者が弱者をなぶり者にするプロパガンダ見出しを、公正公平な立場を装って解説を加えるのだから驚きだ。特に酷い嘘が書いてあるわけではないが、都合の悪い事実関係を書かないでおくことで、こんなにも「美女と野獣」のような戦力構図を日本人に印象づけるのかと思うと、やはり、このような解説記事はプロパガンダ解説としか考えられない。如何にも、圧巻な軍事力を背景にロシアがジュネーブ4者合意を無視して、ウクライナを我がものとしようとしている印象を読者に与える。

 データによれば、ウクライナ軍は陸海空で20万人を擁しているし、「右セクター」(ネオナチ)と呼ばれる1万人の勢力はウクライナ治安部隊に編入されている。現在のロシア対NATOウクライナの対峙の勢力は、「80万人vs21万+NATO軍」と表現すべきだ。シンボリックに書こうとしたのだろうが、現在展開されている軍人の数による比較は、そもそも意味をなさない。この記事では、右派セクター(ネオナチ)勢力をウクライナの正規の治安部隊に編入させたような書き方だが、20万人の正規軍隊の中に紛れ込ませることで、ジュネーブ4者合意を履行していると主張しているのかもしれない。それゆえに、正規軍であるのも関わらずウクライナ治安部隊の連中は覆面マスクとウクライナ軍の兵器を手にしている。

 この部隊の中に、米国の特殊部隊要員やCIA要員が含まれている事は、容易に想像がつく。なにせ、これら計画全体の指揮を執っているのはCIAなのは間違いない。つまり、「ロシアvs CIA(米)」と云う状況にまで進んできている。現時点で言えることは、ロシアは概ね一枚岩であるのに比べ、CIAの指揮のもとのウクライナ正規軍+治安部隊に編入されたネオナチ勢力+参戦にまだら模様のNATOと云う状況だ。現実に起きているウクライナ治安部隊と云うのは編入された右派セクターネオナチグループがウクライナの兵器を使用して東部に展開していると云うのが事実だろう。正規のNATO軍もウクライナ軍も動いていないと云う形式をとっている。

 米軍がこの紛争に直接顔を出す可能性は、ほとんどゼロに近い。現状のアメリカが、ロシアと戦火を交え、中国と横目で睨みつけておくマジックは到底できない。米国民が許さないだろう。オバマの外交防衛姿勢は「恫喝」であり、決して具体的軍事行動ではない。精々CIAに騒乱状態を作らせることに徹している。しかし、オバマの今回の戦術は、「裏で糸を引いているのは俺だ!」と明確に示している点が注目に値する。ロシアを封じ込める。ロシアの動きを抑えられれば、中国の動きも抑え込めると読んでいるのかもしれないが、露中の力は、姑息な手段を凌駕するパワーに成長する可能性もあるわけで、最後はウクライナを見捨てるのではないだろうか。

 見捨てるといっても、ウクライナにロシアの旗が立つことは阻止したいだろうから、資金を送り続けなければならなくなる。NATOのロシア包囲網も出来ず、ただお荷物のウクライナを抱えると云う最悪の図式が見えている。ウクライナがロシアでも、NATOでもない緩衝地帯国家となった時、負担が増えるのはEUであり、ロシアは今まで同様の支援で済むので、さほど以前と変わりはない。そのような経緯で、オバマ民主党が中間選挙を迎えるとなると、かなり悲惨な結果を産むかもしれない。外交だけで、国家の枠組みを変えようと云うオバマの世界戦略は、悉く混沌をもたらしてきたわけで、失敗の戦歴にウクライナの文字が加わることになるのだろう。

 ≪ 8万人vs800人 ロシアを抑止できないNATO軍 
編集委員 高坂哲郎
 ウクライナ東部地域での同国治安部隊と親ロシア派勢力の衝突が相次ぎ、ロシア軍が軍事介入する構えを強めている。ウクライナをめぐる関係国の動きを軍の動向に絞ってみてみると、米欧とウクライナ暫定政権が、兵力で圧倒的に優位なロシア軍を抑止できない構図が浮かび上がる。

