世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●シリアで起きている米露代理戦争 親露アサド・親米反政府・IS

2015年10月02日 | 日記
円安亡国 ドルで見る日本経済の真実 (文春新書)
クリエーター情報なし
文藝春秋


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●シリアで起きている米露代理戦争 親露アサド・親米反政府・IS

昨夜に続き、皆さまはあまり興味のないようだが、筆者は興味のあるシリアにおける、アサド政権と反アサド勢力とイスラム国(IS)に関する情報。多くの報道は、自己の立場に立った上のポジショントークなので、どちらの誰が本当のことを言っているかどうかではなく、戦争においては、どのような戦争でも、常に双方に言い分と云うものがあるという事実を知ることは大切だ。

アメリカは正義のためか何だか理屈は別にして、アフリカ革命、ウクライナ、シリアにおいて、武器や資金を提供している。単純な図式に置きかえれば、アメリカのターゲットは、常に、アメリカの考えに同意しない政府である。そして、騒乱を起こし、政府や権力者を放逐乃至は殺害する。アメリカの遊びはここで常に終了するので、バックアップを失った親米政権は放浪を続けることになる。世界の秩序を守ると言いながら、最終的に、その国に混沌だけを残す。アフガン、イラク、リビア、エジプト、ウクライナ、シリア…。これだけ、実例があっても、アメリカの正義なんてものに白判定は、これは変だぜ。

昨日の時点で、ロシア軍は、イスラム国(IS)も親米反政府軍も、同じようにアサドシリア政権の敵であるから、必要に応じて両勢力の軍事拠点を攻撃する、と声明を発表した。つまり、間接的だが、アメリカが深く関与する親米反政府軍も攻撃対象だと云うことだ。親米反政府軍はアメリカから武器の提供を受け、アサド政権を攻撃している図式だが、アメリカは、あくまで直接関与することは考えていない。その点が明確になったので、プーチンはウクライナ革命と同じ目に遭わされるなら、この際直接行動に出てしまえ、と云うことだろう。

 戦略的と云うよりは、米NATO軍からの広い意味の専守防衛のような見方も可能だ。つまり、戦争と云うものは、先制攻撃か、専守防衛の延長線上の行為とかの区別は、立ち位置の違いで何とでも良いわけが可能と云うことだ。安倍の集団的自衛権の説明が、曖昧なままなのも、戦端が開かれた後、先制攻撃であったか、個別的自衛権行使であったか、集団的自衛権行使であったか、勝者になれば、どうにでも言い繕える。逆に言うなら、負けた場合には、正義も不正義になり、英雄は戦犯になる。まあ、一つの国際関係をウォッチすることで、世界の外交戦略の一幕を眺めておくことも必要だろう。

≪ ロシア空爆、米が疑問視 「ISの軍は存在しない地域」
 ロシア軍がシリア領内で過激派組織「イスラム国」(IS) 掃討のためとして空爆に踏み切ったことについて、米国のカーター国防長官は30日記者会見を開き、「空爆が行われた場所には、恐らくISの軍は存在しなかった」と述べた。ISを狙った空爆だとするロシア側の主張を疑問視しており、今後、米ロの摩擦が拡大するおそれもある。 米国は、アラブ諸国などとの有志連合でシリア領内でのISへの空爆を実施すると共に、反体制派への武器提供や軍事訓練などの支援を通じてアサド政権を退陣に追い込みたい考えだ。一方、ロシアはアサド政権を支援し、ISを掃討するとの立場だ。
 カーター氏は、ロシアの空爆がIS拠点を狙ったものではない可能性があると示唆し、内戦の混乱に「火に油を注ぐようなものだ」と反発。さらに「シリアでの内戦をエスカレートさせるだけだ」と批判した。米CNNなどによると、ロシアが空爆したのはシリア中部のホムスとハマ。
 一方、ニューヨークで開かれている国連総会に出席しているケリー国務長官と、ロシアのラブロフ外相が会談。10月1日にも両軍の衝突防止に向けた会合を開く考えを示した。
 会談後に会見したラブロフ氏はロシア軍による空爆が「シリア政府の要請に基づいている」と正当性を強調。一方、ケリー氏は、空爆が「ISを対象としたものでなければならない」と述べ、反体制派を攻撃しないようにロシア側を牽制(けんせい)した。両者は、米軍とロシア軍が偶発的に衝突する事態を避けるため、対話することで一致した。   ≫(朝日新聞デジタル:ワシントン=佐藤武嗣、ニューヨー ク=峯村健司)


