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●シリア攻撃、大山鳴動鼠一匹 なぜ、米国はミサイルを発射した?
国際情勢などについてコラムを書くと、多くの場合、評判がガタ落ちになるので、あまり書きたくはない。しかし、今回のトランプ米大統領によるシリア攻撃について、書かないわけにはいかない。何故なら、安倍晋三の考えによると、アメリカと100%一体だと言ってしまう自民党政権なのだから、無関係です、と能天気に見過ごすのは、如何なものかと思う。そして、少し前には、「普遍的価値外交」と銘打って、中東を歴訪して、我らの財宝をバラ撒いてきたのだから、無関係ではない。その上、自国の市民であるジャーナリスト後藤健二さんの救出どころか、死期を早める行為に出たとも言われているのだから、無関係ではない。
昨夜の日経新聞は【秩序乱すロシアへ警告 米英仏のシリア攻撃】 と銘打ち、≪米英仏によるシリア軍への攻撃はアサド政権の後ろ盾となるロシアのプーチン大統領に対する警告にほかならない。シリア内戦への軍事介入、ウクライナ侵攻、そして米欧に仕掛けるサイバー攻撃や工作活動などロシアの「悪意に満ちた行動」に歯止めを掛けるため軍事行動で結束してみせ≫云々と伝えているが、笑うほど一側面に偏った報道姿勢である。
まぁ日経に限っとことではないが、世界の情報に、これほど偏った報道姿勢を続けているのは、日本だけではないかと、相当不安な気持ちになってしまう。日経のは輪をかけて酷いので、敢えて俎上に上げた。≪シリア内戦への軍事介入、ウクライナ侵攻、そして米欧に仕掛けるサイバー攻撃や工作活動≫だと云うが、シリアでの内戦を引き起こした勢力はアメリカやサウジ、イスラエルに支援された反アサド勢力なのだから、ロシアがシリアの主権政府のアサドから、支援を求められ介入したわけで、仕掛けてきたの米英仏サウジなのは確実だ。
ウクライナ侵攻とか言い出す前に、汚職にまみれていたとはいえ、欧米が大好きな選挙で選ばれた大統領を、ウクライナ人らしき暴徒による暴動を起こさせ、ロシアにパンツ一丁で亡命を求める事態を引き起こしたのは、あきらかに、アメリカの差し金だ。ウクライナをNATOに加盟させる為には、親ロで名高いヤヌコーヴィチ大統領が邪魔だったと云う単純な理由で、2013年12月には、ウクライナを巡る会議において「米国は、ソ連崩壊時からウクライナの民主主義支援のため50億ドルを投資した。」と発言している。
更に、オバマが命じたウクライナクーデターだが、ほとぼりが冷めてから、CNNのインタビュー記事で、ぬけぬけとクーデターへの関与を認めている。免責されていると承知の発言だが、現在のシリア攻撃においても、同様のロジックでシリアへの内政干渉が行われているに過ぎず、こんな殺戮難民創出のデモクラシー(民主主義)の押し売りに、正義があるか、論ずべきである。アフリカや中東に、単純にデモクラシーをバイブルのように持ち込んでも、豚に真珠というか、パンダに牛肉を与えるようなものである。
≪オバマ大統領 ウクライナでの国家クーデターへの米当局の関与ついに認める
昨年2月ウクライナの首都キエフで起きたクーデターの内幕について、オバマ大統領がついに真実を口にした。恐らく、もう恥じる事は何もないと考える時期が来たのだろう。CNNのインタビューの中で、オバマ大統領は「米国は、ウクライナにおける権力の移行をやり遂げた」と認めた。
別の言い方をすれば、彼は、ウクライナを極めて困難な状況に導き、多くの犠牲者を生んだ昨年2月の国家クーデターが、米国が直接、組織的技術的に関与した中で実行された事を確認したわけである。これによりオバマ大統領は、今までなされた米国の政治家や外交官の全ての発言、声明を否定した形になった。これまで所謂「ユーロマイダン」は、汚職に満ちたヤヌコヴィチ体制に反対する幅広い一般大衆の抗議行動を基盤とした、ウクライナ内部から生まれたものだと美しく説明されてきたからだ。
