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●目が点になるような “プーチン・ウォッチャー” の言説に喝!
以下の北野と云う人のコラムは読むに堪えないものだ。この人の観察は、猫の目のように変わる。つまり、本質的に昔で言うところの週刊誌記者の資質があるので、事実関係の変動によって、日々観察眼が狂う。謂うならば、自己の哲学や考えが纏まらない内から、物を書き始めてしまったことによる弊害が出ている。この書き手の話は、連続的に読んでいる判るが、事象が変わるごとに、大きく判断の方向性が変る。ダイアモンド社も、思想哲学的に、反米的人物を書き手にすることが出来ない事情があるのだろうが、もう少しマシな人物はいそうだが、不思議だ。まあ、本質的に、解説は外れだが、反面教師的に読むには最適な素人解説だ。ネットメディア発信者の力量も上がっているのだから、作り手の質を問われる時代だ。
≪ 国連総会でプーチンが見事復活! シリア・IS問題で形勢大逆転 (北野幸伯)
「クリミア併合」で「世界の孤児」になったはずのプーチンが復活している。一方、AIIB事件以来、米国と対立を深めてきた習近平の訪米は大失敗。今回は、米中を軸に大きく動き始めた国際政治を解説する。
■ローマ法王とインド首相に“完敗” 米国に冷たくあしらわれた習近平
9月28日からニューヨークで開催された国連総会。オバマ大統領はもちろん、安倍総理や習近平、プーチン大統領など、世界の有力トップが集結し、首脳会談も行われた。世界の首脳たちの言動から、現在の国際政治の流れを読み解くことができる。
まずは中国。習近平の訪米は、「失敗だった」といえる。米国メディアは、同時期に訪米したフランシスコ・ローマ法王をトップで報道し、習近平は 「主役」になれなかった。ホワイトハウス前では、「習訪米反対」の大規模デモが行われ、チベット人などが、中国の「人権問題」を訴えた。(太線筆者、以下同じ) <一方、目立ったのは、米国内の習氏への冷ややかな反応だ。
米テレビは、22日から米国を訪問しているローマ法王フランシスコの話題で持ちきりとなっており、習氏のニュースはかすんでいる。
中国事情に詳しい評論家の宮崎正弘氏は「習氏にとって一番の期待外れは、全く歓迎されなかったことだろう」といい、続けた。 「ローマ法王はもちろん、米国を訪問中のインドのモディ首相に対する熱烈歓迎はすごい。習主席は23日にIT企業と会談したが、モディ首相もシリコンバレーを訪れ、7万人規模の集会を行う。米国に冷たくあしらわれた習氏の失望感は強いだろう。中国の国際社会での四面楚歌(そか)ぶりが顕著になった」>(夕刊フジ 9月28日)
【*筆者注:産経新聞や宮崎正弘の言動を取り上げ、アリバイ作りしていること自体で、既に北野の十八番が知れてしまう(笑)。】
オバマ・習首脳会談の成果は、「サイバー攻撃をやめること」「米中軍の間で不測の事態が起こるのを回避するために対話窓口をつくること」だという。
<今回の合意では、海軍艦船の艦長らに対し、迅速な意思疎通を図りその意図を明確にすることを求めたほか、国家安全保障上の対立に発展しかねない衝突を回避するため、安全な距離を保ち「無礼な言葉づかい」や「非友好的なそぶり」を避けることも定めている。>(CNN.co.jp 9月26日)
この合意は、両国関係がいかに悪化しているかを示している。つまり、「合意がなければ、軍の『無礼な言葉づかい』『非友好的なそぶり』が原因で、『武力衝突』が起こる可能性がある」のだ。
同じく米国と仲が悪いはずのロシアはどうだろう?プーチンは9月28日、国連総会で演説。「対イスラム国」で、「国際法に基づいた、本物の幅広い反テロ連合を形成する必要がある!」と熱弁した。
同日、プーチンは「対ロシア制裁」を主導するオバマ大統領と首脳会談を行った。(安倍総理とも会談した)。約90分続いた会談のテーマは、「シリ ア、イスラム国問題」と「ウクライナ問題」。「シリア、イスラム国問題」で、米ロの溝は埋まらなかった。プーチンは、シリアのアサド政権を強化することでイスラム国と戦いたい。しかし、オバマは、アサドを政権から追放したいのだ。
とはいえ、2人の大統領が「会って90分話した」という事実だけでも、米ロ関係は改善していることがわかる。一体、何が米ロ関係を変えたのだろうか?
