11月30日
鳥ってのは、雨が降り出すと巣の中でおとなしくするもんだと思ってたけど違うね。雨が降り出すと、やたら活発に飛び回るんだね。
スズメなんか、日頃、姿は見せるんだけど個体なんだね。それが雨が降り出すと群れになって現れるね。
枝にとまって体奮わせて意気盛んだよ。群れで濡れた地面をついばんで、なに食べてんかね? そいでもって愉しそうなんだよ。
西洋人みたいに濡れるのを喜んでるね。で、不思議なのは、日頃、我が空を飛ぶような厚かましい真っ黒けのカラスは姿を消すね。
こらあ、どういうことだろうかね? 他所の土地でも同じなんかね?
カラスは濡れるのが嫌いなのかなあ? で、鬱陶しいカラスが姿を消すのを知ってるから、弱いスズメが、安心して羽根伸ばすのかね?
そんなことを考えながら窓の外を眺めてたら、ヒヨドリのつがいが目の先の月見草の枝に飛来して鶏冠(とさか)の毛を立ててるよ。
北海道から、遥々、来たんかねえ? 遠路遥々ご苦労さん。
昼頃になって西の空に青空が覗いてる。晴れはしなくとも雨は上がるね。
昼下がり、「★★ちゃん、気晴らしに出てきた」 と、おませな中1の女の子。今日は休みだったのか? 「テスト勉強」 ああ、そうか。珍しく一人だね。
高1の女子が、さっきから「★★ちゃん、映画行きたい、★★ちゃん、行こ」って、同じこと繰り返して云ってる。困った子だねえ。
「★★ちゃん、追い抜かれてん」 なにが? 「〇〇〇に背を抜かれたあ」 ああ、ホントだね。おませな女の子に遙かに抜かれてるよ。
おまえもバレーボールしろよ、不思議とバレ-ボールする子は伸びるよ。「いやや」 じゃあ、寸詰まりでも、大らかに笑ってろ。
「★★ちゃん、何処か連れてってえ~」 「★★ちゃん、映画行きたい」 こういうのは、なんなんだろうねえ? 自分を安く売るな、馬鹿者。
彼氏、探して来い。「おらん」 座布団を頭に載せてるような頃からは、少しは身を構うようにはなってるかねえ? 次は、心を構え。
男も女も、武士は喰わねど高楊枝の誇りを持たねばいかん。「★★ちゃんっ、当ったあ」 おませな女の子が、ダーツもどきに真剣に興じていて
的の中心の小さなハートのマークを射止めて万歳してる。おお、やるねえ。「上手くなったやろ?」 うん、なんでも磨けば光るもんだね。
「★★ちゃん、ピアス買ってえ」 まだ、云うとるわ。鼻輪でも付けんのか? 「ちゃうわあ、耳に穴開けんねん」 やめとけ。「みんな、やってるわ」
こざっぱりした子と、もっさりした子って、何処で分かれ道になるのかねえ? 女の子には、そんなの、むけむけには云えんからねえ。
神さんも、もうちと思い遣ったれよ。この高1の女子に背丈をやれよ。世の中は、公平じゃないねえ。この二人を見比べると偏りすぎだよ。
色白で綺麗な肌してしなやかな髪の毛に恵まれた上に背丈も伸びる子も居れば、アマゾンの土人みたいに、ドッサアと毛に覆われて背の伸びない子も居る。
性格は、穏やかにはなったね。小6の頃は、しつこく居座るので、もう出ろ、出ろって追い出すと、「触るなっ、変態っ」なんて、決まり文句だった。
アホか、オレにも好みがあるわ、なんて云い返して放り出してた。「おまえも、おまえやね」 そうかあ? 事実だから仕方がないよ。
狭い環境で感じたことだけど、美人とブスってのは、育ち往く心根に、大きな影響をもたらすもんだね。まず、話し方に、其れが出るね。
おませな女の子も、時折、口が悪いんだけど自制力で止めるね。様子を意識するのかね? いつもの連れの子は、止め処なく言葉が汚いんだね。
人は、言葉から崩れるぞって、云うと舌出して反省の気はあるんだけどね。「禿げ親父」「天辺禿げ」なんて攻撃しよる。高1の女子もそうだよ。
うるさいっ、目潰し光線くれてやるって蛍光灯の反射で攻撃するんだよ。「なにをやってんねん?」 残念ながら失明まではいかんねえ。
しかしね、おませな女の子は、「★★ちゃん、まだ、毛があるやん」って、庇ってくれるんだよ。この差だね、この差がひらいていく違いじゃないの?
攻撃されるぶん、攻撃するって、悪循環なんじゃないんかねえ。「連れの子はブスなのか?」 漫画みたいな顔してるね。
兄貴に、毎度、ブスッ、ブスッて、云われ続けて大きくなったらしいよ。「よくないね」 だから、オレは、些細なことでも褒め続けてやるんだよ。
自信だよ、大事なのは。自分を認めてくれる人間の存在ってのは、人には、必要だと思うよ。自分を捨てないよ。拾い上げる自分が健在なんだよ。
どうしようもない高1の女子も、褒めてやるんだよ。よく頑張るな、えらいって、顔合わせるごとに些細なことでも褒めてやる。
学校サボって行かなかった子が、毎日、通学して、学校で有ったことを、逐一、報告して「愉しい」って、言葉が出て来たよ。
今は、アマゾンの土人でも、心根腐らず生きていけば、どんな人に成長するやも知れないよ。見かけで、人は、決められないからね。
「★★ちゃん、コンビニ行こうか?」 ああ、いいよ、煙草も切れたしね。オレの膝の上でお話し聞いていた幼い子が、肩を並べて歩いたら
然程の差もなく大きくなったもんだねえ。「ああ~、もう、帰りたくないわあ~」 嫌を克服して頑張ったことに無駄はないよ。
コンビニから帰って来て、「★★ちゃん、勉強、頑張るわ」 おう。 おませな女の子もお姉ちゃんになったね。
今日は、土曜日だってのに残業かよ。疲れて帰って、遅くにパソコンの前に着いたら、今日、有ったことがつらつらと打てた。