米国務省のヌーランド報道官は、すでに1年前「米国は、ウクライナにおける民主主義発展のため50億ドル出した」と述べている。民主主義というものは、よく知られているように、人権を守り、合法的選挙によって権力機関の交代を図るものである。しかし昨年2月のキエフでの「革命」とその後ドンバス地方で展開された懲罰作戦は、ウクライナが米国の「教え」をよく守った事の証しだと言えるだろう。
今回のオバマ発言は「偉大で一つにまとまった主権国家ウクライナ」という現キエフ当局の言葉が、単なる言葉以上のものでない事を改めて確認するものだ。もしその指導部が、国外からの援助で権力の座に着いたのであれば、独立ウクライナであり得るはずはない。なぜなら、その権力は悪魔に魂を売って得たものだからだ。必ずや見返りが求められる。結局、今や勇壮華麗なスローガンが踊ってはいるが、ウクライナの主権は、ユーロマイダンのリーダー達の努力により、あべこべに失われてしまった。主権が最終的に失われたわけでははいないと、願うばかりである。
さてクリミアのロシアへの再統合について、オバマ大統領は、キエフ当局の抗議が、ロシア政府にとって意外なものになったといったふうに述べ、欧米が言うところの「併合」という言葉で非難した。とはいえ実際のところオバマ大統領は、問題を掘り下げず、クリミアの住民達の意志表示についても言及せず、ウクライナのネオナチが「死の部隊」を準備して、彼らをクリミアに送り、懲罰的な襲撃作戦を展開しようとしていた事実など無視を決め込んだ。もし、クリミアが歴史的な母国であるロシアに戻らなかったら、今日ドンバスで続いているような血ぬられた悲劇がクリミアでも起こっていただろう。またオバマ大統領は、クリミアや対ロシア国境地帯にNATOの基地が置かれる可能性についても述べなかった。しかし、大統領の頭にある世界地図は別のもののようだ。そこでは米国は、相変わらず支配的な役割を果たし「カラー革命」は今も、世界支配の鍵を握る重要なメカニズムの一つとして残っている。
またオバマ大統領は、CNNのインタビューの中で、沸き起こった世界中の懸念を鎮めようと試み「米国そして世界にとって、米国とロシアの間の現実的な軍事紛争勃発は望ましいものとは思えない」と述べた。言い方は遠回しだが、少なくとも好戦的なものではない。
またウクライナは、米国からの公然たる公式的な軍事援助を期待すべきではないだろう。そうした援助に対しては非常に大きな期待がかけられているが、オバマ大統領は「ロシア軍の規模を考慮すれば、米国の軍事介入には限界がある。ウクライナはNATOに入ってはいない」と伝えた。
それゆえキエフ政権を養う米国の勢力は、彼ら独自のやり方で、今後も人目につかぬよう秘密裏に、ドンバスの懲罰部隊にインストラクターを派遣し、武器や弾薬を供給する事になるだろう。もうすっかり慣れてしまったためか、オバマ大統領の率直さを考慮すれば、ウクライナにNATOの大型兵器を公式に供給する事に関する交渉は、筋のと通った話のように見える。新聞The New York Timesは、米政府の元高官らが準備した報告書の中で、彼らは、ホワイトハウスに対し30億ドルもの致死兵器のキエフ当局への提供を求めたという。
また報告書の中では、そうした殺人兵器供与の目的にも触れ「西側は、ウクライナにおけるロシア封じ込めを強化する必要がある」と指摘されている。
しかし、そうしたものの中に何ら新しいものは見当たらない。遅かれ早かれ米政府は、そうしたに違いないからだ。ましてオバマ大統領が「何を恥ずべきことがあろう?」といった態度を示しているのだから、なおさらそう思えてならない。
≫(スプートニク日本2015.02. 3 , 20:49・ロシアの声)
そもそも中東においては第1次大戦以前には、オスマン帝国の支配下にある部族の集合体であり、砂漠を移動する民族であった為か、国境という概念そのものがなかった。以下のISに関する松本氏のレポートの一節で語っているのが参考になる。
≪不自然な国境線だらけの中東地図