 ■各紙の見出し
*ロシアのシリア空爆 アサド政権加担狙う 日経
*露、連日のシリア空爆…「反体制派を攻撃」と米 読売
*サウジ国連大使:シリア空爆の即時停止、露に要求 毎日(*注:ロシアがこの報道が事実無根と確認)
*オバマ政権、また“大失点”? 公然と挑戦してきたプーチン氏前に限界露呈 産経
*シリアで2日連続空爆=反体制派と「イスラム国」同一視-ロシア 時事通信

≪ ロシア大統領府:外国ではシリアにおける作戦について事実を歪曲した情報が非常に多い
【ロシア大統領府は、シリアにおけるロシアの軍事力行使に関する情報について、事実を歪曲したものが非常に多いため、全ての情報に注意深く接するよう呼びかけた。ロシアのペスコフ大統領報道官が発表した。 ペスコフ報道官は、次のように語った‐】
 「今は全ての情報に非常に注意深く接する必要がある。事実を歪曲したものや、偽情報が非常にたくさんある。そのため今必要なのは、ロシア大統領が繰 り返し語った情報調整メカニズムを見つけることだ。これらのメカニズムは稼働している。この歪曲された情報の犠牲になる必要はない」。
  ペスコフ報道官は、サウジアラビアのムアリミ国連大使が、シリアにおけるロシアの行動にサウジアラビアが懸念を抱いていることを表明し、空爆の停止 を要求したと報道されたことについてコメントを求められ、「マスコミでは確認されていない情報が報じられている」と指摘し、次のように語った‐
 「私もマスコミの報道を知り、大使の声明を探したが、まだ見つかっていない。サウジアラビアからの要求も、大使の発言も見つけることはできなかった。このような要求の情報源を報じているマスコミはない。そのため、今のところ答える用意はない」。
 またペスコフ報道官は、シリアにおけるロシアの作戦はどれくらいの期間続くのか?との質問に対し、「シリア軍の攻撃の期間という、ロシア大統領の発 言に注目してもらいたい。ここで重要なのは、この作戦が、テロ組織「IS(イスラム国)」や、その他の過激派組織との戦いで、シリア軍をサポートするもの であることを理解することだ」と述べた。
  ロシアは、シリアのアサド大統領の要請により、シリアでISの拠点に対する空爆を開始した。なお米国が主導する連合は、2014年9月からシリアで ISの拠点に対して空爆を行っているが、これは国連安保理を迂回して行われているほか、シリア政府との行動連携もなされていない。  ≫(Sputnik)


 ≪ シリア空爆 ロシア「IS拠点壊滅」 反体制派「市民が犠牲」
【モスクワ=常盤伸、ニューヨーク=北島忠輔】ロシアによるシリア空爆で、ロシア国防省は九月三十日、過激派組織「イスラム国」(IS)の山岳地帯にある八カ所の目標に対して、二十回の攻撃を行ったと発表し、国防省のウェブサイトで空爆の映像を公開した。  タス通信などによると、国防省報道官は、武器や弾薬の集積所、燃料貯蔵庫を破壊し戦闘司令拠点を完全に壊滅させたとしている。
 報道官は、全ての攻撃は上空からの偵察と、シリア陸軍司令部の提供した最新の情報に基づいて実施されたと強調。民間施設やその周辺への爆撃は行われなかったとして、民間人への誤爆はなかったとの見方を示した。
 ロシアのペスコフ大統領報道官は三十日、ISへの空爆はシリア国内に限定され、シリアと同様にISが勢力が広げる隣国イラクには拡大しない方針を 明らかにした。ペスコフ氏は、イラク政府はロシア政府にISへの空爆を要請していないと指摘。「ロシアはシリアの正統な政権の要請を受け、合法的な根拠で空爆作戦を実施している唯一の国だ」と述べた。
 ロシアによるシリア空爆に関し、シリアの反体制派組織「シリア国民連合」のメンバーは三十日、国連本部内で記者会見を開き、「子ども五人を含む三十六人の一般市民が死亡した」と発表した。「ホワイトヘルメット」と呼ばれる民間救助隊のメンバー一人も犠牲になったという。
 国民連合によると、市民の犠牲者が出たのはシリア中部ホムス。ISの活動拠点ではなく、反体制派「自由シリア軍」の基地がある地域だったという。
 カーター米国防長官は三十日、国防総省で記者会見し、ロシアのシリア空爆について「ISはおらず、他の勢力がいた場所を攻撃した」と述べ、米国が 支援する反体制派が標的になったとの見方を示した。その上で「ロシアはISと戦うと言いながら、アサド政権を支援している。論理的に矛盾している」と批判した。 ≫(東京新聞)


