【なぜ、沢を遡るのか】
いくつかの登山スタイルがある中で、沢の地形や水と自然の美しさを楽しむためです。
また、昔は登山道が整備されていなかったため、沢を遡って山頂を目指すことで、ヤブ漕ぎを避け楽に山頂に到達できたという歴史もあります。
と、とあるAIは答える
なるほど、沢の地形や水と自然の美しさを楽しむ、か
確かに「わぁー綺麗!!!」とか、「この造形いいね!」とか、「コントラストが素晴らしい」とか言っちゃうよね
そして、「来てよかった!」って思うよね
そう、そうなんだけどさ
なんかこう、何かちょっと足りないような気もするんだよね
「何が」といわれると、うまくは言えないんだけどさ
例えば、沢での一場面
話せば長ーくなるけど、いい?
2025/5/18 那珂川水系、箒川・赤川本谷
塩原の温泉街を抜けて日塩もみじラインに入る
ほのかに漂う硫黄臭を感じながら車を走らせる
日光と塩原の境界近く、路側帯に数台駐車可能な場所があるのでそこを起点とする
ここからいったん車道を塩原方面へ戻って、ハンターマウンテン入口向かいの林道に入る
しばらくは舗装路でウィンターシーズンにスキー場の駐車場となっているみたい
さらに先へ進むと、林道らしくなってくる
途中からこの林道を離れて鎌研沢と赤川の出合に落ちる尾根へ進む
藪は少ないので苦労はない
歩きやすそうな場所を選んでいくと、赤川との出合からわずかに上流の鎌研沢へ出た
ここで装備を付けて、いよいよ2025年の沢登シーズンが始まる
【なぜ、沢登を推すのか】
等高線の狭間
山谷をどうやって繋いで巡るか
目の前にある滝や淵をどうやって越えるか
自分で考え、決断して遡る
それがいい
「体は濡らさないようにしましょう」
「沢には下らないようにしましょう」
一般登山で忌避すべきことを制限しないという爽快感
これもまた沢登の醍醐味だ
赤川に出合うと、流れはいくらか白濁している
上流に行けば行くほど沢床は赤茶に染まり、流れは青白濁となる
これらは上流で流出する温泉成分によるもの
赤茶は酸化鉄成分の沈殿
青白さは泉質と可視光線の融合によるもののようだ
ここにしかない自然のハーモニー
そしてこう口をつくのだ
コントラストが素晴らしい、と
しばらく河原が続く
そこら中に幕場適地があり、支流があれば飲料水も確保できる
新緑が美しい季節、野鳥の囀りに耳を傾けながら一泊するのも楽しいだろう
道中、沢登の留意点や山のあれこれを話しながら歩いていくと赤茶けた堰堤が門番のように現れる
ここは右岸の泥壁ルンゼをロープ&チェーンスパイクで行く
今日のメンバーはisiさん、skmさん、nksさん、そしてsakの4人
沢では初顔合わせのメンバーもいるので慎重さを以て巻きに入る
この先、時に腰上まで流れに浸かる
さすがに冷たくって、思わず「はぅぅー!!」と体が縮みあがって声が出る
【なぜ、股間が冷えると「はぅぅー!!」ってなるのか】
とあるAIによると答えはこうだ
股間が冷えると「はぅぅ」と思うのは、主に以下の理由が考えられます。
<生理的な反応>
股間は、体の中でも特に冷えやすい部位の一つです。
冷えると、身体がそれを感知し、防御反応として筋肉が緊張したり、血管が収縮したりします。
これが「はぅぅ」という感覚に繋がる可能性があります。
とはいえ、みんな楽しそう
その姿は、まるで子供のよう
しがらみも、不安も、悩みも忘れる一瞬がある
それが「股間が冷えた瞬間」の真実なのかもしれない
そして現れる板状節理の5m滝
赤茶の滝に白泡立つ流れ、そして青味がかった乳白の釜
滝前に鎮座するステージのような岩がフォトジェニックな佇まいで、この造形いいね!と皆はしゃぐ
滝自体は階段状なので特に問題ないが、滑るので注意は必要だ
ここから程よく滝が続く
次の5mは釜を左から回り込んで水流左を行く
少し細かく滑りもあるのでロープを出す
大滝20mはその景観といい、直瀑といい、なかなかの迫力
ビレイ中、瀑風に吹かれてとても寒くて震えがきた