■「イスラム国」の台頭で ウクライナの停戦が実現した
米ロ関係が改善した背景には、実は幾つもの“ラッキー”があった。「クリミア併合」は、わずか1年半前に起こった。しかしその後、山ほど事件が起こったので、復習しておこう。
2014年2月、ウクライナで革命が起こり、親ロシア・ヤヌコビッチ政権が崩壊した。同年3月、ロシアは、ウクライナ領「クリミア共和国」と「セヴァストボリ市」を併合し、世界を驚愕させた。米国は、日本や欧州を巻き込んで、ロシアへの「経済制裁」を発動。4月、ロシア系住民の多いウクライナ東部ルガンスク州、ドネツク州が「独立宣言」。親欧米ウクライナ新政府は、これを許さず軍隊を派遣、内戦が勃発した。
5月、ウクライナで大統領選挙が実施され、ポロシェンコが当選。7月、「親ロシア派」が支配するドネツク州上空で、マレーシア航空NH17便が墜落し、298人が死亡。米国は即座に「親ロシア派が撃墜した」と断定。親ロシア派を支援するプーチンも、厳しい批判にさらされた。
【*筆者注:おいおい、勝手に西側陣営のプロパガンダ判定(海洋覇権国の金魚の糞オランダが調べたんだぜ、予定調和の調査結果を出しただけだ。ロシア軍の言い分と国際司法裁判所で突合せ、答えが出たわけではない。ウクライナ軍も反政府軍も共に同じミサイルと弾道を保有しているのだから、どちらの撃った弾道が当たったか迄は判っていない。完全に、この北野は西側情報に偏って、プーチンを観察している。殆ど馬鹿だね】
ところが、プーチンは、「意外な存在」に救われる。「イスラム国」だ。米国は14年8月8日、「イスラム国」への空爆を開始した。イスラム国は8 月20日、米国人ジャーナリスト、ジェームス・フォーリー氏の殺害映像をYoutubeに投稿。これで、米国世論は沸騰し、「敵ナンバー1」はプーチンか らイスラム国に移った。
14年9月、ウクライナ政府と親ロシア派は、1回目の「停戦合意書」に署名した。理由は、米国の目がイスラム国に移った隙に、プーチンが親ロシア 派支援を強化したこと。親ロシア派は快進撃をつづけ、ウクライナ軍は敗北寸前になっていた。ポロシェンコは、「停戦」するしか選択肢がなかったのだ。
これで一息つけたプーチンだったが、「経済面」はかなり厳しかった。制裁の影響も、もちろん大きい。それ以上に、「原油価格とルーブルの暴落」 は、ロシア経済に大打撃を与えた。原油価格は、14年夏時点で1バレル115ドル(北海ブレント)だったのが、同年末には50ドルを割った。
ルーブルは、夏時点で1ドル35ルーブルだったのが、年末には60ルーブルまで下げた。14年の国内総生産(GDP)成長率は0.62%で、かろうじてプラスだった。しかし、今年は、09年以来はじめてのマイナス成長になることが確実視されている。
【筆者注:日本のアベクロ経済は、たかが消費税3%上げただけで、マイナス成長したのだから、西側の米金魚の糞どもの経済制裁、原油安、ルーブル安で劇的でも、プラスで終えたのだから、立派だろう?】
さて、15年2月、2度目の「停戦合意」がなされた(つまり、14年9月の合意は破られていた)。今回は、ロシアのプーチン、ウクライナ・ポロシェンコ、ドイツ・メルケル首相、フランス・オランド大統領が直接協議して、合意に至った。この停戦は、一応現在もつづいている。
ロシアとウクライナが停戦したい気持ちはわかる。しかし、なぜドイツとフランスは、停戦に動いたのか?答えは、以下の記事である。 <〈ウクライナ〉政府軍に武器供与検討 米大統領、独首相に 【ワシントン和田浩明】オバマ米大統領は9日、ホワイトハウスでドイツのメルケル首相と会談した後に共同記者会見し、ウクライナ東部で支配地域を広げる親ロシア派武装勢力に対する政府軍の防衛力強化を支援するため、殺傷能力のある武器の供与を検討中だと明言した。>(毎日新聞 2月10日(火)11時37分配信)
■「AIIB」事件で米国の敵No.1は ロシアから中国へシフト
「米国は、ウクライナ軍に武器を大々的に供与することで、戦争を激化させようとしている」――メルケルとオランドは、そう疑ったのだ。戦争が拡大、激化すれば、戦場になるのは(米国ではなく)欧州である。独仏は、あわてて停戦に動いた。
米国は当初、この合意をぶち壊したかったようだが、ある「大事件」が起こり、方針を転換する。「ある大事件」とは、「AIIB事件」のことである。英国は3月12日、米国の制止を無視し、中国主導の「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)のへの参加を表明する。他に、ドイツ、フランス、 イタリア、スイス、オーストラリア、イスラエル、韓国など、米国と緊密な関係にあるはずの国々も、相次いで参加を決めた。 「親米国家群が、米国の不参加要請を振り切り、AIIBに参加する」
