世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●米中が経済でしのぎを削るなか 極東の島国の選択肢とは

2019年01月12日 | 日記

 

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●米中が経済でしのぎを削るなか 極東の島国の選択肢とは


最近、幾分下火になったが「AI」なるものが持てはやされている。筆者がブログで取り上げる問題ではないと思ったが、一応、これだけ騒がれるのだから、ある程度確認しておいても良いだろうと考えた。そして、このAIを考えつつ、日本はどうあるべきかを考えてみた。

そもそも「AI」とは、人工知能と訳されているわけだが、知能の中でも、機械処理可能な知能が主体で、感情などについては、パターン化された感情、怒る・笑う・泣くなど単純な表現は可能になるだろうが、複雑な気持ちなどを表現することは、無理だろうし、それをする必要もない。

ファジー系な、人間の持つ情緒的理解や風のにおいを感じる。或いは、神に祈る、仏に許しを請うなどの判断や行為を行うために、超スーパーコンピュータを抱えて歩くわけにもいかないので、到底無理な話だ。

つまり、経済合理性と一致出来る部分で実用化されて、世に出るわけだが、アップルのアイポットなんて、何の役に立つのか、さっぱりわからん。

自動運転にしても、黎明期においては、人間が運転する車と併行的に運用されるわけだが、“あおり運転”の車に対応できるのか、不法駐車だらけの混雑した道を、すいすいとミズスマシのように進むことが出来るのか、甚だ怪しい。

理論上は出来ても、そんな車に乗るくらいなら、やはり、面倒でも、死ぬまで自分で運転したい(笑)。

既に、AIの歴史は60年になる。その結果、将棋や碁、チェスなどのゲームや、精々、好みの音楽をかけるとか、床を掃除するとか、電子入札に応じるとか、顔認証システムに応用するくらいで、到底、人工知能と表現するには相応しくない影響力しか発揮していない。

コンピューターの処理速度と比例する傾向があるので、小型で、現在のスーパーコンピューターの千倍、万倍の処理能力が開発された時、或る意味では、実生活に大きな影響を及ぼすかもしれない。

いずれにしても、今後100年単位で開発される技術と考えておく方が賢明だ。

つまり、この「AI」に血道を上げる必要はないように思う。その技術は、米国であれ、中国であれ、実用性が出た時、ライセンスで使用すれば良いのではないだろうか。

仮に、日本と云う国が、これ以上の近代化の望むならばだが、果たして、人間の近代化と云うものは、どこまで必要なものか、よくよく考える時期に来ているのだと思う。

グローバル金融は、常に成長(市場)を欲するモンスターのようなものだから、人間は、永遠に彼らの要求に応じて行かなければならない。

果たして、そんなとめどない要求に、人間は応じていけるものなのか。或いは、応じる意味などないのか、その辺を、強く吟味する必要がある。

これ以上人間が便利になり、24時間の時間に余裕が生じるとして、その余白の時間を埋めるために、また、新たな消費市場を生もうとするのか、とめどない蜘蛛の糸を手繰る餓鬼のようである。

おそらく正解は、このマネーの要求に応じなければならない、「無限ループ」から抜け出すことなのだと思う。

ただ、人間よ欲望というものが、その正解に大きくはだかっている。

そう云う意味で、理想的に、全人類が、この「無限ループ」の罠に気づくべきだが、歴史も理念も宗教もことなる世界すべてが、歩を一にすることは不可能だろう。

それであれば、孤高の条件を備えた、最も古くからある国家、日本だけでも、「無限ループ」の競争原理の罠から抜け出します、そう宣言しても良いのではないだろうか。

世界中が、日本はドロップアウトしたと歓喜するかもしれない。しかし、正解が発表されるのは、300年後なのだ。どちらが勝つか、判ったものではない。

その遠い将来である300年後の市民の生活を想像してみるべきだ。

これ以上に、便利で快適で安全で、充分に人間として近代的な国を、これ以上モンスターの餌にするような愚かなループからは、みずから抜け出すべきだ。

無論、AIで後進国になるかもしれないが、おそらく、AI後進国の方が、人権や自由を謳歌出来る可能性がある予感がする。

無論、抵抗する人々もいるだろうが、彼らには、「無限ループ」競争の世界に自由に羽ばたく権利はあるのだから、気持ち良く見送ろう。

個人的には、20年ほど、時間を巻き戻した日本から始めたいものだが、空想小説ではないのだから、時空を超えることは出来ない。

まずは、現時点で、日本は時計をとめるだけで良い。

無論、首相や政権政党は変えるべきだが、時間をとめることで、自動的に、竹中グループやそれに連なる企業群も、餌がないのら出ていくか、廃業に追い込まれることになる。そして、経済成長と叫ぶ首相も政党もいなくなる。

