世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

出会い系規制法、運用の危うさ

2009年04月25日 | 日記
昨年12月、出会い系サイト規制法(インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律)改正が施行された。いわゆる「出会い系サイト」によって引き起こされる児童(未成年者)の被害を未然に防ごうという趣旨の法律と云う事だ。
簡単に言うと、面識のない異性との交際を助長する事業者は有料無料に関わらず警察に届けろということだ。欠格届出者の規定(未成年者、自己破産、禁固経過後5年未満、暴力団など)も設け、違反者には6か月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる。
届け出をした事業者は広告宣伝するときは、児童(18歳未満お断り)が利用してはならない旨を明らかにし、その「禁止誘引行為」(18歳未満が対象となる書き込み等)が行われていた場合には、速やかにその書き込みを削除しなければならない。上記違反は行政処分の対象となる。登録者が18歳以上であることを証明、一般的にはクレジット決済で18歳以上を確認。
この法律を知ったとき筆者が感じたことは大きく二つのことだった。一つは警察を通して各公安委員会に「出会い系サイト」が届けられることによって、実存の男女が存在しない「泡沫出会い系サイト」が生存できなくなり、優良?な「出会い系サイト」だけが生き残ると考えた。
ところが蓋を開けてみると届け出をさせるだけであって、届出受理番号を出すものではない事が分かった。つまり取り締まる側が情報を把握するだけで、ネットユーザ側に何の価値もないことが分かった。
届出受理番号くらい提供するものと思ったが、法律ではそもそも「出会い系サイト」を利用する人間に利便を提供する気持ちはなかったようだ(笑) どっちもどっちだ、勝手にくたばれという事なのだろう(笑)
しかし、一時はこの「出会い系サイト」のお蔭で婚姻率が上昇したと騒いだはずである。「泡沫出会い系サイト」の締め出しも有意義なわけで、届け出受理番号くらい発行すべきである。
次に感じたことは、「出会い系サイト」から各コミュニティ(SNSやプロフ)へ、未成年者が大移動するのではないかと云うことだったが、これはズバリ当たった。
ところがここに来て様相は一変した。予想通り未成年者が「出会い系サイト」以外のコミュニティ(SNS、プロフ)に関係して被害に遭う事件が多発、出会い系を凌いだのである。
おそらく、法律ではコミュニティサイトを想定していなかったはずだが、上記「出会い系サイト規制法」の趣旨に準じて、それらを指導と云う形で法律の援用という手段に出てきたようである。この4月2日、ミクシィ、モバゲーといったSNSに対して警視庁が異例の要請を行い、多くのコミュニティが削除されてしまった。
300以上のこれらコミュニティは出会い系サイト規制法に抵触する疑いがあると脅かしたのだろう?これらコミュニティ中には極めて健全に育ち、育ち過ぎて中年と呼ばれるような国民も多数参加していたわけだが、問答無用削除の憂き目に遭ったようである。
問題はこれらコミュニティへの未成年者参加を明確に規制する法律がない、逆に言うなら「出会い系サイト」の定義を明確にし過ぎた所為である(笑)そこで件の削除要請という、優しい強持て戦術に出たようだ。
これらコミュニティはモバイルコンテンツ審査・運用監視機構の認定を受けた「健全サイト」として存在価値標榜しているだけに、「出会い系サイト」と見做されることへのリスクを優先して削除に応じたようだ。
かくして1件落着なわけだが、こんな調子で優しい強持ての管理社会が通用するのも危険なことである。
正直、未成年者の保護という名目だけで、成人の国民が言論の自由やネットの利便性を行政の円滑な業務遂行の為に規制を強いられるのは如何なものかと思うのである。それも気づかない内に実施される点が最も危険なのだと思う。

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