このことは、米国の支配層に大きな衝撃を与えた。「誰もいうことを聞かない国」(この場合米国)のことを、「覇権国家」と呼ぶことができるのだろ うか?米国の「リベラル派」は長年、「中国は米国が作った世界秩序内で影響力を拡大したいだけだ。それ以上の野心はない」と主張してきた。しかし、 「AIIB事件」で、その「神話」は崩壊した。
なぜなら、中国は、「米国の体制の『外』」に「新たな国際金融機関(AIIB)をつくる」のだから。これで、中国は、米国の「仮想敵ナンバー1」に浮上した。
同盟国、親米国家群が軒並み米国を裏切る中、「AIIB不参加」を表明したのが、わが国日本だった。安倍総理は4月29日、米議会で「希望の同盟演説」を行い、大成功を収める。GDP世界3位の日本の力強い支持を得て、米国は「中国バッシング」を開始した。それが、いわゆる「南シナ海埋め立て問 題」である。 中国は埋め立てを13年からはじめていたが、米国は突如これを問題視しはじめたのだ(日本にとってはよいことだが)。米中関係は、急速に悪化し、「米中軍事衝突」を懸念する声まで出始めた。 <米中激突なら1週間で米軍が制圧 中国艦隊は魚雷の餌食 緊迫の南シナ海 南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島周辺の領有権をめぐり、米中両国間で緊張が走っている。
軍事力を背景に覇権拡大を進める習近平国家主席率いる中国を牽制するべく、米国のオバマ政権が同海域への米軍派遣を示唆したが、中国側は対抗措置も辞さない構えで偶発的な軍事衝突も排除できない状況だ。>(夕刊フジ 5月28日(木)16時56分配信)
【筆者注:またまた夕刊フジ(産経)かよ(笑)。そんなに強いんなら、明日にでも追い払え。そんなこと出来るわけもない。米中の貿易量判っているのか、この馬鹿は?この北野って人は、産経新聞出身者?それとも時事通信?「AIIB事件」と云う低レベルな捉え方自体が、もうこの人の駄目を象徴している。少なくとも、アメリカの覇権に大きな影が差してきたと云う考えが頭の片隅にもないのだから、変った書き手である。AIIBは世界秩序への警鐘であり、その秩序変化の兆しなのだ。それを米日の二国だけが、見たくないので見ていない振りをしている。その代り、TPPで歯止めをかけてやる。それが、米日の老体経済が考えたことだ。甘利のTPP妥結番頭役には呆れた(笑)。】
その後、両国の対立はおさまったように見えるが、「米中対立そのもの」は、「長期化する」と見ていい。
米国が、「南シナ海問題」をネタに「中国バッシング」を開始しはじめたころ、ケリー国務長官は、モスクワを訪問している。要するに、「中国叩き」をはじめたので、「ロシアとの和解」に動き始めたのだ(中ロと同時に戦うのは愚策なので、ロシアと和解して、中国と戦う)。
<露訪問の米国務長官、ウクライナ停戦履行なら「制裁解除あり得る」 【AFP=時事】
米国のジョン・ケリー(John Kerry)国務長官は12日、ロシアを訪問し、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領とセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相とそれぞれ4時間、合わせて8時間に及ぶ会談を行った。
その後ケリー氏は、ウクライナの不安定な停戦合意が完全に履行されるならばその時点で、欧米がロシアに科している制裁を解除することもあり得るという見解を示した。>(AFP=時事 5月13日(水)7時13分配信)
■ロシアとの和解に動く米国 中ロの結束が崩れるのも時間の問題か
「制裁を解除することもあり得る」という言葉がケリーから出たことは、多くのロシア人を驚かせた。 両国は、まず「利害が一致する問題」から協力を開始する。それが、「イラン核問題」だった。米ロは協力して、長年の課題だった「イラン核問題」を解決した。
<〈イラン核交渉〉最終合意 ウラン濃縮制限、経済制裁を解除 【ウィーン和田浩明、田中龍士、坂口裕彦】イラン核問題の包括的解決を目指し、ウィーンで交渉を続けてきた6カ国(米英仏露中独)とイランは14日、「包括的共同行動計画」で最終合意した。
