2016年12月7日
休みなしで片付け連続だから身体中がホンマに痛いよ。遅々として進まんは、気は焦るは、時間は刻々と経っていくはで参ったね。
休みの日は朝から晩まで黙々と片付けてヘタヘタで風呂に入って飯食っておこたで寝てしまうよ。
明日は、衣服を大量処分の予定、寸法合わないとか、二度と着ることないとか、婆がよそ見してる間に袋に詰めてポイだよ。
「アンタッ、私の服は私がチェックするから手出ししなやっ」 おこた入ってパソコンばかりして、おまえ、なんにもせえへんがな。
「調べものが忙しいんやっ」 じゃあ、調べものしとけ。「そうはいくかっ、あんたは、自分のを片付けたらええねん」
おまえな、食器ものも自分でやるって云ってるけど、ようやるかあ? 半端じゃないよ。「そんなもんできるわいな」 口だけやないかえ。
「あんたはな、あんたの洋間に入るものだけ考えてたらええねん」 「あんたと私は廊下を隔てて他人同士や」 そらあ、結構ではあるよ。
「私は、和室とリビングは私の思い通りや」 ええよ。 和室の押入れに納まるかあ? 「広いリビングに置いてから片付けもできるっ」
配置としては、玄関に向かって広い廊下の突き当たりに12畳の洋室だから出入りに目が差さない、この独立感と自由感がええねえ。
「あんた、〇〇〇〇のお仏壇、これに決めようか?」 もう決めたんじゃないのか? 「木目がいいかなあ?」 張り込んでやり。
『写真選んで貼ってる時間がないよ』
「あんた、〇〇〇〇の机、どっちにするねん?」 長い方がいいよ。「コーナーとセットの机は、あの子、張り込んだええもんやで」
オレも、ええなあとは思うんだけど、兎に角、クソ重たいんだよ。長い机のほうは180センチもあるから、こちらを貰うよ。
「ほなら、リサイクル屋さんにお願いするで」 うん。あいつ、どこで、どうなったのかねえ、フルに使い切る気で居ったのにねえ。
昔、ボロ机を捨てて「おとん、此れ使い」って、今の大きな机をくれよった。これでも大きいのに、今度は、もうひとつ大きな机をくれるんだね。
おまえの180センチの机でパソコンするよ。もう一つ、パソコンを買う積りだよ、二つ、並べるんだよ。
〇〇〇〇、非常用だよ。息子が笑ってるよ。おまえは、センスがあるね、いい机だよ。息子よ、オレの駄文を見ていてくれよ。
コンビニの抽選で当たったポケット瓶のヘネシーのコニャック、長いこと呑まなかったんだけど、ひとくち、口に含む、美味いねえ。
日本コンプレッサーか、おまえは、この会社の看板が大好きだったねえ。片付けしてたら、おまえの写真に目が止まった。
此の地に移り住む前年の5歳だったね、自転車で相変わらず走ってた。西淀川区の隅々まで走り尽くしたね。
淀川の河口方面の右岸、堤防上の道路を走って右手の看板が見えてくると 「日本コンプレッサーッ」って云って興奮するんだね。
工場の屋根に建ってるなんでもない薄らボケた看板なんだけど、自転車を降りると、まじまじと見詰めて「日本コンプレッサーッ」
看板を背に写真を撮ってやった。その写真を手にして、何気に裏を見ると 「幼い字で年月日と日本コンプレッサー」って書いてある。
〇〇〇〇、おまえは首が座る頃から、ずう~とお父さんと一緒だったね。おまえの幸せな顔を思い浮かべて思い出の道を二人で走ろう。
もう、残す時間の限界が来ておるね。パソコンの場所が確保できない状態になって、いよいよ、はっちゃかめっちゃかになって来たよ。
やだねえ~。寝るとこもなくなってきた。追い込みで気合入れないと片付けることができない。
あと一週間ちょいだよ。予定を立てると、なんで、こうも日が経つのが早く感じるんだろう? 明日は、仕事終えたら用事で出かけねばならん。
痛いねえ、貴重な時間が削られる。此の休みで時間を稼いでおかねばと気は急くんだけど、一息入れて煙草を吹かせてる。
もう、ガラクタの中に埋まってる。ベランダに出て深呼吸、外の空気は新鮮だよ、
明日、家の鍵を仲介さんから貰い受ける、リフォームを終えて綺麗になってんだろうかね? 見ないことには何とも云えん。
「あんた、仲介さんに鍵貰ったら、其の足で家ん中を見に行くで」 そうだね。「帰ったら、アマゾンのカート入ってる品物注文せなあかん」
LEDの照明具に山善の温風器、脚立、クリック、ポンだよ。「わたしは、8日に家へ行って配達待ってるわ」 そうだね。
引っ越し代ケチるから人一倍しんどい目せんならんよ。 「そんなもん、安うに越したことないわいな」 おまえは、ええのお~。
