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『恋愛専科』 1962年アメリカ映画 2016年6月17日
さあ、そろそろ昼飯の時間、外に出て表の景色に目をやってると手を振って彼女が笑って来るよ。おまえは、いつも元気そうだね。
就活の帰り、黒いスーツに身を包んで凛々しいね。何か用事があるでもないし、これと云って話すでもないのに、よくも、まあ、続いたもんだよ。
ほんの少しの報告をば聞きながら散歩がてら送ってあげるんだけど、この娘(こ)の生活回路に組み込まれてんかねえ?
そういえば、オレの生活回路にも組み込めれて双方一巡しては繰り返される仕組みだね。
電流が滞りなく流れてんだけど、その電流は何に働きかけてるのかが解らない。ただただ流れて回ってんだね? 2アンペアだね。「解ってんかえ?」
そんなの解ってたら電気屋さんになってるよ。考えたら、オレは彼女のバッテリーかも知れないよ。「イングレスか?」 ああ、仕舞ったままだね。
純日本製のバッテリーだよ。これドコチャイナ?なんて安もんじゃないバッテリーだよ。「お前は補給係かよ?」 かもね。
そういえば、いろんな娘(こ)が事務所を覗きに来ては、何やら話してご機嫌で帰るのを見てると当たらずとも遠からずだね。なんか満足してるねえ?
「何を満足してんだよ?」 そんなの解るかよ、感じるところ元気になってるよ。「彼女もか?」 う~ん、笑ってるけど、あいつは元々元気だからね?
『恋愛専科』 1962年(昭和37年)アメリカ映画 トロイ・ドナヒュー スザンナ・プレシュット
そうして彼女が笑って帰るのをバイバイ手を振って戻りかけたら駐車してるボックスカーから 「★★ちゃ~ん」って女の娘(こ)が馴れ馴れしく呼んで
駆け寄ってくる。ヤンキーガールだよ。よく見ると、ああっおまえ。「★★ちゃ~ん、久し振りやなあ~」 おお、久し振りやねえ、どうしてる?
「別れたでえ」 いともあっさり云うね、子供は? 「私が育ててるねん」 ああ~ホントお~。其処へ、もう一人、ヤンキーガールが駆け寄ってくる。
「★★ちゃん、中学の時以来やわ」 おう、お前も居ったか、いや、おまえ、天神祭りの時、二人して着物着て見せに来たやないか。
「★★ちゃん、あれは〇〇〇やんか」 ああ、そうかあ、ほなら、おまえは誰や? 「〇〇やろ」 ああ、そうか、そうだったなあ~。
バッチシ化粧してるから解んないよ。おまえ、鏡に映して自分って解るかあ? 「解るわあ」 失礼だけど嬉しそうに笑ってるよ。
そうだろうなあ~でないと行方不明になるよ。「それより、★★ちゃん、まだ居てたん?」 悪かったな、せやけど、オレも、この年内には消えるよ。
まあ、おまえたちも変わらず元気そうでなによりだよ。 「★★ちゃんもな」 ありがとよ。女だてらにデッカいボックスカー乗ってんだねえ。
一人増やしただけかあ、なんなんだろうかねえ? 至って予想りではあるけれど、今の娘たちは、錯覚の世界で夢中遊びがナウイのかねえ? 解らんわ。
『恋愛専科』 美しいイタリアの名所を背景に女教師と米国人留学生の恋を描いてたかね? 「知らんのか?」 この二人が共演した「遠いラッパ」は知ってる。
仕事もしなければ 「給料泥棒」とそしりを受けても返す言葉もないから真面目に働いてたら窓の外に人の気配、
「★★ちゃん」 うん? おお、帰ってたのか? 「2日前」 そうか、なんか元気ないな? この娘(こ)は、大学が四国の高知だったかなあ?
どうや、調子は? 彼氏はできたか? 「★★ちゃん、彼氏居てんねんけど、こっち(大阪)やねん」 長距離か? 「そう」
じゃあ、帰ってきたんだから会えるだろ? 行ってこい。「それが、なんか・・・」 上手く行かんのか? 「うん」
彼氏が無理を云って、合わそうにも合わせられないってことか? 「うん、昨日電話したら今日はやめておこうって云うねん」
長距離ってのは了解の上だろ? 「そうなん、せやけど、いつも会いたいって云うから困ってんねん」
男と女でいうと男の方が甘えただからねえ。あのねえ、心の何処かに醒めた部分を置いてだね・・・無理かなあ? 夢中でなければ恋愛じゃないからね。
頷いてる。一日、意味なくズラすってことは、気を持たせるね。「そう、なんでやねんやろ?」 目尻に溢れる涙を拭いてるよ、可哀想に。
あのな、恋愛ってのは、こんなのを含めて恋愛なんじゃないの? 泣いたり怒ったり笑ったりだよ。
つまりだね、恋愛は二人の問題で、其処に隙間が生じると上手く行かないことが度々起きるね? 「うん」
好きってのは最初の感情で付き合うね、愛してるってなると互いが盲目(めくら)になって見えるものも見えなくなる、だろ? 「うん」
上手く行ってると盲目(めくら)の中(うち)に進んでいくね。二人の世界はトンネルだよ。タイミングが幸いに合ってるんだよ。問題も起きない。
それはね、相手を見る機会がないんだね、裏返せば上辺だけで愛してるって絵になるよ。タイミングが良すぎてもめることがないのは幸いか不幸か解らんよ。
勇気も要るね、虚飾じゃない事実を見て判じる怖さも同居するからね。知りたくないって気持も湧く。でも真実を見なきゃホントじゃないだろ?
