『MI5:消された機密ファイル』 2015年2月26日
人が亡くなるってのは風のようだね。いつも顔を合わせれば笑って一言、二言、言葉を交わしていた近所のご主人が肝臓を患って亡くなられた。
4~5日前、外で煙草を吹かせていたら杖をついて来られたので、いつもと変わらず挨拶を交わして、そのお顔を見て内心吃驚した。
真っ黄色だったんだね。黄疸だね。頬が削げ落ち話される声も張りがない。ご主人、寂しいでしょうが入院してのんびりされた方がいいですよ。
「いいやあ、行ったら帰って来れんですよ」って、笑いを浮かべて元気なく応えられる。「脚がねえ、こんなに腫れて歩くのが大変ですよ」
見るからに弱られたのは、つい最近だけど、その進行が速いように感じられた。考えたら、そのときが最期だったね。
何も変わらず一日、二日と過ぎるように、なんの気配すら無いままに彼の世へ旅立たれたね。今日も、何も変わらず流れて往くよ。
生も死も、日常の中のあちら此方に散りばめられて我が身が触れぬ処で、極、当たり前の風景のように流れているんだね。
地球より重たい命のはずなのに、我は、此の世でたった一つという主人公のはずなのに、枯葉が枝から舞い落ちる如きの一生の終わりだね。
オレも、いずれは舞い落ちて風に飛ぶ。風景の中の自分ではなく、オレが飛んで行くと思ってくたばろう。
勝手ながら週単発の更新に切替えたら風呂上りのビールを安心して呑めるよ。仕事から解放されて湯でダコなってビールが美味いっ。
こんな開放感は久しぶりだね。好きな映画も、ゆっくりと観れるよ。船を漕ぎ出したら無駄な抵抗せずに布団で寝れるよ。
春になったら休みの日は外へ出かけよう。ヘボな感性に刺激を与えて生き返らさねばならん。くたばるまで戦ってやる。みちょれ。
『レイチェル・ワイズ、 ビル・ナイ』
映画らしい映画を観たよ。『MI5:消された機密ファイル』 ビル・ナイ レイチェル・ワイズ レイフ・ファインズ出演 2011年度英国
主役のビル・ナイって役者は、あまり馴染みがないんだけど初老の紳士って雰囲気でいいねえ。
静かな映画なの。MI5は、英国情報機関の部署名、ちなみにMI6ってのは、かの007なんかが所属して国内外に活動する部署なんだね。
ビル・ナイは、国内活動が主なMI5で長く活躍してきた諜報員なんだけど、インテリチックで英国紳士を彷彿とさせる人柄。
意味のないことなどペラペラとオレみたいに喋らないの。簡潔な表現で事足りるんだね。無駄がないんだね。
頭の天辺も禿げてんだけど格好いいんだね。知性が、其れをカバーして格好良さに変えるあたり相当の人だよ。
わりと真面目に観ていたんだけど、情けなや、最期が解らない。問題となる機密文書を空港のゴミ箱にポイと捨てるんだけど、どういうことなのお~?
此れが解らなければ何にも解ってないんじゃないの? 心地よい静かな展開のなかに緊張感の線がピンッと張られて引きずられて魅せるんだけど
最期の締めが、いまいち納得いってないんだね。これはどういうことなの? あちら此方でべた褒めしてる映画紹介のネタバレ探してみたんだけど無い。
『ビル・ナイ』
英国首相が隠しおうしたい機密文書を報道させたんだけどテレビで英国首相は笑ってる? 機密文書はゴミ箱へポイ? 解らんなあ~意味不明やなあ~。
「ビール呑んだあ?」 当然だよ、呑んだよお~2缶。気持ちいいんだよ。
なんで、英国首相のレイ・ファインズはにこやかに笑ってるんだろ? ヤケクソか? で、ビル・ナイは、何処となく姿を隠すために飛行機で海外へ?