 ≪ コラム:シリア軍事関与に垣間見えるロシアの「お家事情」
[29日 ロイター] - シリアのアサド政権に対するロシアの軍事支援は強まる一方で、戦車、輸送・攻撃ヘリコプターなどに続いてとうとう戦術戦闘機まで送り込まれた。こうした状況から、プーチン大統領が2014年以降のウクライナで行っているのと同じように、またしても欧米の意向を踏みにじって思う存分に力を行使しているとの声が広がっている。
 
 プーチン氏の対シリア政策は、ロシアの 世界大国としての地位を復活させようという大いなる戦略の一環と主張する向きがある。しかしロシアが必死に、リスクを伴いながらもアサド大統領を支えようとするのは、今やシリアが中東においてロシアが強い影響力を保持し、ずっと軍事的な基盤を確保している数少ない国の1つだからだ、と考えた方がわかりやすい。

 実際、ロシアは米国政府こそが、アラブの春や、旧共産圏の中東欧・中央アジア諸国で起きた「カラー革命」を裏で画策し、資金を援助したのだと本当に信じている。 そして、もしもアサド政権が崩壊すれば、ロシアはシリアにある地中海地域唯一の海軍基地をすぐに失い、シリア内の他の軍事・諜報資産もなくしてしまうかもしれない。

 ロシアの軍事力がシリアから撤退すれば、欧米に嘆き悲しむと言う人はほとんどいないだろう。しかし現実はといえば、その後に過激派勢力がシリアを支配することになった場合、ロシアと同様に欧米の利益にもならない。だからロシアと欧米がシリアで協力する仕組みが発見できるのであれば、たとえ多くの欧米の人々が不快に思い、具体的な着地点がなかなか見いだせないとしても、協力にそれなりの妥当性があるのだ。

 そうした欧米とロシアの協力メカニズムを発見する上で問題となるのは、双方のアサド政権に対する温度差が一向に解消しないことだ。欧米はアサド氏の退陣を望み、彼の血塗られた体制が過激派組織の勢力を拡大させ、危機的な難民の発生を生み出したと主張している。だがロシアの言い分では、過激派組織のシリア支配を阻止できる政治権力はアサド氏以外に存在しない。この溝はもう何年も埋めることができないでいる。

 欧米とロシアはアサド政権の化学兵器廃棄問題ではある程度、戦術レベルで協力したが、それは実際に兵器が使用された後であり、時期は手遅れで、協力の規模もあまりにも小さかった。

  われわれは同じような重大な岐路に立っているのかもしれない。米国とロシアは、どちらの国の政策も機能しない事態に直面するのは間違いない。シリアの内戦は、アサド政権の政府軍とイスラム過激派集団の対決になっており、過激派の中ではイスラム国が最も危険な存在だ。これらの過激派同士の一部にも敵対関係があるが、だからといって好ましい事態になるわけではない。

 一方でプーチン氏にとっては、アサド政権崩壊は大きな問題になるだろう。ロシアは2011年にシリアの政情が不安定化して以降、支援を強化してきた。それはアサド氏が好きだからではなく、米政府がこの地域を不安定化している原因だとみなしているからだ。

 これはプーチン氏が、「米国に支援された体制変更(レジームチェンジ)」に反対することを自身の外交政策の柱に据える主な理由となっている。またロシアがウクライナで、腐敗したヤヌコビッチ政権をぎりぎりまで見捨てなかった理由でもある。

 シリアで欧米は「穏健な」反政府勢力を支援しており、それによってアサド氏は退陣していないが、同時にイスラム国が敗北する事態にも至っていない。しかし、プーチン氏のアサド政権への肩入れは危険をはらんでいる。

 もしも今後、ロシアがシリアの内戦に地上軍を本格投入するなら、予測不能の結果を招きかねない。ロシア国民はかつてのアフガニスタンやチェチェンにおける惨憺たる戦争をまだ記憶しており、イスラム世界で新たな軍事紛争に介入したくないと思っている。

 最近のロシア国内メディアの報道では、シリアに派遣されることになったロシア軍兵士たちは上官や人権保護当局に対して不服を申し立てたようだ。ある兵士は匿名で記者に対して「われわれはシリアなんぞに行って死にたくはない」と語った。