■NATO軍最高司令官の分析
 「ロシア軍の集結部隊の規模は8万人」。北大西洋条約機構(NATO)制服組トップのブリードラブNATO軍最高司令官(米空軍大将)はこのほど 米議会軍事委員会メンバーらにこう説明した。ロシア軍は今春以降、ウクライナ東部国境に接する地域に兵力を集結。地上軍を主体として100カ所以上の地点 に約4万人が展開し、24日にはこれらの部隊が演習を開始した。ロシアは既に実効支配下に置いたクリミア半島に2万人前後の兵力を集めているもようで、ブリードラブ司令官の「8万人」という数字は、これらの兵力やさらに後方に待機する部隊も合算したものとみられる。
 ロシアのプーチン大統領が、親ロシア派住民の保護を名目にウクライナ東部侵攻を決意した場合、いかなる事態が起こりうるか。
  ブリードラブ司令官は最近のインタビューで、ロシア軍がウクライナ東部から黒海に面した南部にかけての地域を3~5日間で一気に制圧し、ロシア系住民が暮らすモルドバの「沿ドニエストル共和国」とロシア西部をつなぐ回廊を形成するシナリオを示した。南部では親ロシア派が16日、「オデッサ人民共和国」の樹立を一方的に宣言。ロシア軍の今後の介入の「下地」が出来上がっている。
 圧倒的な兵力を空地一体で動かして敵を打倒しようというのが近年 のロシア軍のドクトリンだ。ウクライナ東部に接する地域で待機するロシア軍には、Su25対地攻撃機36機や、電子妨害戦の機能を備えたSu34戦闘機、 Mi24など各種ヘリ、空挺(くうてい)部隊なども含まれているようだ。
 さらにロシア軍は、クリミア半島にもT72戦車30両以上、自走砲部隊、防空ミサイル・システムのS300部隊などを陸揚げした。同半島の占拠を続けるだけでなく、ここからウクライナ側に侵攻することもできそうだ。また、オデッサ一帯は上陸作戦に適した地形とされる。
 ロシア軍はウクライナの北の隣国ベラルーシにも航空機などを展開している可能性がある。ベラルーシからはウクライナの首都キエフに近い。ウクライナ側は首都防衛のため、東部に向けて兵力の大半を振り向けることはしにくい。

■NATO軍も対抗の動き
 米軍を主体とするNATO軍も対抗の動きを見せてはいる。
 まず陸では、米国防総省が22日、イタリア駐留の陸軍空挺部隊約600人を、NATO加盟国のポーランド、リトアニア、ラトビア、エストニアに演習名目で派遣すると発表した。
 空では、ポーランド、リトアニア、ルーマニアにF16などの戦闘機部隊や空中給油機、空中警戒管制機AWACS、要員として約200人を展開。万一、ロシア軍機がウクライナ西部やNATO域内に接近する場合には、即座に探知・警告できる態勢を組んでいる。
  海では、弾道ミサイル迎撃能力を持つミサイル駆逐艦ドナルド・クックを黒海に派遣。4月12日にはロシアの戦闘爆撃機Su24が同艦に執拗に急接近する動きを見せたが、同機が空対艦ミサイルを搭載していなかったことなどから、米側は撃墜行動をこらえ、偶発衝突の危機をなんとか回避した。
 ただ、これらは総じて小規模で「守り本位」なのが実態だ。派遣規模を明示している陸上と航空を合わせても約800人。駆逐艦の乗組員やその他後方 部隊を合わせても1000人程度とみられ、8万人規模のロシア軍にウクライナ侵攻を断念させるだけの抑止力にはまったくなっていない。
 米国防総省幹部のイアン・ブレジンスキー氏は米軍事誌の取材に対し「NATO側のいかなる動きも、ロシアのウクライナやモルドバへのさらなる攻勢を止めるには役に立たない」と認めている。

■極右勢力の動きが波乱要因
 NATO側の目下の部隊展開は、非加盟国のウクライナを防衛するというより、冷戦時代にソ連の支配下に置かれた苦い過去を持つ中・東欧のNATO加盟国を浮足立たせないようにするのが狙いのようだ。  NATOからウクライナ軍への支援は、これまで食料支援や車両など極めて限定的なものにとどまっている。兵力バランスでロシア軍に圧倒的に不利なことを自覚するウクライナ軍だけでは、ロシア軍の侵攻が起きた場合、実力で阻止するのは極めて厳しい。
  プーチン氏にとっては、現状が続いて親ロシア派住民による東部の一部地域の実効支配が広がればそれでよし、ウクライナ軍が強制排除に動いて混乱すれば軍事侵攻の口実ができる。侵攻後はウクライナ暫定政府や米欧との交渉で「ロシア軍撤収を求めるなら、ウクライナのロシア系住民の自治権を拡大せよ」などと条件闘争に持ち込めるわけだ。
 読み切れないのが、このほどウクライナの内務省軍に編入されたとされる同国極右勢力の動向だ。規模は数万人ともみられる同勢力が、親ロシア派勢力や介入してくるロシア軍との間で勝算を度外視した武力衝突に至れば、住民を巻き込む形で数十万人が犠牲になった1990 年代の旧ユーゴスラビア内戦のような凄惨な事態に陥る危険がある。 ≫(日経新聞)

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