現時点の近代化と、質実な国をめざし、一歩一歩を踏み出す方が、高貴で、貴重で、価値ある、幾分後進的だが、研ぎ澄まされた文化国家と羨まれる時代が来るだろう。まぁ、300年構想だが、新年の初夢としては、個人的には、まあまあかと思う(笑)。


≪人工知能 じんこうちのう artificial intelligence; AI
人工的な手段で実現され,知覚,インタラクション,推論(推理),問題解決,言語,連想,学習などの知的情報処理を自律的に遂行することができる情報処理メカニズム。人工知能の実現を目指した研究分野,人工知能を実装したシステムをさすこともある。1950年代に商用コンピュータが登場してから研究,開発が本格化した。巨大な問題空間を知的に探索(→ヒューリスティック探索)する技術,知識の記号的表現と利用の技術,機械学習技術,ディープラーニングに代表されるニューラルネットワーク技術などへの取り組みが成果を上げた。限定されたタスクに対して高いパフォーマンスを発揮する狭い人工知能の実現は成功しており,2017年までにチェス,囲碁,ポーカー,クイズなどで人間のトッププレーヤーを凌駕した。また,ゲームプレー,会話ロボット,コンサルテーション,大規模情報の集約・加工・モニタリング,創作活動支援,科学プロセス支援,設計製造プロセス支援,物流支援,自動運転(→自動運転車)などの広い応用に適用され始めている。他方,広範な状況で自律的に機能し,人間のようにスキルと知識を形成し続けていくことのできる汎用人工知能はまだ実現されていない。(→計算機科学,知識工学,強い人工知能,弱い人工知能)  ≫(ブリタニカ国際大百科事典より)


 ≪[FT]中国、AI大国への野望に壁

:日の出の勢いだった中国の人工知能(AI)部門が失速している。投資家にはそっぽを向かれ、最先端技術の開発にはほど遠く、利益を出すのも四苦八苦のありさまだ。

:2017年のAIブームが嘘のようだ。17年には中国政府が30年までに世界をリードするAI大国になるとの計画を発表し、ベンチャーキャピタル(VC)が中国AI企業の市場価値をつり上げ、中国のハイテク大手は収支報告にAI関連の願望をちりばめていた。

:AIの進展状況に失望が広がっているのは中国だけではない。米国ではこの夏、IBMがAI研究の中核であるIBMワトソン部門の技術者の首を切った。ニューヨーク大学の心理学教授で、以前からAI懐疑派として知られるゲイリー・マーカスは、「AIの歴史は60年にもなるが、ボットはいまだに、音楽を演奏したり、床を掃いたり、電子入札に応札したりするぐらいのことしかできない」と嘆いていた。

■米国に抜き返される
:しかし、中国では17年、AIが大々的に言いはやされ、投資が過熱気味になったが、落ち込みそれを上回るほど激しかった。コンサルティング会社ABIリサーチによると、中国の民間部門のAI投資は17年、米国を抜いて50億ドル(約5600億円)に迫った。しかし、18年前半の投資額は16億ドルと、米国の3分の1以下にとどまった。

:「現在は、汎用的な利用の課題が解決されてきたという段階だ」と言うのは、ABIのLian Jye Su首席アナリスト。「汎用チャットボットを作るのは、銀行、建設、鉱業といった特定の産業向けのアルゴリズムを作るよりもずっと容易だ。なぜなら、(特定産業特化型を作るには)各産業の専門知識や同意を必要とするからだ」

:そしてこうした(投資減少へとの)の転換点は、アルゴリズムや機械学習の実行に必要なコンピューターの処理能力の不足と重なってしまっている。その結果は、市場価値の暴騰、過剰宣伝、お粗末な収益モデルといった、テクノロジー企業の投資家にとってはおなじみの状況だ。

:中国のハイテク企業に多額の投資をするQimingベンチャー・パートナーズの梁頴宇マネージングパートナーによると、現状は「やや過剰投資気味」だ。「多くの企業が収益をかさ上げできていないか、自社の収益能力を過大に宣伝している」と言う。