しんどいのん、全部、オレんとこへ回ってくるがな。「引っ越したら、嫌、云うほど寝とったらええねん」 まあ、そういうことだね。
なんもかんも、時期が重なってバタバタ追われて、其のおかげで、或る意味、息子よ、お父さんもお母さんも救われてんだろうね。
朝から深夜まで片付けまくって、もう、ヘタヘタになっちゃったよ。
つくぶって荷造りしてると腰が痛い、押入れの2段目を空かして作業場に活用して立ってやる。ええアイデアだね、楽だよ。
玄関に要らぬ荷物を持ち出しては所狭しと置いていく。てんこ盛りの山積みだよ。足場の踏み場もないよ。
台車に糞重たい本の束やらゴミを乗せて、何度も、何度もゴミ置き場に運び出す、間髪入れずにピストン作業だよ。糞っお~、負けへんぞ。
しかし、オレって、油にのると歳忘れて頑張りまくるね? だから、奥さん、任せきりで、全然、知らん顔だよ。この糞婆め。
兎に角、荷物を減らす、とことん減らして身軽にならねばならん。無意味に眠ってる糞荷物を一掃するためには止まらんぞ。
詰めて詰めて隙間のない押し入れなどロクでもない空気しか入ってこん。家風に新鮮な空気を流さねば良いことはおきない。
考えたら西淀川区から此方へ引っ越ししたときは、急いでいたから何でもかんでも運び込んだんだね。いかんかったねえ。
仕事に追われて歳月は流れて20年ぶりの大掃除だよ。釣りの防寒着の上下、ヤッケの上下、どうする? もう、着ることはないだろ?
寝袋も二つある、ひとつは本格的な高価なやつだよ。何かの景品で当たったと記憶する。でも、この歳なって寝袋入って野宿するかあ?
奥さんに家を放り出されたら役に立つだろうね。防寒着に寝袋、温かいだろうね? 「最悪のシナリオだろ?」 人生は解らん。
釣りの長靴も出てきたよ、ダイワ製だから安もんじゃないよ。膝のところでマジックテープで巻き止めるやつだよ、恰好いいよ。
何かの災害時に非常用に仕舞っていても身に着ける時間があるやら無いやら解らんしね。
枕持って飛び出してパジャマで震えているやも知れん。夏場に飛び出して防寒着に身を包む奴も居らん。
そんなの考えたら馬鹿クサイね。捨てちまおうか? 置いておけば場所を塞いで邪魔になるだけ。此処が考えどこやね。
考えたら防寒着を着こんで役に立ったのは、秋深い頃、土曜の仕事明けに、深夜、車飛ばして南紀に夜釣りに行って、竿を用意して
当たりを待ってる間に寝込んでしまって夜露に濡れて冷え込んで凍らずに済んだことぐらいかね? 「釣りは?」 夢の中だよ。
みんな寝てしまってるんだけど、眼の堅い奴って一人は居るね。そいつだけだよ、夜釣り通しで頑張ってたのは。
朝まづめの喰いの立つ時間が去って日が昇った頃に、みんな目覚めて視界は黄色っぽかったね。寝トボケもいいとこだよ。
防寒着上下、ヤッケ上下、寝袋二つ、明日、ゴミ箱に捨てよう。20数年もの長い間、仕舞ったまま忘れてたものなんか無いに等しい。
「長靴は?」 雨の日に履くことあるかな? 「ないだろ?」 まあ、この長靴は転居先のベランダに置いておこうか。
仕事を終えて電車に乗って仲介さんに鍵を受け取り、その足で転居先を見て来たよ。リフォームが完了されて綺麗になってるよ。
オートロックのエントランスから一階の部屋の前、受け取った見慣れないカード型の鍵、シリンダーに挿し込んでも開かない。
「あんた、説明書見たやろ、こうすんねん」 「あれ?こうかいな」 「はあ~ん、こうやっ」 開かないよ。「おかしいいなあ?」
貸してみい、ダイヤル回して上の位置で挿し込んでカチッて音が鳴ってるだろ、このまま右に回して抜き取る、カチャ、開いたがな。
「あらまあ、左とちゃうんかいな? こういうのより普通の鍵の方がええわ」 あんまり見かけないね。
ミッション・インポッシブルみたいな雰囲気やね。何度かやって見せて要領心得た? 「うん、解った、慣れたらどうってことないな」
玄関入って框(かまち)のある広々した玄関周り、広々としたスペースのフローリング廊下、此の一角だけで満足するね。
突き当たりの12畳の洋間、なんかワンルームみたい。奥でリビングの様子を見て回ってる奥さんの声が届かず遠いんだね。
カーテン寸法や箪笥などの配置などをメジャーで測ってメモが忙しい。うまい具合に広くて綺麗な部屋に当たって良かったね。
こうして鍵を受け取って決まってしまうと、やっぱり、オレは、何故か家や部屋だけは、うまい具合に良いのが当たる縁あるんだね。
何も無いスッキリした洋間、大きな机にパソコン並べて椅子とソファ程度、ガサツな雰囲気よ、さらば、夢に近づいたね。