中東以外のほとんどの国境線は川や山、海などの自然の状況に即してひかれている場合が多く、歴史的な変化や民族の移動などを通じて自然に造成されたもので成り立っている。
いったいなぜこうなったのか? その理由のひとつとして挙げられるのは、この地帯が砂漠地帯であり、ランドマーク的なものが少ない、ということが挙げられるだろう。
だが別の見方をすれば、11世紀から始まったキリスト教徒の十字軍とイスラム教徒との攻防の結果、この不自然な国境線につながったとも言える。そのときにイスラム側が抱えた”トラウマ“が、21世紀になってひとつの決着をみたと言えるだろう。
そのエポックは第一次世界大戦である。当時、中東地域はドイツと同盟を組んでいたオスマントルコ帝国の支配下にあり、現在ある中東諸国は国家としては存在していなかったのである。
1915年当時、連合国側は戦後にこの地域を分割する協議を始めていた。案の作成は英国の中東専門外交官マーク・サイクスとフランスの外交官ジョルジュ・ピコが中心になって始められ、その後にロシア帝国が加わって1916年に協定が成立(サイクス・ピコ協定)。
それによるとシリア、アナトリア南部、イラクのモスル地区がフランス、シリア南部と現在のイラク大半がイギリスに、黒海沿岸、ボスボラス海峡、ダータネルス海峡両岸地帯をロシア帝国の勢力範囲にするとしていた。
第一次世界大戦はオスマントルコの敗戦で、この密約通りに、現在あるシリア、レバノン、イラク、ヨルダンに分割されていったのである。国境線がいかにも人工的に見えるのはこの協定があったからだ。
この協定は、1915年の「フサイン・マクマホン協定(アラブ国家独立を約束)」、「バルフォア宣言(ユダヤ資金を戦費として調達する見返りとしてパレスチナにユダヤ人居留地設定を明記)」とを一括りとして、相矛盾するイギリスの三枚舌外交として、現在でも批判の対象となっているものである。
イスラム教徒のアラブ人たちは、これまでに列強が行なう狡猾な外交戦略や経済戦略に触れていなかったため、まんまとはまってしまったのである。
イギリスは戦争中から、後に映画『アラビアのロレンス』のモデルになったトーマス・エドガー・ロレンスなどを使って、中東地域の地下には大量の石油資源が埋まっていることを把握しており、採掘に適した地域に関する情報を集めていた。
当時、石炭に代わるエネルギー源として石油に目をつけていた西欧列強は、このようにして中東の持っている文化と秩序を根底から破壊していったのである。ISはこのような歴史的背景を持って登場したとも言える。
各種報道や情報によると、ISが主張する国家理念はイスラム原理主義に基づく、徹底したカリフ国家を目指すこととなっている。ISはアブー・バクル・バグダーディをイスラム教の世界で最高権威者とするカリフとし、全ての価値を彼が決定。そしてジハード(聖戦)を戦い、2050年までに全世界をイスラム教国家にしていくことが最終目標とされている。
こうした流れからすれば、世界各地にはかつて西欧列強が造り上げたキリスト教の圧政に苦しむ国があるから、解放してやらねばならぬということになるのだ。
現在、シリアとイラクに跨るISの支配地域は、隣国ヨルダンとほぼ同じ9万650平方キロ。先に述べたサイクス・ピコ条約を事実上反故にしてしまっている。第一次世界大戦以来続いてきた、西欧列強が設定した中東の国境線を、イスラム国のやり方で設定し直そうという意思の表れだと言えるのだ。
≫(東洋経済ONLINE:世界地図から見えてくるアラブの怨嗟:松本利秋 : ジャーナリスト抜粋)
このような北アフリカ、中東において、サダム・フセインやムアマル・カダフィや、ヴィクトル・ヤヌコーヴィチなど親ロ派の指導者を追い落とすのに、アメリカは賢明なわけで、バッシャール・アル・アサドシリア大統領に対しても、いま現在、同じことを行おうとしている。また、南米を含む世界各地で、朝鮮戦争、ベトナム戦争、アフガン、イラク戦争と矢継ぎ早に「民主化だ!」という意味不明の聖戦を行っているのは、イスラム原理主義者よりも、アメリカ原理主義者の方に思えてくる。
