世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●米国退潮の認識の是非 中国の将来と日本の立ち位置(2)

2019年01月20日 | 日記

 

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●米国退潮の認識の是非 中国の将来と日本の立ち位置(2)


昨日の拙コラム『4千年の歴史と先進国、途上国の顔を持つ常任理事国・中国(1)』の中での記述と重なる部分が多いが、敢えて、ダブることを意図して、話を続ける。

現在の習近平の実験国家、中国を本当に理解するのは、ほとんど不可能に近い。

識者ぶった連中の間でも、意見は分かれる。そのほとんどが、個人的感情論に基づく観察眼で、現在の中国を観察するのだから、読者の側もリテラシーが求められる。現実の中国を目で確かめると云っても不可能に近い。

ひと言添えれば、これだけ急速に、経済成長を成し遂げ、近代化に向かう中国には、潜在的リスクはつきものと考えていいだろう。

アメリカの傘の下で経済成長を成し遂げた日本の何倍も、危険を孕んでいるのは事実だ。習近平も、その危険は承知しているだろうが、市場原理主義を受け入れた以上、メリットと同時にデメリットも抱えることは、百も承知だと考えられる。

習近平にしてみれば、これだけ雨後の筍と起業されるのだから、それらの企業が玉石混交だと認識している。しかし、“下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる”ではないが、新規起業の半分が成長すれば、それだけで充分に国家経済が成長する原動力になる。大雑把だが、14億人の市場を自国に抱えているのだから、スケールメリットと最大限使おうとしている。

中国の経済統計の瑕疵を指摘するレポートは多い。たしかに、公式経済指標の10倍のリスクはあるかもしれないが、それをカバーする産業全体の新陳代謝があれば、経済成長率が一時3%台に落ち込もうと、成長が維持されていれば問題ないと考えているのではないだろうか。

GDP世界第二位なのだから、特に慌てる必要はない。いずれは、米国に追いつき、追い越すことは容易だと、考えている可能性が濃厚だ。また、経済政策等の修正も、独裁制なので、有無を言わさず強行性があることも強みだ。無論、大間違いするリスクも孕んではいるが……。

ただ、なんといっても、国家が若い。4千年の紆余曲折の歴史はあるが、現在の中華人民共和国そのものは、建国が1949年なので、まだ70年しか経っていない国家だ。

つまり、まだ国家に活力、人民に渇望感や成長への貪欲さが残っている。中国共産党一党独裁国家の経済は長く低迷していた。日本からのODA支援を、ごく最近まで受けていたと云うことが嘘のように、一気に吹き上がった感がある 。

中国の抬頭が明確になったのは、市場原理主義によるグローバリゼーションが大きな起点になっているのは事実だ。

米国経済を牽引したシカゴ派の市場原理主義経済学が、市場を求めて世界を彷徨った結果が、グローバル経済だとすれば、この世界経済のグローバル化で、恩恵を受けた最大の国が中国だった。 社会主義と市場原理主義的経済のドッキングは、目からうろこだ。

この実験国家が、成功するかどうか、実際は、世界各国が見守っている可能性も大いにある。市場原理主義は自由主義とセットかと思っていたら、社会主義との相性もいい。

むしろ、社会主義と市場原理主義の方が、相性がいいくらいなのだ。見せかけの民主的国家体制で、四苦八苦して、帳尻を合わせながら市場原理主義経済を取り入れている国から見れば、中国のそれは、脱法行為、良いとこ取りに見えてくる。

しかし、その中国が成功するとなると、民主主義国家の経済と社会主義国家の経済モデルが、あらためて問われることもあり得るわけで、中国の実験的経済行為は、非常に興味深い。

一国二制度にせよ、斬新な考えを平気で行える中国人の行動や思考様式は、虚栄と虚構に明け暮れる、エセ民主主義国家より、数段活力に満ちている。アッと驚く映像の多くも、トンデモナイ中国を見る。平気でモノマネをして意に介さない。

 このような行為は、西側諸国の文化においては、許し難いものだが、彼らは概ね平気なのだ。このような問題は、現在中国も修正中ではあるが、厳粛に対応しているとは言いがたい。

まぁ、歴史的に考えれば、金も払わずに、漢字を伝えられ、仏教を伝授して貰ったことを考えれば、わが国もパクリをしたわけで、歴史認識があれば、現下に、あしざまに中国をパクリ国家と言いきれない(笑)。

それはさておき、いま重要なことは、もし仮に中国が、このままの勢いで成長し、米国に追いつき追い越したとき、日本は、どのような立ち位置になろう。そこが重大な問題だ。

米国への義理立てをしていても、米国が保護主義的であり続けた場合、安倍自民が推進する「TPP」に中国を入れるのか、「AIIB」や「一帯一路」に加わるのか、「日米同盟」の枠を超えて、中国に接近するのか、非常に悩ましい想定問答になる。明日は、ここから、想定問答を考えていこうと思う。



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