世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●嘘で凝り固まった日本 先々、なんの見通しもない

2015年07月04日 | 日記
丸山眞男と田中角栄 「戦後民主主義」の逆襲 (集英社新書)
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●嘘で凝り固まった日本 先々、なんの見通しもない

安倍政権以前は、巧妙に常識的法の範囲で、アメリカの意志を忖度した(時には明確な指示もある)官僚機構が、民主的法治国家の体を整えていた。しかし、民自公で合議された、社会保障と税の一体改革が決定されて以降、法治国家の体裁は大きく歪み、平凡な国民にも知られることになりつつあるようだ。景気が好いのは、東証上場企業と株価と金融関連企業が中心で、国民の多くの側には、その好景気のおこぼれが落ちてこないどころか、今まで手にしていたギリギリの生活費を社会保険料、消費税の名目で、合法的に僅かずつ収奪するサイクルに突入している。日銀が異次元緩和で刷りまくっている金も、日銀を核とする金融サイクルの輪の中をグルグル回っているだけで、途中で株価だけを押し上げている。

≪ 日銀、日本株の買い手2位に 1~6月
 1兆6737億円
 株式市場で日銀の存在感が高まっている。2015年上期(1~6月)の購入額は1兆6737億円と14年下期(7~12月)の約2倍になり、外国人投資家に次ぐ買い手になった。日銀の購入は株価を直接押し上げるうえ、投資家に心理的な安心感を与える効果が大きい。日銀という公的マネーの存在が日本株の底堅 さを支える大きな要因になっている。 日銀が購入しているのは、幅広い銘柄を組み入れた上場投資信託(ETF)。日銀が信託銀行を通じてETFを買うと、ETFに組み入れた個別株が買われるため、株価全体が上がる。
 15年上期の購入額は半期として過去最高になった。特に6月の購入額は4431億円と月間でも過去最高だった。
 東京証券取引所によると、外国人投資家の買越額は2兆6583億円。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)など公的年金の売買を含む信託銀行は2778億円の買い越しだった。
 日銀の1日あたりの購入額は320億~370億円で、東証1部の売買代金の1.5%程度だが「直接の押し上げ効果よりも心理的な影響が大きい」と大和住銀投信投資顧問の門司総一郎経済調査部部長は話す。
 市場では株価が下がると日銀が買いを入れるとの観測が広がるため、相場が崩れにくくなった。日経平均株価は15年上期に16%上昇した。
  ただ日銀の存在感が大きくなると「官製相場」の側面が強まり、企業の実態以上に株価が押し上げられる可能性がある。将来、日銀が金融緩和の「出口」に向か えば、買い入れの減額や売却など「市場の波乱要因になりかねない」(ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジスト)との指摘もある。 ≫(日経新聞)


官製相場と云う言葉を平気でマスメディア連中も使っているが、現在起きている日銀中心の株式買い取り制度は、明らかに公正な証券取引の姿を歪めているもので、証券取引監視員会から、それ相当の注意を受けても不思議なものではない。海外投資家が買い越しの第一位にいるが、これは世界中が金余りである事。米国の統計に疑問符が付き、年内にも利上げが視野に入っている事。EUがギリシャ問題で揺れている事。日銀が株価を買い支えているお墨付きの東証。以上の諸条件が出揃っている株式市場が東京証券取引所であると云う証拠である。つまり、海外資金の流入は、中国観光客の爆買いと似たような現象だ。つまり、この相場は「嘘」なのだ。

このような調子で、我が国のありとあらゆる政治シーンにおいて、嘘と八百長がはびこっている。安保法制審議の国会しかり、沖縄辺野古新基地建設問題、原発再稼働問題、フクイチ原発放射能漏れの真実の姿。放射能廃棄物の正当な処理方法。社会保障の充実は、接続可能を旗印に、結果的には剥ぎ取り剥ぎ取り、保険料はじわじわと切り上げている。TPPもオバマの民主的とは思えない議会対策で、強引に成立方向に捻じ曲げられて進捗している。このような、民主主義国家では、急激に起きる筈もない、システムの改変がなぜ起きたのか、本質的議論が必要なのだろう。

 個別の政策一つ一つには、国民の意志は概ねNOと出ているのに、総論的には、安倍政権の内閣を未だ支持する国民が半数近く占めている。国民が狂っていると理解するのは簡単だ。しかし、国民がそこまで馬鹿ではないとなると、何か日本と云う国が、日本の統治機構全体の流れを組み替える奔流のパワーに怯えすくんでしまっている事に気がつく。薄々、俺たちの国は、変な国になって行っているのだな。ただ、他の国に比べれば、生活して行く分には、まだマシに違いない。そういう心境かもしれない。1億総白痴でなければだ。

もしかすると、1億の民は、アメリカに占領されている国である方が、心地いいのだから、アメリカの主たる意見に従う方が、自国の政治家に、国家を操られるよりマシと云う達観した心境と云う見方も可能だ。身近な者であればあるほど、その欠点は見える。愛憎もひとしおになるだろう。それに比べれば、アメリカは、乱暴狼藉な国であっても、(作られた)合法と云う手順は踏んでいる。未だ、世界一の経済大国で、軍事大国。逆らう理由は何処にも見つからない。5年、10年先を考えて生きるなんて真っ平御免だ。ゆえに、アメリカの命令通りに動くしかない安倍内閣を、一定の範囲で支持するしかないだろう。

消去法でたどり着く結論であり、正しい選択だとは思ってもいない。しかし、今までも、隷属している事で、それ程酷い目には遭わされていないのだから、きっと今後も、そうに違いない。そのような、その場凌ぎの結論になっても、そう云う日米の関係性だけで生きてきた戦後生まれの人々にとって、現在の留保付き合意も、バカバカしい結論だが、声高に誹謗中傷も出来ないし、否定も出来ない。嘘で固めた生き方は、国家もそうだけど、我々にも言えることだと、悟っているのかもしれない。筆者は、50年先の絵図を想像すると、そうは言ってられないと思うが、かなりマイナーな考えになるのだろう。

日本の大問題 「10年後」を考える ─「本と新聞の大学」講義録 (集英社新書)
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1 コメント

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日本政治と箱根の相似 (東北人)
2015-07-04 21:31:10
私には、箱根の噴火報道や役場の対応も欺瞞が蔓延っているようで、現在の政治や原発対応と良く似ている様に思います。箱根の役場や商売人達は、どうも観光客の安全よりも目先の稼ぎが大事な様で、ギリギリまで稼いでやろうという危なっかしさがある様に思えます。箱根は、福島原発事故の様に対応が手遅れにならなければ良いですが、結構際どい規制範囲に思えます。まあ素人の心配ですけどね。
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