アメリカの、このように恥知らずな行為の意味するところが、筆者には、とことん判らない。デモクラシーで世界を埋め尽くそうと云う高邁なイデオロギーに則っているとしても、その目的達成の為に、金と義勇兵を送りこみ、血で血を洗う争いを撒き散らし、最終的には、当該国や地域に、重大な混乱を残したまま、食い散らかすだけなのだから、目的自体、あまり達成できていない。冗談でよく言われる話だが、アメリカが戦争、占領をして、成功した国は「日本」であり、それ以降は、一国たりとも成功していない。
そもそも論的に考えるなら、デモクラシーが普遍的国家体制である決まりはないわけで、王政の国(サウジアラビア)でも、軍事主義の国でも(一時までのミヤンマー)、独裁政党の国(中国)でも、独裁体制の国(シリア・北朝鮮)であっても、国連は、基本的に主権を認めているのだから、デモクラシー(民主主義)が普遍的な価値であると云うのは、欧米の不遜な考えに起因している。
以上、欧米列強の不遜に満ちたデモクラシーに順応したのは日本くらいのもので、他の国には通用しなかった。おそらく、世界広しといえども、デモクラシーと云うものは、何らかのかたちで、統治という概念を歴史的に経験している国に対して有効な価値であって、統治の概念の乏しい国や地域においては、インポテンツな考えと云うことを、欧米人は学ぶべきである。彼らには彼らの秩序があるわけで、欧米のキリスト教文化に根ざしたデモクラシーなど、糞の役にも立たないのだ。
≪米英仏のシリア攻撃、影響なし? アサド政権優位動かず
イスタンブール=其山史晃、モスクワ=喜田尚2018年4月14日20時29分
米英仏のシリア攻撃後、アサド政権は「攻撃は明白な国際法違反、国連憲章違反であり、最も強い言葉で非難する」との声明を出した。政権は攻撃が国際法違反の侵略行為であり、国際紛争を平和的手段で解決することを定めた国連憲章違反とみているとみられる。
ロシア国防省は、14日午前3時42分、ダマスカス内外へ103発のミサイルが発射され、71発が迎撃されたと説明。またアサド政権軍は、数発がダマスカスの研究施設を破壊し、中部ホムスではミサイルの爆発で市民3人が負傷したと説明している。
今回の攻撃は、内戦の大勢には影響を与えていない。アサド政権は都市部を中心に国土の半分以上をすでに制圧しており、圧倒的優位は揺るがないためだ。
攻撃の発端となった化学兵器使用疑惑が起きたダマスカス近郊の東グータ地区は、反体制派の数少ない拠点の一つ。政権軍は12日、同地区の全域を制圧。残る反体制派の大規模拠点は北西部イドリブ県を残すのみとなっている。
アサド政権を支えるロシアは、政権軍による化学兵器使用疑惑を全面否定。「虚偽の理由」による軍事作戦は「重大な結果をもたらす」としてきた。タス通信によると、ボロジン下院議長は14日、「米国は世界を戦争に陥れようとしている」と話した。
ロシアは「合法政府であるシリア政府からの要請」を根拠にアサド政権支援の自らの軍事介入を正当化する一方で、米軍のシリアでの軍事行動を「国際法違反」と批判してきた。
だが、ロシアが今回の攻撃を本気で回避しようとした形跡はない。化学兵器使用疑惑の真相解明と責任追及に取り組む調査団をつくるとする米国作成の安保理決議案の採決で、ロシアは拒否権を行使。米国を軍事力を行使せざるを得ない立場に追い込んだと言える。
トランプ氏が11日に「ロシア、準備しろ。(ミサイルは)来るぞ」とツイートし、米ロ衝突の懸念がロシア国内に広がった際には、ロシアのペスコフ大統領報道官は「米ロ両軍間のホットラインは生きている」と冷静に対応した。ロシアは米国の攻撃は限定的と確信していたとみられる。
ただ今回の攻撃で、米ロ関係の悪化は不可避となった。ロシアの国営メディアは「アサド政権の化学兵器使用疑惑は現地NGOの捏造(ねつぞう)」とする外務省や国防省の見解に沿った報道を繰り返している。政権軍による化学兵器使用疑惑についてロシアの責任を強調する米国に対し、ロシアは批判のトーンを上げざるを得ない状況だ。