あのね、こういう言い方は良いのか悪いのか困るけどね、男はね、駄目になっても損はしないの。オレを睨むようにして聞いてるよ。
女の子は、行くとこまで行ったら割を食うほうになるね? 相手を見る機会だと捉えて心の何処かに冷めた目を持つべきだよ。
周りの人間の声なんか聞こえないだろ? 素直に聞けなくなっちゃうね。「うん」 頭の痛い問題が、ちょっと目を覚ましてくれるんだよ。
おまえを好きだっていう男(ひと)は社会に出たらいくらでもいるよ。「しまった、早まった」って後でよくある話だよ。笑ってるよ。
冷めてもね、二人に消えない火種があれば、心配しなくても、また勢いよく燃えるもんだよ。ホンマもんならね、風が吹いて煽ってくれるんだよ。
それが、縁(えん)っていうもんだと思うよ。男も女も、家も仕事も、詰まる所、縁の作用ってのが働いているからね。
萎えて暗い顔してたのに、ニコニコ笑顔になってるよ。大学で勉強していて解らなかった問題が解けた快感ってのがあるだろ? 人生は問題だらけだよ。
「★★ちゃん、解った、今日、会いに行ってくるわ」 おう、行って来い。顔見合わせて笑ってるよ。
専科ってのは、本科に対して特定の分野を専門とする意味なんだね、ふ~ん、だから、今日は恋愛についてのお話だから「恋愛専科」ということだね。
こうして、こっちとら成長の止まった子供心をマセさせて一生懸命解ったような顔をして人を元気にさせてどうするんだろ? 「こっちが訊きたいわ」
本当は、独りが気楽でいいと思うよ。なのに、それを押し通す人が圧倒的に少ないってことは、寂しいからかねえ?
寂しくなったらお洒落して、街ん中、恰好つけて歩けばいいんだよ。あの娘(こ)もこの娘(こ)も妖しい瞳を横に流して誘ってくれるよ。
目と目が合ったら、ちょっと、微笑んで 「コーヒーでも飲むかい?」 「驕り?」 「当然」 盆栽の話でもしようか? 「盆栽かよ?」
稲垣潤一 Duet With 土屋アンナ - 涙のロンリー・ボーイ(稲垣潤一『男と女5』より)
稲垣潤一って歌声はいいんだけど顔はジャイアント・馬場ふうな造りだね。「どうでもええやろ」 儲けた金がモノを云うタイプだね。
今日(15日)は、昨日と打って変わって滅茶苦茶忙しかったよ。そんな中、四国の大学へ行ってる昨日の娘(こ)が、晴れやかな顔で
「★★ちゃん、ありがとう」って嬉しそうに礼を云ってる。おう、どうだった? 「★★ちゃんのお陰で落ち着いて話し合えてん」 ああ、そう。
いや、おっちゃんはなあ、昨日は、随分と無理して解ったようなこと云ったけど、内心、不安だったよ。「そんなことない、嬉しかったわあ」
「なんか、すごく落ち着いて考えれて、相手の男の子の気持ちもよく解ってん」 また、もう一つ、大人になったな? 「うん」
うむ、無理して云ってるんじゃないみたいだね。オレの話もインテリの女の子に通じるんだね。
オレは、なんでも向こうが話さない限りは根掘り葉掘りとは聞かない。当人が納得して良かったって云うならそれでいい。
「★★ちゃん、また、帰ってきたら来るわ、ほんとにありがとう」 明るく手を振って帰って行ったよ。
『恋愛専科 アル・ディ・ラ」 この映画の挿入曲なんだけど、親父の仕事場のラジオでよく流れてたよ。
Al Di La
AL DI LA
La la la la la.. La la la la.. La la la la..
ラ ラ ラ ラ ラ. ラ ラ ラ ラ. ラ ラ ラ ラ.
Al di la del bene piu prezioso, ci sei tu.
この世にある 美しい向こうに 君がいる
Al di la del sogno piu amizioso, ci sei tu.
大きな思いあこがれる夢の向こうに 君がいる
Al di la delle cose piu belle
この世にある 美しいもの
Al di la delle stelle, ci sei tu.
輝く星の向こうに 君がいる
Al di la ci sei tu per me, per me, soltanto per me.
向こうにいつ君は 僕だけの僕だけの 君は僕だけのもの
Al di la del mare piu profondo, ci sei tu.
海より深いところに 君がいる
Al di la dei limiti del mondo, ci sei tu.
世界の果てその向こうに 君がいる
Al di la della volta infinita,
永遠の時を越えたところに
Al di la della vita. ci sei tu,
人生の向こうに 君がいる
Al di la, ci sei tu per me.
君がいる ぼくのために君がいる
La la la la la.. La la la la.. La la la la..
ラ ラ ラ ラ ラ. ラ ラ ラ ラ. ラ ラ ラ ラ.
Al di la
君がいる