世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

解散時期の読み合戦が活発化 表向き11月解散12月総選挙が優勢なのだが

2012年10月29日 | 日記
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解散時期の読み合戦が活発化 表向き11月解散12月総選挙が優勢なのだが

 表向き、衆議院解散の環境整備の動きが出てきた。先の参議院で問責を受けている首相の参議院法会議での所信表明演説は行わせないと云う話になり、ガチンコ対決かなと思っていたら、硬軟織り交ぜた自民の攻めに変わってきたようだ。国民の生活に打撃を与える特例公債法案の審議には応じる、衆議院の違憲是正の問題もクリアしなければならないと言い出した。

 これに応じる野田民主は、野党の特例公債法案の減額補正や復興予算流用減額の審議、快く応じる姿勢を打ち出している。また、衆議院の定数是正問題でも、自民党の“0増5減”を中心に論議し、方向を定めたいとしている。その上、野田は「区割り作業など一定のプロセスを経た後に周知作業を全部待ってからが、国民の権利が守られる選挙だ」と原則論を語った後、「どうしても国民に信を問わなければいけない状況が生まれるならば、首相の専権事項として自分なりの判断をしなければいけない」と定数是正が決まっていれば、新たな区割りが画定する前でも衆院解散は可能との認識を示している。

 以上のような表向きの流れを見ていると、永田町で流布している11月解散、12月総選挙に向けて地ならしが行われていると考えても不思議ではない。長谷川幸洋氏が言うように、消費増税でお役御免の野田民主に、来年度予算編成に関わられる事は、何としても避けたい思惑もあり、財務省総出で、野田首相の国会立ち往生の環境整備に全省挙げて動いているのも事実である。情報収集能力に長けている石原慎太郎が都知事を突如辞任、急遽新党結成に動いたのも、解散間近を感じさせる。

 上記流れだけを見ていると、11月解散、12月総選挙は確実な流れだ。この場合、野田の内閣不信任案可決とかではなく、野田自ら「近いうち解散」を約束通り実行すると云う流れになるだろう。実はこのような流れは、自公にとって必ずしも納得のいくものではない筈なのに、それでも良いか~と云う雰囲気が出ているのは、明らかに財務省の予算編成権への阿りなのだろう。どう考えても、自分の党が大敗北を喫して、下野が確実な解散を、大見得を切って行う政治家はいない筈なのだが、居るのである(笑)。まさか、今さら“俺は約束を守る政治家”を看板に総選挙を戦うとも思えないのにだ。野田には落選の危険すらあるのに(笑)。

 安倍自民が、公明党が強く望んでいる早期解散、総選挙に応じる為には、近々過半数割れするであろう野田内閣への衆議院不信任案提出が、最も判りやすい倒閣の姿なのだが、そこに踏み切ろうと云う気構えは見えてこない。公明党は苛立っているが、安倍自民の姿勢はナマクラである。特例公債法案、衆議院定数是正で、野田民主の仕事は一件落着の筈なのだが、全党挙げて解散を勝ち取ろうと云う意欲は、谷垣に比べ弱含みである。公明党の苛立ちが何処で爆発するか見物でもある。自民党内には来年のW選でも良いんじゃないかと云う空気も流れている。

 10月6日付の拙コラム「“裏読み政局” 臨時国会開催を挟み、“解散先延ばし”で利害一致 の輿石と小沢? 」 http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/1cb1f671c40aaf9e50746741a13e7f53 で、政党助成金の絡んだ思惑もあり得ると云う“裏読み”をし、実質的民主党実力者・輿石幹事長は限りなくW選に持ち込む方向で手綱を握っていると疑念を提示した。田原総一朗が筆者のコラムを参考にしたわけではないだろうが(笑)、10月26日付のコラム「輿石・小沢密談で来年1月までは解散しない」 http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20121025/328127/?top_f1 で似たような認識を示している。ところが、解散が来年の方が嬉しいのは、小沢一郎だけではない点、あらためて考慮すべきだ。

 実は、自民党も選挙の軍資金不足に喘いでいる点を見逃してはならない。石原の新党結成も、エラそうなことを言っているが、年内に結党で助成金を獲得の思惑も滲んでいる。まぁ、たちあがれ所属議員以上の参加がなければ、助成金目当てではない事になるが、どうだろう(笑)。橋下の維新の会は、全員手弁当で選挙を戦えだから、特に助成金云々には関係ないのだろう。小沢の“生活”は当然一定の範囲で党が面倒を見る姿勢を持っているので、財布は重い方があり難いのは当然だ。

 ところで、安倍自民が内閣不信任を持ってでも、野田民主を追い詰めない理由には、小沢一郎が絶対的に安倍自民の野田内閣不信任案に同調するとは限らない不安があるのは確実だ。小沢が先に出した“野党7会派・国民連合”提出の野田内閣不信任案に、心ならずも賛成した苦渋を舐めるわけには行かないのが、安倍自民だ。不信任を出すなら“野党7会派・国民連合”の前に出さざるを得ない。ただし、野田民主が衆議院で過半数割れしていたとしても、小沢の“生活”が同調する確約は得られないと云うことだ。

 小沢一郎が最近口にしている言葉を、シッカリ確認することが肝要だ。消費増税で3党が談合合意したにも関わらず、次は掌返しで“不信任案”提出など、まったく意味不明である、と何度となく発言している。これが何を意味するかと言えば、自公は野田佳彦と談合した間柄なのだから、今さら筋の通らない法案提出の権利を有さないと言っている。つまり、自公が提出する“野田内閣不信任案”の場合は、その時点での議席の具合を睨みながら、欠席又は反対票を投じる政治行動に筋があると言っている。野田を信任するわけではないが、自公の出す野田不信任案には賛成しかねるということだ。この辺は、非常に微妙な言い回しであり、微妙な最終判断が求められるだけに、軽々に是々非々を論じるのも困難である。ただ、短絡的に野田内閣不信任が、成立さえすればプロセスは関係がないと云うものではない。

 日曜日になって、橋下や渡辺が一夜にして、石原の掛け声に応じるような動きが報道されている。この件は明日、分析解説してみようと思うが、確定した流れと云うものでもなさそうなので、マスメディアの憶測や当面石原と揉めるのは避けておこうと云う、両者の思惑のようなものを手掛かりに考えてみる。


PS:28日夜10時過ぎになって、衆院鹿児島3区補選における、実質、自公対民主の対決が、自公の陣営の宮路和明氏の当選で、再び自民党内から早期解散総選挙を望む声が強くなるかもしれない。早期解散にせよ、解散先延ばしにせよ、ことあるごとに議員らの心が揺れ動く“風向き政局”になっているので、臨時国会の開催による日々の僅かな出来毎に、右に揺れ、左に揺れしそうな按配だ。腹立たしいが、理屈で動く政局の状況とは言い難いようだ。

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