ここは巻き気味に左岸の泥壁を直上し、落ち口目指してトラバース
所々にフィックスはあるが、高さもあるのでロープとチェーンスパイクを装着
ビレイしているときは、落石にも注意が必要
どうやら装備表に「バイル」を記し漏れ、一部メンバーには少し怖い思いをさせてしまったかもしれない
リーダーとして、今後の反省点だ
沢を楽しむには、体力や登攀力だけが素養ではない
山谷を歩き知見を得て研究し、対策を講じて次に活かす
それを繰り返して、素養を積み重ねる
もちろん、基礎学習の機会創出は先達としてなんとか都合をつけている
是非この経験を足掛かりに「主体的な学びの実現」をしてほしい
そして、次なるリーダーを目指していただきたい
【自らの意志で選んだ場所】
山行を計画し実行する
もちろん山仲間を育成することで、自らの山を広げることも理由の一つ
だけどそれは一番じゃありません
自立した山行は山谷を越えるごとに、素養の厚みが増す
厚みが増せば、自ずと「本当にやりたい山」が見えてくる
写真映えがいいとか
標高が高いとか
誰かが選んだ名山とか
そういうのじゃない、自分の山
自らの意志で選んだ場所
その山谷を目指す喜びを知ってほしい
なぜ、共に山へと向かうのか
ただただ、その想いだけなのです
大滝を越えれば、しばらく平和な沢歩きが続く
淵が続く廊下は左岸からスダレのように流れが落ち、緑が煌めく
ヤシオツツジの彩りもアクセントとなって、実に美しい光景だ
思わず、わぁー綺麗!!!と声が出る
10m滝を左岸から巻くと、右岸に温泉の湧き出る岩がある
水温は冷たく、特に色も匂いも感じない
これで温泉と言ってしまうのもどうかとは思うが、「温泉法」という法律では摂氏二十五度以上の温度、もしくは指定の物質が規定以上に含まれていれば「温泉」と謳えるのだそうだ
指定の物質かどうかはわからない
しかし、これより下流ではこの鮮やかな発色があるのだから成分は相当濃いのだろう
次第に沢も開けて明るい雰囲気
12m滝を左岸から巻くと、右岸になだらかな小尾根が見える
日塩もみじラインの横断する橋まで行こうと思ったが、ここで遡行を終えてこの小尾根に乗ることにする
藪のない広葉樹の林を気分よく詰め上げると、車道が見える
丁度、日光と塩原の境界線をなす尾根だ
車道に出れば駐車した場所まで五分と掛からなかった
今日という日を振り返る
来てよかった!
そう思える山行だった
次は何処に行こうかな♪
と、想い馳せながら後片付けをしているとskmさんから「sakさんのパンツ、年季が入ってますねぇ」と声をかけられた
あぁ、これね。これはさ・・・
【なぜ、年季の入ったパンツを履き続けるのか】
沢登りには多くの局面がある
水に浸かり、泳ぎ、岩を登り、泥壁を這いずり、藪を漕ぐ
一見、泥臭き不快な行いを、楽しく実践する魅力的なアクティビティだ
この行為を、とても高価かつ新しいウェアで行うことになったらどうだろう
きっと、こう思うに違いない
「ちょっと嫌だな」
そこで登場するのが、現役を引退しそうな山パンツ
控えの控え、普通の感覚なら棄てることを検討するレベルの代物だ
だけど、ちょっと待てよ
沢ならまだイケるんじゃない?
穴が開いたら、補修する
汚れが落ちなければ、我慢する
他人からどう思われるかなんて気にしない
そうして沢専用パンツとして生まれ変わるのだ
そうこうしているうちにとても愛着がわいてきて、容易に捨てることはできなくなる
むしろ「こんなに使い込まれたパンツは、そこいらにチョットないよね」と誇らしく、カッコいいとさえ思えてくる
受け継がれるものへの愛
時代の流れに遡る反骨心
呪縛からの解放
へこたれることなき、ドM体質
それが「沢ヤ」の心意気
沢を遡るということなのだよ
※あくまで個人の感想です
効果・効能、体質には個人差があります
沢登は楽しく安全に遡りましょう
sak
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