:ベンチャー企業の市場価値が暴騰するにつれ、投資家の意欲も萎えていった。人民元建ての資金が細ったことで、状況はさらに悪化した。 「百度(バイドゥ)やグーグルを飛び出した技術者5人がゼロから創業したとすると、そうしたベンチャー企業は今なら6000万ドルから8000万ドルの価値と見なされるだろう。これが9カ月前なら、1億1000万ドルの評価だった」と言うのは、かつてグーグルの中国事業トップで現在はVCのシノベーション・ベンチャーズを率いる李開復氏だ。

:李氏は一段の下落を予想する。「おそらく5000万ドル以下になるだろう」 中国のVC、真格基金にとって、機械学習やその他のAI投資の絶頂期は12~15年ごろだった。「現在は、革新的なAIベンチャーが少なくなっている」と同社の方愛之・最高経営責任者(CEO)は言う。

:特定産業向けのアプリケーションが次の大きな飛躍をもたらすという見方が多い一方、米VCのクライナー・パーキンス・コーフィールド・アンド・バイヤーズで中国のハイテク企業への投資を指揮していた周煒氏が「十分な」技術と呼ぶ実用的AI技術にはまだまだ投資機会がある。同氏はその後、創世夥伴資本を立ち上げた。

■「十分な」AIで十分
:「米国の投資家は、常に最先端の技術に投資したがる。だから、いつでも高度なAIのことを考える。しかし、我々は、違いを生むのに『十分な』AI技術を探している」と周氏は言う。

:最近投資したオンライン英語学習のベンチャーがその一例だ。そのサービスは、生徒に一対一の会話を提供できるわけではないが、生徒の答えが正しいか間違っているかなどの状況によって対応をカスタマイズできるので、ユーザーは本当の教師に教えられているような気持ちになる。「びっくりするほどのものではない」と言うが、授業料を1ドル以下にすることができる。

:こうしたアプリケーションの利点は、最先端の技術や高性能のコンピューターを使うことなく、英語教師の不足といった中国特有の問題に対処できることだ。

:コンピューターの能力というのが、中国のAI部門に最も欠けている要素だろう。そして、中国のハイテク大手が18年になってハードウエアに力を入れ出した理由でもある。百度、華為技術(ファーウェイ)、アリババ集団などが独自のAIチップセット開発に取り組んでいる。電子商取引大手のアリババは量子コンピューターの開発でも先頭に立つ。

:アリババは、自社開発のAI用半導体を19年に市場に出すことを目標にしているが、中国企業がこの分野で開発を加速できるかどうかについては懐疑的な見方もある。

:現在のところ、中国のAIで使われている半導体の大半は、クアルコムやエヌビディアといった米メーカーの製品だ。ソフトも大部分は海外から輸入されている。 最近スイス金融大手のUBSが出したアナリストのリポートには、「中国のAI最大手が、米国製のプラットフォームやテンソルフローのようなソフトウエアツールを使っているというのが実情だ」と書かれている。中国の人気アプリがアップルやグーグルのOS(基本ソフト)を使用しているという事実が示すスマートフォンの状況と類似性があるという。

:中国がこうした弱点を痛感する出来事があった。米政府が米企業に対し、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)への部品供給を禁じたことだ。その後解除されたとはいえ、ZTEがイランへの禁輸措置に違反したことへの処罰を無視したとして取られたこの取引禁止措置は、多くの中国ハイテク企業にとって警鐘となった。

:半導体やより高性能なコンピューターの開発は、「中国製造2025」計画で示された、自国技術の開発促進を主眼とする中国政府の産業政策目標とも合致する。

:しかし、中国のAI部門は大きなハードルを乗り越える必要がある。特定産業に特化したAIを開発するには、産業側がハイテク企業と協力する必要があり、ハイテク企業はコンピューターの処理能力を高める必要があり、ベンチャー企業はより現実的になる必要がある、とABIのSu氏は指摘する。

:そうした努力がされたとしても、AI部門の成長は「動きはもっとゆっくりしたものになる」と同氏は言う。「投資のリターンは下がり、回収にはもっと時間がかかるだろう」

By Louise Lucas (2018年11月19日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/) (c) The Financial Times Limited 2018. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.
 ≫(日経新聞:The Financial Times:By Louise Lucas)


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