ロシアが米国へのさらなる強硬姿勢に踏み切れば、停滞している国連主導のシリア和平協議の再開も、さらに遠のく見通しだ。
≫(朝日新聞デジタル:イスタンブール=其山史晃、モスクワ=喜田尚)
上掲の朝日の記事は、相当にロシア側の意見も取り入れている、そこそこ正確な記事だが、それでも、アサドにより化学兵器が使われたとする、シリア内の反政府勢力の情報に与している。筆者は、この朝日の記事に関わらず、弱者の側に立つポジションなので、村上春樹ではないが、どちらに正義があるか判別不能な時は、頑丈な壁よりも、それに向かって投げつけている生卵の側に立つ。
それにしても、なぜ、トランプ大統領は、敢えてシリアに向けてミサイルを発射したのだろうか。そうすることで、ロシア・中国、シリアやイラク、レバノン、ヨルダン、トルコ、イランなどの動きを封じ込めるとでも考えているのだろうか。まさか、あんなチンケなミサイル攻撃程度は、ハチの一刺しにもならないのは明白だ。米国主導の調査団の安保理決議でロシアが拒否権を行使した意趣返しとも取れる、些細な軍事行動に過ぎない。
また、米国主導の調査団、≪化学兵器使用疑惑の真相解明と責任追及に取り組む調査団をつくるとする米国作成の安保理決議案の採決で、ロシアは拒否権を行使。米国を軍事力を行使せざるを得ない立場に追い込んだと言える≫という朝日の論評もおかしなわけで、アサド、ロシア側は、アメリカの傀儡と言われるホワイトヘルメット集団が、「サリンだ!毒ガスだ!水だ、水で洗え!」と口々に叫んだために、パニックに陥った群衆が一斉にホースに群がり、水浴びをした。そして、ホワイトヘルメット集団が差し出す酸素吸入器を口に当て、その映像をプロカメラマンがソニーを使って撮影した。
いかにも、米国CIAが行いそうな、内部に潜入して行う騒乱方法だ。誰だって、爆撃された後で、そのような叫びを聞けば、我さきにと水浴びをするのは、人間の生理的欲求に近い。CIAは、その辺が実に上手だと言えるが汚い奴らだ(笑)。パニックに陥っている集団に対して、更なるパニックを起こさせるのだから、悪質だ。そんなわけだから、泥棒に泥棒の裁きをさせるわけにはいかないと云うロシアに選択は一理ある。
朝日の記者は、意趣返しで纏めようとしたようだが、多分違うだろう。トランプ大統領の立場で考える時、三つの要素を見逃すわけにはいかない。ひとつはロシアゲート事件を抱えているトランプとしては、ロシアのプーチン大統領に対して、甘い顔は出来ない状況にあることだ。この誰が犯人か判らない化学兵器攻撃が、アサド説という流れを作ってきたアメリカとして、流れを完結する必要があった。この流れが、間違いであっても、完結する必要に迫られたミサイル攻撃と見ることが可能だ。無論、創作の起承転結に過ぎないのだから、チョッとだけ撃つからね、そういうシグナルは、ロシアには通じていたと考えるのが妥当だ。
もう一つの考えは、バラク・オバマのような優柔不断に思われたくない一心で行った小さな攻撃で、パフォーマンスとして認めてよと、プーチンにシグナルを送ったとも考えられる。最後の考えは、年内に行われる中間選挙用のプロパガンダ攻撃という説である。選挙のためにミサイル撃たれたのでは、撃たれる方は堪らないが、アメリカと云う国は、そういう国である。最後に、もう一つ、北朝鮮を脅す意味という説もあるが、これは、おそらく違う。まぁそんなこんな、シリアに極小の被害をもたらしたミサイル攻撃が、シリア問題、延いては、中東問題を考えて行われたものと考えるのには無理がある。
テレビ・新聞が決して報道しないシリアの真実 (朝日文庫) | |
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シリア情勢――終わらない人道危機 (岩波新書) | |
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炎と怒り――トランプ政権の内幕 | |
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