 この報道が真実なら、ロシア政府は懸念すべきだろう。ロシア国民はおおむね、クリミア編入は支持している。ただ最近の世論調査では、シリアへの地上軍派遣には77%が反対と答え、国民一般がロシアの海外への軍事介入には同調していない姿勢が見える。

 プーチン氏にしても、新たな泥沼に首を突っ込む余裕が果たしてあるのだろうか。ウクライナ東部の戦況はロシアに有利には運んでいない。プーチン氏は戦線拡大はできるかもしれないが、自ら和平を勝ち取ることは不可能だ。 彼はウクライナ紛争における軍事的な損害や法外な費用をロシア国民の目にさらさないよう努めている。それでも1年半に及ぶウクライナでの軍事活動は、結果的にウクライナ国民を欧米の側に追いやり、ユーラシア大陸におけるロシアの影響力を再び高めるという長期的な目標にもマイナスとなってしまった。

 さらにプーチン氏が中国を新たな戦略的パートナーとみなす外交政策に転換したことも裏目に出ている。中国は手ごわい交渉相手で、できるだけロシアから利益を搾り取ろうとする傾向がある。おまけにロシア経済の落ち込みによる悪影響が旧ソ連圏に波及したため、中国の中央アジアなどへの進出も許すことになった。

 こうした中でロシアがシリアに地上軍を派遣し、内戦に関与するのは危険極まりない。プーチン氏は、シリアにおけるロシア軍兵士の損害は、ウクライナほどは簡単に隠し通せそうにはない。ロシア軍がイスラム教徒の戦闘員を殺害すれば、自国内で報復攻撃を受けるリスクも出てくる。その上、シリア情勢はこの先制御不能となる恐れがある。この段階で果たしてロシアは、事実上アサド氏個人を救うために十分な援助に踏み切るつもりがあるのだろうか。

 ロシアがアサド氏に土壇場で救いの手を差し伸べたにもかかわらず、結局政権が崩壊してしまえば、プーチン氏の国内における政治的な立場が脅かされる可能性がある。同氏は、14年にヤヌコビッチ政権がもろくも崩れ去った後のウクライナから手痛いしっぺ返しを受けた。

 こうした基盤が弱く、道徳的に破綻している体制を最後の最後まで支援するというロシアの姿勢からは、政府内部では戦略的思考がほとんど働いていない状態が続いていることがはっきりと分かる。
*筆者(Paul Stronski)は、カーネギー国際平和財団のシニアアソシエーツ。米国務省の諜報・調査局でロシア政治担当のシニアアナリストを務め、米国家安全保障会議(NSC)でロシア・中央アジア問題専門の事務方として働いた経験も持つ。 *本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。 ≫(ロイター)


≪ ドナルド・トランプ氏:米国は数百万ドルを費やしているが、誰をサポートしているのか知らない
  2016年米大統領選挙の共和党候補者指名争いに名乗りをあげているドナルド・トランプ氏は、CNNテレビのインタビューで、米国は他の国へ支援を行っているが、実際には誰をサポートしているのか分かっていないと述べた。
  トランプ氏は、「我々は常に武器を提供し、武器のために数百万ドルを拠出しているが、それらの武器は、結局のところ我々に対して向けられる。我々の手では管理できない。
 なぜなら我々は、誰をサポートするべきなのかを知らないからだ。そして我々は、私たちが誰をサポートしているのかさえ分かっていない」と語った。
 トランプ氏はまた、米国は「全世界の警察」の役割を演じようとする必要はないと指摘した。 トランプ氏はさらに、ロシアはシリアで過激派組織「IS(イスラム国)」の拠点に対して空爆を開始したが、それは「ロシアが自分たちの国にISが やって来るのを望んでいないためである」と指摘し、しかし「次なる行動はそれである」と述べ、ISはロシアへやって来るだろうとの見方を示した。
 国際法は、国連安全保障理事会の決定、あるいは自己防衛、また当該国の政府の要請によって、外国で軍事力を行使することを許可している。ロシアは、 シリアのアサド大統領の要請により、シリアでISの拠点に対する空爆を開始した。なお米国が主導する連合は、2014年9月からシリアでISの拠点に対して空爆を行っているが、これは国連安保理を迂回して行われているほか、シリア政府との行動連携もなされていない。 ≫(Sputnik)

現代思想 2015年10月臨時増刊号 総特集◎安保法案を問う
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