イランのウラン濃縮能力を大幅に制限し、厳しい監視下に置くことで核武装への道を閉ざす一方、対イラン制裁を解除する。>(毎日新聞 7月14日(火)22時1分配信)
次に米ロ共通の課題になったのが、「イスラム国」である。米国もロシアも、「イスラム国は大問題」であることで合意している。しかし、オバマは、シリアのアサド政権を支持できない。
なんといっても彼は13年8月、「化学兵器を使用したこと」を理由に、「シリア(アサド政権)を攻撃する」と宣言した過去がある(後に戦争をドタキャンして、世界を驚かせた)。
一方、プーチンは、「アサド政権を支援し強化することで、イスラム国と戦わせる」戦略をとる。プーチンは、「イスラム国と戦うために、シリア(ア サド政権)、イランを含む『幅広い反テロ連合』をつくろう」と提案している。米国は反対しているが、プーチンは、たとえ単独でも「アサドを助けてイスラム国と戦う」決意を示した。
そして、ロシアは9月30日、シリア空爆を開始した。
彼の目的は、ウクライナの親ロシア・ヤヌコビッチ政権を守りたかったのと同じである。つまり、親ロシアのアサドを守りたいのだ。このまま放置しておけば、アサドは必ずイスラム国にやられてしまう。問題は欧米がどう出るかだ。筆者は、大きな反対は出ないと思う。
まず米国。米国には、3つの大きな敵がいる。中国、ロシア、イスラム国だ。「AIIB事件」後、米国にとって、中国が最大の敵になった。それでロシアと和解に動いているのだが、それでも「敵は敵」である。そして、イスラム国も敵だ。
米国の敵であるロシアとイスラム国が戦う。表向きはどうあれ、米国にとってこんなおいしい状況はない(しかし、表面的にはイザコザも予想される。米国は、ロシアが「『イスラム国』ではなく『反アサド派』を空爆している」と批判している。ロシアから見ると、「イスラム国」も「反アサド派」も、両方「反アサド」という意味で「同じ穴のムジナ」である。そして、米国が、支援している「反アサド派」への空爆でロシアを批判するのも、また当然だ)。
では、欧州はどうだろうか?欧州からも強い反対は出ないだろう。なぜなら、欧州は今、シリアからの大量難民問題で苦しんでいる。難民問題を根本的に解決するためには、イスラム国を退治し、シリアを安定化させるしかない。
しかし、それを自分でやると大金がかかる。プーチンは、「俺がやる」と手を挙げてくれた。だから、表向きは批判しても、「プーチンにやってもらおう」と思っていることだろう。
いずれにしても、世界は今、「米中対立」を軸に回りはじめている。米ロが和解に向かえば、中ロの結束も自然と崩れていくだろう。こういう構図は、「尖閣・沖縄」を「自国領」と主張する中国と対峙する日本にとっては、極めて都合がいい。 ≫(ダイアモンドONLINE:国際・北野幸伯―ロシアから見た「正義」“反逆者プーチンの挑戦”)
【筆者注1:最後になって、完全にこの北野と云う人の素性が現れた。ただの戦争音オタクなのではないか。世界情勢全体と尖閣なんて、月とスッポンな話で、夕刊フジ的だ。アメリカの覇権にとって、最も重要なのは軍事ではない。経済だ。それも、人モノ金が実体経済と連動して動くダイナミックな実存が必要なわけだ。アメリカのイカサマ景気は金融のマジックに過ぎない。実態は経済成長なんかしていない。グローバル企業を儲けさせるにいいだけ儲けさせることで、見せかけの成長を見せかけているわけで、国民の可処分所得は、下がる一方で、まったく日本と同じだ。それはそうだ、米日は同じ詐欺の寸劇を演じているのだから。】
【筆者注2:アメリカや英国にとって、海洋覇権維持の限界点に到達しているというのが、国際的通り相場だ。リーマンショックを起こした時点で、実はアメリカは終わっている。もっと言えば、911事件を起こした時点で終わっている。さらに言えば、はじまりはレーガノミクスだろうが。しかし、アメリカの覇権に対抗しうる勢力が育っていないので、生きながらえている。平家が滅びるに相応しい源氏な勢力が不在だったのだ。現在のBURICSが束になっても、いい勝負だろう。しかし、地続きの中露の連携は根本的に西側にとっての、最大の脅威だ。しかし、実需のある経済と、展望的知的消費需要とでは、馬力が違う。そこが問題なのだ。その時々の状況の変化で、その都度、右往左往するような判断は、駄目犬の遠吠えに過ぎない。週刊ダイアモンドも、もう少し腰を据えて情報発信しないと潰れるぞ!(笑)】
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