もう一回観んと解らんね。「こんな紹介だけでは おまえが、何を解らんのかも、何がなにやら、さっぱり解らんやないか?」
紹介してるオレが解らんのだから仕方ないよ。しかし、映画の醸しだす雰囲気は実に良かったよ。ドタバタ一切なしで魅せる映画だね。
上手い紹介されてる記事が多いから検索して理解して。「なんちゅう奴や、ズボラもええとこやないか」 映画を観れば全てが解るよ。
『ソンムの戦い』
此の映画で、ラストに流れる歌がいいねえ。平原綾香の『ジュピターJUPITER』ってグスターヴ・ホルストの「木星」(管弦楽組曲『惑星』の第4曲)の
旋律のエエとこ取りして創った歌があったね。実は、英国では、1918年に同じく、この間曲に歌詞を載せて歌が創られていたんだよ。
其れも愛国歌なんだね。イングランド国教会の聖歌でもある。『我は汝に誓う、我が祖国よ』 "I Vow To Thee, My Country"
『惑星』は1916年の作曲らしいね。1918年、イギリスの外交官セシル・スプリング=ライスの作詞とある。
当時、ヨーロッパは第一次世界大戦の最中(さなか)であり、一番では祖国への忠誠心を、二番では平穏の理想の国家について言及している。
ダイアナ妃がこの聖歌を好んだとされ、チャールズ王太子との結婚式で演奏されたほか、ダイアナ妃の葬儀の際には長男ウィリアム王子の要望で演奏された。
World War 1 I vow to thee
『我は汝に誓う、我が祖国よ』
第一次世界大戦における最大の会戦は、フランス北部・ピカルディ地方を流れるソンム河畔の戦線において展開されたソンムの戦いなんだね。
この戦いでは、大戦中、連合軍側、同盟軍側ともに最大の死傷者をだした。
連合国側のイギリス軍・フランス軍が、同盟国側のドイツ軍に対する大攻勢として開始し、最終的に両軍合わせて100万人以上の死傷者を出した。
此の1916年7月1日から同11月19日までの大攻勢で連合国軍側は、敵領地に侵攻したが最終的に勝ち得たのは、なんと僅か11キロの範囲だったんだね。
この戦いで双方の死傷者は、英国、419,654人 仏国、204,253人 計、623,907人(内死者不明者 146,431人)
独国、465,000 - 600,000人(内死者不明者 164,055人) まさしく、人的消耗戦の一語に尽きる戦いだね。
両軍が築き始めた塹壕線は、やがてスイス国境からベルギーのフラマン海岸まで続く線として繋がった。いわゆる「海へのレース」である。
第一次世界大戦ヨーロッパ戦線は、この塹壕の奪い合いが主で、1914年7月28日~1918年11月11日の間において、
連合軍側の戦死者 553万人、戦傷者 1,283万人、行方不明 412万人。同盟国側は、戦死者 439万人、戦傷者 839万人、行方不明 363万人。
このソンムの戦いに関わらず、此れに匹敵する多大な損害を量産した会戦も多く、銃砲火の前に生身を曝して突撃する正攻法の繰り返しが塹壕戦なんだね。
スティーブン・スピルバーグの映画「戦火の馬」は、このソンムの戦いが背景になってる。
4年程の年月で770万人ほどの人が行方知れずとなるなんて普通じゃ考えられない数字だね。肉や骨が粉微塵に砕け散って痕跡残さず亡くなったのかね?
累々たる泥沼に填まり、もがき苦しんで死んだ穴が墓地となったのかね? 当時は、まだ、騎士道華やかかりし夢に勇み立ち、我も我もと戦地に
赴く若者が多くあったと云う。当地は、想いとは、はるかに裏腹で地獄の沼に這いずり回り堵殺の様相甚だしく打ち砕かれて弾丸(たま)の中だね。
祖国とは誰のものぞとは、離れて気付くものかも知れん。我が血を流して永久(とわ)に平和にあれと想うものかも知れんね。
『我は汝に誓う、我が祖国よ』の一番の歌詞は、この第一次世界大戦でイギリスが被った多大なる犠牲者たちを強く意識して作詞されたようだね。
これは、戦前に既に完成していた歌詞を外交官セシル・スプリング=ライス氏が戦中に急遽書き換えたとされている。
『フランスのハイ・ウッド・セメトリー イギリスでは赤いポピーが第一次世界大戦における犠牲の象徴とされている』
『我は汝に誓う、我が祖国よ』(I vow to thee, my country)
祖国よ、地上の万物に勝り、
完全無欠にして余すなき祖国よ
我れは汝に誓う、
かくの如き愛を捧げん事を
疑義(ぎぎ)を呈さぬ愛、
試練に耐え抜く愛、
最愛の人 最良の友をも
贄(にえ)に供する愛、
磐石不動の愛、
恩に報いる愛、
怯(ひる)まず至高の犠牲を払う愛を
我は祖国に捧げ奉(たてまつ)らん
I vow to thee, my country,
all earthly things above,
Entire and whole and perfect,
the service of my love:
The love that asks no question,
the love that stands the test,
That lays upon the altar
the dearest and the best;
The love that never falters,
the love that pays the price,
The love that makes undaunted
the final sacrifice.
『ソンムの戦いの実写』
また他なる国あるを
久しき昔日(せきじつ)に我は聞けり
それは、愛する人には最愛の国
知る人にとっては至上の国
国軍は数えること適(かな)わず
国王には見ゆること適わず
その護(まも)りは誠実なる心
その誇りは艱難(かんなん)
そして精霊はつぎつぎて静寂に
その光満てる境は広ごりて
その優しき心のゆくところ
遍(あまね)く平穏が訪れんと
And there's another country,
I've heard of long ago,
Most dear to them that love her,
most great to them that know;
We may not count her armies,
we may not see her King;
Her fortress is a faithful heart,
her pride is suffering;
And soul by soul and silently
her shining bounds increase,
And her ways are ways of gentleness
and all her paths are peace.
Remembrance Day- Poppy Day 2014
I Vow to Thee, My Country
以下は、第一次世界大戦を描いた絵画。写真とは、また違う趣だね。
『GOOD BYE OLDMAN』 フレッド・マタニア作
苦難をともにして戦ってきた愛馬が息を引き取る瞬間、兵士の表情がなんとも云えず切ない絵、と説明書きがある。『戦火の馬』だね。
オレの話は、何処へ飛ぶやら解らんね。